北海道・大雪山・黒岳〜トムラウシ山縦走

日程:日程 2019年7月31日〜8月6日

<行動記録>
7月31日(水)天気:曇り  この日は旭川駅近くのホテルに宿泊する。  8月1日(木)天気:曇り時々雨  朝方まで旭川市内で雨が降っていた。大雪山の天気予報は2日〜3日は晴れの予報なので、大雪山の縦走に向かうことにした。
 旭川駅9時15分発の層雲峡行きのバスに乗車する。バスが層雲峡に近づくにつれ雲行きが怪しくなり霧も出はじめていた。11時10分にバスは層雲峡BTに着いた。直ぐにロープウエイ駅に行き、11時20分発のロープウエイで黒岳5合目に向かう。周辺は霧に包まれていた。11時30分に歩き出し、リフトを使わずに7合目まで歩くことにした。途中から雨が降り始め雨具を着用した。7合目に12時30分に着き、登山届けを提出するとレンジャーの方から白雲岳避難小屋付近にはヒグマが出没し、テントは自粛をしてくださいと言われた。出発しようとすると雨が強くなったので暫く様子をみて、雨が弱くなった13時に歩き出した。直ぐに薄日が出てきて雨具を脱いだ。しかし、再び雨が降り始め雨具を着用した。

14時15分に黒岳頂上に着く頃には雨は止んだ。そこから25分ほど下って黒岳石室に着いて、受付をしてテントを張った。缶ビールやアクエリアスなどは買えるようだ。16時近くになるとかなりの雨が降り、雨が上がっている時にテントを張れて良かったと思った。
持参した酒を飲み、夕食を食べた後、小屋のスタッフが双眼鏡を出してくれて、遠くの山麓にいる熊の様子を見させてくれた。また、小屋の方が明日は上川地方は晴れで気温が36度になること予報であることを知らせてくれた。

 8月2日(金)天気:天気:曇り後晴れ
 3時起床して朝食を済ませ小屋へ向かうと薄雲が広がっているものの朝焼けが綺麗であった。4時50分に北海岳へ向け歩き出す。赤石川、北海沢を越えて、尾根に取り付く。朝陽がエゾコザクラに当たって綺麗であった。途中のベンチで休憩を入れ、北海岳に6時20分に着いた。風が強いので周囲の写真を撮り、白雲岳への登山道を下った北海平で風を避けて休憩する。周囲の高山植物は少し終わりかけている。雲はだんだんと薄くなり青空が広がってきたので天気予報通りだと安心する。
白雲岳の分岐に7時30分に着いて休憩して、白雲岳避難小屋に8時05分に着いた。トムラウシ山から十勝岳への稜線がくっきりと見えている。昨年も歩いたコースだが1ヶ月も時期がずれると残雪の量と高山植物の様子もかなり違うことに気づく。20〜30分ほど下り高根ヶ原の台地に出ると、平坦になり植物も少なくなる。コマクサがちらほら見ることができた。高根ヶ原分岐の手前のケルンがある所で休憩する。
足元は構造土が見られ、左下には大雪高原の沼群が見られた。ヒグマが居るかと目を凝らすが発見出来ず。平ケ岳の脇のハイマツを抜けた所で休憩し、忠別沼に11時15分に着いた。沼横の沢水は出ていなかった。
 忠別沼からハイマツ帯のゆるやかな登山道を行くと忠別岳で、12時10分に着いた。静かな山頂で休憩をして、忠別岳避難小屋へ向け下る。ここは高山植物が多い所であるが、生憎終わっていて、チングルマの綿毛が多数目立った。ハイマツ帯を抜けると小屋へ行く分岐に着く。そこから15分で結構大きな雪渓の向こう側に三角形の忠別岳避難小屋が見えた。

ここは始めて泊まることになる。テントは10張り程度で広くない。今回はこの避難小屋に2泊する。小屋は親子連れの2名が居た。この日は結局小屋には合計8名が宿泊した。小屋の一部は雨漏りがあるらしい。2皆もあり20名程度が宿泊できる。何と言っても雪渓の融雪水は冷たく美味しい。トイレは2つあるが片方は扉が壊れている。しかし、周辺は高山植物が多く良い所である。残念だがここでは携帯の電波が入らないので、新しい天気予報のデーターが取得できない。夕食を食べ19時に就寝した。

