唐松岳〜不帰ノ嶮〜白馬三山縦走

日程:2018年7月13日(夜)〜16日

<行動時間>
7月13日(金)
 竹橋発あるぺん号22:30
7月14日(土)
 八方バスT着5:05−ゴンドラアダム6:30−八方池山荘7:20 第3ケルン8:15−丸山ケルン9:45−唐松岳頂上山荘着10:45
7月15日(日)
  起床3:00−頂上山荘4:55−唐松岳(2696m)5:13−二峰南峰6:00 一峰7:25−不帰キレット8:53−天狗ノ頭9:43−天狗山荘10:08 白馬鑓ヶ岳(2903m)11:28−白馬岳頂上宿舎13:35
 7月16日(月)
  起床3:20−キャンプ場発5:00−白馬岳(2932m)5:36−三国境6:07 小蓮華山(2766m)6:45−白馬大池山荘7:52−乗鞍岳8:33 天狗原9:25−栂池山荘10:10−八方バスT 14:15−新宿バスタ21:40

  <山行報告>
7月14日
 竹橋発あるぺん号は22:30に出発。7月の連休だけあって、毎日新聞社のロビーは大混雑だった。5:05に八方バスTに到着した。そのまま旅館街を歩き、ゴンドラアダム乗り場を目指した。夏場のため6:30運行開始とのことで、すでに30人ほどの登山客が待っていた。ここで朝食を取り、登山届を提出。登山計画を説明すると、県遭対協の人が“素晴らしい”と褒めてくれたが、その場で即席で書いている輩と比べただけかもしれない。荷物を重量計に載せ、MIYAさんは16s、カタは19sで二人とも15s以上のため、追加料金(440円)を支払う。テン泊だし、これくらいは当然だろう。

 ゴンドラからリフトに乗り継ぐ。黒菱平の鎌池にはニッコウキスゲが群生し鮮やかだった。2つ目のリフトを下りたところが八方池山荘で、登山のスタート地点だ。混んでいたので、ゆっくりと登り始めた。この辺りはまだハイカーも多いせいか、ロープや高山植物の説明書きも多く判りやすい。
 第3ケルンまで来ると、曇がとれて白馬三山が目前に聳え、唐松岳に続く不帰ノ嶮の峰々がはっきり見えた。その中でも、やはり天狗ノ大下りが圧巻だ。さらにジクザクの斜面を登り、ダケカンバの林がある下ノ樺付近は、真夏の日差しを遮ってくれて有難い。木陰で水分補給をしていると、関西風の山おばさん達が入り込んできて、“サンカヨウだ。ここってこんなに咲いていたっけ”と感嘆の声を上げていた。“とは言っても、私ここ初めてやけど”と落ちまでついていた。私はそれより、奥に二輪ほど咲いた、淡い紫色のシラネアオイが久しぶりで嬉しかった。トッキョトキャキョクの鳴き声が繰り返し聞こえた。何の鳥だったか思い出せない。ガレ場を登ると丸山ケルンだ。
左手にはまるで並行して並ぶ―5月に荒天のため断念した遠見尾根が見え、五竜岳や鹿島槍への続く。ガレ場が多くなり、一部崩れて網で覆っている箇所もあった。まもなく、頂上山荘に到着した(10:45)。早速テントの登録をしていると、“午前中でテン場は満杯だ。詰めて張るように言ってくれ”との係員の声が上がった。先に宮川さんに場所の確保をお願いしていたので、われわれの4天が一つだけ張れる、いい場所を確保できた。ここのテン場は1〜2張りしか張れないような場所が、中腹まで続いている。流石に昼頃になると、雪田付近やかなり急な斜面にテントを張ろうとして、“そこにテントは張れません”と叫ぶ山荘係員の声が何度も聞こえた。暑かったが、正面には形のいいピラミッド型をした剱岳と立山連峰が聳え、見ていて飽きない。早めの夕食を取り、明日に備えた。

7月15日
 3:00に起床、お粥を食べて出発に備えた。ここには外にトイレがなく、小屋のトイレを借りるため、絶対数不足(大3)。早朝4:30というに順番待ちをしていた。朝食後の混雑が心配される。
 本日、快晴なれどやや風強し。朝日を浴びて唐松岳に登る人、そして下りてくる人が見える。20分ほどで山頂に到着。山頂からは剱岳、鹿島槍岳、槍ヶ岳など尖った山々がその雄姿を競っているようだ。これから挑む不帰ノ嶮を見下ろすと、2〜3人の少数のパーティが点在するのみだ。いよいよ、今回の山行の核心なり。気を引き締めて、(Nさんの言葉じゃないが)臍下丹田に力を入れて、ガレ場の斜面をゆっくりと下り始めた。三峰からは廻り込むようにして、そこから稜線を上がると、二峰南峰に出た。4人組の年配のグループとハーネスの指導をしているような(なぜこんなところで)新人を含む4人を追い越した。二峰北峰からはハシゴ、鎖場が連続する岩場で、気が休めない。長野側の下りの鎖場は長く、先が見えないため、混雑したら大変な渋滞になるだろう。アップダウンの連続で、足元も悪く注意が必要だ。

