谷川岳 雪上訓練
日程:2025年4月20日
行程:
0530横浜県サポ〈車〉0830谷川ベースプラザ〈ゴンドラ〉0915天神平【雪上訓練】1530天神平−1555谷川ベースプラザ
はじめに:
5月の春合宿に向けて残雪期の軟雪に対応するスノーアンカーの構築と、ビレーに特化した雪上訓練を実施した。尚、当会は毎年12月初冬期、1月厳冬期、4月残雪期にそれぞれ雪質に合わせた雪上訓練を行っている。朝からグサグサの軟雪でスノーアンカーがどれほど効くのか不安であったが、結果的に全てのスノーアンカーが支点としての機能を果たす結果となった。
天神平はスキー場が終了しグリーンシーズンに入った事から閑散としている。どこでも雪上訓練が出来そうだが、天神平の登山道を外れた東側斜面で実施した。このあたりはよく雪上訓練をするパーティーを見かけるが、本日雪上訓練をしているのは我々のパーティーだけだ。
まず初めに、各種アンカーをそれぞれ構築し、大人3名で牽引しどれほど支持力があるのかを効果検証した。以下検証結果となる。
スノーアンカーの種類 | 埋設方法 | 結果 |
---|---|---|
60pスノーバー1本縦埋め(V型) | 山側に25度程傾けて | 支持力なし |
60pスノーバー1本縦埋め(V型) | 山側に30度程傾けて | 支持力あり |
60pスノーバー1本横埋め(V型) | 深さ30CMほど | 支持力あり |
スノーフルーク(デッドマン) | 山側に35〜45度程傾けて | 支持力あり |
スコップ | ブレードのみ山側に25度程傾けて | 支持力あり |
スコップ | ブレードとシャフトを連結したまま (シャフトにスリングをタイオフ)山側に25度程傾けて | 支持力あり |
土嚢 | サッカーボール程の雪を袋にいれて、深さ30p程 | 支持力あり |
竹ペグ2枚 2p×30p | スリングで巻き付けてから山側に25度程傾けて | 支持力あり |
スノーボラード | 横幅120p、深さ50p | 支持力あり |
スノーバーの埋設はガイドブックなどで10〜15度傾けるとあるが、それ以上に角度を設ける事で支持力を確認する事が出来た。スノーボラードはガイドブックに横幅100p以上、深さ30p程とあるが、雪の状態から横幅と深さを微調整した。
スノーアンカーの支持力の効果検証を行った後に、スノーアンカー(土嚢)を構築し、座位での腰絡み確保、肩絡み確保、ピッケルを埋設してスタンディングアックスビレーでクライマーの確保の練習を行った。
更に、スタンディングアックスビレーにて実際にクライマーがスノーバーによるランニングビレイを2か所でとりながら登って行き、上部から滑落した場合を想定した訓練を行った。クライマーが登る時にはロープを繰り出し、滑落時には確保し、滑落から登り返す際にはロープを巻き取る練習を行う。この一連の流れを実施する事で、自分の体の向きや、誘導手、制動手を山側に向けるべきか、谷側に向けるべきか、足元のピッケルの上のカラビナに対し、自分がどこに立てば良いのかを実践的に考えて判断する事を狙いとした。実際の場面では様々な制限された条件下に於いて臨機応変に対応する事が求められる為、訓練時にビレーヤーの足元から真下に滑り落ちるクライマーを確保するのとでは、訓練と実践の間に大きな乖離が生まれてしまう為、実践場面の一部をロールプレイしながら行う事もまた良い機会となったと思う。
余った時間で1/3引き上げ訓練を行ったが、これはセットに大幅に時間を食ってしまい、6月に会で実施予定の救助訓練での再実施として宿題にした。最後にロープウェイに戻る斜面にて滑落停止訓練を行いながら下山した。
さいごに:
今回は初めて雪上訓練のリーダーを担当させて頂いた。技術的に半人前の私が雪上訓練を実施する事はおこがましい事は承知の上で、これまで会の先輩方に教えて頂いた事をもとに訓練メニューを考えたり、スノーアンカーの埋設方法を事前学習する良い機会となった。反省点としては、実践場面を想定した訓練を意図的に設定するのであれば、より安全配慮やバックアップの更にバックアップを取るなど検討すべきだと思う。最後に、何より春合宿での皆の安全登山に繋がる事を願いまとめとする。
記録:AB