北海道・大雪山縦走

日程:2012年8月3日〜5日


  

大雪山の縦走を旭岳温泉から旭岳・北海岳・忠別岳・五色岳・トムラウシ山の縦走山行を計画したが、3日目が天候悪化のため、トムラウシ山の登頂をあきらめ、3日目に天人峡温泉に1日早く下山した。

8月3日(金)天気曇り
 横浜のYCATを5時57分発のバスで羽田空港に6時20分過ぎに到着し、手荷物を預け、搭乗手続きを済ませ搭乗口に行くと、OH氏が早々と居た。朝食を食べているとT氏も現れて、JAL組は揃った。OK氏は1時間ほど早いANA便で旭川空港に先に行っている。
 飛行機の出発が少し遅れ8時13分に離陸する。旭川空港に予定より15分ほど遅れ、9時30分に着く。OK氏とも合流し、予約しておいたタクシーにて旭岳ロープウエーに向かう。今回はタクシーにEPI燃料のボンベの購入をお願いして置いた(四つ星会タクシー)。10時45分のロープウエーの駅に到着し、水の補給と缶ビールの購入をし、11時発のロープウエーに乗車し頂上駅に向かう。頂上駅で身支度を調え11時25分に歩き出す。夫婦池などを散策し、姿見池で休憩していると、旭岳にかかるガスが切れ始め、山頂が見えはじめた。姿見池から1時間ほど歩いて7合五尺あたりで休憩を入れ、そこから1時間で旭岳の頂上に14時00分に到着する。この頃には雲が上がってきていて西側の展望は全く見られず、僅かに白雲岳と烏帽子、北鎮岳の頂が雲の合間から見えていた。頂上で視界が良くなるのを期待していたが、良くならないので14時45分に頂上を後にして、裏旭岳キャンプ場へ向かう。頂上からの下りは、登山道が雪解けの影響か、雨の影響か崩れ、歩きにくかった。我々の他は居ないので、のんびりとくつろぐ。天幕を設営後に雪渓の雪解け水を取りに行く。その脇の雪解けが終わった斜面は高山植物が多く、しばし撮影に勤しむ。ここの天幕場のロケーションは南西に旭岳、南に後旭岳、東に白雲岳となかなか良い所である。旭岳ロープウエーで調達した地ビールで乾杯した後、夕刻になり寒さが増し、天幕内で夕餉の支度をし、炊き込みご飯と麻婆なすを食べる。その後は、天幕の外に出て、日没近くでは夕焼けをしばし楽しむことができた。
 19時近くになり眠気が湧いてきたので、明日の予定を3時起床と決め、就寝する。夜中はかなり冷え込み、フリースと薄手のダウンを着込み寝ることにした。

 8月4日(土)天気曇り一時晴れ
 3時起床、朝食を済ませ、トイレに行く。その途中で朝焼け(モルゲンロート)の旭岳の美しさにカメラのシャッターを切る。トイレは自然に申し訳ないと思いつつ天幕場より30mほど離れた大地にする。出発前の天気予報ではこの日は曇りで降水確率30%であったが、高曇りでまずまずの天気のようで安心する。
 4時35分に天幕を撤収し歩き始める。最初は間宮岳への登りであるが、傾斜がさほどではないので、ゆっくりながらも快調に歩く。直ぐに高度を上げると展望が開け、北海道の大雪の広大さに感激する。間宮岳の頂上で休憩。高天原の広大な大地の先に忠別岳が見えて、あの先にいくのであるが、朝の体調の良さから今日はヒサゴ沼まで行けると軽い口調が囁かれた。しかし、ヒサゴ沼までは20km以上あり、10時間を超える道のりなので、忠別岳に12時着のタイムリミット決めて、その後の行動を取ることにした。
 間宮岳から北海岳は緩やかな登山道で、のんびりとお鉢平と高根ケ原の景色を楽しみながらの歩きとなる。トムラウシ山から十勝岳までの展望が見られ、十勝岳は噴煙が上がっていた。北海岳の頂上のベンチで休憩をする。

