大雪山系縦走 山行記録

日程:2026年7月3日(金)→ 7月7日(火)[4泊5日]

【1日目:7月3日】行動時間 6時間18分 / 10.1 km
大雪山旭岳ロープウェイ姿見駅 (06:49) → 旭岳 (09:07) → 間宮岳 (10:45) → 北海岳 (11:22) → 白雲岳避難小屋 (13:07) [泊]
【2日目:7月4日】行動時間 11時間18分 / 19.9 km
白雲岳避難小屋 (04:00) → 忠別岳 (07:25) → 五色岳 (09:17) → トムラウシ山 (14:23) → 南沼幕営指定地 (15:03) [泊]
【3日目:7月5日】行動時間 9時間38分 / 12.3 km
南沼幕営指定地 (04:49) → 美瑛岳 (12:19) → 双子池幕営指定地 (14:15) [泊]
【4日目:7月6日】行動時間 6時間1分 / 5.1 km
双子池幕営指定地 (06:14) → オプタテシケ山 (08:23) → 美瑛富士避難小屋 (11:27) [泊]
【5日目:7月7日】行動時間 7時間35分 / 12.4 km
美瑛富士避難小屋 (05:04) → 美瑛岳 (07:29) → 望岳台 (11:36) → 白金温泉バス停 (12:33) [下山]15:46美瑛駅旭川空港羽田

■ 1日目:旭岳から白雲岳へ、雄大な大雪の懐へ
旭岳ロープウェイの駐車場は6時にゲートのロープが外される。5時半にはすでに車列が出来ている。車を置いてすぐに並び始発に乗車することができた。送ってくれた友人に感謝。6時半の始発に乗車し終点の姿見駅から歩き始める。まずは北海道最高峰の旭岳へ、意外と登山者は多い。天気は良いが雲が沸いていて遠望はとぎれとぎれ、それでも雄大な大雪を感じるには十分な景色だ。これから始まる長い旅路に身が引き締まる。旭岳から下りはじめ後旭岳に伸びる稜線から大きい雪渓が残っている。昼過ぎで緩んでいてアイゼン無しでも下降可能だが、今後のアイゼンの確認のために装着して下った。その後間宮岳をかすめて、火口跡の壮大なお鉢平を見下ろしながら外輪山を歩く。北海岳で黒岳へ下るコースと別れ白雲岳避難小屋方面へ進む。熊が居たので進むのを止めて引き返してきたと言う登山者とすれ違う。灌木帯や雪渓の近くでは笛を吹いて存在感をアピールして進む。白雲岳は熊も気になったしガスの中だったので寄らなかった(この時期はゼブラ雪渓が見えるらしい)。白雲岳避難小屋には2名小屋番の女性が上がっていた。小屋のすぐ先の高根ヶ原に人慣れした熊が出ているので明日は先に進まないように強く勧められた。一人はさすがに襲われやすいパターンなので悩んだが、運よく4人と3人のパーティーが進むという事でご一緒させてもらう事にした。

■ 2日目:これぞ大雪の核心部、ロングトレイルを経てトムラウシへ
今日はトムラウシを越えて南沼までたどり着けるか、手前のヒサゴ沼で終わるのか、この縦走の成否を左右する一日だ。天気は文句なし。遥か彼方のトムラウシ山その先の噴煙を上げる旭岳までも見える。あそこまでたどり着けるのかワクワクと不安を抱きつつ出発。熊出没地帯を無事に越えたので、他のパーティーの邪魔をしないようにペースを変えて進んだ。フルボッカの装備で20qの行程はキツイが、前半はなだらかでお花畑と360°絶景満喫ゾーンが続く。忠別岳に着くとトムラウシ山と十勝岳の噴煙が少し近づいた。そして振り返ると逆に昨日越えて来た旭岳が遠くになっていた。
五色岳を越えてトムラウシ山が大きく見えてくるとヒサゴ沼への分岐も近い。晴天でも暑すぎない好天に恵まれてこまで順調に来ることができたので、ヒサゴ沼はパスして今日中にトムラウシ山を越えて南沼幕営指定地まで進むことにする。しかしここから北沼までのロックガーデン地帯は手ごわい。時よりナキウサギの声が聞こえる(事前にビジターセンターで鳴き声を聞いておいて良かった)。南沼の水場の状況が分からないので、北沼で3Lの水を浄水して重いザックを背負ってトムラウシ山頂を目指す。残念なことに山頂はガスっていて展望は無かった。南沼幕営地は雪渓がしっかり残っていて水はじゃぶじゃぶ流れていた。地元の方が2つ目の携帯トイレブースを増設していた。南沼幕営指定地は上部の方はDoCoMoが繋がる。
土曜日なのに空いていてラッキーと思ったら19時過ぎにツアーと思われる団体がやってきた。後で分かったのだが、トムラウシ温泉のコースで熊が出て下山中の登山者がヘリで救出されたので、登りの団体も到着が遅れたのかもしれない。

