阿武隈川白水沢左俣左沢

日程:2019年8月31日(夜)〜9月1日

<行動記録>
2019年8月31日 曇り一時雨
 20時に海老名駅に集合し、IZU車で現地に向かう。明日の行程はそれほど長くないので、到着後プチ宴会をして24:40ころ就寝。翌朝はゆっくり6時起床予定。

2019年9月1日 曇り一時晴れ
 予定より早く5時半ころには起きた。甲子温泉大黒屋の入口下にある駐車スペースに駐車し、7時20分に沢装備を着けて出発。立派な温泉旅館の大黒屋の敷地を通って登山口へ向かう。敷地の一角に登山届箱があった。

 大黒屋を抜けるとコンクリートの橋の左手と正面に堰堤。左手が阿武隈川本谷で正面が白水沢。コンクリート橋を渡って階段を上がるとすぐ、左手に甲子山(かっしさん)への登山道が細く伸びている。白水沢へはまっすぐ踏み跡を辿る。
 すぐに白水の滝が現れる。一見すると、両岸は迫り水量も豊富で滝への踏み跡も明瞭ではない。朝一で濡れたくないという気分で、気圧されて戻って巻道を探すが、直登より良さそうなものは見つからなかった。
 ガイドブック等の情報からして直登はそんなに難しいはずはない。7時50分、念のため雨具を着て、草で隠れた滝右岸の踏み跡を辿る。側壁は傾斜はあるが、実際には足場があった。水流の一段上の足場から岩の基部を巻くようにして落ち口に出ることができた。濡れることもなかった。
 白水の滝を抜けるとすぐ上に堰堤がある。そこは左岸の踏み跡をたどって高巻くと穏やかな流れの沢となった。
水流がY字状の緩い傾斜の8m滝は右岸のリッジを登った。

 少し行くと、高度のある直瀑が現れた。比較的新しいガイドブックには「10m直瀑」と書かれているが、昔のガイドブックでは「20m直瀑」となっている。実際10mよりは高いように思われた。左の巻道を辿った。
 釜のある6m滝を左から登った後、流心の高さは7m程度だが登れそうな左壁はもう少し高く少し逆層気味の滝が出てきた。手前の河原は平らで小広い。休憩する。後続のパーティが追い抜き、その逆層7m滝に取付くが、ロープを出して登っていった。休憩後私たちも取付いたが、ロープを出すほどではなかった。
 9時半前に二俣に着く。左俣に入る。左俣は右俣より水量が少なく薮に隠れている感じ。地形図で確認する。
 9時40分には奥の二俣に着いた。ここは明瞭だ。右沢の出合の滝に別パーティが取付いていた。私たちは左沢出合の10m滝を左壁から登る。
少し行くと赤っぽい脆そうな5m滝。ピンもなさそうなので手前右の踏み跡から巻く。また少し行くと水流が細い筋となって逆くの字に落ちる「3段8m滝」が現れた。「8m」となっているがもう少しありそうに見えた。滝の上部は、足場が少し細かく、水の飛沫を浴び気味なので、レンズが濡れて足場が見えにくい眼鏡のメンバーにはロープを出した。ロープはここだけ使った。
 すぐ上には赤茶けた2m滝があり、リーダーはそちらへ向かうが、すぐ手前の左へ上がる窪の方が登山道に近いのではないかという意見が出て、そちらへ向かうことにする。10時45分だった。
 ガレた窪を落石に気をつけながら登るが、傾斜が急になり行き詰まったので10mほどトラバースして右の尾根に上がった。そのトラバースが少しいやらしかった。私はアイスハンマーを持っていたので、それも使った。尾根に上がると多少の藪漕ぎがあったが、徐々に傾斜も緩み、最後笹と背の低いシャクナゲ帯を通って登山道に出た。11時50分だった。そこは、甲子峠からのトラバース道ではなく、トラバース道分岐より少し下の場所だった。

 窪に入ってからの詰めには、約1時間かかった。結果論だが、辿ってきた窪ではなく、2m滝を登ってから詰めた方がよかったかもね、という話になった。
 登山道で沢装備を解いて、さわやかな登山道を1時間、ハイキング気分で下山した。帰路、新甲子温泉のちゃぽランド西郷に寄り、汗を流して帰った。

【感想】
 楽しめる沢だった。ほとんどの滝は直登でき、難しい滝にはしっかりした巻道がある。ナメや小さな釜も気持ちがいい。ヒルもいない。場合によってはサポートする人がいた方がいいかもしれないが、初級者がリーダーとして、白水の滝や詰めのルートファインディングにチャレンジするのにもいいルートかも。下山路も短いので、時間的な余裕もある。
 個人的には、阿武隈川は連れ合いの故郷の川で、高校時代に水質検査をして歩いたと聞いていたし、またずいぶん昔(1955年5月)だが、現地周辺は、地元の白河高校山岳部が折からの二つ玉低気圧による激しい風雨と残雪のため、目的の三本槍岳手前から甲子温泉へ撤退する途中道を間違え、6名の生徒が凍死するという遭難事件が起きたところで、そのことを元にして書かれた小説を読んでいたので、実際に行って身近に感じることができよかった。
(N)

 ヒルがいなくて、綺麗で短めの沢を計画したいと思って探しましたが、行ってみて水が綺麗で程よく滝があり楽しい沢でした。 (IZU)

【行程】  2019年9月1日(日)
甲子温泉大黒屋入口下駐車スペース7:20−7:25登山口−7:30白水の滝−7:35巻道探索−7:50再度白水の滝7:55−8:00Y字状水流8m滝8:05−8:15「10m」直瀑8:20−8:25 6m滝8:30−8:32(休憩)8:50−8:52逆層7m滝9:00−9:27二俣−9:40左俣の奥の二俣9:45−9:45左沢10m滝9:50−9:55脆い5m滝10:03−10:15 3段「8m」滝10:35−10:40 2m滝下−10:45左の窪へ−11:50登山道(沢装備解除)12:15−12:35猿ケ鼻−13:11温泉神社−13:15登山口−13:25駐車スペース

記録:N


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