春山合宿・北ア・立山山スキー

日程:2023年4月30日〜5月3日

<行動記録>
 当初4月28日夜の出発予定であったが、29日〜30日の天気予報が立山では雨であった。特に30日は降雨水量12mm/1hの大荒れの様子なので、30日夜の出発に変更になった。

 4月30日 天気:晴れ
 大和駅19時30分に集合した。高速道路は渋滞もなく、23時に扇沢の市営駐車場に着いて仮眠した。

 5月1日 天気:晴れ後雪(霰)
 5時15分に起床した。朝のうちは雲が広がっていたが、出発する頃には青空であった。扇沢のバスの始発が7時30分で6時30分には切符売り場に50人ほどの列ができていた。切符の販売は7時頃より行われ、WEB切符の列の流れが早かった。

 7時30分の始発のバスに乗車して、15分ほどで黒部ダムに着いた。今回は山スキー装備にテント泊の装備で20kgを越えたが、ダムをスキー靴で歩くのは嫌だったので、ザックにスキー靴を入れて、スキーはケースに入れ肩からさげて歩いた。MAYUさんはテレマークの靴で歩いていた。途中のケーブルカーに乗車するときに、スキーをケースに入れなかったMAYUさんは注意を受け、荷物代をとらないからスキーケースを購入してくださいと係の方に言われ。スキーケースに2本入れてMAYUさんがそれを持ってくれた。

 混雑を心配していたロープウエイも4番の乗車で15分ほど待って乗車できて、9時に室堂に着いた。
 登山届けを提出する際に、真砂沢や剱沢では下部は亀裂が入っているので注意が必要で、例年に比べかなり雪が少ないと言われた。  屋上で荷物整理をして、スキーをザックに付け、9時25分に歩き始めた。雲が広がりつつあり、午後から天気は一時崩れる予報である。

 10時15分に雷鳥沢野営場に着き、テントを設営した。30分ほどで設営を終了して、スキーにシールを付け、11時15分に大走りへ登行する。尾根の末端は急なので、回り込み尾根に取り付く。1時間半ほど登行して標高2580m付近までくると急に雲行きが怪しくなり、ガスに包まれ始めた。ガスの中を滑るのは嫌なので、尾根のハイマツ帯に移動して、シールを剥がし滑走準備に入る。尾根上は比較的広く、雪質も柔らかく滑りやすく気持ちよく滑って一気に尾根の末端まで下る。
 テントに戻り荷物の整理をして寛ぎ始めると、パラパラとテントを叩く音がする。雪である。予報より早く降り始めた様子である。15時頃になるとかなりの霰が降り風も強くなった。その内、雷も鳴り始め、雷の光を感じてから3秒ほどで音を聞いたので、かなり雷雲は近いと判断できる。ここまで天気が崩れるとは思わなかった。天気図を確認しても天気がここまで崩れるとは判断できなかった。18時頃には雪は止んだようだ。

 5月2日
 4時半起床しました。すると何やらサラサラと音がする。雪です。思いもよらない状況です。稜線は雲に覆われています。MAYUさんも昨夜の雪がかなり降ったので、真砂沢は傾斜があり雪崩のリスクがあるので、浄土山や国見岳方面に行くことを考えていたみたいです。
 朝食を食べトイレ渋滞に少しはまりましたが、7時にシールを付けで準備完了しました。今頃には雪は止み、青空が広がりつつあり、天気予報通りに晴れのようです。リーダーから剱沢へ行くとあり、テントを後にして雷鳥沢をシール登行しました。
 昨日降った雪は風で飛ばされているようで、雪面も緩みシール登行しやすかった。中間部の手前の斜面は傾斜があり、スキー靴にアイゼンを付けて登行しました。最後のトラバースになるところは、風もあり細い雪稜となっていたので、慎重に行動しました。
 9時25分に別山乗越に着くと、風が強いのでトイレ内で風を避けて休憩しました。シールを剥がして剱沢に入ります。剱岳の頂は雲に隠れていました。沢に入ると風は無く、しかも昨夜の降雪のため雪面がリセットされ滑りやすく、MAYUさんはどんどん先に滑っていきました。テント場では数張りのテントがありました。
そして、2600m付近の沢が狭まる所で、シールを付けて登り返しました。気温も上がり登行するのに息が上がりました。途中で休憩を入れて、別山乗越に12時40分に着きました。この頃には朝の風もおさまり、休んでいても長閑です。
 乗越の一段下がった所から、雷鳥沢に入りましたが、かなりの傾斜があり、慎重に滑りましたが、雪質は適度に柔らかく滑りやすかったです。そのまま、沢を滑って雷鳥沢野営場に13時20分に着いて、今日の行動を終了しました。
 すると、MAYUさんが雷鳥ヒュッテに散歩がてらビールを買いに行くと言い出して、ビールの購入をお願いしました。その後はテント内でビールを飲み、まったりしました。

