北岳バットレス第四尾根の記録

日程:2018年9月22日(土)〜23日(日)

9月22日(土)
5:30横浜⇒厚木経由⇒8:30芦安市営第5駐車場⇒(乗合タクシー)⇒9:40広河原9:50→12:10白根御池小屋CS13:20→14:30bガリーへの取付き→15:50白根御池小屋CS

5時半に横浜を出発。横浜町田IC入口は混んでいたが道中は大きな渋滞も無く芦安到着。上部の駐車場は一杯で警備員の誘導で第5駐車場に駐車することになったが、乗合タクシーが第5駐車場に下りてきていてすぐに乗ることができた。

9:40に広河原に到着した。小雨が降っていたが準備をしている間に止んだ。途中雨が降ったが樹林帯なので雨具は着ないまま2時間20分程で白根御池小屋に到着した。池の近くに場所を決めてテントの設営を始めた途端に強い雨が降ってきた。フライを張る前にメッシュのテントの内部が濡れてしまった。服も濡れてしまい意気消沈して小屋の前の屋根の下でお湯を沸かしてゆったりしたら下見も止めようかという雰囲気になってしまった。でもこのままでは時間つぶしもつらいので、晴れ間も出てきた所で気力を振り絞り下見に出かけた。

下見では過去幾度も場所を間違えてきたので、暗い中でも間違えないよう入念に入口とそこまでのルートの取り方などをチェックした。いつも涸れているバットレス沢も水が流れていた。C沢の方もチェックして行きすぎた場合も戻れるように確認をした。他にも下見のパーティーが居た。天気予報通り天気は回復して明日は好天が期待できそうだ。

9月23日(日)
2:00起床→白根御池小屋CS 2:38→3:58 bガリーへの取付き4:13→5:00 bガリー大滝5:50→6:10 Cガリー横断後のテラス6:30→6:40第四尾根テラス6:55→7:00 1P終了点→7:51 3P終了点→7:50 4P終了点→8:22 5P(マッチ箱懸垂点)→8:31 懸垂下降→9:28枯れ木テラス→9:45城塞チムニー→10:15終了点→10:30大テラス10:57→11:20北岳11:25→11:48北岳肩の小屋→13:08白根御池小屋CS13:41→15:27広河原15:50→17:00芦安市営第5駐車場⇒22:00横浜

朝2時に起床。朝食は行動食としたので、装備整えてトイレを済ませて40分程で出発した。周囲のテントも既に行動を開始している。空には星空が広がり好天を約束してくれていた。

入念な下見のおかげで間違えることなくbガリー大滝への入口へはいることができた。1番乗りと思える状況だったことと、この先は安全地帯が無いので大樺沢から少し上がった所で長めの休憩を取った。しかしどんどんヘッドライトが迫ってきて落ち着かなくなってしまい暗い中を登ることにした。bガリー大滝に着くと2人組のパーティーがすでに居た。2番手になるかと思ったが、初見で暗くてどこを登るか分からないと言うので、先に行かせてもらった。ロープを出して準備を進めているとどんどん人が上がってきた。まだ日の出前だったぐずぐずしている雰囲気ではなかったのでヘッドライトを付けて登り始めた。bガリー大滝の下部クラックは1か所だけ中間支点を取ってテラスで終了。そこで日の出を迎えた。上部はKTAROさんにリードで、bガリー大滝は終了。クライミングシューズは使用しなかった。

ロープを仕舞って草付きの緩斜面を登る。残置ロープがあるルンゼ状を登った所で左に戻るようにCガリーへのトラバース道の入口があるのだが、うつむいて登ってくるので見落としやすい。
灌木を進むと眼前にCガリーが現れる。対岸に見えるバンドを確認して、少し上部に移動してからザラザラのCガリーをトラバースした。バンドの踏み跡は依然より明瞭になっている気がした。
バンドを上がるとビバークできそうな場所に出る。ここでクライミングシューズに履き替えた。すぐ横にあるルンゼ状の岩壁を登り、木の根や草を掴みながらしばらく登ると第四尾根取付きのテラスに出る。取付きには誰もいなかった。 後続のパーティーは直ぐに上がってきたがそれ以降は直ぐに来る気配はなかった。急かされる事も無く準備を整えて、登攀を開始した。

