錫杖岳前衛壁左方カンテ

日程:2023年6月23日(夜)〜24日

 6月23日大和に21時45分に集合し中尾温泉口の駐車スペースまで。翌2時前に到着し仮眠する。

 6月24日5時50分出発。槍見温泉の登山口からクリヤ谷を通って笠ヶ岳に向かう登山道を進む。1時間ほどで錫杖沢出合い。GENは渡渉でドボンしたり、登山道の濡れた下草のため足元は結構濡れてしまった。錫杖沢の分岐は明瞭で錫杖沢左岸の踏み跡もしっかりしていて前衛壁基部までは問題なく進んだ。
前衛壁を左に回り込み北沢を少し登ると「注文の多い料理店」の取りつきとなる。壁を見上げると黒々と濡れておりかなり厳しそうだ。MAYUさんが「よっしゃ行きますか!」と言わないかドキドキしながら見ていると、「条件悪そうなので、左方カンテを見に行きましょう。」とのことだったので、ホッとして登ってきた沢筋を引き返した。

 さきほどの前衛壁基部までもどると左方カンテの取りつきはすぐそこだった。取りつきからルートのルンゼを見上げるとこちらも結構濡れており、1ピッチ目は右壁から雫がしたたりおちていた。「とりあえず行ってみますか」と、奇数ピッチが難しいのでMAYUさんリードでスタートした。

1ピッチ目:MAYUさん
 ビショビショの凹角を登る。途中雨のように壁上部からの滴りがあった。
2ピッチ目:GEN
 凹角から小ピナクルの基部まで。
3ピッチ目:MAYUさん
 前半の核心部。ピナクルを回り込みホールドの細かいフェースを右上。露出感がある。核心部分をこえるまで支点がないのでリードは怖いと思う。
4ピッチ目:GEN
 少し右手に歩いてルンゼに入る。狭い、濡れている、支点なしの三重苦。一番狭い部分はザックが邪魔で中に入り込めなかったので、ザックをPASにぶら下げて通過。腰を引っ張られるとつらいかなと思ったが意外と行けた。終了点は広いテラスになっているので、ザックをおろし水分補給。
5ピッチ目:MAYUさん
 テラスから左のフェースの細かいホールドをつなげていく。登り口に支点があるものの、そこからフェースの途中までランアウトするのでビレイヤーも緊張する。MAYUさんはフェース途中の小さな割れ目にカムを固め取りして、抜けていった。
6ピッチ目:GEN
 前のピッチを長めにのばしたため、数メートルの歩きピッチ。
7ピッチ目:MAYUさん
 核心のピッチ。MAYUさんはザックを下ろして最初のチョック・ストーンをフリーでこえていった。C.S上の安定して立てる部分で荷揚げ。その後、凹角の左フェースを抜ける。GENはC.SをA0でこえる。お情けのボルトがありがたかった。
8ピッチ目:GEN
 傾斜が緩くなったもののホールドの細かいフェースを登る。途中の右手にある立木で支点をとって一安心。上部は簡単な草付きとなっている。ビレイ点を過ぎて少し登るがロープが重くなったため終了点手前でピッチを切る。
9ピッチ目:MAYUさん
 急な登山道といった感じのルートを終了点まで10Mほど。

 12時50分に終了点に到着。終了点は広場になっておりロープを外してウロウロすることができる。振り返ると焼岳が大きく見えた。残念ながら西穂高岳から北側の稜線は雲に覆われていたが、白出沢の雪渓は見ることができた。景色を楽しみながらお昼にする。
 下山は烏帽子岩をまわってクリヤ谷の登山道にむかう踏み跡をたどってみようとしたが、終了点すぐ上の岩壁手前で踏み跡が甘くなり、ロープを出したほうが良さそうな感じだったのであきらめて懸垂下降することに。

 終了点の広場にもどり、シングルロープ1ピッチ、ダブルロープ2ピッチで左方カンテ核心のC.Sの下のテラスまで。そこから注文の多い料理店1ピッチ目のテラスまで50MぎりぎりでMAYUさんは焦ったとのこと。さらに基部まで1ピッチで懸垂下降終了。ロープをかたずけて15時10分下山開始。往路をたどり16時50分に駐車スペースにたどり着いた。

 当初は土日で2本登ろうと意欲的な計画だったが、GENは左方カンテ終了点でギブアップ宣言。MAYUさんも駐車場まで下りてきて、明日また登り返すのはつらいと納得。温泉に入って帰ることにした。2人ともいい加減いい歳なので妥当な結果だろう。

 5:50駐車場〜クリヤ谷〜7:00錫杖沢出合〜7:50注文の多い料理店取付き〜8:40左方カンテ取付き〜左方カンテ〜12:50トップアウト〜烏帽子岩偵察〜懸垂下降〜15:00注文の多い料理店取付き〜15:45クリヤ谷〜16:50駐車場


記録 GEN


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