北海岳からは緩やかな下りの登山道となる。白雲岳を左に回り込むように登山道は延びている。大きな石があったりするが、ここの付近は残雪があり、とても高山植物が多く、写真撮影を楽しみながら行動した。反対側からはようやく登山者がすれ違うようになり、あきらかに学生と思われる集団はザックが大きかったので、縦走と思われる。白雲岳分岐に7時18分に到着する。長めの休憩をとる。ザックがいくつも置かれているので、空身でピストンをしている。我々は白雲岳には行かず、景観に赤い色の目立つ白雲岳避難小屋へと足を運んだ。登山道は下りでここも高山植物が豊富にある。そして、行く手には忠別岳・高根ヶ原・化雲岳、そして、石狩岳やニペソツ山と広大は展望が開ける。
 白雲岳避難小屋は8月から9月まで管理人が常駐しているらしく、水場も小綺麗に整頓されている。煮沸しないで飲めるようにも思えるが・・・。避難小屋でトイレを済ませ、登山道は緩やかな下りとなる。左側は川が流れ、残雪も残る。しばらくして登山道は高根ヶ原の大地に出る。平坦な地形に板状の岩礫地が続き、本州には無い広大な大地の登山道で、その大地の左の縁に登山道は延びている。足下にはコマクサなどの高山植物が多くあるのだが、時期的には最盛期を過ぎているのが残念である。
 高根ヶ原分岐で休憩をする。三笠新道は熊出没のため閉鎖されている。
この頃より気温が上がり始め、飲む水の量が増える。行く手の化雲岳付近もガスが上がり始めている。言葉数が少なくなってきたような気がする。さらに高根ヶ原を歩き、立岩を越え(越えた意識はない)平ヶ岳付近から眼下に幾つかある沼を見たとき、灰色の物体が見えた、よ〜く見るとそれが動いたので、熊だと分かった。高根ヶ原の地図上の四つの池のあたりで休憩する。忠別沼まではあと僅かかと思われる。
 休憩地点から30分程歩き、高根ヶ原の大地は終了する。そして、大地を降りると忠別沼があり、そこで休憩をする。ワタスゲが咲いていた。ここから忠別岳の登りとなる。
 忠別沼から忠別岳までは登りであるが、傾斜がさほどきつくないので意外と早く40分ほどで登った。11時56分着。予定の12時前に到着することができた。まずまずのペースと言える。ここで長めの休憩をする。すれ違いの登山者から明日は雨との予報の情報を得たので、今日はヒサゴ沼まで行くしかないと内心思った。みんなも同じだろうと思った。
 忠別岳からは登山道は東への一端下り、登山道上に石を積んで閉鎖されているポンシビナイ分岐から南へ登山道は下っている。眼下に三角屋根の忠別岳避難小屋が見えている。かなりの高度差で、せっかく登ったのにと嘆く。一昨年にブッシュの枝払いがなされたそうであるが、結構歩きにくく時間が思った以上にかかった。

忠別岳避難小屋分岐に13時10分着。ヒサゴ沼へ行くか、忠別岳避難小屋に天幕を張るか皆に相談するも、行くしかないという雰囲気になっていた。気を奮い立たせ、五色岳への登りに入る。1952mのピークが見えて、相当きつそうだと思ったが、地図で確認し、五色岳は、その左のピークで登山道はさほど下らずに登って行けて、最後の急な登山道も何とかクリアーして、五色岳のピークに14時に到着する。沼の原の方面には大沼が雲の下から見えていた。ここから後、2時間の行動になる。長く休んでも仕方ないので、化雲岳までハイマツ混じりの登山道を歩くことにした。木道が出てきて歩きやすいが、疲れが出てきて早めの休憩をとる。その後、歩き始めると雨粒が落ちてきたので合羽の上を着る。
化雲岳のピークへな行かず稜線上の登山道を行くと段々と下っているがペースが上がらなくゆっくりとなる。稜線上の分岐で休憩し、ヒサゴ沼へ急ぐが、大きな石の登山道に時間を取られ、雪渓の下りではガスのため視界が利かないので、石のケルンをたよりに下っていくと沼が見えてきた。湖畔の道を行き、天幕場に16時46分到着する。雨の中、天幕を設営した。この日の行動時間は12時間になった。天幕に入り酒盛りをして、直ぐに夕食の支度をし、夕食を食べる。津村氏はその後早めの就寝となった。
 19時の天気予報を聞き、明日の天気は雨とのことで、明日はトムラウシ山登頂をあきらめ、下山する計画とし、4時起床とした。

