奥只見・大白沢シロウ沢ワカゴイ沢

2003年9月12日(夜発)〜9月14日

 12日21時30分港南台を出発し、2週連続で奥只見へ向かう。銀山平を過ぎ、平ガ岳登山口を過ぎて少し走ったところで左側に広い駐車スペースがあったので、ここでテントを張って仮眠する。

 13日6時過ぎに起床。隣に駐車していた釣師に紅茶をご馳走になり、7時前出発。天気はまずまず。車道を少し桧枝岐方面に歩き、記録にあった別荘風の建物の脇から只見川の河原へ向かう小道をたどる。かわらには籠渡しがぶら下がっているが、渡渉したほうが早そうだったので沢靴に履き替えて流れの中に入る。対岸に渡りしばらくは、右岸の踏み跡をたどる。踏み跡を覆う藪が濃くなったところから、大白沢に入る。それほど水勢はない。流れの中を歩いたり、側壁をへつったりしながら、どんどん進んでいく。一カ所右岸を高巻くところがあったが、クロウ沢出合までは思ったより早くたどりついた。クロウ沢を分けると沢の幅は狭くなり、ヘツリの連続となる。水線通しに進めるので、右か左か?パズルを解くような面白さがある。12時前に第一の核心部であるゴルジュの入り口にたどり着く。先行パーティーはロープなしであっという間に突破していった。われわれは、ロープを出して慎重に進む。まず、ゴルジュ内の最初の滝は、右側壁の残置スリングにぶら下がりつつ落ち口に抜ける。最後は、古いスリングに吊り輪のようにぶらさがるので、結構怖い。次のCS滝も右側壁から残置ハーケンを利用して抜ける。こちらは、ホールドが細かい上にハーケンの間隔が遠いので最初の滝より難しい。トップの杉浦さんがリードしているとき、後続のパーティーが現れ、半袖のまま釜に飛び込み、CS滝の瀑心をくぐり、滝の裏側から姿を見せたとおもったら、気合一閃チョックストンを抱くように越えていった。すごい人がいるものである。3つ目の滝は、右側が階段状になっているので、最初の2つに比べると難しくはない。ゴルジュを過ぎてほっとするのもつかの間、18m滝があらわれる。ここは、杉浦さんが真ん中のリッジ状を微妙なバランスで越えていった。真ん中にある残置ハーケンが心強い。これで、本日の核心は終了。ビバーク地を探しながら先に進む。15時前に赤芝沢手前になんとかテントを張れる場所を確保し、行動を終了した。周辺で乾いた流木をあつめ、久々の焚火一発着火。ゆったりした夕食を楽しむことができた。

 14日午前2時。奇妙なタプタプ感で目が覚める。眼鏡をかけて、テントの入り口から顔を出すと、テントの周辺は水・水・水、大波小波が打ち寄せている。『え〜っと。ここはどこだっけ?』一瞬事態がのみこめなかった。奥を眺めると、夕方には静かに流れていたトイ状の小滝のトイがなくなり夜目にも一大瀑布となっているのが見える。『増水してますよっ!!!!!』杉浦さんを起こし、ザックをテントの裏の一段上がったところに放り投げ、テントを水の中から引き上げる。撤収途中に、焚き火の燃え残りの結構大きな丸太が流れ出したのには肝を冷やした。しばらく様子をみると、雨が上がり徐々にではあるが、水位が下がっているようであった。テントを張っていた場所も完全に水面上に出たが、かといってもう一度張りなおす気にもなれず、結局、テント本体だけかぶって、明るくなるまで待つことにした。

 6時あたりが明るくなってきたので出発。昨日よりは水量が多いが、なんとかなりそうなので遡行を続ける。赤芝沢付近で先行パーティーと出会う。朝の挨拶は「大変でしたね!」20mの滝は滝の下からいったん戻り左岸の小尾根から巻く。下降で短い懸垂下降。巻き終わると、すぐに第二のゴルジュの入り口となる。ゴルジュの奥には10Mほどの雪壁が立ちふさがっている。「いろいろあるな〜」と杉浦さん。ゴルジュ内の滝は側壁を登ることができる。お腹まで水につかっていけば、それほど難しくなかった。雪渓はしっかりしているようだったので、左岸の泥の斜面から雪渓の上にのる。その後、200mほど雪渓の上を歩く。最後は10mの滝の手前で途切れていたので、右岸の1mほどのシュルンドを飛び越え草付に取り付く。草付をトラバースするとうまい具合に10m滝の上にでた。最初はどうなることかと思ったが、なかなか親切な雪渓だった。状態が悪ければかなり大変なところだっただろう。ここから沢はどんどん高度を上げていく。大きな滝は右に左に巻きながら登っていくと二俣。二俣からは両側の藪が迫ってくる。水がなくなりガレた斜面を登っていくと、笹薮につきあたる。振り返ると、燧ケ岳が大きい。笹薮は思ったより濃かったので、一旦右手のガレ沢におりて、頂上に向かう。頂上直下の草原は本当に気持ちがいい。11時過ぎに平が岳の頂上に到着。装備を解いて燧ケ岳、会津駒ケ岳を眺めながらしばし休憩。下山前には、頂上付近の木道をしばらく散策した。12時下山開始。長い長いと聞いていたが、本当に長かった。しかも最後の1時間を除いては、アップダウンが続くので、下りとはいえ侮れない。ヨレヨレになりつつ、16時10分、登山口着。さらに20分で駐車スペースにたどり着いた。

 いろいろあったが、最後に平が岳にたどり着いたときは充実感がありました。平が岳はいい山です。是非一度は行ってみてください。

2003年度山行報告へ