2006年夏山合宿 剱岳周辺 8月11日(金)〜18日(金)

A、B、C、Dの4隊編制でおこなった。


【8月11日(金)】 【天候】曇り

A隊・B隊バス入山組
22:10 集合 地下鉄東西線「竹橋駅」→ 22:30 毎日アルペン号出発!!

一番後ろの席、なかなか倒れない席。エンジンで、足の下は、かなり熱くなっているけれど、かなり快適に眠ることができました。首のクッション必需品です。

A隊・B隊自家用車入山組

横浜駅東口18:00出発→(相模湖IC→松本IC→安房トンネル→大沢野)→立山駅12日2:30

合宿後に金沢に帰省するため、車で立山駅へ向かう。A隊と他のメンバーは夜行バスだ。平井さんが同乗してくれたのでタフな山越え(安房トンネル経由)ルートで向かうことにする。途中コンビニのおにぎり配送待ちをしたため2:30に到着。渋滞の予測は難しく、18時に出発は結果として正解だった。駐車場も駅に一番近い場所に停めることができた。

【8月12日(土)】 【天候】晴れ時々曇り午後雷雨

A隊・B隊バス入山組

7:10室堂着8:35 →9:20雷鳥平9:35 →11:30別山乗越12:15 → 13:10剱沢キャンプ場(テント設営)

別山乗越に到着寸前で、雨がかなり強く降り出しました。天候が上までもってくれてありがたかったです。途中、あられも降ってきて、どうなることかと思いましたが、「雷は直に収まって、回復するよ」の一言にほっと安心しました。剣御前小屋は、人でごったがえしていましたが、体を休めることができ、ありがたかったです。ここで、久野さん、平井さんと合流。天候の回復をまって、いざ剣沢キャンプ場へ。雨もあがり、かなり快適にテント設営をし、初めての剣岳を真正面に見ながら、ゆったりと過ごすことができました。
A隊・B隊自家用車入山組(記録:久野)

立山駅7:40(室堂直行バス)→室堂9:00→雷鳥沢10:20→別山乗越12:15→13:00剱沢キャンプ場

 5時ごろからにぎやかなパーティーが居て落ち着かない。パラパラと雨も降るし、予約していた8時30分の室堂直行バスを8時の始発に変更する。直行バスは美女平での乗り換えがない分快適だが、せめて7時発くらいの便が欲しい。

9時室堂を出発!いよいよ23kg背負って歩き出す。みくりが池で雨が強くなる。が幸い雷鳥沢に下り切った所で雨が止む。このままもってもらいたいと言う期待も雷鳴に裏切られる。(後で聞くと金沢は物凄い雷雨だったらしい)這松の中に退避し収まるのを待って歩き出す。びしょ濡れで別山乗越の剱御前小屋に到着。ここでバス組と合流。

剱沢キャンプ場に着く頃には天気もすっかり回復した。

【8月13日(日)】 【天候】晴れ

A隊・B隊

剱沢キャンプ場起床2:30;出発3:50→5:00支尾根取付5:30→8:30源次郎尾根→10:20懸垂点(懸垂待ち)11:30〜12:15→13:05剱岳山頂13:45→剱沢キャンプ場17:40

この日は、かなり長い時間の行程で、源次郎尾根にもたくさんの人がいました。懸垂下降も、15人待ちと、バリエーションルートに訪れる人が多いことを知りました。遠くから見る源次郎尾根は、起伏が激しく、ここをよく登ったなと、改めて感じました。天候にも恵まれ、青空のもと、常に剱岳を見ながら登ることができました。

暑さが次第にきつくなり、体力のなさを痛感しつつも、皆さんに支えられてなんとか登ることができました。あの景色は、忘れません。

今日は源次郎尾根から剱岳へ登頂する。私にとっての夏山合宿のメインイベントだ。

月明かりの中の雪渓を取り付きまで歩く。お盆の真っ盛りだけあり、かなりのパーティーが源次郎尾根に取り付くようだ。登り始め早々の岩が難しく、これでくじけるなら源次郎尾根に入るべからずと言っているようだ。トップ溝越さんにスリングを伸ばしてもらい進む。

 ロープを出す場所では渋滞する。前半は木陰もあり涼しさもあったが、徐々に木陰はなくなっていく。高度を上げるにつれて剱沢から別山方面の眺めは最高になっていく。

 T峰からU峰との間のコルへ大きく下り、上り直し、勾配もきつく暑さも増してきてキツクなってくる。しばらくすると懸垂の渋滞待ち15人。1時間以上待つことになる。本番の懸垂にかなり緊張してしまった。その後は1時間少々で剱岳山頂に。

山頂から見下ろす源次郎尾根に感動!

