北ア・黒部五郎岳縦走

日程 2017年8月10日〜14日

<概略>
 富山の折立から黒部五郎岳〜槍ヶ岳〜上高地の3泊4日の日程で山行を計画したが、体力的に2日目に予定していた三俣蓮華小屋まで行けず、黒部五郎小屋にてテント泊としたため、双六小屋から新穂高温泉へエスケープした。天候予報的には天候が危ぶまれたが、4日とも行動することができたことは幸いしている。

<行動記録>
 8月10日
 今回は夜行は体力的にきついと前日に富山泊と計画したため、10日の14時51分東京駅発のかがやき545号で富山駅に向かった。車中、缶チューハイを飲みながら北アルプスの縦走に思いを巡らせた。やや天候が心配されるが、万が一雨の場合は太郎平から折立へ下山することも頭に入れ山行に望んだ。
 17時06分に富山駅に着き、ホテルへ荷物を預け、富山の海の幸を摘まみに酒を飲もうと予約していた「親爺」というカウンター席13ほどの店に向かった。刺身の盛り合わせ、ノドグロの塩焼き、白エビの掻き揚げなどを摘まみに立山という日本酒を飲んで、富山の海の幸を堪能した。
 ホテルへ戻り、テレビで明日の天気を確認すると、富山地方は曇のち雨の予報で、昼までは持ちそうだと安堵して、早々に寝た。

8月11日 天気:曇、夜半から雨
 4時45分に起床する。5時30分にホテル前に予約していたタクシーに乗車して、折立へ向かう途中にコンビニで朝食を購入する。本来は富山地方鉄道のバスが3便あるが、満員で予約が取れなかったため、タクシーでの入山となった。
 途中のゲートのかなり手前で6時過ぎに渋滞にはまる。運転手もこんなの初めてと言っていた。20分くらい渋滞で待って、ゲートを通り過ぎ7時15分に折立に到着する。ここでもトイレ渋滞にはまり20分強のロスとなる。折立を7時45分に出発する。天候は曇で雨の心配は無さそうである。樹林帯の緩やかな登りを歩いて行くが、かなりの登山者に抜かれた。50分ほど歩き休憩を取る。この辺の樹木は黒部の名になっている「クロベ(ねずっこ」の黒い木肌の針葉樹林が多い。さらに50分ほど歩き、突然、樹林帯が途切れ、ベンチがある休憩地点にでる。標識には三角点とある。本来なら薬師岳などの稜線が見えるはずだが、ガスが掛かって、展望はない。

三角点から少し登山道は下りになり、また、樹林帯となる。尾根への登りとなり、整備された岩の登山道を歩き、休憩を入れる。ふと振り返ると有峰湖が見える。
 整備され石が引き詰められた登山道を歩いて行くと、30分くくらいで小さなピークへでる。そこが五光岩ベンチであるが、ここでは休まずさらに25分ほど歩き休憩を入れる。ここから太郎小屋がよく見える。
 休んだ所から30分強で太郎平小屋に到着する。ここまで4時間半で来たが、先にこされた登山者の数が気になり、テント場へ急いだ。

 12時40分にテント場へ到着すると、テントの花が咲き乱れ、4天を張る良いスペースが無く、石ころの斜めの場所を探して天幕を張った。そこの前に若い女性の単独登山者に聞くと、折立から3時間で上がってきたそうである。13時10分に天幕を張り終え、太郎平小屋に向かった。生ビールを飲むためである。一杯1000円の生ビールで喉を潤した。暫しまったりとして、缶チューハイを購入してテントに戻った。

テントに戻り、荷物の整理をしてテント内で缶チューハイを飲みながら、うだうだしていた。15時を過ぎ、TAD氏がもうそろそろ来そうだと、時折登山道の方に目をやり、来る登山者に注意を払っていた。  16時を過ぎても来ないので、何かあったのではないかと心配し、携帯電話にメールをしたり、電話を掛けたりしたが応答なし。17時までに来なかったら食事の支度にかかろうかと思っていたとき、17時少し前にTAD氏を見つけた。テント場の管理室は17時まで開いており、そこで缶ビールが買えるのでTAD氏はちゃっかり購入していた。無事再会できて良かった。話しを聞くと朝寝坊して予定していた6時の新幹線に乗り遅れ、富山駅に着いて、駅の係の方に聞いて、有峰口から折立へ行く方法を尋ねたらしい。その際、タクシーしか無いので、係の方が有峰口にタクシーの予約をしてくれたらしく。割高ではあるが、無事折立に着き、薬師沢のキャンプ場に間に合った。到着後の17時半には夕立が降り、雨に遭わず幸いした。

 到着後、TAD氏持参の夕食の牛丼を美味しく頂いた。明日の天気は富山地方は午前中雨の予報で、明日の朝に雨が降っていなければ、予定通り行動し、雨の場合は停滞し、午後に雨が止んだら、薬師岳に登るなど相談した。
19時頃に一端雨は止み、その合間にトイレに行った。シュラフに入った20時頃に再び雨が降った。明日の朝は3時起床、5時出発と決め就寝した。

