北アルプス・笠ヶ岳200610月会山行

【日 時】  2006年10月6日(金)夜〜10月9日()


笠ヶ岳への山行を新穂高温泉⇒笠新道⇒笠ヶ岳⇒大ノマ岳⇒双六岳⇒鏡平⇒新穂高温泉のルートで計画していたのだが・・・。

<10月7日(1日目)>

【天 候】  小雨

【ルート】  新穂高温泉6:30⇒笠新道登山口7:501920m中間地点10:00⇒杓子平12:00⇒稜線14:00⇒笠ヶ岳山荘テント場15:30

10月6日(金)夜行バスで新穂高温泉へ。7日(土)6:00ころ新穂高温泉着、天気予報から明日はもう少し良くなるのではなどと話しながら、小雨降る中6:30歩行開始、蒲田川左俣林道行く。標高1100mから笠ヶ岳山頂2898mまで標高差1800mの登りである。笠新道登山口に7:40着、7:50登高開始。

約2時間で杓子平への中間地点1920mまで登ると、ちらほらと紅葉が見え始めた。2200m、2300mと標高を上げるにつれ、小雨とガスの中ながらナナカマドなどの紅葉が見事になってくる。(写真@)

@笠新道。小雨の中の紅葉

12:00、杓子平(2400m付近)に到着、天候が良ければ素晴らしいであろうカールを進み(写真A)、抜戸岳分岐稜線への本日最後の急登に掛かる(写真B)。途中で小雨がミゾレになっていた。

A杓子平を行く。   B抜戸岳分岐稜線への急坂

14:00稜線に出て休止。ゆっくり歩いたので、テント山行初心者の前田さんもまだ元気、テント場まであと一息、1時間ちょっとだからねと励ましながら出発。稜線の西側に出ると、強風に煽られたミゾレ、アラレが全身を打ち、こりゃいかんと先程の稜線の東側へ戻る。レインスーツの下にフリースを着込み、フードなどを整えた後、14:20再出発となった。幸い視界はさほど悪くなく、稜線上を抜戸岩を抜け暫く進むと、登山道を雷鳥が歩いている。2羽見た後、もう3羽見つけたが撮影する間も無く飛び去ってしまった。笠ヶ岳への開けた緩斜面を詰め、15:30笠ヶ岳テント場に着いた。すぐ、テントを設営、中でガスコンロで濡れた衣服を乾かす。おやつにマシュマロをコンロで焙って食べたが、これが前田さん、溝越さんに大うけだった。晩飯は雲丹パスタときゅうり、おかかポテトサラダ、なかなかいける。20:00頃には数センチの積雪、明日の天候次第で、縦走計画を変更する事にして就寝。

<10月8日(2日目)>

【天 候】  吹雪、ガス

【ルート】  笠ヶ岳山荘テント場9:20⇒笠ヶ岳山荘13:40⇒笠ヶ岳山頂13:50⇒笠ヶ岳山荘14:20(停滞)

夜半、強い雪風が煩くて時々目が覚める。テントの裾が積雪で押されて来るのを足で押し返しながら、寝入る。朝5:00起床、吹雪。その日の行動を諦め、6:00起床に変更、又寝入る。

6:00起床、外は吹雪き、約30センチの積雪。(写真C) その日は行動を中止し明日、笠新道を下山するにした。どうせ一日停滞するならと、笠ヶ岳小屋へ移動する事にし、ゆっくりと朝食をとった後、テントを撤収、小屋に入る。小屋は下山する人たち20〜30名でごった返していたが、彼らの出発後は数名が残るばかりとなり、天候の回復を待ちながら、薪ストーブを囲んでのんびりと過ごした。

13:40、ガスと吹雪が少し収まったので、笠ヶ岳山頂へ。小屋から約10分だが山頂は全く見えず、ホワイトアウトでの道迷いに注意しながら登頂した。(写真D)

C2日目、朝、約30センチの積雪(2800m地点)

D笠ヶ岳山頂(2898m)。何も見えん。

午後には、約30名が小屋に投宿した。予約は80名だったとの事。

夕方、薪ストーブの近くで自炊。晩飯はカレーうどんと崎陽軒のシュウマイを食し満足。20:00頃、雲が切れ、蒼く輝く月が出た。明日の好天を期待しながら、小屋の布団でぬくぬくと21:00に就寝。