 8月5日(日)天気:雨
 4時起床する。やはり天気は雨。5時頃に一度雨が止み小康状態となるも、その後雨が降り続く。朝食を終えて、天幕の撤収にかかるときに雨足が強くなり、一時様子を見た後、雨は止みそうにないので仕方なく、雨の中、天幕の撤収にはいる。
 6時35分にヒサゴ沼を後にする。昨日来た道を登り返すのだが、雨の為かペースが上がらない。稜線の分岐まで1時間を要した。その後の稜線の登りでも横からの強い雨のため、化雲岳手前のハイマツの所で一時休憩。そして、化雲岳頂上に到着するも風雨が強く、一気に下山にかかる。登山道は下りだけではなく、登りもあり苦労する。依然横からの風雨の中、9時06分にハイマツ帯で休憩する。その後も横からの風雨の中、歩き続ける。登山道は明瞭であるが、水没状態でくるぶしまで水に浸かる。時折、高山植物の群落に遭遇するも雨のため、ゆっくり堪能する余裕はない。どんどんと歩き、ポン沼らしきものがガスの中に見えて高度計が1800m付近の樹林帯がでてきたあたりで休憩をする。地図上では小化雲岳を過ぎたあたりかと思う。周囲は熊笹とミツガシワが咲き、湿原に近い状態である。
 休憩後の登山道は雨水が流れ込み、もはや川となっている。場所によっては膝上まで水に浸かり、沢歩きの状態となる。高度計で1500m付近までこの状態が続き、なかなか休憩するような場所もなく、必死になって歩く。時にはヤブ漕ぎもした。時間をかなりロスしたので下山はかなり遅れそうだが、今日は天人峡まで下れば良いと思うと気が少しは楽になる。結局1800m付近からはろくに休憩もとらず、2時間以上よちよちと歩く羽目になり、登山道の一部は木の階段の土の部分が流され、壊れたハジゴ状となり、慎重にクライムダウンをする部分もあり、緊張の中での歩きとなる。第二公園らしきところを行くが、雨のため視界が利かず単に歩くだけとなり、次に第一公園付近は1.2kmの木道が出てきて気が楽になった性か、濡れた木道でかなり勢いよく滑った。第一公園から下りに入った木陰で休憩を取った。ここまでくると、残りは2時間半程度の行動となるので良いが、時間が13時をまわっているので、今日の天人峡温泉泊は不可能のように思えた。 
 休憩した所から高度を下げ、尾根の平坦な道になり、アップダウンがあり中々滝見台に着かない。ようやく14時55分に滝見台に到着し、休憩の後天人峡温泉へ最後の力を振り絞り歩いていく。小さな湿原らしき所を過ぎ、登山道は下りにはいる。下に建物が見えてきた。おそらく天人峡温泉の建物だろう。しかし、まだ下に見えるので30分くらいはかかりそうだ。どんどんと高度を下げ、16時に天人峡温泉に到着する。
 天人閣という旅館に行き、宿泊可能かと聞いたところ満室とのことで、ここでは入浴のみとし、旭川のホテルに行くことに決定した。T氏は直ぐに、ネットで旭川のホテルを予約してくれた。タクシーは入浴後に連絡しることとし、風呂へ入りさっぱりした。
 おおかた濡れた物をザックにパッキングして、タクシーを待った。タクシーは東川町から来るらしく、30分位で着た。
 旭川のパコホテルに行き、直ぐにザックの中の濡れたものを出し、テントを洗い、靴を干して、夕食を食べに行った。
<行動記録>
 8月3日
 羽田空港7:55発ー9:35旭川空港10:00ー10:45旭岳ロープウエー11:00ー11:10頂上駅11:25 ー11:50姿見池12:00ー14:00旭岳頂上14:45ー15:20裏旭岳野営場 
 8月4日
 3:00起床4:35発ー5:10間宮岳5:20ー6:06北海岳6:16ー7:18白雲岳分岐7:30ー7:50白雲岳避難小屋8:00ー9:05高根ヶ原分岐9:15ー11:05忠別沼11:15ー11:56忠別岳12:15ー13:10忠別岳避難小屋分岐13:20ー14:00五色岳14:10ー16:45ヒサゴ沼
 8月5日
4:00起床6:35発ー7:35稜線分岐7:40ー化雲岳8:25通過ー9:06ハイマツ帯ー10:301800 m地点ー13:25第一公園下13:35ー14:55滝見台15:05ー16:00天人峡温泉

<山行雑感>
 3泊4日の日程で旭岳〜トムラウシ山の縦走を計画したが、天候悪化のためトムラウシ山は行けなかった。四日間晴れになるとは考えにくかったので、途中でエスケープができる天人峡温泉へ下ることを計画に入れたが、登山道が雨のため、沢状態になるとは考えなかった。最終日でなく一日早くの下山で、天人峡へ下れば良いということだったので、余裕があり良かったと思う。最終日でこのような事になっては最終のANA便に間に合ったかどうか疑問が残る。また、北海道の山に関してはやはり予備日は欲しいと感じた。
 2日目に白雲岳をカットして、無理をしてヒサゴ沼まで行動したことは、3日目の下山とした今回の行動では正解と言えよう。良く皆さん22km程と良く行動していただきました。
 天候の安定を考えて、8月の最初の週で計画したが、高山植物に関しては10日間前後は遅かったと思う。チングルマの花が殆ど枯れていたからである。コマクサも咲いていたが黒ずんでいたりした。
 裏旭岳の残雪、ヒサゴ沼の残雪と20数年前に比べ、少なくなっている。これも地球温暖化の影響なのだと実感する。山の様相は20数年前と変わらないが、登山道がかなり荒れてきている感は否めない。
<参考資料>
旭川空港では登山用の燃料ボンベは空港案内所で購入ができます。また、今回は四つ星会のタクシーに、予約の際にボンベの購入をお願いしておきました。
 旭川空港から旭岳温泉までのタクシー代 7900円
 天人峡温泉から旭川市内までのタクシー代9300円
KOS 記

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