■ 3日目:地獄の藪漕ぎ
昨日南沼まで進むことができて、携帯で情報を集めることが出来たのでいろいろな選択肢を考えることができたが、帰りの飛行機の変更は高くつくのと、1日早く下山しても美瑛や富良野を一人で散策するのも性に合わないので、今日は隣の幕営地の双子池まで進み、4日目はゆっくりコースタイム4時間半ほどの美瑛避難小屋に泊まって予定通り5日目に下山することにする。
昨日に比べれば楽勝と思い5時少し前に出発する。トムラウシ山を右に眺めながら朝日のそそぐ台地の上を進む。三川台まで笹薮がうるさい所があるが連日の晴天で朝露も無く順調(この先を思えば胸下のここの笹薮などなんでもない)
三川台に着くといよいよ十勝岳方面が近くなる。三川台からの急坂を降りると水場があるはずだが、笹に覆われていて分からない。ひたすらオーバーヘッドの笹薮をかきわけて進む。熊が好みそうな雪渓と湿地が近くに点在しており、時々笛を吹いて存在をアピールする。
休む場所もなくやっと1650mの岩峰に出て一息つく。これから進むツリガネ山・コスマヌプリ、明日登るオプタテシケ山が見える。先は長い。
今日は昨日以上に天気が良く気温が高い(旭川の最高気温27.7℃だった)笹に加えてナナカマドや這松の灌木が容赦なく、暑いが長袖でないと耐えられない。またフートをかぶっていないと松の葉が首筋に入り込んでしまうのでますます暑い。水分の消費が激しい。
コスマヌプリ手前の1591mの岩のピークは基部をトラバースするが、ピークを目指して踏み跡がありトラバースポイントを通り過ぎてしまった。進みすぎると斜度のある雪渓のトラバースと寝ている笹薮が強く進むのが難しかった。YAMAPとGPSで確認するとルートから外れていて下の方に踏み跡も見えたので雪渓をクライムダウンした(10本アイゼンで良かった)。水の消費が激しく、この雪渓から浄水器を使って1L補水した。
いくつか藪漕ぎのアップダウンを繰り返しカブト岩に着く。ここを下れば双子池幕営指定地なのだが、ますます藪はきつくなり藪の下の踏み跡も段差があったり石があったりで歩きにくい。おまけに双子池手前は湿地帯でドロドロになりながらなんとか幕営指定地に着いた。ところが幕営指定地は雪渓が残っていてテントが張れそうな場所はオプタテシケ山の雪渓の縁で、落石があったら直撃しそうな水場脇の一か所だけだった。
コースタイムは7時間程度で着けるはずだったが9時間かかってしまった。眼前のオプタテシケは壁のように立ちはだかっていて、これから美瑛富士避難小屋までコースタイムで5時間近くは進めそうにない。ヒサゴ沼から双子池や南沼から美瑛富士避難小屋を1日で抜ける場合は天候や藪の状況で、水分調達やビバークなどの柔軟な判断ばかりか熊の対応など十分な準備と覚悟が必要だと思った。

■ 4日目:オプタテシケ山を越えて
4日目はコースタイムなら5時間程度のボーナスステージ。コーヒーを飲んでゆっくり出発する。雪渓はルートが分からないがYAMAPとGPSを頼りにルートを外さないように登った。上りなので6本爪でもなんとかなったと思うが、一人なので10本爪のアイゼンは心強かった。雪渓を登りきり振り返ると遠くになったトムラウシ山が美しい。
壁のように前方を塞いでいたオプタテシケ山の山頂に立つと、ついに美瑛方面の峰々が姿を現した。しかし十勝岳は美瑛岳に阻まれて噴煙が見えるだけだ。明日はなんとしても美瑛岳に登り十勝岳の姿を見たい。
火山の砂礫で歩きにくい所もあったが、時間に余裕はあるので景色やお花畑を楽しみながら3時間かけて美瑛富士避難小屋に到着。小屋は少し古めで壁や扉に隙間もあるがしっかりしている。隣接する携帯トイレブースが真新しい。小屋の前と窓際で携帯が繋がる。明日も天気はもちそうだ。水場は雪渓の融水が登山道を流れて小屋の前を経由して流れて行っている。雪渓はもうすぐ消えてしまいそうだ。雪渓まで戻って3Lの水を浄水した。
ナキウサギの声を聴きながらウィスキーを飲みながら湿ったテントを乾かしたりして、誰もいない小屋でまったりと過ごした。明日はいよいよ最終日だ、ガスらずに十勝岳が拝めることを祈るが、夜は一面のガス模様。