やったー!!

 すべて終了の気分だが、これからがカニの横ばいを通り、前剣・一服剣と長い道のりだ。水も少なくなり、雪崩で休業中の剱山荘にビールくらいと期待したがそんなはずもなく、疲れが溜まってへとへとでテントにたどり着いた。

【8月14日(月)】 【天候】晴れ

A隊

午前中、別山の岩場で、翌日の八ツ峰Cフェース登攀のためロープワーク等のシュミレーションを行い、その後テントを剱沢から真砂沢キャンプ場に移動。

B隊

剱沢キャンプ場起床3:00;出発5:10→別山乗り越し6:20→奥大日岳9:20→大日小屋11:45→大日岳→大日小屋13:15→大日平小屋15:40

 

今日は、昨日の疲れが抜けきれずに、荷物が体にずっしりと重くのしかかったように感じ、体を自由に動かすことができませんでした。しかし道中で、出会う雷鳥に励まされ、なんとか無事に大日平に到着することができました。この日も、天候は?。道から見える、剣岳の姿を見ながら、昨日はあそこの上にいたのだなと、改めて実感していました。

そして、初めて宿泊した、山小屋は本当に素晴らしく、大日平での静かな時間に元気をたくさんもらいました。大日平小屋は、宿泊客が少なく大きな部屋で大の字になり、体を休めることができました。また、食事もおいしく、疲労が体から抜けていくのを実感しました。大日平小屋、素晴らしいです。

(以下記録:久野)

 源次郎尾根で燃え尽きてしまった。大日岳は付録のような感覚で計画してしまったが、縦走を十分楽しめるすばらしいルートだった。

 A隊と分かれて出発。今日も晴天。ライョウに出会いなから別山乗越しまでの登りも軽くこなし、気分も上々。

奥大日岳の登りもこれさえ登ればと力を搾り出す。しかし、これからが長かった。前日の疲れも目覚めてきて、大日小屋泊まりに心がなびき始める。から身で大日岳を往復して気持ちを入れ替え、古川さんの励まし?もあり進む。あとは下るだけだ。

 こんなに登ったのかと思うほど下りが長く感じた。視界が開けると弥陀ヶ原末端の草原に出た。遠くに小屋が見える。

 小屋は空いていてなんと20人は楽に入りそうな大部屋に5人だけ(お盆の小屋といえば布団1枚に2人が当たり前なのに!)風呂があるだけでなく、タオルも貸してくれる。大日小屋であきらめなくてよかった!!!飯もうまい。アイスまである。たらふく食べて、ランプの下でトランプやって。疲れも吹っ飛ぶ。穂高を歩いた帰りに帝国ホテルに泊まった感じ。

【8月15日(火)】 【天候】晴れ

A隊

 3:00    起床;4:10真砂沢キャンプ場出発→6:40八ツ峰Y峰Cフェース基部7:30→(剣稜会ルート)→11:30Cフェースの頭12:10→14:00XYのコル→15:45真砂沢キャンプ場

 出発時、トイレから戻ると、両名、アイゼンをつけてザックを背負って行く気満々だ。僕は長次郎谷もCフェースも初めて、というか剱岳自体も初めてなので、三年連続できているお二人とは違い、ビビるというか無意識に慎重に硬く動いてしまう。この後もペースを合わせきれなかった部分はあったと思う。マイペースな人間、ということでご容赦願えれば幸いである。

 雪渓を歩き、長次郎谷、熊の岩へ歩く。溝越さんは元気はつらつに取り付きまで急ぐ。僕と同じ本番初体験だが対照的である。

 Cフェースの取り付きで、準備をする。ここからクライミングシューズ。

 前日までいた剱沢の水が原因なのか、二人はおなかをこわしている模様。前日別れた人たちを合わせて剱沢に泊まった八人中三人が下痢に苦しむというのは意外な伏兵にやられた感じだ。自分も特に変わりなく生水を飲んだが大丈夫だった。

 西さんと溝越さんのロープで9mmx50Mのダブル。

 1ピッチ〜5ピッチまで全て西さんリードで、私と溝越さん交互にビレイをする。登り自体には、行き詰まるようなところはなかった。西さんが3-4ピッチのビレイ点を作るときに、トップへのロープの余裕が全くなくなり、仕方がないのでセカンド二人のメインロープの確保をほどく(デイジーチェーンで確保に切り替え)。