<10月9日(3日目)>

【天 候】  快晴

【ルート】  笠ヶ岳山荘5:30⇒笠ヶ岳山頂5:40⇒笠ヶ岳山荘7:10⇒稜線分岐8:50⇒笠新道10:00                  ⇒1920m地点11:45⇒笠新道登山口13:20⇒新穂高温泉14:15

4:30起床、雲も無く星が輝く無風の好天。すぐ、昨夜小屋から貰った生卵と白米で雑炊を作り、5:20頃から小屋の前で、穂高連峰からの夜明けを待つ。5:40再び山頂へ、穂高の大キレットから昇る

日の出に感動!(写真E) 槍、穂高、双六、水晶、御岳、富士山まで、くっきりと見える。(写真F)   初日とは打って変わり完全に冠雪した山々が姿を現した。

E穂高大キレットからの日の出   F遠くに富士山が。

山頂から戻り、7:10下山開始。雪山初体験の前田さんも軽アイゼンを付け、元気に出発。ほとんどクラストしてなかったが、抜戸岩前後の稜線のトラバースで、数箇所左に切れ落ちている場所があったので、一歩一歩キックステップで確実な足場を作り、奥村、溝越で前後をガードしながら前田さんには通って貰った。杓子平への分岐まで、2737mのピークで一度休憩し、8:50分岐に着く。雲ひとつない晴天で対岸の槍、穂高が真近かに見える。(写真G、H)

G雪山装備の我々。遠くに双六、水晶岳。

 Hこれから行く抜戸岳への稜線。向こうは槍ヶ岳

奥穂高あたりで遭難があったようで、周囲を救難ヘリが4機舞っていた。(写真I)

本日の核心部と思っていた稜線分岐から杓子平への急な下りもクラストは無く、しっかりトレースもあったので、そう時間も取られずに通過した。ただ、トレースは正しいルートからは全く外れていたが。

I対岸の穂高連峰     J笠ヶ岳が遠くに見える。

初日から一変、雪景色になった杓子平カールを経て、笠新道入口地点(2400m付近)を10:00に通過、笠新道の下りに入る。前田さんは何度か転びながらも、雪上なので痛くないぞぉと自分に声を掛けながら、歩を進める。雪と紅葉、そして目の前に槍、穂高が聳え立つ。その向こうには焼岳から一筋噴煙が上がっていた。

笠新道の中間地点(1920m)を11:45に通過、そのあたりでほぼ積雪が無くなり、それからは秋山のハイキング的な下山道となった。(写真K)

前田さんには慣れない雪道を来たせいか、若干の疲れが見えたが、頑張って13:20笠新道登山口へ到着。登山口の冷たい清水で喉を潤し、雪山デビユーを労った。溝越さんはびしょ濡れで重くなったテント本体のボッカ、ご苦労さまでした。

K笠新道の途中。対岸の槍ヶ岳が高くなってゆく。 L新穂高温泉近くの左俣林道。遠くに笠ヶ岳。

14:15新穂高温泉に着き、即タクシーで平湯温泉に移動。平湯バスターミナルの3階の温泉に入り、軽食を取り、16:25の新宿行き濃飛バスへ搭乗。帰りの高速では3連休の大渋滞に捕まり、約7時間掛かって、23:30頃、新宿駅西口に到着。自宅に着いたのは24:00を過ぎていた。金曜夜から火曜未明まで、足掛け5日の山行であった。

【雑感】

10月初旬の山行として紅葉と穂高連峰の雄姿を眺めながらの笠ヶ岳から双六岳までの稜線縦走を計画したが、初日、2日目に積雪があり、笠ヶ岳のピストンに終わった。しかしながら、10月初旬の高山での積雪を経験し、3日目初雪で冠雪した穂高、槍の雄姿を目の当りに出来たのは大変価値があったと思う。

10月の積雪は予想していたので、雪山装備で向かい、特に問題は無かったが、山頂付近で会った多くの登山者は軽装の人も多く、同時期に奥穂高、白馬などで多くの遭難者が出るなど、登山に対する前調査、装備の重要性を考えさせられた山行であった。  おしまい。        

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