 下りた地点が不帰キレットで、これから始まる天狗ノ大下りを目前に一服した。ここで雷鳥の親子に遭遇。今までの緊張を和らげてくれた。ここからの長い登りは疲れたが、それより落石をしないようゆっくり登ることを心がけた。下りてくる人たちから時折、ザザーッと滑る音も聞こえ、石に当たらぬよう注意をした。急な登りを越え、さらに広い稜線を行くと天狗ノ頭だった。広いので向こうからパーティが向かってくるのがよく見える。

 天狗山荘は雪崩で小屋が傾き建替え中で、キャンブ場と売店だけが営業していた。山小屋のおばさんが“来てみたら雪崩で壊れていて、吃驚しちゃったわよ。こんな事は始めて”と嘆いていた。雪田をトラバースし大出原の分岐に到着。この辺りは砂礫地帯で、紫色のウルップソウが一面に広がっている。鑓温泉へ道はがけ崩れのため閉鎖されていた。存在感のある鑓ヶ岳の登りも天狗ノ大下り同様に疲れた。山頂は広く展望がよい。
 振り返ると天狗池と天狗山荘が目下に、そしてその先には不帰ノ嶮が見え眩しいほどだ。行く先には杓子岳と白馬岳が望め、もうひと頑張りと奮い立たせた。ガレ場を下りていくと、突然“ラーク、ラーク!”との若い女性の声が上がり、身をかがめた。
形のよい杓子岳には登ってみたかったが、テン場のことが気になり、先を急いだ。右下には大雪渓が見えてきた、登ってくる人、下りていく人たちが点になるまで続いていた。ようやく村営頂上山荘が見え、テン場に到着した(13:35)。予想とおりこの時間でテン場は一杯で、空いているのは斜面か、石の多い場所かかなり遠くかだ。結局、大小の石が多い地点に張ったが、昨日に山小屋へ行くまでの斜面の登り下りがない分、楽だった。
7月16日
 夜半から朝にかけて風が強く、フライが飛ばされないか心配だった。北西からの吹きおろしが流れ込むカールになっていて、風がかなり強いとは聞いていたが、風の音で何度も目が覚めた。3:20起床。カップ麺を食べ、出発の準備を始めた。フライを外そうとしたが、本体が飛ばされそうになるため、先にポールを抜きテントを潰してから畳んだ。
    豪華な高原ホテルのような白馬山荘を越え、間もなく白馬山頂に到着した。今まで歩いてきた、杓子岳や鑓ヶ岳方面は険しい山々が広がるが、これから向かう小蓮華山方面の稜線はなだらかだ。間近に見える旭岳が堂々としている。ガレ場を降りて、雪倉岳との分岐となる三国境に到着。左側には緑色のロープが張ってあり、そのガレ場の斜面にコマクサの大群生が、下の雪田まで広がっていた。花も葉も淡く小ぶりで気が付かなかったが、よく見ると可憐で鮮やかだ。
 小蓮華山へはなだらかな登りだ。山頂からは白馬大池から乗鞍岳へと続く稜線が心地よい。数年前の5月の会山行で小蓮華尾根を登った地点を探してみた。稜線に出るまでの急な雪渓、険しい藪漕ぎ等、とても懐かしい。イハヒバリが鳴く中、のんびりと下っていく。船越ノ頭の登りで突然の渋滞。20人ほどのツアー客のようだ。雷鳥坂のゆるやかな斜面を下りると、白馬大池山荘に到着。レンガ色の小屋、静かな池と山、雪田が映えて休まる。  池を廻るように大きな岩場を歩く。ダラダラと登ると大きなケルンがあり、そこが乗鞍岳山頂だった。ハイマツの多い広くゆるやかな山道で、今回2回目の雷鳥に遭遇。目の上の赤い肉冠が見えるのでオスだ。さらに下ると急な斜面に雪田が広がり、軽アイゼンを装着している人もいた。われわれはキックステップで軽快に下りて行った。ゴロゴロとした岩場を越えると今度はもっと大きな雪田が下まで続き、少し驚いた。ロープが張られ、それを頼りに登る人、下りる人、よって大渋滞だ。こちらの斜面は先ほどより長く急だ。へっぷり腰でロープに頼っているのはツアー客か。ようやく下にたどり着くと湿原の入口で木道歩きが始まった。
 天狗原湿原は観光客も多い。木道をゆっくりと歩く。ジグザグで急な斜面を下りていくと、また、あのトッキョキョキャキョクの鳴き声が繰り返し聞こえてきた。ホトトギスか。 
栂池山荘が見えてきた。ここで一服し、観光客の多い栂池公園駅からロープウェイに乗り、さらにゴンドラに乗り換え栂池高原に到着した。ここからタクシーに乗り、八方に向かい、八方の湯(700円)の入り、うどんを食べた。
 ロシアでのWカップの決勝は、夜半に行われフランスがクロアチアに4対2勝利したそうだ。街中では猛暑だという。14:15発の新宿行アルピコ号に乗り、新宿に向かった。 


記録 カタ


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