 終了点に全員たどり着くまで、4時間近くかかった。三人でセカンド、サードは念のため同時に登ることはしなかったこと、2-3ピッチ目のところで30分ほど渋滞があったということでやや時間はかかった。僕は本番初体験ということもあり、緊張感は強かった。4ピッチ目の核心部分でピークだった。そこを過ぎると少しリラックスはできた。

 どうも自分は、両方がすぱっと切れているような高度感のあるナイフエッジがかなり苦手である。4ピッチ目のナイフエッジのトラバースは、ほとんど拷問であった。しかしもう一度行きたいという気持もある。苦痛だけど好きだ、という自分でも理解しがたい気持がある。

 溝越さんと待つ時間が長かったが、よくしゃべる溝越さんに対し言葉少なになってしまっていた。不機嫌とかそういうことではなく、緊張感でナーバスになっていたのでお許し願いたい。

 ビレイして待っている間、何度か待ってもらった後続の二人組のパーティー(神戸の会とのこと)と溝越さんは愛想良く言葉を交わしていたりした。まだ若いコンビのようだったがこれくらい楽しそうに行けたらいいな、と思うくらい慣れているようだった。

 終了点で靴を履き替え、行動食を摂る。晴れていて遠くの山々がよく見える。白馬岳〜五竜、針ノ木、遠くには槍ヶ岳まで見えた。写真を撮ったりする。

  Y峰を降りる。途中2ピッチ懸垂下降した。クライムダウンしているよその人もいた。雪渓のところでアイゼンをつける。日差しが強い。

 雪渓を降るとき僕は冬靴に12本爪の安全だったが、靴ズレで小指外側のマメを潰してしまった。冬に同じような道を歩いても、このようなことはなかったのだが。おそらく靴の中の温度か関係しているのだろう。夏の方が靴ズレは起きやすいということを身をもって体験した。

 真砂沢ロッジのテントに戻る。この日合流の渡辺さんがすでに着いていた。全員無事にテントにたどり着けたので、ホッとした。男三人に女性が混じり空気が明るくなったとも思う。

B隊

大日平小屋7:10→称名登山口9:10⇔称名滝10:05バス→立山駅→車→グリーンパーク吉峰→むか井(そば)→富山駅

疲労も取り除かれ、体が軽くなった状態で、下りを進んでいくことができました。

称名滝に向かっての道では、多くの方々と会いました。称名滝は、落差日本一ということで、とても迫力があり、滝の水しぶきを浴びながら、心地よい時間を過ごすことができました。

いよいよ下山。今日も天気はよい。

朝の散歩気分で木道を進むとストンと落ちるように下りが始まる。牛ノ首を過ぎてぐんぐん降りると突然舗装道路に出て終了。

 そこは観光地「称名滝」

滝を眺めて、カメラを忘れるアクシデントも親切に救われて、バスで立山駅へ。

 久野の車に乗り換えて温泉(グリーンパーク吉峰)へ、途中混んでいる蕎麦屋を発見。風呂でゆっくりしてから蕎麦屋へ向かう。まだ行列だ。営業時間中なのにそばがなくなったので我々が最後の客となる。待った甲斐があって旨かった。

 みんなと富山駅で別れて、私は妻の実家の金沢へ。

A隊より早い下山ではあったが、岩峰・縦走・高原・小屋で贅沢・観光地・温泉・旨いそばと充実した合宿だった。

【8月16日(水)】 【天候】晴れ

A隊 

3:30起床 4:50真砂沢テント場発→5:20長次郎谷出合→7:45X・Yのコル8:00→9:15Dフェイスの頭9:30→10:35Z峰ピーク→11:15[峰ピーク→12:05八ツ峰の頭→頭の直下13:05発→14:10長次郎ノ頭直下→14:40佐俣下降開始→15:55長次郎谷出合→16:10真砂沢テント場着

3:30起床。真砂沢の朝は早い。周囲のテントも行動を開始している様子が伝わってくる。天気はよさそうで、よかった。

今日下山する平井さんと、お互い無事、予定をこなしましょう。と挨拶をかわし、別方向へ出発。雪渓を進む。歩き初めは、生暖かい風が吹き、それが涼しい風に変わり、程なく長次郎谷の出合に到着した。

アイゼンを着けて長次郎谷を登りだす。西さん、溝越さんのスピードに追いつけず、二人がすぐに遠く、小さくなる。しばらくして、アイゼンがはずれているのに気が付いた。家で合わせてきたのだが、履きなおしても少し歩くと又、すぐにはずれてしまう。靴底の形とアイゼンの相性が悪いようだった。

