富士山・雪上訓練

日程 2022年4月23日

<行動記録>
  4月23日 天気:晴れ
 前日にN氏より24日の富士山の天気が良くないので、23日の日帰りで雪上訓練を行うと連絡が入った。本州南岸に停滞前線が発生して梅雨の様相を示しているためと思われる。どうも、GW前半は天気が芳しくない様子である。

 6時15分に横浜駅西口の神奈川県民サポートセンター前に集合して、HIRAの車で富士山5合目に向かった。東名から圏央道を使い中央高速道からスバルラインで富士山5合目に9時30分に着いた。身支度を調え10時に出発して、いつもの窪地に10時40分に着いて、ハーネスなどを装着して訓練に入った。

 【訓練内容】
1.登り・下りのキックステップ
 登りではかかとを後ろに引いてつま先を蹴り込む。かかとがつま先より低くならないように注意する。身体の軸を作りながら登る。
 下りでは踵全体に体重を乗せ、雪を踏みつぶしながら歩く。足元を見がちであるが、前方を見て姿勢を前屈みにしない。

  2.雪面のトラバース
 前の人の踏み跡に漫然と従うのではなく、特に落ちたら危険な場所ではちゃんとセオリーどおり谷足は谷側に向ける。横向きで横から力を受けるとバランスを崩しやすいので、そのとき谷足が谷川に向いていた方が対処しやすい。

3.斜面での方向転換
 ピッケルを何度も雪面に刺して、足場もしっかり作りながら確実に方向転換する。ピッケルは山側に来るように持ち替える。

4.耐風姿勢
 ピッケルに体重をかけて体を預けるのではなく、脇を締め足(太ももの内側)に力を入れて体の動揺を防いで強風に耐える。

5.滑落阻止の基本
 春の軟雪でも、たとえば片足がズボッと埋まってバランスを崩して滑落することもある。
 バランスを崩し滑り出したら止められない可能性も高い。なにより、歩行技術が大切だし、バランスを崩しかけたら早い段階で対処するのが非常に重要。

6.バランスを崩しかけたときは、まずそれ以上バランスを崩さないように対処する。
 バランスの崩し方により、どんな方法でもよい。たとえば一つの方法として即座にピッケルのスピッチェ(石突)を雪面に刺して体勢を保持する。

7.尻もちまでついてしまった場合の滑落阻止
 下りで滑った時、尻もちをつきそうになったら、まず最初にアンカーポジションに持ったピッケルのピックを刺し、その後で体を捻り外側の足を雪面に打ち込み停止する。ポイントはお尻を雪面につけないようにして、アイゼンの先端を雪面に打ち込む。
ピッケルを打ち込んだ後に、足を交差させアイゼンのつま先の爪で止める

8.滑り始めそうになった時の滑落阻止
 雪面で滑りそうになった時滑落を阻止する基本姿勢を復習する。雪面に伏せて膝を曲げて足を上げ滑り始めたらすぐに、両足のつま先を雪面に蹴り込み滑落を阻止する。
 最初に空身でうつ伏せの姿勢、仰向けの姿勢で練習し、その後ザックを背負って各姿勢で練習した。

9.春の軟雪でのアイゼンでの下り(内股・内角立ち歩行)
 冬季の硬雪では足を肩幅ほどに広げてフラットフッティングで下る。
 春季の水分を多く含んだグズグズの雪にはアイゼンが利きにくい。その場合は、両足のアイゼンの内側の爪を左右交互に雪面に斜めに刺しながら下る。膝を内側に寄せて、反対側の脚の膝の上に重ねるようにしたあと戻して内爪を雪面に刺すとよい。

10.セルフビレイ支点の設置  スノーバー2本を縦に打ち込み、支点とした。バックアップで木から支点をとる。
 スノーバーの打ち込み角度と向き、踏み固める雪面の場所、引き出すスリングの注意

11.腰がらみ確保
 体験した。衝撃があまりかからない簡単な雪面、沢で状況に応じての使用に適する。

12.スタンディングアックスビレイ
 足場のセッティング、ピッケルを刺す向き、体の向き、アックスを踏み付ける足の選択についての説明
 通常であれば、ピッケルのシャフトにシュリンゲの輪を通しそれに環付カラビナを付けて、ピッケルを山側の足で踏みつけ、肩にザイルを通し制動をかける。
 ピッケルが雪に埋まりきれない時は、シュリンゲを通して環付カラビナを付け、シュリンゲを足で踏みつける。

13.肩がらみの制動確保
 練習を行ったが、制動確保には難しさがあるので、それを体験した。

14.設置したスノーバーの支点の強さの確認
 二人で支点に衝撃をかけながら引くと抜けなかったが、三人でやると抜けた。今回はやらなかったが、横にして埋めた方が強度がある。

15.土嚢袋に人間の頭大の雪を詰め、雪の中に埋めて支点とする。
 3人で引いて衝撃をかけたが抜けなかった。

 訓練を終えて15時30分に撤収した。駐車場に16時10分頃に戻り、16時45分にスバルラインで帰途に付いた。東名が渋滞しているとの情報があり、中央道から下道に降りた。渋滞があったが、21時頃には横浜に着くことができた。


(KOS N 記)

2022年度山行報告へ