春合宿 南アルプス 北岳 池山吊尾根

日程:2016年4月28日夜〜5月1日
行程:
4月28日 横浜出発    談合坂集合 夜叉神峠登山口 仮眠
4月29日 起床 5:00 出発 6:15 鷲住登山口 歩き沢橋  池山御池小屋
4月30日 起床 3:00 出発 4:15 八本歯の頭  山頂  ボーコン沢の頭   池山御池小屋  18:00
5月1日 起床 4:00 出発 歩き沢橋 7:00 (朝食) 8:00  鷲住登山口 夜叉神峠 11:55

4月28日 仕事を終え、KN車は中野さんとMを自宅前で、YAMA車は長津田駅でKATAさん、NAKAGさんをピックアップし、談合坂で集合。高速を降りてからコンビニに寄り、夜叉神峠駐車場で仮眠。トイレも綺麗、登山計画書用のポスト有。

4月29日 天気は晴れ、トイレを済ませ、登山届を投函して出発。林道途中のトンネルに備え、ヘッデンを取り出しやすい所に携帯するように声をかける。涼しいが歩くとすぐに暑くなる。雪もなく、初夏の雰囲気。林道を1時間半ほど歩き、鷲住山の登山口へ。岩場の登山道に固定されていない梯子が出現。その後は、うんざりするほどの長い下り。下りきったところに吊橋があり、1人ずつ渡る。対岸に渡った後は、もう一度林道に戻らなければならない。斜面といやらしい岩場。重い荷物でバランスを崩さないように注意しながら、林道へ上がる。林道を約50分。途中、歩き沢橋登山口の手前でコンクリートののり面から水が流れているところが水場。KATAさんが飲み水を補給し、池山小屋への登山道に入る。ひたすら登る。まったく雪が無い。メンバーからキツイキツイと声があがる。今日は池山小屋の水場が遠いことと翌日の行程を短くしたいので、池山小屋を通過し雪のある場所まで登っておきたかったが、この雪の無い状況で池山小屋から先にどこまで登れば雪があるか不安なため、遠くても水場がある池山小屋までとする。平らになってきたところで、池塘(今は笹の原っぱ)が目の前に現れ、その奥に小屋が見える。なかなかメルヘンな風景。池を回り込んで小屋へ入る。

小屋の中にすでにテントが1張りあるが不在。他に、これから水場へ行こうという4人組。そして我々6人。とりあえず、2人テントを土間に張り、板の間にマットで4人分のスペースを確保。その後、有志4人が水場へ。Mと中野さんが留守番。その間、先着の4人組のうち水場に行かなかった男性と会話。川崎山岳会の方々で明日は2パーティーに分かれ、2人が北岳登頂、2人がバッドレスへ行くとのこと。歓談していると川崎山岳会の水場へ行ったメンバーが帰還。水場はかなり大変な場所だったらしい。我々の仲間にも会ったとのことで、とりあえず水場には到着しているので一安心、帰ってくるのを待つ。しばらくして、4人が帰還。全員分のプラティパスに水を満たし、15リットルを交代で歩荷してくれた。沢の詰めのような斜面で相当苦労したらしい。お疲れ様の乾杯の後、板の間に4天を張り(当初は人が増えることも想定しテントは張らないでいたがその後到着する人は無かった)、夕飯は麻婆春雨とスープをいただく。川崎山岳会のパーティーの3時起床4時出発の予定に我々も合わせることにして就寝。テントの中で暖かく快適に過ごした。

