剱岳 北方稜線 山行記録

日程:2018年8月10日(金)夜出発〜13(月)

8/10(金) 
大和駅 21:00 → 双葉SA 0:20 → 扇沢駐車場 3:20 車内で仮眠

8/11(土)  4:30起床、「扇沢駐車場」4:55出発 → 5:10「扇沢駅」6:30 → 8:10「室堂 2432m」8:45 → 9:33「雷鳥平 2260m」9:49 → 10:34「雷鳥坂 2475m」10:55 → 11:38「剱御前小舎 2753m」11:54 → 12:23「剱沢キャンプ場2526m」

8/12(日) 
2:00起床、「剱沢キャンプ場 2526m」2:55出発 → 3:25「剣山荘 2478m」3:30 → 4:06「一服剱の辺り 2616m」4:15 → 4:50「前剱の辺り 2811m」5:05 → 6:46「剱岳 2999m」7:07 → 8:05「長次郎ノコル 2908m」8:12 → 10:40「池ノ谷乗越 2858m」10:48 → 11:45「小窓ノ王を越えたところ2700mくらい」12:05 → 12:40「雪渓トラバース待ち」13:15 → 15:18「小窓雪渓 2365m」15:43 → 16:05「旧鉱山道」16:20 → 17:17「池ノ平小屋」

8/13(月) 
2:30起床、「池ノ平小屋 2042m」4:05出発 → 5:10「途中」5:19 → 5:40「ベンチ 1835m」5:55 → 6:28「二股吊橋 1588m」6:38 → 7:30「分岐 1676m」7:40 → 8:30「途中 1830m」8:40 → 9:44「ハシゴ谷乗越 2027m」9:57 → 11:40「内蔵助平 1701m」11:55 → 13:00「途中 1442m」13:10 → 13:50「途中 1249m」14:00 → 15:00「途中 1300m」15:10 → 15:45「黒部ダム駅」16:05 → 16:25「扇沢駅」17:00 → 17:20「薬師の湯」18:20 → 23:20「大和駅」

8/10(金)
21時に横浜を出発すると道路はお盆休みのため大渋滞で、予定だと道の駅安曇野ほりがねの里に到着するのが午前1時だったが大幅に遅れることになったので扇沢駅の駐車場へ直接向かうことにする。扇沢無料駐車場の事情はIZAさんが詳しいので先頭を走ってもらい残り少ないスペースに何とか駐車することができた。IZAさんがいなかったら有料駐車場に停めることになっていただろう。到着時間が遅かったので車の中で1時間仮眠をする。

8/11(土) 雨のち晴れ
5時に扇沢駅へ行くと切符売り場に行列ができている。2名で並ぶことにして他の人は別の場所で待機してもらう。始発の6時30分のトロリーバスに乗れることになりこれで室堂には早くつけるだろうと安心をした。室堂に到着すると雨が降っていて雨の中を歩ける準備をして出発をする。雷鳥沢キャンプ場に着くと雨がやんで空が明るくなってきたので、レインウエアをしまった。寝不足で皆さんの体力が心配されたが、雷鳥坂は1回休憩したのみで、午後には剱沢キャンプ場に到着することができた。
予定通りお昼に到着したが、寝不足のため身体を休めようということになり、ビールを飲みながら翌日の北方稜線について話をしたりして過ごした。途中多田さんが我々の知らない所で昼寝をしていて捜索をしようと話していたところで、携帯電話が通じて無事に見つかった。翌日は2時起床なので17時ぐらいに夕食を食べて就寝。周囲のテントが宴会をやっていてうるさくてなかなか眠れなかった。

