八ヶ岳・ジョウゴ沢アイスクライミング

日程:2019年12月21日〜23日

<行動記録>
 12月21日
 大和駅に6時に集合してMAYU車で圏央道経由で中央高速を使って、美濃戸口に8時50分に着いた。身支度を整え9時25分に歩き出す。今回は小屋泊まりなので装備が軽くてすむので助かる。林道には雪はない。途中で衣類調整をして美濃戸山荘に10時33分に着いた。途中休憩を入れ12時45分に赤岳鉱泉に着いた。小屋の前の道も雪はなし。当初はアイスキャンディで練習をする予定であったが、混雑のため使えないとのことで、部屋に荷物を置いて必要な装備を持ち、ジョウゴ沢へ行くことにした。

 小屋の前の登山道を行き、大同心沢、裏同心沢を越えて、ジョウゴ沢に入る。沢の左側の踏み跡をたどって歩き、途中でアイゼンを付け、F1ではガイドパーティが練習をしていたので、F2へ行く。中央右側の氷は薄く、中央左には他のパーティが練習をしていたので、その左側にトップロープを張り練習することにした。まず、最初にMH氏が登り、トップロープを張る。ここは最初の5mくらいが立っているが、その後は右にトラバース気味に登るのだが傾斜は緩いので、トラバースの練習に持ってこいかと思った。上部まで登らずに途中でロワーダウンをする。各人2本練習して今日の予定を終える。

赤岳鉱泉では160名ほどが宿泊するとのことで、小屋では個室をすすめられた。ブロッケン山の会も来ており、明日は裏同心ルンゼに行くとのこと。夕食まで明日の行動計画を確認した。夕食は名物の「ステーキ」で美味しく頂く。また、クリスマスとのことでデザートにシュークリームが付いていた。
 夕食後の20時からマムートフェスがあり、抽選会でMH氏が商品をゲットしていた。

 12月22日 天気:晴れ時々曇り
 6時過ぎに起床して7時の朝食を食べる。ジョウゴ沢に向け7時30分に小屋を出発する。まずはF1でMH氏がトップロープを張って各自練習をする。傾斜は60度程度で初心者の練習にもってこいだ。氷の状態は一部融けて軟らかい。F1は右から歩いても巻ける。

 続いてF2に向かう。先行者が居たが、中央左のルートをMH氏がリードをして、上部右の鉄杭にかかった残置で支点をとり、後続者も登る。中央左のルートは傾斜は下部の傾斜があるところでも70〜75度くらいかと思う。中上部は傾斜が緩いので気を抜かないようにして上がる。トップロープで練習する。
F2からも広い沢を歩いて行くとF3になる。氷結が甘いのでノーザイルで左側を登ると右俣出会いになる。奥に滝があり登っているパーティもいた。我々はトレースに沿って左側へ歩いてくと、ゴルジュ状になって、そこを抜けると右に乙女の滝が見えた。ガイドブックには乙女の滝は80〜90の斜度があるらしい。本流を詰めて行くと3mほどの滝があり、念のためザイルを出してクリアーする。すると、先に大滝が見えてきた。
ガイドブックには大滝は25mとあり、最初の7mの傾斜が強く、右側が難易度が低いとあったが、中央部の氷の状態が悪くハング状になっていた。先行者が抜けるのを待って、右よりルートから松嶋秀樹氏がリードで登り、トップロープを張った。すぐに後続の3名のパーティが来て、稜線へ抜けるというので先に行ってもらうと、トップが2度落ちるのを見た。2度目は打ったスクリューが利いていることが分かって、やはり最初にスクリューを打ち安全を図ることが重要だと再認識した。
その後我々はトップロープで登ったが、特にハング状を超えるのに手に頼ってしまい苦労した(KOS)。各1本ずつ登り、西氏にロープの回収をお願いして、MH氏が下部の滝の懸垂下降のロープのセッティングに先行した。3mの滝とゴルジュを懸垂で抜け、F2を懸垂で降りて赤岳鉱泉に戻った。
部屋は昨日と違い少し広い個室となった。部屋で反省会を行い、夕食の前に明日の行動予定を確認した。

12月23日 天気:晴れ時々曇り 
 昨夜から雪が降り小屋の前で20cmほどの積雪があった。朝食を食べ7時半に出発する。
裏同心ルンゼのF1に着く。先行者がいて少し待ちN氏がリードで登る。他はN氏の確保で登る。

次にF2へ行く。F2は3段で30m余りで最初とラストが傾斜があるが登りやすい。ここはMH氏リードで登る。他はトップロープで登ろうとするが60mでは足りずザイルを2本つなげて登る。帰りのこともありラストはN氏が登り、ザイルの回収を行っている間に、MH氏がF1を懸垂で降りる準備にかかる。
 F1を木を支点に懸垂で降りて、赤岳鉱泉に戻り軒下で身支度を整え、13時30分に鉱泉を後にする。15時50分に美濃戸口に着き、延命の湯に入り汗を流し、夕食を食べて大和駅に帰った。