4月30日 3時起床4時15分出発、星が出ている。風も無い。ヘッデンで出発。雪が無い。2400m付近でやっと登山道に氷が出てくる。その後、樹林帯に残雪。あまり綺麗な雪ではない。水場の苦労はあったが池山小屋泊として良かったと思う。森林限界にテント2張り。砂払いに上がる斜面に少し雪がついている。その後稜線にあがると雪は無い。アイゼンをはずす。拍子抜けするほど無風。
八本歯の頭で捨て縄をタイオフし、下ったところの木に8mm50mのロープでFIXを張る。順にクライムダウン。ロープ回収も難なくでき、思ったよりは時間がかからなかった。FIXが無くてもクライムダウンは出来るが、今年1名滑落事故が発生しているので、安全策を取るのが望ましい場所である。八本歯の梯子を登り、北岳山荘との分岐付近で、下山してくるパーティーに会う。森林限界にテントを張っていたパーティーで池山小屋の水場について質問を受けた。彼らも水に困ったようだ。
トレースをたどって、頂上手前の硬い雪壁を直登。帰りは危ないだろうと予想し抜ける。登り切ってからまだ北岳山頂までもう少しの歩きがある。メンバーに疲労が見えてきた。雪も無くなっているので、アイゼンを脱ぐ。風も強く、山頂ではゆっくりできないだろうと予想し、ここに荷物もデポしてもよいことにすると、全員荷物をデポし身軽な恰好で山頂に向かうことになった。
山頂は快晴、大樺沢側には雪庇があるが、山頂の標識のところには雪は無い。予想外に風もなく、過ごしやすい山頂で、のんびりできそうだ。行動食など荷物を持ってこなかったことを悔やむ。記念撮影をし、荷物をデポした場所まで戻り休憩。後続の川崎山岳会の2人が登ってきた。下りは行きに直登した雪壁を、先行パーティーにならって1段下がったところからトラバースすることにする。
その後、八本歯の梯子を下り、八本歯の頭の岩場を登り、捨て縄を回収。こういう岩場の通過時にアイゼントレが役に立つのだなと改めて感じる。八本歯周辺で、2人組パーティーや単独の女性などとすれ違う。雪の斜面を下りて長めの休憩。行きにアイゼンを付けたところだ。川崎山岳会の2名とはここから前後しながら下山することになる。 途中で、KNさんの靴のソールがはがれるというトラブルが発生。ダクトテープとテーピングで養生し歩く。メンバーに疲れが見えたところで、KNさんがライチョウのペアを発見。写真を撮ったりして癒される。その後、樹林帯をどんどん下っていく。
次の休憩をはさむ頃には、細かい雪の粒が降ってくる。黙々と下り、18時に小屋へ到着。
中に入ると、新たな2名の登山者がいた。我々が14時間かかったことを伝えると彼らも3時起床4時出発にする、とのこと。(後日、ヤマレコの記録を見ると順調に山頂まで登り、その日の夕方には奈良田と夜叉神へそれぞれ下山していた。)

早速夕飯の準備、と思ったが、まずは残りの水の計算。今日の行動が長かったため、今日の行動水は空になってしまった。昨日水場で汲んだ水で夕飯と明日の歩き沢橋までの行動水を賄わなければならないが、どうにも足りそうにない。朝食を減らす、明日は行動水無しで水場まで我慢しよう、など、頭をひねった結果、夕飯後に残った水を全員で平等に分け(約500ml)、明日の朝は各自行動食で済ませ、歩き沢橋の水場で朝食のラーメンを作って食べようというナイスアイディアが出た。皆が納得したところで、親子丼とスープの夕飯を済ませ、明日の水場で思いっきり水を使ったラーメンを作る事を夢見ながら、就寝。途中、暑くて何度か目が覚めた。 

最終日は4時に起床し、テント撤収。荷物をまとめた人から各自行動食を取る。5時出発。 行きに苦労した急登をどんどん下る。九十九折りになっているので、落石を起こさないようにと注意しながら下る。暑い。どんどん下っていくと水音と共に、歩き沢橋の林道が見えてきた。テントを回収するパーティーが見える。昨日山頂の下ですれ違い、先に下山したパーティーのようだ。 林道脇の水場に到着し、林道の退避スペースに銀マットを敷き、思う存分水を汲み、ラーメンを作成する。今までで一番おいしい朝食だったかもしれない。お茶を飲み、スポーツドリンクを作る。あまりに飢えていたせいで(笑)、ラーメンパーティーの写真を撮るのを忘れた。約1時間過ごしたあと、帰路に着く。 林道から吊橋方面に下る岩場がいやらしいが無事クリア。吊橋をわたり、今日の核心の鷲住山の急登。1時間半のコースタイムだが、まず最初の30分で休憩、その後40分で休憩するともうすぐ山頂でその後はほぼ水平に移動。林道に到達する。林道の見晴らしの良い場所で何度も立ち止まって歩いてきた尾根を観察したり、下の林道から鷲住山への高低差に感心したり、昨日は天気が良くて恵まれた、などと感想を話しながら歩いた。最後はいつもの「下山したら何を食べたいか」を歓談しながら夜叉神峠駐車場に到着した。 お風呂に寄り、甲府昭和インター近くの豚丼の店に寄り、解散。途中、事故渋滞があったが、18時には平沼橋のM自宅に着き、山行を終えた。
感想:厳冬期の下見という点では、とにかく体力勝負の行程となることは間違いないが、気象条件が整えば成功できると思う。残雪期の3000m級の登山は天候、装備、登山道のコンディション等、いろいろ読みが難しい部分があるが、我々パーティーは恵まれた3日間だった。 アタック日は風が無く、カンカン照りでもなく、最高のコンディションであったが、夕方には粒状の雪が降ってきた。この時、北アルプスは天候が急変し予報以上に大荒れだったようで、北アルプスの各地で多くの遭難者が出た。下山後、ニュースを聞いて身の引き締まる思いだった。 チーフリーダーの代理で急きょ春合宿のリーダーを務めることになり、メンバーの協力無くしては成功できなかったと思う。無事、登頂出来たことをメンバーに感謝したい。


 

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