8/12(日) 曇り 2時起床3時出発という予定だったが5分も早く出発をした。12人もいて5分前に出発できるなんて予想してなかった。私はこれで今日の行程は無事に行けるだろうと思いながら出発。3時に出発するパーティはたくさんいて一服剱あたりではたくさん人がいた。50分歩いて10分休むペースで歩き、前剱の手前で休憩とハーネスを装着した。その後カニノタテバイを登り、無事に剱岳山頂に到着。4時間弱で山頂へ到着したので予定通りの時間だった。
山頂で集合写真を撮ったり休憩をして、いざ北方稜線へ向かう。ガスっていて視界が20〜30mしかなく長次郎谷ノコルがまったく見えない。とりあえず踏み跡らしきところを歩き、ルートを探しながら歩く。2番目のZUKAさんの姿が見える範囲でルートを探す。降りる箇所はZUKAさんが写真を持ってきていたが、よくわからず私が先頭でルートを探しながら行く。途中でトラロープが垂れ下がっていてルンゼを下りたくなったが、浮石がたくさんあり、またNさんからルンゼには行くなと言われていたのでそこには行かずに尾根沿いを歩いた。いくつか降りるルートがあり私が最初に長次郎ノコルへいったん降りた。下からみると簡単なルートがあったので登り返して皆を誘導し、全員無事に長次郎ノコルへ降りた。
ここまで来るのに凄く時間がかかってしまった。次は長次郎ノ頭を越えていく、お助け紐がかかっていてルートだと判断して登る。登り終えるとトラバースする道がありその先のルートもみえたので、皆を誘導する。ザックが重たいのでロープを出してプルージックで登ってもらった。荷物が軽い人は問題なくそのまま登ってこれるような場所で、鷹取山の学校フェースと比べても簡単だったが、テントを持っている人は荷物が重いので念のためロープをだした。

ここから先は踏み跡もわかりやすいので問題なく進んだが、稜線上に踏み跡があったのでそのまま進んだら2mぐらいの下りで足場がなくスリングやロープで懸垂下降することになってしまった。後方のFUJIさん、TDさん、MIYAさんには巻道を見つけて歩いてもらった。結果的には巻き道を行くべだった。またしても時間がかかってしまい、ルートファインディングを誤ると難しくなるし時間がかかり大変だということを実感した。そこから慎重にルートファインディングをし、池ノ谷乗越の上部へでる。ガスっていて見えなかったが八ツ峰方面からのクライマーの声ですぐ近くまで来ていることがわかった。ここから先は急な斜面を下るので落石には十分注意しながら下りてもらう。我々が下りている最中に後続パーティが落石を起こし、ソフトボールぐらいの大きさの石が私にめがけて落ちてきたので岩から飛び降りて何とか回避した。飛び降りた所が池ノ谷乗越で2人のパーティがいた。その2人に「あたらなくて良かったですね〜」と言われたぐらいあたってもおかしくない状況だった。その2人のルートを聞くと北方稜線だという。池ノ平小屋を2時半に出発したが、ガスっていてルートファインディングに苦労したと言っていた。

池ノ谷乗越で10分ぐらい休憩し、池ノ谷ガリーを下る。ここで石を一つも落とさずに下るのは無理だが、大きい石だけは落とさない様に注意をして下る。我々のパーティで派手な落石をした人はいなくてよかった。我々が小窓ノ王の発射台を登っている最中、池ノ谷ガリーで派手な落石音と「ラク!」と大きな声が何回も聞こえた。

