5月会山行 北ア・燕岳〜常念岳縦走

日程 2017年5月2日(夜)〜5日

<行動時間>
5月2日(火)
長津田駅発21:00−穂高駅着01:00(3日)
5月3日(水)
穂高駅発タクシー6:15−中房温泉発7:23−第二ベンチ8:18−合戦小屋10:15
−燕山荘着11:32
5月4日(木)
起床4:30−燕岳山荘6:50−大天井岳10:35−東大天井横11:55−常念小屋13:30
5月5日(金)
起床4:20−常念小屋発5:40−常念岳6:53−前常念岳7:51−三股11:10
−駐車場タクシー12:00−しゃくなげの湯発14:00−長津田駅20:00

 5/2(火)
 FUJI、TADが長津田駅に集合し、KATA車のフィットで21時に出発。東名〜圏央道〜中央道〜長野自動車道を順調に走り、豊科ICで降りて、1時に穂高駅に着いた。駅の近くにある、穂高神社奥の駐車場に停めて仮眠した。

5/3(水)
 5時半に起床し、JR穂高駅に向かうと有難いことにタクシーを捕まえることができた。昨夜、駅のタクシーに予約をお願いしようとしたら、連休のため予約で一杯との話だったからだ。中房温泉まではつづれ折れの細い道を走り、約40分かかった。

 登山届を提出し、樹林帯の階段をゆっくりと登り始めた。登山道にはさほど雪は残ってなかったが、第二ベンチに近くなると雪はだいぶ残っており、アイゼンを装着した。さらに登り、合戦小屋に到着した。見晴らしの良い小屋のベンチでは多くの人が休んでいた。天気も良くみんな嬉しそうだ。小屋は雪で覆われていたが、入口付近は除雪され、カップ麺や飲み物を販売していた。

 この辺りが森林限界のためか樹々もなくなり、合戦沢ノ頭への開けた雪面をゆっくり登っていった。燕山荘が見えたが急登のため、やや疲れた。テン場に直行し、場所を確保してから受付に行くと幕営番号は28番だった。事前にブログで調べたところ、「テン場は小さく30張を越えたら、小屋に泊まっていただきます」のように書いてあったので焦ったが、その後もテントは増え、40張以上はあっただろうか。
 テントを張り一服し、燕岳を目指した。花崗岩の岩々、イルカのような岩を見ながら、のんびりとハイキングを楽しんだ。
 ビールで乾杯した後、夕食の準備のため水を買おうとしたところ、何と2Lのペットボトル「安曇野名水」が800円なり。周りに雪はあったが、人とごみの多いテン場のため諦めた。夕食はTAD さんの奥さんによる、牛丼を美味しく頂いた。
ところで、テン場では嬉しい出会いがあった。ジャカルタのグヌン会(グヌンとはインドネシア語で山の意味)で一緒に活動していたSさんと6年ぶりの再会だ。関西蛍雪山岳会の若手と同じルートを登って来ていたのだ。インドネシアで登った山々、バンドンの邸宅に泊まり山行やゴルフをしたこと、帰国した友人たちの動向等、話題が尽きなかった。

