錫杖岳 前衛壁左方カンテ

2003年9月21日(夜発)〜22日



当初計画は、20日夜発の1泊2日であったが、台風の影響による雨天で、出発を一日遅らせて21日の夜発日帰りとした。

21日 18時半に山田宅お迎え。大雨の降る中の出発で本当に雨が上がるのか不安になる。
新穂高到着、23時半。雨が降っているが関東より小降り。すぐに車中仮眠。
5時起床の予定で、起きると雨は上がっているが、ガスで真っ白。これでは到底岩は乾きそうにないので、6時まで二度寝する。

6時40分に出発。途中、ガスで真っ白で何も見えない。ズボンは雨露でビショビショに。
9時取り付き着。じょぼじょぼと水が流れているところもあるが、大体の岩は乾いている。ちょっとだけ登ってみようと、支度をして、10時登攀開始。
1〜2ピッチは木の多いルンゼ状。容易だがスリングが巻いてあるのに置いてあるだけの(つまり持ち上がる)木もあり要注意。3ピッチ目のV級の最初の核心を見て帰ろうと言っていたが、見ると簡単そう。なので取り付いてみる。身長のせいかそれほど難しくなく、ガバに手が届き超えられる。
ガイドによってはこの先の「広い凹角」から「ピナクル」まで伸ばすように書いてあるが、核心を超えたところで一旦切って、ピナクルまで山田がロープを引く。
4ピッチ目(我々は5ピッチ目)、「チムニーから左のフェイス」だが、チムニーは水が流れている。狭そうなのでザックを降ろしてチムニーを抜けたところで荷揚げすることにするが、これを説明すると、山田は「でも、ザックより服巻さんのほうが大きいよ」という。確かにそうだが、幅の問題じゃなくてバック&フットするのに狭いの!
チムニーはそれほどでもなかったが、その後の泥付ルンゼの方がいやらしい。大木テラスからさらに左のフェースまでロープを延ばしたが、ここで一旦切った方が良かった。フェースは支点は豊富だが結構立っていて、重いロープを引きながら登るのはちょっとしんどい。
核心の出だしは、躊躇なく鐙を出す。でも、必要なのはここだけなので、パーティーで1〜2台あれば十分。あとは、フェースと内面登攀の組み合わせで豪快にフリーで登れる。ホールドもしっかりしているし、フリクションもいい。
最終ピッチの草付きフェースはビショビショだし、核心も過ぎたことなので、下見終了ということで同ルート下降開始。下降開始13:30、下降終了14:30。

前衛壁横の北沢でのんびりパッキング。ここまでのアプローチが結構ブッシュが多かったので、北沢を降りてみる。容易で快適。錫杖沢まで降りると下降できなくなるので、踏み跡に戻るタイミングを計っていると、ちゃんと赤布があって、錫杖沢出合の手前で踏み跡に戻れた。登りもこのルートのほうが快適と思われる。大雨のあとで、ルンゼ状のラインは濡れていたが、全体的に岩がしっかりしていて、フリクションが効く。かぶっていてもホールドがしっかりしているので、思い切ってムーブをこなせておもしろい。
冬季のためと思われるが、支点は豊富で間隔も狭い。全部にランナーを取っていると、40m伸ばすとギアが足りなくなる。また、ボルトは半分以下しか打ち込まれていないものも多いので、ランナーとする場合には要注意。懸垂支点は木に巻いたものが多いが、根が剥がれて使えなくなったものも多いので十分なチェックが必要。スリングが沢山巻いてあるがどこにも固定されていないただの薪もある。ブッシュやフレーク状の岩が多いので、ロープの流れやはじく方向をよく考えないとロープの回収が困難になる。

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