<山行雑感>
KOS自身は15年以上前に冬山合宿でジョウゴ沢に来ているが、そのときの状況に比べ氷の発達が悪く、地球温暖化の影響を受けているのが分かった。また、昨年の台風の影響で水の流れが変わり氷の状態も変わっているようで、年によっても状態は変わるようだ。MH氏とN氏のリードで初心者であるKOSも何とか登ることができて良かったと思った。また、事前に鷹取で練習したことが良かったと思った。

MAYU氏はアイスクライミング初心者であると言っていたが、登っているときのバランスの良さは、さすがにフリーを極めているためと感心した。裏同心ルンゼF2まで登って帰るときに、MAYU氏は「次は裏同心ルンゼを抜けたい」と言っていたのが印象に強く残っている。

記録:KOS

昨シーズンから、鷹取山や南沢大滝でトップロープで練習を重ねてきて、今年はジョウゴ沢と裏同心ルンゼ(F2まで)を楽しむことができて非常に良かったです。
また今回のメンバーは、事前練習をしっかり行い、技術面の心配もなくしっかりと準備ができた山行でした。
本チャンに向けて事前練習等を行い、皆で成功するという山行は個人的には満足感があり良いことだと思います。

 ジョウゴ沢の氷瀑状況は気温があまり低くならなかったせいかアックスの刺さりはとても良かったが、スクリューの効きという点では落下した際に心配でした。
しかしジョウゴ沢の大滝で他のパーティーがリードをして落下をしたが、一個目のスクリューが効いていて正しく使用すれば効果があると実感できました。
裏同心ルンゼはジョウゴ沢に比べて氷の状態は少し固くて安心感はありました。今回はF2までだったが来年はF5まで行きたいと思います。
次は八ヶ岳広河原沢クリスマスルンゼ、南沢大滝、谷川岳左方ルンゼにも挑戦したいと思います。
(MH)

<補足>
 自分も含め今後の参考に、実際の支点等の状況、ロープワーク等につき記録しておきます。
【ジョウゴ沢】
@F1まで部分的に凍っている斜面もあったので、アイゼンかチェーンアイゼンを着けた。沢に入ってすぐの小広いところで装着した。
AF1の支点は、滝上左寄りにある大岩にペツルのハンガーボルト2枚があった。その左横にある立木も支点に使っていた。氷の状況によるかもしれないが、今回は右側ならノーザイルで上がれた。さらに右の斜面を歩いて巻くとこもできた。<BR> BF2の支点は、滝上右側に鉄杭や鎖、残置スリングがあった。残置のカラビナ(2枚)もあったので、トップロープで練習後撤収時にロワーダウンで下降することもできる。
 F2は手前左から巻くこともできるようだった。グリーンのロープが張られていた。
C大滝の支点は、滝上右側にあった。ここも、残置のカラビナがあるのでトップロープで練習後撤収時ロワーダウンでも下れる。
 大滝も左の尾根を登って巻けるように見えた。
D大滝は滝下が斜面になっているので、リードの確保時には確保者は念のためセルフビレイを取った方がいいかもしれない。右の岩にハーケンが1本あった。
Eジョウゴ沢を下降して戻る場合は、短い氷の滝でも怖く感じることもあるので、クライムダウンやトラバースの練習もするとよいと思った。

【裏同心ルンゼ】
@F1の支点は、落ち口から少し離れた左側奥にある立木が利用できた。懸垂下降の時は、もう少し落ち口に近い立ち木を利用した。
AF2は、最上段落ち口から少し離れた左側の岩の壁にペツルのハンガーボルトがあった。支点はそれを利用した。
BF2は、3段全部で30m余りあったので、トップロープ用に2本のロープを連結した。鷹取山で事前に練習したフォロースルーの8の字つなぎ+ダブルフィッシャーマン結びで連結した。この方法はロープ径が違っていても問題なく、また実際練習後にほどきやすかった。
C今回は、リードが登り始めてからロープ長が足りないことの対処を思いつき、リードが上部支点に着いてから下で2本のロープを連結して、連結部近くをセカンドがハーネスに繋いで登り、支点に着いてから懸垂下降のセットをしてリードとセカンドが基部に懸垂下降で戻った。
 一般的にはリードに負担がかからなければリードがもう1本のロープをハーネスのホールループに掛けて引っ張っていき、支点の場所で2本のロープを連結して懸垂下降で戻るか、セカンドがもう1本のロープを引いて上がって、上で2本のロープを連結してリードとセカンドが懸垂下降で戻ることになると思う。
N


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