魚野川 万太郎本谷

2002830日(夜発)〜91

    831日朝7時過ぎに土合駅で目を覚ました。今回は朝一番の電車で土樽にむかうため、夜行の割にはゆっくり眠ることができた。土合駅には、同じく万太郎本谷に向かうべく沢支度をするパーティーが5パーティーほどおり、今晩のビバーク地が確保できるか心配になる。830分発の長岡行きの普通電車は、たくさんの人で混雑していた。夏休み最後の週末だからだろうか。土樽までは15分ほど、国境の長いトンネルを抜けると少し秋めいた空が広がっていた。駅から1時間弱の林道歩きで入渓点到着。水量は思ったより少なく、入渓点から流れの中をジャブジャブ歩きながら進む。最初は、ゆったりした緑の中の流れだったが、すぐにナメと釜の連続となる。このナメは、噴水公園の石畳のような自然の造形で二人で歓声をあげながら歩いた。宮内さんはカメラが水にぬれるのも気にせず、この風景を写真に収めていた。当日は気温・水温とも高く、濡れても全然寒くはなかったので、泳ぎの練習も兼ねて、次から次へと現れる釜はできるだけ左右のバンドを使わずに、水につかって通過した。1時間少しで、オキドウキョのトロ、前半の核心部だ。最初左側のバンドを進み、適当なところから右側に渡る。壁を蹴っ飛ばせば、簡単に向こう岸にたどり着くので、泳ぐというほど大げさではない。トロの奥にある4mの滝は少しだけ流れがあるので、がんばって泳いで取り付く。このトロ場の通過はなかなか楽しかった。その後も、小滝と釜とナメが続き、我々は、半ばムキになって水につかって遡行した。お昼過ぎ、風が出て、体が冷えてきたなと思っていたら、最初の大滝である一の滝が現れる。先行パーティーが取り付いていたため、滝の下でマイナスイオンを浴びながら順番待ちをする。一の滝は右側の草つき混じりの壁からブッシュに向かうルートをとる。難しくはないが、ランニングがあまり取れないので慎重にのぼった。ブッシュの中のふみ跡をたどると滝の落ち口に抜けることができる。一の滝からは下部の渓相とはことなり、ゴーロ帯となる。二の滝は右側が階段状になっているので簡単。当初、二の滝の上でビバーク地を探そうとしていたが、良い物件には、すでに先行パーティーがおりなかなか場所が確保できない。ようやく、イシクラ沢の出合の少し上の沢が狭くなる直前で、何とかテントを張れる場所を確保できた。あまり、場所は良くなかったが、薪がたくさんあつまり、豪華な焚き火ができた。夕食後は、2人無言で焚き火と夕暮れの美しい景色を交互にながめて過ごした。

  当日は行動時間が短いので、ゆっくり起床する。朝食の用意をしていたら、後続のパーティーにどんどん抜かされてしまった。720分出発、すぐに右岸から三の滝が合わさる。先行パーティーが10人近くいたので、またまた、滝の下でマイナスイオンを浴びつつ、我々の順番を待つ。一段目は滝の右側を登る。残置ハーケンもあり、簡単。2段目は、流心を越えて左に1ピッチトラバースし、ハーケンで支点作り、ここから、バンドを右上ぎみに落ち口に抜ける。先行パーティーは滝の右側のブッシュにルートをとっていたが、こちらの方が悪そうで時間がかかっていた。三の滝の上は、流れも細くなり源頭の様相を呈している。しばらく行くと、二俣。左俣の方が開けているが、水量の多い右俣に進路をとる。ここから上も何本か小さな沢が合わさってくるが、赤テープなどがあり迷うことがない。どんどん高度を上げていくと、辺りはうっすらと霧につつまれた。笹原の上を渡る風が心地よい。最後は、笹原の中のふみ跡をたどり、肩の小屋のすぐ下の登山道に飛び出した。小屋の上で装備をとき、トマの耳を踏みに行く。頂上で振り返ると、少しの間だけ、霧が晴れ、昨日からのルートが見渡せた。雪をかぶった谷川もいいが、夏の緑もいいものだなと思いながら、たくさんの人で賑わう山頂を後にした。 

 大人気の沢だけあって、たくさんのパーティーが入渓していた。滝の下で、順番待ちなどあったが、そんなことが気にならないくらい、美しく、楽しい沢だった。難しいところもないので、この時期お勧めの1本だと思います。 

831

入渓点 945分 → 一の滝 12時35分 → 天場 1450

91

天場 720分発 → 三の滝 735分 → 二俣 915分 → 肩の小屋 1040分 →(西黒尾根)→ ロープウェイ駐車場 13時30

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