 5/4(木)
 4時半に起床し、ラーメンを食べて出発。少し歩くと蛙岩で渋滞していた。屈んで歩くというより、匍匐前進に近かった。大下りからはどっしりとした大天井岳が前にはだかった。湿った雪の残る急登を登っていくと、突然の停滞。見上げると4〜5人のメンバーが浮石の辺りで止まっている、上から「右にずれて下さい」との声がした。浮石の落石が怖かったので、右でトラバースして湿った雪面を登って行った。大天井岳の山頂からの展望も心地よいものだった。真っ白な鹿島槍がまた姿を現わし、剱岳もよく見えた。浅間山からの噴煙も見える。ここからは穂高や槍も近い。東大天井岳を巻き、平坦で雪が少なくなったところでアイゼンを外した。しばらく歩くと、堂々たる常念岳と下に小屋が見えてきた。大天井岳から常念方面への登山者は少なくなった気がしたが、意外にテントが多かった。
常念小屋のテン場には雪がなかった。ポカポカと暖かく、周りの人たちも目前の穂高や槍ヶ岳を見ながらビールで乾杯をしている。そのせいか、小屋のビールは早々に底をついてしまったそうだ。穂高連峰の雪面が光り輝き、やがて槍の穂先に日が沈んだ。小屋では1L 200円で買うことができた。夕食はFUJIさんのカレーとサラダ。
5/5(金)
 4時20分に起床。今日が一番の長丁場であること、天候が下り坂であることから急いで出発。表銀座がずっとそうだったが、雪は西側にはほどんどなく、東面にへばりついている。常念岳も登り道には雪はあまり残ってなかったので、アイゼンは装着せずにスタートした。登り終えた先は肩でその先に山頂があるが、その辺りから腐った雪が多く残っていた。400mtを登り、山頂にて心地よい疲労と雄大な展望をしばし楽しんだ。御嶽山はまだ噴煙を上げているようだ。その横に乗鞍岳が見える。遠くに見える剱岳の下に黒部ダムが見え、黒部湖の水は絵のように鮮やかな色をしていた。

常念岳から前常念岳へ降りようとすると、道はなく下へ落ちてしまいそうで、少し逡巡した。戻って少し降りてから、両側が切れたリッジを緊張しながらゆっくり歩いた。ここからは一ノ沢がよく見えた。あまり雪は残ってなかったが、川付近にデブリの跡が見られた。その後、30度程度の斜面をトラバースしたが、雪庇は見えなかったので少し安心しながらも足早に通過した。前常念岳付近は岩場が多く、途中でアイゼンを外した。しばらくすると樹林帯に入った。この辺りから、ヘリの音が頻繁にした。前日までは好天に恵まれ、ヘリの音も聞こえなかったが、やはりGWか。なだらかな樹林帯を降りていくと、今度は急斜面となり、トレースは利用せず直下し時間を稼いた。
1400mt付近まで降りるともう雪も残っておらず、春山のハイキング気分だ。水の音が聞こえてきた。下山地点の三股も近い。新緑とそよ風とせせらぎの音が心地よかった。登山口でヘリは事故対応か聞いたところ、3月に起きた長野防災ヘリの墜落事故(9人死亡)のため警視庁から応援が来ている、とのことだった。帰って調べてみると、この日は前穂高で滑落事故で死亡、槍ヶ岳でも骨折事故等あったようだ。

 ゲートの駐車場には、前常念岳から電話した南安タクシーが待っていてくれた。穂高神社に向かうタクシーから常念岳を眺めると、3月に登った日光白根山のような双耳峰をしている。運転手が「前常念が横になるとあぁ見えるんです」といった。私が「常念岳はどこからみてもいい形をしてますね」と返した。

 (反省を込めた感想)
・下山ルートは雪の状況に応じて、蝶ヶ岳ルートか、前常念岳ルートにするか決めることにしていた。もうひとつの一ノ沢ルートは、雪崩が多いとの情報から候補からは外していた。結果的に、前常念岳のルートは雪のリッジや斜面のトラバース、岩稜歩き等、この山行で唯一、緊張と慎重を要求された歩きができた。

・3日間とも風もない晴天に恵まれたため、周りの景色とトレースに頼った歩行になってしまった。地図を見なかったわけではないが、いつの間にか見る回数が減っていた。

・IZAさんのお勧めの通り、穂高神社近くに駐車して正解だった。当初、中房温泉に駐車することを検討していたが、三股から中房温泉までタクシーで行き、その後、狭くくねくねした道を運転するのは、相当に緊張し疲れたはずだ。この道は事故も多いとのこと。

・5日の朝は早めにスタートするため、朝食は各自担当としたが、朝食くらいしっかり取ってのスタートでもよかったのかもしれない。

・運転手の勧めた「しゃくなげの湯」は新しく湯船も広く気持ちがよかった。入浴後、ゆっくり食事をして帰路についた。

  (KATA記)

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