熊ノ岩の草の出ている所で休んだあと右俣の対岸に渡り、アイゼンをぬぎ、ハーネスとガチャ類を装着。いよいよ登るんだ。と気が引き締まる。

ザレた斜面を登り、上半縦走の出発点であるX・Yのコルに到着。西さんを先頭に、渡辺、溝越さんの順で8:00に出発。

ほんの少しの登りのあと、早速西さんがロープを出し、ミッテル形式で登る。続いてちょっと難しい登りをこなして上にぬけると、視界が開けて、長次郎谷の雪渓がよく見えた。

途中、昨日私を除くA隊の三名が登攀したCフェイスの位置を教えてもらった。テント内で話題になっていたナイフリッジも確認できた。

Dフェイスの頭からクライムダウン後、正面に見えていたEフェイスの赤っぽいピークに登り、クライムダウン。そのあと短く懸垂してY・Zのコルに下った。ここからは、チンネ左稜線がよく見えた。

Z峰ピーク。Y峰Eフェイス下から続いている巻き道が、すぐ下に見えた。この道は、Eフェイスの上にいた時に、西、溝越両名が、お〜巻き道がはっきり見えるね。と言い合っていた、あの道の続きである。ところが、その時私は山の斜面にどんなに目をこらしても、それを探すことができなかったのである。樹林帯の中での道探しも同様だが、同じ場所にいて、他の人にはハッキリ見えているものが、自分にはさっぱり。というのは、何とも切ない。おばけやそういう類のものなら、見えなくてもいいけれど・・。経験を積めば、そのうち見えるようになるのだろうか?

11:15[峰ピーク。[峰からの懸垂は、支点が両側の切れ落ちた岩の先端部分にあり、西さんがセルフビレイを取りに行くのを見ているだけで恐い感じがした。私たちは手前のハイマツのところで待機。懸垂自体はとても短く、降り立つと右下にクレオパトラニードルの全容が見えた。名前に似合わない、異形の岩の尖塔である。

12:05八ツ峰の頭に到着。ここから少し下ったところから懸垂下降。支点の候補が、岩とハイマツの二ヶ所あった。岩の支点は、スリングが古そうに見えたのと、そこへ行くまでの足場がガレていて恐そうだったので、ハイマツのほうを使いたい。と提案。結果、かなりトラバース気味の懸垂になり、振られると恐い上、かなりの力でロープを引っ張っていくことになった。あとで、本来の支点は岩の方。と聞いた。確かに、ロープの流れが降り口に素直におちる位置にあった。それに何より岩の支点は日陰にあったのだった。

ここまでの行程で、私たちは日干しになりそうな暑さに閉口していた。上からは照りつける太陽。下からは今はやりの岩盤浴さながらの、熱のこもった岩からのジワジワとくる暑さ。想定外の暑さに、どうしてこんなに岩だらけで日陰がないのか! と、言っても仕方のない文句を心の中で繰り返していたのは私だけだろうか? ほんの時たま、日陰になっている岩のところにくると、ヒンヤリするその感触があんまり気持ちよくて、その岩にペタッとはりついて動きたくないくらいだった。

懸垂で降りた地点は、ありがたくも日陰だった。足の下のほうに、池ノ谷ガリー、小窓王が見える。涼しく、快適なので、大休止をとった。

事前に得ていた情報で、雪渓の状態から、長次郎右俣を下るのは難しい。ということで、この日は左俣まで足を伸ばすことになっていた。このあとの岩稜歩きは、ところどころにあるオレンジ色の丸印や、小さなケルンを目印に進んだが、ルートのわかりにくい所もいくつかあった。

14:10長次郎ノ頭の直下。頭に登ると懸垂が必要なので、時間も押しているし、巻くことになった。見上げると、懸垂のためのスリングが見えていて、ここまできて登れないのは少し残念な気もした。

このあとアイゼンを着けて、渡り易そうなところから雪渓上に降りた。雪渓は結構割れていて、気をつけないといけない。と思った。

14:40左俣下降開始。かなり斜度があり、はじめサイドステップで下ったが、雪が切れてしまい、アイゼンが止まらない。結局、斜面につっこむような恐怖感はあるものの、直下降するのが一番ということになった。上り同様、二人にどんどん引き離されてしまう。熊ノ岩の上を右俣方向へトラバースし、出合まで。さらに真砂へと雪渓を下り続けて、16:10真砂沢の天場に到着。天気に恵まれて、11時間強の行程を無事、終了することができた。小屋にビールを買いに走り、皆で祝杯をあげた。

