深南部ゴールデンルートの記録

日程:2023年11月2日(木)夜から5日(日)

11月2日(木)
横浜20:15→1:15寸又峡(町営)駐車場

東名集中工事で渋滞にはまり、到着は1時を過ぎた。町営駐車場は傾斜があるのでなるべく平らな奥の方に駐車し車中で仮眠。駐車料は1回500円。

11月3日(金祝日)
寸又峡駐車場6:20→飛龍橋7:00→前黒法師岳登山口7:15→990m尾根(バラック小屋)8:23→栗ノ木段8:50→白ガレの頭10:30→前黒法師岳11:25→ヘリポート跡12:30→水場12:55→ヘリポート跡13:12→二ツ山14:00→1812m14:45→黒法師岳16:16

計画では13時半頃に到着するヘリポート跡までの予定なので、少し遅く出ようか迷ったが6:05に出発した。しかし帽子を忘れて引き返し6:20に再出発となる。夢の吊り橋を眼下に眺めて飛龍橋を渡り砂利の林道をしばらく歩くと前黒法師岳登山口の看板がある。看板はちゃんとしているが取りつきはガレた急斜面で出だしから試されている感じになる。150m急登で標高を上げると斜面に石積みの跡が沢山残っていて「湯山集落跡」の看板が立っている。誰がこんなところに住んでいたのか?水はどうしたのか?信仰の山ならまだしも、信じがたい場所だった。集落跡を過ぎても急登が続き登山道入り口から400m標高を上げた990mの尾根で林道跡に出る。雨はしのげるトタンの小屋がある。尾根道になっても傾斜はきつく栗ノ木段1197mで台地上になりやっと普通の尾根道となる。が、再び1600mのイワカガミ群生地まで傾斜がきつくなる。白ガレの頭前後はすこし楽になったが再び前黒法師岳は急登となる。標高差1400mを登りホッとしてはいけない、ヘリポート跡まで200m近く標高を下げさせられてしまう。

ヘリポート跡は今でも平で広い空間になっている。水場もかつての林道がまだ繋がっていてアクセスが容易で幕営適地だ。計画ではここでゆっくりする予定だったが、抜きつ抜かれつの先行者のアドバイスもあり(彼は水を5L背負っていると言う)、どこでもビバークできるように水場へ足を延ばして満タン4Lに補給して少しでも先に進むことにした。結果的に判断は正解だった。
ヘリポート跡から出発すると、どこでも歩けるのが禍して踏み跡が不明瞭な笹尾根を進む。適当に尾根を外さずに進めば良いのだが、暗い時間は迷いそうだ。

二ツ山までは比較的なだらかで背の低い笹道を進む。1812mのピークが近づくと笹藪が濃くなり背を越える高さになり泳ぐように進む。そこから黒法師岳までは強い笹藪を進まされ、さらに頂上直下は斜度も上がりタフさが増した。地図でフラットに見える上西平山まで進みたかったが時間切れ。先行者もちょうど山頂にいた。水が重かったが何処でもビバークが可能な状態にしておいて良かった。笹が薄い所を見つけて幕営した。
11月4日(土)
黒法師岳6:20→上西平山6:50→バラ谷の頭7:45→房小山9:22→鋸山11:40→三ツ合山14:05→1433m分岐11:35→蕎麦粒山15:24→15:47山犬段休憩舎15:55→水場16:45→17:13

ヘリポート跡から前進した甲斐があって、朝は明るくなってから行動を開始する。黒法師岳を出て丸盆岳の分岐を過ぎるといきなり笹藪の急降下になる。シンプルにまっすぐフォールラインで踏み跡があり、笹を掴みながら下る。上西平山は想像通りフラットだったが、幕営適地は水場に近づくもう少し先にあって複数のテントが設営してあった。水窪側から入ってここに幕営して一泊二日で黒法師岳をピストンするのもポピュラーなコースのようだ。

鞍部で水場入口の看板を過ぎるとバラ谷の頭へ140mの登り返しになる。富士山がおむすび型の黒法師岳と重なって美しい。そこから房小山を過ぎて鋸尾根が始まるまでがこのルートのハイライトだ。青空と深南部の山々を眺めながら踏み荒らされていない笹尾根を優雅に進む。時々しっかりした踏み跡が出てきて追いかけたくなるが、それは鹿の獣道だったりするのでだまされてはいけない。小ピークを巻くような踏み跡も出てくるがハマることが多いので、素直に尾根通しで進んだ方が良い。

都沢の頭から広い尾根を急降下すると痩せ尾根の鋸尾根が始まる。鋸山まではこんな程度かと思えたが、千石平を過ぎてからも痩せ尾根と急降下があり緊張を強いられる。落ちたら当分見つけてもらえそうにない。
三ツ合山に出るとやっと落ち着くが、蕎麦粒山まで150mの登りが残っている。蕎麦粒山から200m高度を下げてなんとか16時前に山犬段休憩舎に到着した。

山犬段林道はR5の10月21日(土)・22日(日)・28日(土)・29日(日)に加え11月11日(土)・12日(日)に川根本町役場から山犬段までの送迎タクシー実証事業を実施するほど、整備されている(一般車両は通行止め)おかげで、休憩舎も飲める水は無いが(雨水をためた手洗い用水はある)トイレがあり大変綺麗に整備されている。水場はその林道を30分程歩く必要がある。歩いてみると沢筋をはるか眼下までモルタルやコンクリートで固めた治山工事が何か所も施されている。工事中の現場もあり、川根本町の災害を食い止めるためにこの林道の整備は欠かせないのだと良く分かる。
3連休で混雑が心配だったが、宿泊者は同じゴールデンルートを歩いてきた先行者とバラ谷泊の4人パーティーの合計6人だった。アルコールを交えてみんなと懇談をして暖かい綺麗な小屋で熟睡した。

11月4日(土)
山犬段休憩舎7:03→八丁段7:40→広河原峠8:15→板取山8:37→天水9:15→ウツナシ峠9:30→横沢の頭10:12→沢口山10:50→富士見平11:23→12:57寸又峡駐車場→風呂、食事14:30→19:40横浜

今日は下山するだけと言いたいところだが、YAMAPのコースタイムだと6時間も歩く必要がある。7時に出発してトラバースせずに八丁段の展望台に寄る。八丁段の北東面(ホーキ薙)は大規模な治山工事をしている。人間のすごさを感じる。広河原峠へ下り板取山へ登り返し、一度下り天水へ登り返す。天水からは一昨日歩いた前黒法師から黒法師のアップダウンの連続する稜線が見えるビューポイントだ。再びウツナシ峠まで200m近く標高を下げてしばらくなだらかな尾根となるが、最後に沢口山へ100m登り返す。富士見平の分岐まで下るとあとは700m寸又峡まで高度を下げる。光山荘の風呂は休みだったので翠紅苑で日帰り入浴した。その後食事をするために再び登山道入り口の日本カモシカ像横のしらかば屋まで歩いて戻りノンアルコールビールに蕎麦を食べた。来るときは夜中で規制されていなかったが渋滞させないために何か所かに警備員が立って交互通行が実施されていた。東名集中工事で御殿場から先は大渋滞だったので箱根を越えて横浜に帰った。

記録 KUN



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