八ケ岳 阿弥陀岳北稜
2025年12月30日〜31日
行程:
12/30火
茅野〈バス〉美濃戸口−行者小屋
12/31水
行者小屋−阿弥陀北稜−阿弥陀岳−中岳のコル−行者小屋−美濃戸口〈バス〉茅野

はじめに:
今年の9月に阿弥陀岳北稜に単独で登った際、雷雨となり急登の草つきは濡れて、手がかりになりそうな岩はほとんど浮く為にプッシュで登った。第一岩峰を前にして、ペツルのアンカーボルトを見た時、この岩が多くのビギナーリードクライマーを迎えるのに十分な場所である事が分かった。ノーロープで濡れた岩に登山靴をかませて必死に登りきり阿弥陀岳の頂上に出た時、私は冬にまたここに登る事を自分と約束した。
12/30火:曇/雪
10時20分頃、バスが美濃戸口に着くと、長野県警の山岳警備隊が登山者を出迎える。登山計画書を提出してから出発する。13時45分に行者小屋に着く。大休止してから、北稜の取付き、トレースの有無、雪質の状態を確認しに行く。北稜の尾根の手前まで登り雪崩リスクを確認する為にコンプレッションテストを行う。湿雪の上に約30pの弱層を確認した。近日の降雪量は多くはないが、強風により煽られた雪が堆積しており、窪地は乾雪が約80p以上あった。自分の付けたトレースも帰りには埋まっていた。明日は本日よりも風が強くなる為、表層雪崩のリスクが高い事を想定して、行者小屋の主人に相談した所、中岳を越えて北稜を一度下り登り返す事が成功法だと教えてもらった。急がば回れという事だ。
12/31水:晴
4時半起床、ヘッ電を付けて6時6分出発する。風は穏やかで降雪は止んでいる。雪質は昨日に比べて結晶の結合が見られ若干安定した為、中岳沢から北稜分岐の樹林帯に入る。トレースの轍が微かに残っておりルートに迷う事はないが、終始ラッセルが続く為に岩稜に辿り着くまでに体力が持つか不安になる。6時半頃になると空が白み始め、7時17分にジャンクションピークに着く。


第一岩峰手前の急登は雪壁の様になっており、ダブルアックスで乗越すと第一岩峰が出迎える。単独の為、ノーロープで正面左のルートを中間のペツルのアンカーボルトがある所まで登るも、アックスが効く箇所が乏しく、やはりランナーを取れないと思い切って登る事が出来ないと判断し、クライムダウンした。岩の左に回り込みクラックから登り返す。こちらもアックスが効く箇所はほぼ無いが、グリップで容易に登れた。短いリッジを渡り第二岩峰に着く。無雪期は岩の左に回り込んで草付きから巻くルートも確認できたが、岩の左側面は雪が吹き溜まっておりとても通れそうにはなかった。



第二岩峰の正面から登り、中間部からアックスが良く効いた。第一、第二岩峰ともにアックスは一本で十分だ。8時36分に阿弥陀岳に到着する。南稜側も御小屋尾根側にも足跡はない。風は午後にピークになる予報だったが、既に強い為、早々に中岳方面へ下る。
北稜を登ったグループが阿弥陀岳の下降でミスをするケースは少なくない事を知っていた。頂上直下の東斜面には想像以上に乾雪が吹き溜まっており滑り台の様相で、堆積した乾雪にはアイゼンもアックスも効きづらく、バックステップとダブルアックスで慎重に降りた。途中一部鎖が雪の上に出ていた。鉄ハシゴは下部は雪に埋まっていた。中岳のコルまで降りると一安心だが、中岳沢への下降も乾雪の吹き溜まりになっており、雪崩のリスクを考慮して慎重にかつ素早く沢を抜ける事を意識した。中岳沢は無雪期よりも段差が埋まって下りやすく10時に行者小屋に着いた。
アイゼンからチェーンスパイクに履き替えて、12時30分に美濃戸口に着いた。八ヶ岳山荘で入浴と食事を済ませてバスで茅野に向かった。
さいごに:
冬季バリエーションにチャレンジする為に会の先輩に多くのご指導を頂いた。特に鷹取山でのアイゼンを付けて、手には割り箸を持って登り降りする練習が岩稜帯でのバランス保持に大きく影響した。今後も訓練を積み重ねて安全登山を遂行していきたい。
記録:AB