 8月3日(土) 天気:曇り後晴れ  3時に起床した。今日は沼ノ原へ小屋から往復登山になるので、装備は日帰り装備で軽い。4時55分に朝露の予防のため雨具を着用して小屋を出発する。周囲はすでに明るい。しかし、天候はガスで視界は利かない。5時50分に五色岳に到着する。風が強くガスが出ていてトムラウシ山は望めない。五色岳から木道の登山道を下って行くと30分くらいしてガスが切れて大沼が見えた。結構遠いところにある。五色ヶ原が以前にクワウンナイ川を遡行した時に来たことがあるが、ここから望むトムラウシ山が綺麗に見える所だが、生憎の雲でトムラウシ山が見えないのが残念である。五色岳から1時間ほど歩き休憩する。太陽も顔を覗かせ雨の心配は無いので雨具を脱ぐ。
休憩した所から木道をさらに歩いて行くと沢筋の登山道に出るとチングルマやエゾコザクラの高山植物が多い。おそらく遅くまで雪渓が残っていた所だろう。そして、ハイマツを抜けると登山道は急な下りとなり展望が開け、大沼が近くに見える所で休憩する。  そこを下ると五色の水場で冷たい湧き水が出ている。喉を潤して樹林帯を少し登り返すと突然に湿原に出る。沼が多く点在して沼ノ原に着いたことが分かる。少し木道を歩き、大沼の天幕指定地に8時50分に着いた。誰も居ないおそらく私一人だと思う。ここに来るための林道が土砂崩れで崩壊しているため、来れないからだ。大沼越しに見るトムラウシ山は生憎の雲に覆われているが、とても気分の良い所だ。ここの天幕場にヒグマが出没する事例が報告されているので、登山者も少ないようだ。
写真を撮り休憩して来た道を戻り五色の水場で休憩してからは、登山道は登りとなるので帰りは時間がかかる。さらに、沢筋の所で休憩して五色ヶ原に戻ると雲が切れトムラウシ山が良く見えて美しかった。途中休憩していると五色沼あたりでヒグマを発見する。距離は300mほどあるのでヒグマはこちらを気づいていない。写真を撮って帰りを急ぐ。11時50分に五色岳に戻り、忠別岳避難小屋に12時45分に着いた。
この日の避難小屋宿泊は8名、テントは7〜8張りと多いのはやはり土曜日なのだと思った。また、小屋で地元の新得山岳会の方(ezo-wolf)と一緒になり、登山道の整備の為、黄色のペンキマークを付けに来たことを聞き、山岳会では携帯トイレブースなどの設置や避難小屋のトイレの修理などを行っている苦労を聞いた。そして、カムイエクの頂上直下で登山者がヒグマに襲われた情報も聞いた。その熊は駆除されていないので今は行かない方がいいとう話しも聞いた。テント泊の中には初めて大雪山に来て、1週間分の食料を持ち、愛山渓温泉から富良野の原始が原まで抜ける単独行の女性カメラマンも居て、なかなか面白い話しを聞く機会を得た。夕食後19時頃に就寝する。

 8月4日 天気:晴れ
 昨日に五色岳の頂上で天気の情報を携帯で取得すると、5〜6日は晴れということで安心した。3時30分に起床して、4時過ぎに外を見ると朝焼けが綺麗であった。5時に避難小屋を出発した。朝は薄雲が広がっていたが時間が経つにつれ青空が広がってきた。5時50分に五色岳に着くと、トムラウシ山が綺麗であった。山頂にザックをデポして少し五色ヶ原へ10分ほど下ったところでトムラウシ山の写真を撮る。五色岳へもどり、化雲岳に向けハイマツ帯を歩いて行く。ハイマツ帯を抜けると木道が現れ、沼越しのトムラウシ山の写真を撮る。
7時30分に化雲岳に着く。北に旭岳、南にトムラウシ山と青空に山が映える。これほど天気の良い縦走は気分が軽くなる。ヒサゴ沼分岐から登った岩がゴロゴロした所で休憩を入れる。ヒサゴ沼が良く見える。さらに歩き日本庭園の鞍部に差し掛かったときに足元の何か動くものを見つける。するとオコジョで岩から顔を出すのを少し待って写真を撮った。
そこからロックガーデンを歩いているとナキウサギの鳴き声が近くに良く聞こえる。しばらく様子を見ていると姿を現し写真を撮る。そして、急登を登ると北沼が見える所に着く。振り返ると化雲岳の方面が良く見えて、歩いてきた所が良く分かる。北沼で休憩をして南沼の野営地に11時40分に着いた。小屋で一緒だった新得山岳会の方や女性カメラマンもすでに着いていた。この日はこの後テントの花が咲き30張り近くになった。
テントを張り終えてお茶を飲みしばらくまったりしてからトムラウシ山へ登りに行った。雲が多くなり始め展望はさほど良く無かった。
この日は酒も切れてお茶を飲み夕食を食べ、19時に就寝する。

