八ヶ岳 阿弥陀岳 御小屋尾根

日程:2024年1月10日夜〜1月11日

行程:

1月10日金
京王八王子駅2400発〈高速バス〉

1月11日土
美濃戸口0415着/0500発〈御小屋尾根〉阿弥陀岳1111着〈御小屋尾根〉美濃戸口1415着/1515発〈バス〉茅野駅1553着/1620発〈電車〉八王子駅
高速バスの到着が1時間以上早く着いた。八ヶ岳山荘の1階には登山客が30名程おり、床にマットをひいて寝ている人もいる。4時半になると長野県警察山岳救助隊、長野県山岳高原観光課が雪山安全啓発で出動していた。ゆっくり朝食や装備を済ませ予定時間より1時間早い5時にヘッ電を付けて出発する。



御小屋尾根に向かう人はおらず、満天の星空のもと、雪の林道をゆっくり歩いた。僅かであるがオレンジの街灯があり安心する。突き当りの車止めの箇所で12本アイゼンを装着する。前日までの降雪により新雪の為、アイゼンは刺さらないがワカンを付ける程でもない。6時になると少し白ばみ始め、6時45分稜線上が淡いピンクに色づく。トレースは無く、ピンクテープも間隔が広い為少し迷い、コースタイムより1時間多くかかった。
7時55分に御小屋山に着くと、舟山十字路からの先行登山者によるトレースがありほっとした。不動清水のあたりでピッケルとヘルメットを装着し暴風対策を整える。雪は更に深くなり新雪は踏み固まる事なく、ピッケルとアイゼンも決まりが甘い為に苦労する。霧氷のトンネルを抜けると、白銀に輝く阿弥陀岳の山体がまるで壁の様に聳え立っている。幸い晴天で風が弱い。所々ロープも出ているが、黒いロープは古くほつれている。水色のロープは比較的新しいが、ロープに沿って登るとかえって難しい箇所もある為、あまり頼らないでルートファインディングをして登る。
西ノ肩に着くと摩利支天が見える。手前の岩峰を右側に巻いて、発射台の様な摩利支天を登り、反対側は梯子で降りる。梯子と鎖は凍結せずに利用できたが、左側が切れ落ちている為、念のため180スリングを鎖にタイオフした。1月11日11時11分に阿弥陀岳に到着した。2年前に文三郎尾根から泣きべそをかいて登った私と山頂で再会した様に思い、懐かしく思った。山頂からの見渡す限り白銀の山々は、それぞれ私が挑戦した愛着のある山であり、これから挑戦する試練の山々である。
私が下山する頃、登りの登山者が増えて摩利支天で少々待機時間が発生した。積雪量が更に増えた場合、梯子が埋まる事や鎖が凍結する事も想定される為、パーティーで登る場合にはこのポイントをいかに安全に素早く通過するかが大事だろう。西ノ肩からの下山は急勾配の為三点支持で一歩ずつ下った。展望台まで来ると一安心して、あとは樹林帯の中を大股でザクザク下る。御小屋山の分岐から先は、踏み後は少ないが今朝よりは増えていた。融解により岩が露出して歩きづらい為アイゼンを外して歩いた。14時15分に八ヶ岳山荘に着き、入浴を済ませて15時15分のバスで帰宅した。本日の最終バスだが乗客は8名しかいなかった。バスの車窓から白銀に輝く阿弥陀岳が名残惜しかった。
最後に
 阿弥陀岳御小屋尾根は赤岳と比較すると登山者数も少なく、ルートも朝一番に入山した登山者のトレースに頼る事が多い。必ずしもトレースが正しい訳ではなく、一部ハイマツの上に誤ったトレースが作られていたり、ラッセルの中、試行錯誤したであろう作りかけのトレースも多く見られた。ナイフリッジの稜線に於いては、ノートレースでの登山がいかに困難である事、また後続者はトレースに頼り切るのではなく、自身もルートファインディングを怠らない姿勢が必要であると思った。また、新雪にはシャフトの短いピッケルやアイゼンが支点として有効に機能しない事を改めて体験した。厳冬期と残雪期でピッケルのシャフトの長さを使い分ける工夫や、新雪に対応する歩行技術の体得などで安全な冬山登山を継続していきたい。


記録:AB
写真:後続パーティーがご厚意で撮影頂いた写真を使用した。



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