《第四尾根主稜》
1ピッチ目 40m W+(KNリード)
右の足元にある外傾したステップに乗り、クラックの中のホールドを掴んで上手く上がることが出来た。カムは使わずに残置ハーケンにプロテクションを取った。フットジャムが痛くてA0となる。太り過ぎ。

2ピッチ目35m V−&3ピッチ目40m V(KTAROさんリード)
右のフェースから草付きを登る方へ誘導した。残ロープがどんどん少なくなり大声でコールをするが届かず、ビレイを解除してコンテで登った。KTAROさんはしっかり3P目を登り切ってからビレイ解除のコール。2P目の終了点には顕著な支点は無かったがミス。

4ピッチ目15m U(KNリード)
奇数偶数のリード順が崩れたのでKNリードになって前進。短いリッジを登って歩いて終了。

5ピッチ目35m W+(KTAROさんリード)
崩壊前の核心の「垂壁」。初めて来たときは苦戦したが、落ち着いてみれば板ガムの厚み程の出っ張りや凹みがあって立つことが出来る。KTAROさんにアドバイスをしてリードしてもらう。「垂壁」を右側から乗り越えてマッチ箱の頭に繋がるリッジに上がると、好天で目がくらむ程の高度感。白根御池のテントが良く見える。
マッチ箱からの懸垂下降10m(KNリード)
今回もマッチ箱の先端ではなく5P目の終了点から直接懸垂下降した。支点はリングボルト2つで少々怪しい。ロープ1本を外して懸垂下降のセットをして、もう一本は外さずに双方連結したままでバックアップの様に2edが送り出して、リードが降りたところでロープダウンした。下降地点は1ピッチで枯れ木テラスに届くか試すために、バンドではなく通常の最初のプロテクションを取るハーケンがある少し上に降りてみた。確保用の支点は無いのでカム2個で支点を構築した。

6(7)ピッチ目40m V+(KTAROさんリード)
枯れ木テラスまで1ピッチで届くか?初見のKTAROさんには荷が重いがリードしてもらう。 枯れ木の下側(ルンゼ状側)を登ったが、枯れ木テラスの3m程手前でロープ一杯となってしまった。際どい支点で2ndを確保してもらい手前のビレイ点まで登って、短いがシステムを再構築してKTAROさんを確保し直して枯れ木テラスの終了点まで登ってもらった。
8ピッチ目20m V(KNリード)
リッジを掴んでのトラバース。リッジを両手で掴む最初の踏ん切りに勇気がいるが後はカニ歩き。一ヶ所切れたギャップを乗り越す所がちょっと怖い。
9ピッチ目20m W+(KNリード)
いよいよ最終ピッチ。振返ると後続パーティーが続々と登ってくる。順番通りKTAROさんが リード。A0を拒み頑張っていたが、下から見ている感じでは体が大きいのでクラックの中に入れず苦戦していた。パンプしてしまい一旦敗退。リードを交代して登る。クラックに入るのに苦戦したのでA0で上がる。中に入ると以前は無かった残置カム(食い込んでいる)が目の前にあって、プロテクションを取るのにちょうどよい高さで一息入れられる。左壁からリッジの外に出て這松でビレイを取った。KTAROさんに上がってもらい、そのまま小テラスまで進んでもらった。ロープを仕舞ってU級程度の斜面を登って大テラスへ移動して装備を解除した。
渋滞を覚悟していたが、10:30に大テラスに到着することができた。今日中に横浜まで帰れそうだから、祝杯は横浜に戻ってKTAROさんの奥さんを交えて上げようと言う事になり北岳山頂から草すべり経由で白根御池小屋に下山した。最終乗合タクシーが16:40でコースタイムを見ると少々焦ったが15:30前に広河原に着くことが出来た。少々順番待ちをしたが17:00に駐車場に戻ることができた。風呂にも入らず一路横浜へ向かったが、大渋滞で横浜に着いたのは22:00だった。それでも一旦荷物を置いて22:30に集合し居酒屋を見つけて予定通り家族を交えて祝杯をあげた。帰宅するまで23時間行動(笑)となった。


(記録:KN)



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