8月5日
 3時半に起床して、朝陽を見ようと直ぐにトムラウシ山に登る。頂上に4時15分に着いて雲の合間に朝陽を見ることができた。テントにもどり珈琲を入れ朝食を食べる。天気予報では7日まで晴れのようだ。女性カメラ面など数人がオプタテシケ山の方に向かった。今年は藪が凄いらしいが数人でまとまっていけば安心だろう。

 テントを撤収して6時20分にトムラウシ温泉へ向け歩き始める。岩稜帯の高山植物が多い所であるがすでに盛りは終わっている。十勝岳の方は頂きの上に異様な厚い雲が掛かっていて印象的である。
 トムラウシ公園で休憩して前トム平に7時50分に着いた。日帰り登山者が多く登って来た。前トム平から大きな石のゴーロ帯をトラバース気味に下り、コマドリ沢に入ると雪渓が全くないのに驚く。下るに従って気温が上がり暑くなる。コマドリ沢分岐から一度登り返し熊笹帯の面白くない所を下って、カムイ天上で休憩する。ここから緩い登りもある森林帯となり、日差しが遮られ多少はましかと思う。温泉コースと短縮コースの分岐点を通過してからも登りが有り12時40分にトムラウシ温泉に着いた。
 直ぐに宿泊受付をして部屋に入れるのが14時からなので風呂に入って汗を流して、生ビールを飲み豚丼を食べた。

8月6日 天気:晴れ
 8時45分のバスで新得駅に10時25分に着いて、11時開店の蕎麦屋「みなとや」で天ぷら蕎麦を食べ、新得駅から特急に乗り、南千歳経由で新千歳空港へ出て羽田空港へ向かった。

<行動時間>
 8/1 旭川駅9:25-11:10層雲峡・RW11:20-11:30五合目11:40-12:30七合目13:00-14:15黒岳14:20-14:45黒岳石室

 8/2 黒岳石室4:50-6:20北海岳-7:27白雲岳分岐7:37-8:05白雲岳避難小屋8:20-11:15忠別沼11:25-12:10忠別岳12:25-13:15忠別岳避難小屋分岐-13:30忠別岳避難小屋

 8/3 忠別岳避難小屋4:55-5:50五色岳5:55-8:50大沼-9:23水場9:27-11:55五色岳12:00-12:45忠別岳避難小屋

 8/4 忠別岳避難小屋5:00-5:50五色岳(五色ヶ原)6:25-7:30化雲岳7:50-9:30日本庭園9:40-11:00北沼-11:40南沼キャンプ場

 8/5 南沼キャンプ場4:00-4:15トムラウシ山4:45-5:00南沼キャンプ場6:20-7:00トムラウシ公園7:10-7:50前トム平8:05-8:50コマドリ沢分岐9:00-10:30カムイ天上10:40-12:40トムラウシ温泉

 8/6 トムラウシ温泉8:45-10:25新得駅

<山行雑感>
 今回の大雪山の山行の目的は沼ノ原へ行くことであった。現地営林署に確認するとクッチャンベツ沼ノ原登山口とヌプントムラウシ温泉登山口が共に林道崩壊で入れないので、忠別岳避難小屋からの往復登山をしたため、4泊5日の山行となった。食料の軽量化をはかりジフィーズとした。実際に行ってみて沼ノ原は池塘があり、良い所であった。まったく人気が無くヒグマも心配になり、笛を鳴らしながらの行動となった。また、地元新得山岳会の方が大雪のヒグマは人に慣れているいるので、人を見かけても寄ってくることは少ないと言っていた。出会い頭に合うのを避けるためには笛が有効であると言っていた。
記録:KOS


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