北アルプス 白馬岳

日程:2025年4月26日〜28日

はじめに:
 先月の3月に白馬岳の計画を立てたが、地吹雪により白馬乗鞍岳までとなった。今回はそのリベンジ山行となる。1ヵ月ぶりの北アルプスの山麓は桜が満開で、雪解けが進み山は斑模様となりすっかり春山となっている。それでも、北アルプスの3000mの稜線の風は依然厳しく登山者を苦悩させて止まない…!

4月26日(土) 
 6時41分大宮発のかがやきに乗り、長野駅に7時26分に到着する。8時20分発のバスのチケットをみどりの窓口の券売機で購入し、9時57分に栂池高原に到着する。コインロッカーに着替えを入れてからロープウェイに乗り、10時半のゴンドラに乗り換えて、栂池自然園に10時50分に到着する。
 11時10分装備を整え出発する。快晴微風に雪質は粗目雪でツボ足でザクザク登っていく。(前回はワカンを使ってもフカフカと沈み込み初っ端から体力を削られた箇所だ)ツボ足でも十分だが、天狗原手前で12本爪アイゼンを付け、スパイクを効かせて高度を上げて行く。12時45分に天狗原に着き、白馬岳神社の小さな祠に1ヵ月ぶりの参拝を行う。

 乗鞍岳に11時に到着。山頂は融雪により岩とハイマツが露出し、足を取られながら進む。眼下に白馬大池の雪原が現れ、白馬大池山荘の煙突と赤い屋根の一部が雪原から顔を出している。その周りに4組のパーティーが見え、テントを設営する様子が見えた。

 14時27分に幕営目標地に着き、午後の強風予報に備え早速テントの設営に取り掛かる。テント設営枠を決定し、枠内を一段下げながら、スノーブロックを掘り出し、東側を出口にコの字側に防風壁を構築していく。地面の雪は融雪を繰り返して氷化しており掘り出しに苦労した。日没を過ぎると風は強まり、北西からやや南よりの風に変わり、明け方までテントが風で煽られ騒がしい音が続いたが、スノーブロックが崩れる事はなかった。
4月27日(日)
 4時半に起きると外は既に明るい。風は強いが、今日一日強風が続く事は分かっていた為、とりあえず行ける所まで行こうと出発準備を進める。6時25分に出発し、7時33分に船越ノ頭に到着し、8時24分小蓮華山に到着する。白馬岳の東面のバリエーションルートが良く確認出来て、何度も足を止めて撮影をする。

 稜線上では、絶えず体の右前方から強風を受け続ける為、時に耐風姿勢を取りながら進むが、バラクラバとゴーグルの隙間から入り込む風で右顔面が痛い。(顔面が強風に暴露され続ける事で皮膚呼吸が出来なくなり顔面神経麻痺になるリスクがある)帰りは左側背中に風を浴びる為、行きに受けた右半身の強風の暴露の負担が軽減出来る事から、白馬岳を目指し、途中の三国境で最終判断をする心づもりで歩みを進める事にした。三国境に着くと、なる程クレーターの様な雪の鞍部が形成されており、鞍部の最下部は幕営地になる程の広さの様に見えるが、そこまで下ると登り返しが大変なので、実際の防風の程度を確認する事は出来ない。

 更に高度を上げると馬の背が姿を現し、その中部から上部にかけて、人工的な雪の階段が突如現れる。
 白馬山荘のスタッフがGWに向けて大変な労力をかけて構築したのだろう。この雪の階段を見て、その階段を進まない選択肢を私は持ち合わせていない。何故なら、白馬山荘は、昨年の大雪渓の崩落、更に白馬鑓ヶ岳のルート崩落、そしてまさかの今季GWの猿倉駐車場の隆起、二俣川〜猿倉間の道路崩落などで、登山客をことごとく自然の力に阻まれてしまった。今季のGWにスタッフがどんな思いで登山客を迎え入れようと努力したかが、痛い程伝わるから尚更心が苦しくなる。

 この時点で私の到着目標地点は白馬岳から更に南下した白馬山荘に決まった。山荘のスタッフに一登山者として、小さな声ではあるが感謝の意を伝えたいのだ。
 10時31日白馬岳に到着すると、主稜を登ってきた1組のパーティーが雪壁を乗越すハイライトを、一眼レフに収めようと仲間同士で奮闘している。登頂時のテンション爆上げが確実なルートだろう。さて、南斜面を白馬山荘に下るルートは風の通り道で、今回の全ルート上で最も風が強かった。小屋に着くと雪の階段のお礼を伝えるも、強風に煽られてへとへとになった体を回復するのに、ストーブ前のベンチで1時間の大休止を要し、またもやお世話になってしまった。

 12時15分白馬岳に登り返し、12時45分三国境、13時42分小蓮華山、14時47分に白馬大池の幕営地に帰還した。雪を溶かして水を作るのも骨が折れたが、早々に夕食にして、17時台には寝袋に入り日没前に就寝した。

4月28日(月)
5時に起きて、ゆっくり朝食を摂りテント撤収を行い7時44分に出発した。白馬乗鞍岳の山頂は岩とハイマツで歩き辛い為に、乗鞍岳のピークを踏まずに北斜面の雪原を大きく巻いて歩いた。8時21分に天狗原に着き、栂池自然園に9時に到着した。栂池山荘のさるなしソフトクリームを食べたかったが、6/1オープンの為食べられず残念。 栂池高原10時46分発のバスに乗り、途中美麻ぽかぽかランドで下車し、お風呂とソフトクリームで完全回復して、長野駅から14時26分発はくたかに乗り、15時27分大宮に到着した。
最後に:
 3月4月とそれぞれ白馬岳を目指す事で、厳冬期に一瞬で戻る春季、一気に融雪が進む残雪期と、目まぐるしく変化する雪山の様相を体験する事が出来た。その中でも、登頂の成功を握るのは降雪よりも圧倒的に風であり、天候が及ぼす風の影響を自身がどれだけ把握し対策出来るかが重要だと思われた。雪山を楽しむのであれば、私はまだまだ程遠い程の知識と経験を積み重ねる必要がある。私が山に入る度に、自身の宿題が山積みである事を知る事は、登山の奥深さを物語り、それが膨大である程に私の未来を忙しくさせ、ワクワクさせるのだ。


記録:AB



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