 夕方に雄山の斜面を見ると無数のシュプールが描かれていて、今日は最高な山スキー日和であった事が窺えました。夕食を食べて19時頃に就寝しました。夜は放射冷却のためかかなり冷え込みました。

 5月3日  3時に起床する。テントを撤収してザックにスキー板を付け、5時45分に立山ホテルを目指して歩いた。まずは雷鳥荘までの登りが待っている。朝早いためか登山者などが少ない。天気は快晴で立山ブルーである。1時間20分ほどかかり立山ホテルまでやってきた。そこで、テント装備などの荷物をデポして、浄土山を目指して7時30分にシール登行を開始する。室堂山荘の手前から浄土山と室堂山の鞍部を目指して登っていく。傾斜がさほど無いのでほぼ直登で行く。
 9時05分に鞍部に着くと、槍ヶ岳と笠ヶ岳が良く見えた。スキーをデポして、アイゼンとピッケルで、浄土山の西斜面を登っていく。かなりの傾斜があり、登りは雪面が凍っていてアイゼンが良く利いた。浄土山の山頂に9時45分に着いた。雄山から別山、その先に剱岳が見え、大日岳から弥陀ヶ原が良く見えた。
 展望を楽しみ下山にかかる。岩稜帯を降りた後は、雪のルンゼ状の下りである。バックステップで慎重に降りた。雪が腐ると危険な所である。
 鞍部に着いて室堂を目指して滑っていく。最初は傾斜が緩やかであるが、下部は適度な斜度があり、楽しく滑って室堂に10時30分に着いた。

 荷物をパッキングして室堂発11時30分発のバスで扇沢に向かった。扇沢に13時に着いて、上原の湯で汗を流して帰路についた。
 5月1日
19:35大和−23:00扇沢7:30−8:55室堂〜雷鳥平11:15〜小走谷〜12:40標高2,590m地点12:50→小走谷滑降→13:10雷鳥平

5月2日
7:00 雷鳥平〜9:25別山乗越→剣沢雪渓滑降→10:20標高2,200m地点〜剣沢雪渓〜12:40別山乗越13:10→雷鳥沢滑降→13:30雷鳥平
5月3日
5:45雷鳥平〜7:00室堂〜9:30浄土山(2,831m)〜10:15標高2,655m地点→10:30室堂11:30−12:55扇沢−上原の湯−テンホウ−19:00大和

<山行雑感>
 今回の山行は4泊5日の長丁場の山スキーで、しかもテント泊なので荷物の軽量化と、扇沢から室堂への移動で、スキー靴で歩くのは少々難儀なので、スキー靴をザックに入れて収まるかと悩んだ末、スリーシーズンシュラフ、ダウン、ダウンパンツを入れてザックに収まった。出発数日前になり、29日〜30日の天気が雨とあったので、出発を2日遅らせたため、食料は2泊分で良くなり、ザックも幾分か軽くなったが、20kgを越えた。
 5月1日に寒気が入り立山では5cmほどの雪(霰)が降ったので、2日には真砂沢は傾斜があり雪崩のリスクがあると判断して剱沢に入ったが、前日の雪で雪面がリセットされ楽しいスキーが味わえたのが嬉しかった。
 最終日の3日に室堂山の鞍部から浄土山に登ったのだが、雪の斜面はかなり傾斜があり、雪が緩むと危険になるので、一ノ越から登った方が良いかもしれない。鞍部から室堂への滑りは、雪が緩み始めて適度な柔らかさになり快適に滑れた。どの斜面でも滑りやすい雪で楽しく山スキーが味わえた。

MAYU雑感
【5月1日】
 室堂ターミナルを一歩踏み出す、紺碧と白のコントラストが眩しい立山円形劇場に囲まれる。冷たく乾いた、薄い空気がなんとも心地よい。雷鳥平にベースを張り、真砂岳を目指して小走谷を登る。気が付くとガスに巻かれ、雪が舞ってきた。
 標高2590m地点からの滑り。一瞬ではあるが、永遠に続く、素晴らしい雪面に浮足立つ。立山のスケールに身震いする。
 雷鳥平まで滑り終わると、雷鳴が響き、みぞれがテント越しに背中を叩く。春の嵐でテントに閉じ込められ、二日分のお酒を飲み干してしまった…。まっいいか。

【5月2日】
 立山三山と大日三山を眺めながら、2時間半登れば別山乗越だ。乗越からは剣沢、その奥には剣岳が鎮座している。あまりにも大きな剣沢に距離感が狂ってしまう。
 雪面は昨日の降雪で綺麗にリセットされている。広大な剣沢を好きなラインを、S字の谷を一気に滑る。もう我慢できない、どんどん滑り降りてしまう。滑った分だけ登り返せばいいだけだ。

【5月3日】
 アルペンルート始発前の室堂は静けさに包まれている。浄土山の展望台から立山から槍ヶ岳に続く日本オートルートを望む。日本にはスキーツアーが楽しめる斜面が溢れている。
 最後の滑りは浄土山西面、緩急する傾斜に無重力の滑り。The 立山の三日間だった。


記録 KOS


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