8月12日、天気:雨のち晴れ
3時起床の予定が少し寝坊して3時20分に起床した。雨は降っていないので予定通りの行動を取ることを決めた。朝食のラーメンを食べ、テントを撤収しトイレに行くと10名以上が並んでいた。トイレを諦め、太郎平小屋のトイレに行くようにした。4時55分にテント場を出発し20分ほどで太郎平小屋に着いた。小屋の外のトイレに行くと4名ほどが並んでいた。15分ほど待ってトイレを済ませた。

 5時40分に太郎平を出発する。ゆるやかな登りで時折木道になっている。2336mの小さなピークを越えて、少し行ったところで休憩をする。弱い霧雨が降っている。休憩後に10分程歩くと雨が強くなってきたので雨具を着用する。二つ目のピークのところで雨が止み、青空も見えてきたので雨具を脱いだ。そして、ピークを越えて行くと、北ノ俣岳の山頂が見えた。まだ、40分以上はかかりそうだ。北ノ俣岳の山頂に到着したのが8時である。雨の影響のためといい、少々時間がかかった。雨ではあるがこの辺は高山植物が多そうである。

 北ノ俣岳から登山道は下りに入り、登り返すと赤木岳で岩稜地帯でOH氏は歩きずらそうにしていた。赤木岳で暫し休憩する。赤木岳の東の裾野は赤木沢の詰めで綺麗そうである。 そこから先はガスがかかり視界があまり利かない。中俣乗越と思われるところで休憩を入れ、登山道が大きく左に曲がり、ピークを越えると登山道は緩やかな下りとなり、カール状の様相で植物も多く生えていた。湿原の鞍部で休憩をすると。ガスがだんだんと上がり、その先に黒部五郎岳のピークが見えて先は長く険しいと愕然とした。

気持ちを入れ替え登っていくが、頂上付近は傾斜もきつく足が止まりそうになる。黒部五郎岳のピークの手前に12時20分に到着する。TAD氏は先に着き、黒部五郎岳へ行ったらしい。TAD氏が戻るのを待って、黒部五郎岳のカールへの道を下る。大きな岩のあるところで休憩を入れる。ここも植物が豊富なところで雨があがり、黒部五郎岳の岩肌と青空と残雪のロケーションが素晴らしい。あと1時間で黒部五郎小屋に着くだろうと思った。

 緩やかな登山道を下っていくが、OH氏のペースがダウンして1時間40分を要して黒部五郎小屋に着いたのが15時を回っていた。三俣山荘へ行くのを諦め、ここでテント泊と決めた。小屋裏の天幕場へ行くともはやテント場は一杯で、奥の草地に無理矢理テントを設営した。水は直ぐ上で沢の水が得られた。テント設営後に生ビールを飲みに行く。トイレは男女混合で4つある。 テントへ戻りOH氏準備の炊き込みご飯を頂く。今日は天気も良さそうなので、明日は三俣蓮華岳、双六岳の尾根道を行く計画にして、槍ケ岳はあきらめ双六小屋までの行程に決定した。

8月13日 天気:晴れ
 4時起床して朝食の雑炊を頂く。テントを撤収して小屋へ行き、トイレを済ませようとするとやはり10名以上が並んで渋滞した。20分ほどの時間のロスとなった。 5時50分に黒部五郎小屋を出発し、樹林帯の急登を行く。朝一番で辛いところである。樹林帯を抜け、傾斜が緩やかなところで休憩を入れる。周囲はチングルマが多かったが、すでに咲き終わり、穂の状態であったが気分が良いところである。
 休憩した地点から歩き、登山道は尾根状のところにさしかかると、高山植物の多いところにさしかかる。おそらく残雪が多いところであろう。チングルマ、チョウノスケソウなど多くの高山植物が見られた。その後、登山道は右に90度折れ(2661m付近か)、ハイマツ帯になる。周囲の展望も良くなり、鷲羽岳、行く手に三俣蓮華岳、左に雲の平も見える。その先の登山道は尾根状で細くなり、三俣蓮華小屋の分岐点で休憩する。

 休憩した地点から黒部五郎岳のカール、雲の平、雲にかくれた薬師岳と展望が利くようになり、天候は良くなっている。ここから三俣蓮華岳へ急登である。一歩一歩高度を上げ、登ること1時間足らずで三俣蓮華岳の頂上に出る。登山者が多かった。鷲羽岳はガスに覆われ、雄姿が見えないのは残念である。10分ほど休憩し双六岳へ足を運ぶ。稜線の先に双六岳が見えるはずであるが、ガスに覆われている。手前の中岳のピークがひときわ目立つ。尾根を一端下り、中岳へ登り返す。中岳で休憩を入れ、登り双六岳の頂上にでる。道標があり記念撮影をして、東に目をやると広い尾根の真ん中に登山道が延びている。その先に晴れていれば槍ヶ岳が見えるはず。ガスのため見ることはできない。その登山道をゆっくり歩き20分ほどで台地の端に来た。そこから登山道は一気に下る。トラバース道と合流すると少しして双六小屋に着いた。12時00分である。

