八ヶ岳 硫黄岳・天狗岳

日程:2024年12月4日〜12月5日


行程:
1日目:茅野駅0915発〈送迎バス〉桜平1010着‐夏沢鉱泉1030着/1100発‐硫黄岳1328着‐夏沢鉱泉1525着
2日目:夏沢鉱泉0700発‐東天狗岳1005着‐夏沢鉱泉1230着‐桜平1330発〈送迎バス〉茅野駅1410着


【12/4水】
茅野駅に9時7分に着きトイレを済ませ、東口から9時15分の夏沢鉱泉の送迎バスに乗る。乗車は当パーティーのみだ。林道に入ると路肩に停めてチェーンを付けて、所々凍結した路面を徐行しながら進んだ為、夏道より倍の時間がかかった。桜平ゲートからは安全上、客は徒歩となるが、ザックは車に乗せて玄関まで運んでくれるので大変有難い。スパイクなしで歩るき11時に夏沢鉱泉に着いた。チェックインを済ませ装備を整え、チェーンスパイクを付けて硫黄岳に向かう。

この冬初めて冬靴を履いた為、ずっしりと重たく感じ、ばてない様にゆっくりと歩いた。オーレン小屋で会った登山者から山頂の雪の状況を聞いて、夏沢峠経由で登頂し、峰の松目側に周回ルートで歩く事にした。風が強いとの忠告を受けたが夏沢峠あたりまで無風だった為以外に思ったが、硫黄岳の山頂に近づく程に強風となり、体を煽られないように慎重に一歩一歩進んだ。13時半頃山頂に着き冷たい風が吹きつけるも、快晴の為に360度の雪景色を見る事が出来て嬉しかった。赤岩の頭方面に下ると少しずつ風が和らいでほっとした。峰の松目方面の北西斜面は雪が吹き溜まっており、雪崩の危険がある事が納得できた。再びオーレン小屋の外ベンチで休憩を取ってから、15時半ころ夏沢鉱泉に戻った。

さっそく温泉につかり食堂で早めの宴を始め、17時半より牡丹鍋など豪華な夕食を頂いた。平日の為宿泊客は当パーティー以外一人の男性のみだった。部屋は3ベッドの個室で夕食中にサービスで湯たんぽを入れてくれた為、朝まで暖かく過ごす事が出来た。

【12/5木】
 5時に起床し出発準備を整えてから、6時にこれまた美味しい朝食を頂いた。登山に不要な荷物を小屋の2階ベンチにデポし、7時に12本爪アイゼンを装着して出発する。もはやおなじみのオーレン小屋の外ベンチで休憩する。本日は昨日よりも風が強いとの情報だったが、箕冠山までは無風だった為昨日同様に以外に感じたが、なるほど箕冠山を下るとすぐに強風地帯に突入し通過地点である根石岳に行くのも難しそうに思われた。しかしながら多少風に煽られても危険個所が少ない事、また鞍部にある根石岳山荘に明かりが着いている為、これ以上風が強くなれば一旦小屋に避難する事も出来るという保険を確保した為に進む事にした。

 登り返して根石岳を越えると、突風の中に鎮座する天狗岳の歪な山体が目に飛び込む。上り返しの稜線はこれまでより細い為に恐怖を感じつつも、少しの岩影で僅かな休止を取りながら、風の息を読み一歩一歩近づいていく。岩稜帯の雪は吹き飛ばされて岩が露出しているが12本爪アイゼンのまま進む。他メンバーからは「ABちゃんはどこまで進むんだろう?」と後ろから疑問符を投げられている事を自覚していたが、私にもその答えは見つからず、ただただ一歩を進める事だけに集中した。ただ、私があまりに黙々とつき進む為に、KATAさんから「何かあったとき助けられないから皆で進もう」と声をかけられた。何処まで進むのか明確に示す事が出来ない未熟で無責任なリーダーを、仲間はそれでも心配してくれていた事に気付いた。それからは後続を確認しパーティーが離れない様に心がけた。その度にKATAさんは笑顔をもって答えてくれた。こんな逃げ場もない強風の中に閉じ込められた中でも仲間を第一に思いやれる事に驚き、また一緒に歩みを進めてくれる事に感謝した。

10時頃東天狗の山頂に着き、西天狗は宿題に切り替えて早々に下山を開始した。強風の為休憩を取る適地も乏しく、根石岳山荘か箕冠山での休憩を検討し、皆で箕冠山まで行こうと決めた。箕冠山に近づくと、強風地帯を切り抜けた事に安堵し、三人とも安心して笑顔に戻って大休止を取った。その後は夏沢鉱泉へのんびり下山した。

小屋では再度温泉につかり汗を流す事が出来た。泉質はメタケイ酸との事で、私は初めてだったがキリっとした良いお湯だった。送迎バスを利用するのが当パーティーのみの為、ご厚意で時間を早めて頂けるとの事で13時に小屋を出て桜平に向かい、13時半に桜平ゲートから送迎バスに乗り、14時過ぎに茅野駅に着いた。蕎麦屋で温かい蕎麦を頂いてから15時台の電車で帰宅した。初冬の八ヶ岳を経験出来た事も勿論だが、下山後に仲間が笑顔で「また一緒に登ろう」と声を掛けてくれた時に、私の中でこの山行の完結を実感し嬉しかった。

記録:AB



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