北アルプス剣岳

平成14年8月9日(夜)〜14日


8/9 夜、車で出発。2時頃扇沢到着。無料駐車場はほぼ一杯だったが、ようやく空きを見つけて仮眠。

8/10 下調べをした中田が、始発は6時半ですよと自信を持っていうので、5時起床で出札窓口へ並ぶが、いつまでたっても出札が始まらない。実は始発は7時半だった。が、臨時で7時発が出た。
順調に8時過ぎには室堂に到着。トイレ・水の補給をすませ、さわやかな晴れ空の下出発。雷鳥沢の登りは地獄の暑さを覚悟していたが、雲が出てきて日が陰り、風も強いのでさわやかな登りとなった。御前小屋に到着すると、中田を歓迎するかのように雨が振り出す。カッパを着用。雨は20分ほどでやむ。
剣沢で設営後、別山へ岩トレにでる。最終ピッチは結構難しいクラックを登り、終了点でハーケンの打ち方・回収の仕方を講習し帰幕。後輩の鹿児島大学山岳部が来ているが、帰幕が遅いので挨拶だけ。川崎山岳会も居る。知り合いが一杯だ。

室堂9:00〜11:17剣御前小屋11:28〜11:58剣沢13:00〜別山岩トレ〜17:00帰幕

8/11 起床すると一帯はガスに包まれあまり気乗りしないがせっせと準備して出発。雪渓はアイゼンをつけて下る。源次郎の取り付きには7〜8名の先行者が準備している。彼等の踏み後をついていくとやや左の踏み後に入った。途中から踏み跡は藪コギとなり踏み跡も不鮮明になるので、どこかで見誤ったようであるが、薄い踏み跡を辿っていくと稜線にでた。ここは本来の枝払いした登山路と沢筋へ下りる踏み跡の4差路になっている。悩んだ結果、一応昔ながらの沢筋に下りてみるが、中田には難しいところもあるようで一箇所お助けを出す。沢が左へ回る頃、先行者が居ることとこれから岩が脆くなることから尾根に戻ることにして、左側の草付きと傾斜の緩いスラブを登ると容易に尾根道にでた。
あとは、なるべく中田に先行させルートファインディングの練習をさせるが、時々変な方向に行く。違うルートを登っている私を見て「あっ」といいつつなにかメモしている。メモの内容は秘密だそうだ。源次郎のI峰に到着するがガスっていて景色は良くないが、時々少し晴れてお向かいに六峰A〜Eフェースが見える。相前後していた富山のパーティーは懸垂点に自信がないのか我々を先行させてくれるので、II峰を通過し懸垂点まで行き、すぐに懸垂。
到着点のコルにはアイゼンや食料が散乱している。II峰側壁を登っているパーティーのものらしいが、後から聞くと忘れ物と思って後続パーティーが回収したそうな。登攀パーティーの下山ルートはわからないがアイゼン取られては悲しいだろう・・・
ガスでなにも見えない中、精神的にまいってきたのか中田がしきりに休みたがる。それをだましだまし本峰まで一気に登る。本峰はガスで何にも見えなかった。別山尾根を下降して、剣沢に帰る。帰幕後大雨となる。大学山岳部のテントにお邪魔して少しの間おしゃべりする。多額の休憩料を徴収される・・・・

4:05発〜源次郎尾根取り付き5:15〜8:28 I峰 8:38〜II峰 9:07〜懸垂終了点9:43〜10:48本峰
11:05〜 14:00剣沢

8/12 今日もどんよりガスの中、あまり乗り気がせずのんびり出発。剣沢雪渓はアイゼンで下る。長次郎雪渓は八峰の大崩壊により土砂が堆積しているので、はじめアイゼンを外して登る。雪渓崩壊地区は左手の岸に上がって巻く。雪渓に戻るところでアイゼンをつけて熊の岩まで登る。「眺めはいいだろう?」と問うと「こんな景色は嫌いです」と中田は答える。一番奥に設営して一服ついていると雨になったため、この日の午後は沈殿とする。夕刻から大雨となり、テント周辺は川となる。ゴアと言えども10年以上使っているテントは雨漏りが激しく悲しい・・・ 中田は「自分のテントを持ってくれば良かった」とぶつぶつ言っている・・・・

8/13 チンネの予定だが、前日に登れていないこと入山日の岩トレも散々だったことからVI峰の数をこなす予定にしていたが、昨夜からの雨がまだ降っているため、沈殿気分で朝寝。隣のパーティーは途中から晴れると意気込んで出かけたがすぐに戻ってきた。9時を過ぎると雨が上がりだしたので急いで支度して出かける。既にCフェースは10人くらいいたが、なぜか皆引き上げたのでCフェース剣稜会に取り付く。2級のピッチを中田にリードさせる。
切るところは変だが一応本番での初リード(本番も初めて)。いろいろ文句言われながら終了する。嫌いといってたはずの景色も青空の下で見ると変わるのか「別天地のように素敵です」とは中田の言葉。
また天気が悪くなってきたので帰ろうかと切り出すと中田の機嫌が悪くなるので、急いでAフェース魚津高に取り付く。中田がリードしたいと言うが、天候との競争になるので却下。私が前半2ピッチリードするが、中田は「リードしなくて良かったです・・・」と。
帰幕すると30分もたたずにまた大雨。CフェースRCCに取り付いていたパーティーはかわいそうだった。

Cフェース取り付き10:17〜16:50帰幕

8/14 久しぶりに見る青空の下撤収する。以前通ってうんざりしたハシゴ谷乗越経由を中田のたっての希望で下山ルートにする。真砂で水を補給後、はしご谷乗越の登りに入るが、中田は「なんでこんなに荒れているのか」とぶつぶつ言っている。中田の希望コースなのに・・・・
朝は晴れていたがやはりすぐに雲が出てきて風もあるのでそこそこ快適な歩きとなる。コルまで一気に上るとか、次の水場まで1ピッチでとか威勢のいいことを言っていたが、中田は疲れが出てきたのか「水場まで半分だから休みませんか?」とお疲れ気味。眺めがいいとか、丸山東壁はどこだとか何かと理由をつけて立ち止まろうとする。内蔵助平の水場で水を補給し出発しようとしたところ、なぜか中田のザックから水がたれている。補給した水で作ったポカリスエットが水筒のキャップが外れて全部出ちゃったらしい。これで動揺したのか次のピッチで転んで泥まみれになったり、また水筒の締めが悪くて水をこぼしたり散々になる。
しかし、内蔵助出合から水平歩道に入ると元気になり、ダムが見えるとリーダーを置いて先に行ってしまう現金な奴だった。
ダムからトロリーバスに乗り下山。帰途にはやはり雨になり結局毎日雨を見たことになる。


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