 小屋で天幕の受付をしてテントを張りに行く。もはやこの時間で多くのテントが花を咲かせている。ここのテント場は広く快適で良い。テントを張り終え小屋で生ビールを飲む。実に生きがいを感じるひとときである。 午後はテント内で山談義をしながら酒を飲んだ。TAD氏は小屋でウイスキーを購入して飲んでいた。 夕食はKOSが用意したシーフードカレーを食べた。明日は新穂高温泉へ下山であるが、行程が6時間ほどかかるため3時起床、5時出発と決め、19時半頃に就寝した。

8月14日 天気:晴れ
 3時起床、朝食のラーメンを食べ、テントを撤収した。外トイレは5ヶあり渋滞はさほど気にならない。5時に双六小屋を出発した。テント場の池の横を行くと、尾根へ登りとなる。抜戸尾根に出たらゆっくりと下りとなるが、途中、槍ヶ岳の方角より朝日が望めた。ここの景色はいつきても良い。
 暫く笠ケ岳を見ながら尾根を歩き、分岐より一気に鏡平へ下る。小屋で休憩がてら、池に映る逆さ槍を楽しんだ。そこから樹林帯の石を引き詰めた登山道をひたすら下り、シシウドケ原で休憩をする。ここまで高度が下がると気温も暑くなった。
 小池新道の登山道はトラバース気味にどんどんと下っていく。樹林帯と岩の崩れたところを交互に越えて、沢のところで休憩。水は冷たく顔を洗うと気持ち良い。 右に崩落地が見えて、左に林道が見へ始めると、登山口は近い。林道に出て橋のたもとを右に曲がると、暫くしてわだび平の小屋に着いた。ここで長めの休憩を入れる。TAD氏は冷たく冷えたキュウリを食べていた。コーラフロートが美味しそうであったが、800円とは多少高いので、温泉へ入ってからのビールを楽しみにすることにした。
 小屋から10分で笠新道の入り口に着いた。そこから一気に歩き、新穂高温泉に到着した。
 風呂(中崎温泉)へ入り汗を流し缶ビールで喉を潤した。帰りの相談をしてバスで平湯に出ようかと相談したが、タクシーを呼び松本まで一気に出ることにした。運転手に料金はと訪ね、24000円位ですと言われ、二の足を踏んだが、タクシーで松本まで出た。
 松本駅で昼食をと考えて、昔良く行った「たくま」というカレーの店へ行くと、閉店とあったため、その近くの15時からオープンする居酒屋「築地海鮮市場」へ行くと、生ビール、酒、チューハイが一杯100円とあり、大いに飲み、刺身などを食べ一人2500円と安くすんで山行の締めくくりとした。
 松本駅からは松本駅発のスーパーあずさの自由席に乗車して、KOSとOHは八王子駅経由で、TAD氏は新宿駅経由で各々家路についた。
<行動時間>
8/11 7:10折立7:45-8:40三角点8:50-12:20太郎平小屋-12:40天幕場
8/12 BC4:50-5:10太郎平小屋40-8:00北ノ俣岳8:10-9:05赤木岳9:15-12:20黒部五郎岳12:40-15:10黒部五郎小屋
8/13 BC4:50-5:30トイレ5:50-8:42三俣蓮華岳9:00-10:42双六岳10:55-12:05双六小屋
8/14 BC4:30-5:35花見平5:45-6:40鏡平小屋7:00-10:10わさび平10:25-11:30新穂高温泉

<山行雑感>
 今年の夏は不順な天候が続いたが、何とか行動できた天候だったので、折立から槍ヶ岳までの縦走を完結したかった。OH氏が2日目に時間がかかり黒部五郎小屋までしか行けなかったのはリーダーとして判断ミスがあった。4泊5日なら行けたのだ!。OHさんこれから余裕を持っての山行に望みましょう。
 今回の山行で痛感したのは、天幕場が凄い込みようで、テントが張るスペースを確保するのに大変だったことがあげられる。8月11日山の日出発ということと、人気の雲の平へ行く登山者が多いことと、折立から3方向に行くベースになっていることがあげられると思う。また、若い登山者が増え、しかも各自1天を張っている登山グループが多いのも目に付く。また、大学のサークルのテントが多いのにも気がついた
。 そして山の鉄則である早出、早着きが大事である。昼頃には次のテント場へ着く計画が大事かと思う。早い登山者は朝の3時に出発していた。
 数年前に折立から雲の平への山行を実践したことがあり、30年前にも雲の平の山行を実践したことがあるが、景観は実に良いエリアである。雲の平で数日間、のんびりとしたいものである。
 新穂高温泉からの交通のアクセスは高山か富山に出て新幹線という手もある。高山から名古屋へのアクセスは悪いようで、高山から高速バス利用で新宿へ出るのが一般的らしい。お盆の時期でなかったら、バスで平湯経由松本行きが安いようだ。


(KOS 記)


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