小窓ノ王で小休止をしていると雨が降ってきた。皆には最後の難所は雪渓トラバースだと伝え明瞭な踏み跡を下っていく。自分が思っているよりもずいぶんと下っていく。以前来た事があるKNさんがいてくれたから安心して歩けた。下っていると先行パーティに追いついた。雪渓トラバースの箇所がわからなくて1時間ぐらい迷っているとのこと。KNさんにナビをしてもらい、あっさりと雪渓トラバースに到着することができた。すでにパーティがいて我々は3番目、ここを通過するため前爪付きのアイゼンとピッケルを準備。私がリード、MAにビレイをしてもらいロープをフィックスして順番に渡ってもらう。KNさんにも全員の安全面をみて頂いた。皆さん雪上訓練等に来ている人なので問題なく最後の難所をクリアした。
ここから先も踏み跡があり下りながら稜線上に戻る。岩がぬれていて慎重に下っていると池ノ平山がみえてきて、小窓雪渓も確認することができた。雪渓の近くで小休止してまたアイゼンを装着して下る。斜度は緩いが転んでケガをするのも嫌なので念のため装着した。池ノ平小屋へ行く目印も明瞭だったのですぐに確認することができて良かった。
雪渓を抜け、アイゼンを外して池ノ平小屋へ向けて出発。全員無事に17時過ぎに到着することができた。到着してすぐに我々の下るルートにスズメ蜂の巣があり10名が刺されてそのうち一人がアナフィラキシー症状でヘリコプターにて搬送されたと聞いた。(結果、翌日蜂の巣は撤去されていて問題なく下れて良かった。)テント場では蚊とブヨがいっぱいいて何ヵ所も刺されてしまった。私は一応防虫ネットをかぶっていたが、服の上から刺されたりした。 翌日も行程が長いため、食事をとりスズメ蜂に刺されないことを願いながら就寝。

8/13(月) 雨
2時半起床、ご飯を食べて4時に出発。雨も我々が出発しようとするときに降ってきた。雨は降ったりやんだりで途中レインウエアを脱いだり着たりして下った。スズメ蜂の巣も撤去済みの表示があり安心して下ることができた。
ハシゴ谷乗越は結構な急登、上の方はハシゴがいくつかかかっているからハシゴ谷乗越というのかと思いながら登った。眺望台は登山道からすぐ近くなので全員眺望を楽しんだ。下りは雨で雷が鳴ったり、雨脚が強くなってきたので1時間半ぐらい休まず移動した。ここから先は淡々と歩き、16時前には黒部ダムへ到着することがでた。振り返ると夏の暑い時に歩いていたら熱中症になってしまうようなルートなので、雨でまだよかったかもしれないと思った。ハシゴ谷乗越は秋に歩くのが良いと思った。
感想:
MH
北方稜線はガスっていて眺望がなくメンバーには剱岳周辺の景色を見てもらいたかったです。眺望がない代わりに高所感がなくて怖い所も怖くなく行けた部分もあったかもしれません。(笑)
今回のメンバーは歩きもしっかりとして安心でした。普段Nさんのやっている岩トレや雪上訓練が役にたったのではないかと思います。
北方稜線でのルートファインディングはガスっていたせいかやりがいはありましたが間違えるとメンバーを危険にさらすということも頭に入れておかないといけないと改めて思いました。
皆さんのご協力で無事に成功することができました。ありがとうございました。

MIYA: 毎回の山行がそうであるように、すべての山に危険はあると常に認識して、一歩ずつの歩みを慎重、着実に積み重ねて登る、土産は無事故で家に帰着する、このことを意識して実践してきました。
8月11日の「山の日」に放送されたNHK番組、ドローン山岳撮影による剣岳を、家族が録画していました。今回の山行後に見ましたが、上空からの山容はドローンのなせる技、人を寄せ付けない岩壁の巣窟を見事に映すものでした。「よくこんなに難しい山を登った」と、自分ながら驚いています。一方で、家族は驚きを通り越して呆れて、もうやめてほしいと懇願していました。
その原因の一つに考えられるのは、放映内容が初のドローン撮影により山を美しく見せるばかりで、撮影隊を含む登山者たちの訓練や経歴などの紹介はなく、美しさだけを追求したものでした。厳しい自然を相手に登山を安全に楽しむ山の日にふさわしい、もっと地に足のついた番組であればと思いました。 難しい山を登った感慨は語らずじまいで、リスクを回避する安全な登山ができると説得に努めましたが、実際に実体験してみなければ危険性と安全性は分からないことが多いのではと思います。



(記録:MH)



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