■ 5日目:美瑛岳を越えて十勝岳の威容を仰ぎ見る
最終日は美瑛富士避難小屋から美瑛岳に登り十勝岳を眼前に捉えて一気に白金温泉へ下る。
夜にガスに覆われたせいで朝露が付いていたが、昨日のルートの感じでは火山性の砂礫地なのでそのまま出発する。ところが5分も歩かないうちに全身どころか靴まで浸水してしまった。最終日の出だしで大失敗。猫の額ほどのスペースでズボンを脱いでシャツは半袖に着替えて雨具になる。おまけに美瑛富士のトラバースで大きな雪渓がありアイゼンを装着するはめになり、最後まで気が抜けない展開となった。6時過ぎに朝露帯を脱出して美瑛富士分岐に到着。美瑛岳の登りで着乾ししたいので雨具を脱いで絞れる程濡れた上下に着替える。
1時間の急登を登ると、十勝岳方面への分岐に着く。ここで通行止めになっている。まだ十勝岳は見えない。そこから15分ほど緩やかな岩場を進むと、ついに十勝岳の雄姿を手に入れることが出来た。十勝岳に登れなかったのは残念だが、この近距離で噴煙をみると雪渓も変色しており噴火レベル2に納得できる。しばらく入山規制は続きそうだ。
50分程下ったら軽装の登山者が登ってきた。下界が近くなったのを感じたが、ゴールはまだまだ遠い。
時間はあるので予定通り吹上温泉に登り返すのを避けて白金温泉まで下る。ホテルで日帰り入浴も可能で食堂もあるようなので楽しみにして降りたが、白ひげの滝というのが観光名所でインバウンドの観光客でごった返していた。食堂は満席で入れなかったので空腹を我慢して温泉を先にせざるを得なかった。高級旅館の風呂に入りに再び食堂に戻り、念願のビールをいただき、バスは混みそうなので早めにバス停に移動し、美瑛駅でバスを乗り換えた。旭川空港のカンターで熊撃退スプレーと残ったガス缶を処分してもらい、七夕の夜空を飛んで横浜に帰った。

