伊豆 城山西南カンテ

日程:2021年11月21日

天 気曇り後雨

時 間
横浜駅西口5:20=車=7:25城山登山口駐車スペース
登山口駐車スペース7:50-8:05南壁基部8:20-8:30西南カンテ取付
8:45(1P)9:25〜9:30(2P)〜(3P)〜(4P)〜11:45(5P基部)(待ち)〜12:28(5P)12:45〜(待ち)13:00HP終了 西南カンテ終了点13:20-14:05南壁基部(降雨開始)14:15-14:30駐車スペース

少なくとも午前中は天気がもちそうなので、実施することにした。H車で3人を横浜西口でピックアップしてもらった。途中コンビニと道の駅伊豆のへそに寄ってトイレ等を済ませて城山登山口そばの駐車スペースに着いた。横浜から2時間ほどだった。車は3台ほど停まっていたが、周辺に10台以上はとめられそう。

 そこでハーネス等着けて装備を整えた。N・Mパーティはそれぞれ、H・Wパーティは一つのザックで登攀する装備を準備する。まず南壁基部へ向かう。登山道をのんびり歩いていると、ウズラ2羽が驚いたようにバタバタと横切った。登山道の分岐からすぐに南壁基部に着いた。1パーティが登攀していた。

 Hさんが、「前に来たときより壁の傾斜が緩く見える、前はこんなところを登れるのかと思ったけど」と言っていたが、そういう心理状態の変化があることは分かる。クライミングにはメンタルな要素が大きいと思う。
 荷物をデポして西南カンテの基部に向かう。西南カンテルートは南壁から左斜上するランぺを登って基部に至るなどのルートがあるが、今回は全員初めてなのでオーソドックスなカンテ基部からのルートを採った。基部へは壁沿いを、積み重なった枯木の上や疎林の中を通り、途中から壁から少し離れて行くと右手にスリングが掛かった壁とカンテが見えた。その基部に行った。ネットの記録で見た特徴的な段々の岩場があった。
 ザイルパーティはN・M組、H・W組とし、N・Mパーティが先行することにした。一応、NとHが特定小電力トランシーバーを持った。以下、主にNパーティの行動の記録。

1P目(トポ*では5.5 Nの体感ではV+)Nリード
 少し離れた立ち木をビレイアンカーにしてMさんに確保してもらい、Nが8時45分ころ登攀開始した。逆層の段々状の岩から取付く。その上の左の垂壁にはその昔チッピングして凹みを作ったようなホールドがあった。数歩で岩稜に戻ってちょっとしたハング気味を越すとテラスで終了。ハンガーボルトでビレイ。

2P目(トポ*では5.5 Nの体感ではV)Mリード
 最初に小ハングを右から越えるとあとは木々の間を抜けていく。小ハングのところにはリングボルトが2本。あとは緩傾斜の中、立ち木にプロテクションを取る。トポには「ルンゼ状」とあったが、それほど溝状には見えなかった。Mさんは真っ直ぐ登って突き当り手前の立木をアンカーにしてピッチを切っていた。
 一般的には、真っ直ぐ登った後突き当りまで行かず右のカンテ状を越えてちょっとしたスラブを登った先にある白っぽく見えた壁のビレイポイントで切る。そこまでNが行く。そこには、ハンガーボルト2本、RCCボルト2本があった。

3P目(トポ*では不明 Nの体感ではW−)Nリード
 右手のふくらんだカンテ状を右に越えると、すぐ上にハングした岩があった。その岩の右端の基部ともう少し右に支点があった。右のスラブを登ってきた別のパーティが右側の方の支点を使っていた。
 トポ*によると、もっと右へトラバースして二間バンドに至ることになっていたが、別パーティとルートが重複するので、基部のハーケンにプロテクションを取って左のハングした岩の上に乗ってみた。すると、その上に下がえぐれたハングがあり、ハングの下にハーケンがあった。ハング下のアンダーホールドを使って上を覗くと上にもハーケンがあった。そのハングを乗越すことも考えたが、片手を下のアンダーホールドに掛けた状態で反対の手を使ういいホールドがなかった。上のハーケンにヌンチャクをかけてA0すればいけそうだったが、それはやめた。足元の左にある1m位の土の足場を通って左へ回り込み、クラック状を登って抜けた。その近辺にもハーケンが2枚ほどあった。あまり使われていない感じだったが、昔はここらのラインもルートだったのかもと思った。
 疎林の土の斜面を少し直上するとスリングが巻かれカラビナがかけられた立木があった。すぐ先に二間バンドの上部があり、バンド脇の立木にも残置ロープが巻かれてあった。こちらの方が足場が安定しているので、そこでピッチを切った。目の前には5ピッチ目の壁があった。

 このルートは浮石があるので、後続には落石に注意して登ってきてもらった。セカンドは、くだんのハングのところで苦労した。  我々が登ったラインは以前のガイドブック**には5.9の「バリエーション派生ルート」になっていた。ハングを直接乗越すと、それくらいなのかもしれない。

4P目(歩き)Mリード
 3ピッチ目で二間バンドの上部まで出たので、フィックスロープを固定してある支点まで4mほどだけロープを引いてもらって、フィックスロープを固定してあるボルト2本を使って5ピッチ目のビレイ支点を構築してもらった。
 5ピッチ目の開始点で、H・Wパーティを待った。二人も同じルートを登ってきた。

5P目(トポ*では5.7 Nの体感ではW)Nリード
 全員がそろってからNが先頭で登った。ここは、直上する残置支点もあったが、ビレイ点から少し右に出て上に上がり、左上して右に折れる「く」の字状の凹角ルートを登った。折り返すあたりに浮石が重なり落石に要注意だった。折り返した後は、すぐ頭を押さえられるので、壁の外へ身体を出して1歩下へ降り、少し細かいフットホールドを使って数歩横移動した(冒頭の写真)。その後一段上がると立木があり、根元に腰掛けることができて楽ちんだった。少し右上すると上は樹林でビレイ点に使える太い立木が見えた。緩傾斜を数メートルで尾根に出て終了。このルートには豊富に残置支点があった。

下山(登山道)
 終了点でロープ等をしまい、登ってきた方から見て左手の踏み跡を辿ると、一般登山者が入り込まないようにロープが張られ注意書きがあるところで登山道に出た。城山の頂上には寄らずに下山道を進み、途中の分岐から南壁基部に向かった。まだ、14時過ぎだったので、ショートルートを登ることにしてロープを出し始めたら雨が降り始め、本降りになりそうだったので、諦めてデポを回収して下山した。間一髪でずぶ濡れにならずにすんだ。

トポ*:『関東周辺 マルチピッチルート スーパーガイド』(菊地敏之編著 白山書房2020年4月) この中のグレード対比表ではおおよそ、5.5はW−、5.6はW+〜X−、5.7はXとなっている。
ガイドブック**:『クライミング・ガイドブックス 関東周辺の岩場』(菊地敏之編 白山書房1999年4月)

記録:N


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