昨年、剱山頂から長次郎谷側へ少し下って、あれが長次郎の頭だよ。と教えてもらったその場所に、今年は自分が立っている。と思うと、ほんとうにうれしかった。暑さにはまいりましたが、登るにつれ、涼しい風も吹くようになり、又、何よりも、圧倒的高度感のある景色と、自分の足でここまで来たからこその風景だ。と思う充実感とがあいまって、スカッとする爽快な気分を味わうことができました。上りも下りも、こんなところを行けるのだろうか?と思うことの連続でしたが、行ってみると何とか一つずつ突破することができ、全部がつながって縦走達成。日程は短くても中身の濃い、充実した夏合宿となりました。


A隊 

3:30起床;真砂沢ロッジ4:50発→6:20ハシゴ谷乗越→12:00黒部ダム

 当初、真砂沢ロッジ〜ハシゴ谷乗越〜黒部ダムの下山で計画した。しかし出発直前の富山県警HPによると「黒部ダム〜内蔵助谷出合いが通行不能」とのことだったので、雷鳥坂経由で室堂に下山する事も考えていた。

 前日、真砂沢ロッジの人に聞いてみると、通れなくもない、というニュアンスだったので、予定通りハシゴ谷乗越経由で下山することにした。 やや拡大解釈をしてしまったかもしない。通行不能と思われる理由としては

一人しか人と会わなかった

崩落の地点が手つかずであった

スノーブリッジがあった

 こういう道に他人を巻き込んで強行突破するのは、何かあったら責任を問われそうなので、単独が気楽で良かったというのはあった。 また、室堂から、黒部ダムまで、一応縦走のような形にすることができたのも楽しかった。 景色は良かった。 結果的には行動時間は雷鳥坂経由と以上に時間がかかってしまった。景色を見たり、道が崩落場所をトラバースするのに手を焼いたりしたせいかと思う。

3:30起床。4:50真砂沢ロッジ出発、単独で一日早く下山の予定。八ツ峰上半を行く三人と別れる。

5:00剱沢のスノーブリッジを左岸から右岸に渡る。しっかりしており緊張感はなかった。高度を上げていくと、剱の全体が見え、昨日の八ツ峰Y峰が裏からよく見える。

6:20ハシゴ谷乗越、朝日と山影の映る内蔵助平を見下ろす。この景色を独り占めできたのはぜいたくだった。ここからの下りはゴーロ帯で水のない沢の下降のようだった。もしかすると雪融けの頃、ここは沢なのかもしない。

7:20内蔵助沢。沢登りをしたら楽しそうな沢の左岸の道である。ここから無数の蛙を目撃した。蝶も多かった。

8:45歩いている右岸から左岸にそびえる大タテガビンが見える。ほとんど崖といった岩壁に雪渓があったり、沢が滝のように流れ落ちたりしている。絶景である。ここから、道が荒れ土砂が流れ込んでいたり、水に浸かっていたり、藪漕ぎのような場所もあった。

 大きな崩落の所が二ヶ所あり、道が跡形もなくなっていた。まだ、崩れてから時間が経っていないようで砂がさらさら流れていたり、小石が落ちてきたりしている。思わずヘルメットをかぶって上を注意しながら通過した。通過し終わった辺りで、河原の大岩の上で転び、岩から落ちそうになり肝を冷やした。

10:00黒部川との出会い。ここも崖に囲まれたような地形になっていて独特だった。釣りをしているおじさんを見かけたので河原に降り、軽く情報交換をする。結局山中で出会ったのはこのおじさん一人だけだった。

 ここから十分くらいのところにスノーブリッジが有り渡らざるを得ない状況だった。しっかりしているように見えたがやはり緊張する。ピッケル、ヘルメットを身につけてさっと渡った。

11:20黒部ダムの下に着く。もう一般客の姿もちらほら見えてきたので、一安心。ここから対岸に渡り、ダム関係者の仕事道を登る。全くの自然の中から巨大な人工物にたどり着くのは劇的な感じがして感動する。

12:00この日も快晴で日差しが強く、かなり暑かった。トロリーバスのトンネルに入り、やっと涼むことができた。バスで大町温泉郷へ。風呂に入り、信濃大町からJRで帰宅した。

【8月17日(木)】 【天候】晴れ
A隊 

 真砂沢キャンプ場から剱沢別山乗越、雷鳥沢を経て室堂に下山した。









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