3. 装備備忘
〇スマホ ・iPhon17Pro(2026年購入)
→ほぼフライトモード利用。行動中はYAMAPの地図確認ログ取得、写真撮影で利用、後半は意外と電波が通じる場所がある(トムラウシ南沼幕営地の上部で通じるのは助かった)新品なので1日使用してもバッテリーは40%程度残っていた。
〇モバイルバッテリー(飛行機に2個しか持ち込めないので大容量を準備した)
・CIO 20000mAh PD 30W(実充電容量が多いと評判の物、とても重い、ほとんど使わず)
・SOOEO20000mAh(2000円ほどの安物、実充電量は怪しいが軽い、こちらから利用し空に)
〇地図:
・昭文社山と高原地図B大雪山
→すぐに取り出せないが、全体把握、水場、コメントなどで役に立った。
・YAMAP(スマホですぐに見られる)
→到着予想時刻機能、詳細情報、ルート外れの確認、ユーザの書き込みは役に立った。
〇水作成ツール
・浄水器
→ソーヤミニ+エバニューWater carry 900mL(プラティパスは口が合っわず圧をかけると漏れる、エバニューは神フィット)、歩行中に水を補給できる安心感は大きい。ガスの消費量を大幅に減らせた。
・ゴミ取り(泥水の池塘から汲むことは無かったので、浄水器を必ず通すなら不要)
→ゼリー飲料の空き容器で作るジョウゴと茶こしと折り畳みコップ
・水筒
→災害用携帯折り畳み5Lタンク(水をまとめて汲んだ方が浄水作業が楽)
→浄水後の水入れ、プラティパス2Lと1L、ペットボトル500mLを使いまわし。
→mont-bell Titanポット500mL(500mL単位で沸かしてすぐにポットに入れて省エネ)
〇火器
・JETBOILフラッシュ1.0L(JETBOIL最高燃費110缶で10~12L沸かせる)
→電子着火が付きにくいことがあった。
・ガス缶5日間110缶1つで余った(250缶も持ったが未使用)
〇食料
・アルファ―米とアマノフーズ、ホットグラノーラ(スキムミルクとはちみつを入れる)カップラーメンとカレー飯はアイラップに入れ替える、他ミックスナッツなど。
→食事はお湯だけで済ませる。
〇食器(アルミクッカーは持っていかない)
・ダイソースクリューコンテナーに保温シートを張り付けたコジーを自作し1個
・アルファ―米やホットグラノーラを入れるコジー(熱いアルファ―米もこれがあれば熱くない)
・アイラップをコンテナーに入れて中を汚さず、ゴミは防臭袋 BOSを利用し匂いを出さない工夫。
・Titanスプーン、フォークセット(箸は持たず、アルファ―米付属のスプーンで済んだので未使用)
〇テント関連(幕営指定地は整地されていて砂利やごつごつは無く快適)
・mont-bellステラリッジテント2型(雨や露があり得るのでフライ付にした)
・グランドシートはタイベックを切って自作(テント底が汚れず撤収が楽)
・テントマットはタイベックの片面がシルバーの物を利用(いわゆる銀マットは持参せず)
・シュラフはナンガオーロラ450(3シーズン)シュラフカバーは無し
・エアマットNEMO TENSOR TRAIL(快適で正解だったが空気漏れが発生した)
・エアー枕(快眠)、ワークマン靴(テント場と下山後の臭い靴を履かずに済んで便利)
〇ウェア類(5日間着替えず済ませた)
・ズボンはマムートのちょっと厚め1本、スマートウール アクティブメッシュ フーディー(寒い時はmont-bellメリノウール半袖を下に着る)で着替えず5日間
・アンダーウェア(ブリーフ)はメリノウールで着替えず(雨に降られたら履き替えたと思う)
着替えはドン・キホーテで購入した無名の超軽量ズボン、アンダーウェア2つ、ソックス1組、マムート薄い長袖を担いで歩いて、下山の入浴時に着替えた(雨だったら寝る時は着たと思う)
・防寒具:mont-bell化繊の上下(上は寝る時に着たが下は一度も穿かなかった、雨だったら寝る時は着たと思う)
・雨具:mont-bellピークシェル ジャケット(185g)、GORE-TEX レインパンツ フルジップ(202g)
・和手ぬぐい1本とバンダナのみ、ウエットティシュ(アルコールとノンアルコール)で体を毎日清潔にした。
・携帯トイレ5個と処理後の入れ物にmont-bell O.D.ガベッジバッグ 4L
 →し尿は持ち帰る(トイレがある避難小屋でも紙は持ち帰る)、しかし凝固した小と大の排泄物は持ってきた乾燥食料以上に重く扱いにくくなる。ガベッジバッグ4Lでは小さかった。水質汚染が無く、人が来ない汚染リスクの少ない場所で埋めるのが現実的。排泄物のパッキングは下の方だとつぶれて漏れだしそうだし、上の方だと食料と一緒になってしまうのでタッパーなど圧をかけてもつぶれない容器を用意しておくか、アイゼンケースのような外付けのケースを着けてそこに入れるような工夫が必要。藪漕ぎがあるのでビニール袋でザックにぶら下げるのは不可。
〇歩行関連
・靴:LA SPORTIVAエクイリビウム トレック GTX(雪渓があるので靴底は硬くて良かった、朝露で即浸水)
・アルミ10本爪アイゼン(6本と迷ったが10本で安心な場面があった)
・ストック2本(藪漕ぎに1本はあると楽)
〇ザック類とその他
・Ferrino 60+10L
・救急セット(腹痛薬、マダニ取り、ムヒなど)・虫よけ(マダニ対策)・フリース手袋、テムレス(ボア無し)
・首筋日よけ・AMラジオ、天気図(南沼で携帯が繋がり情報を得られたので、天気図は書かなかった)
・熊鈴、笛、熊撃退スプレー(ボトルホルダーで装着)・プレートコンパス(使用せず)


記録:KUN



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