2016年夏山合宿 北アルプス 剱岳別山尾根

日程:2016年8月12日夜〜15日(夜行2泊3日、他に予備日1日)
参加者:(L) N、On、Ab、Nj

<行動記録と感想>

前日:8月12日(金) 晴れ
22:00竹橋駅毎日新聞社玄関口 → 22:30毎日アルペン号(夜行バス)出発
(記録:Nj)
 22時に竹橋駅毎日新聞社玄関口へ集合した。数台の夜行バスが並ぶ中、1号車に乗り込み出発する。源次郎尾根を目指す山下パーティーも同じ車両だった。バスは満席であったが、補助席を使用する者はおらず、Nリーダー曰く「空いている方」だったようだ。寝酒を楽しんだ後、就寝する。席が後方でエンジンが近かったためか空調は効いているものの寒くなく、私には丁度良い室温で助かった。約2時間毎にSAへ寄りながら、室堂を目指す。有磯海SAでは、色々な種類の鱒の押し寿司や、スイカ・白エビ・ホタルイカのお土産が販売されており、とても美味しそうであった。後ろ髪を引かれたが、これから山行が待っているため、帰り道に期待して我慢である。

(追加記録と感想:On)
 8/12夜〜8/15、夏合宿・剱岳 別山尾根にL-Nさん、Njさん、Abさん、Onの計4名で行ってきた。Nさん以外の三名は新人の為、行くにあたりまず事前に7/16に鷹取山で鎖場通過訓練を行った。ロープを鎖に見立てて、スリング120cm×1、60cm×1、カラビナ×2で簡易ハーネスを作り、鎖場を想定した通過訓練を行なった。また7/27には県民サポートセンターに参加者の4名で集まり机上登山を行ない、最終的な打ち合わせと注意点を確認した。これで準備万端か!?しかし、一般コースといえどヤマケイアルペンガイドで剱岳 別山尾根のコースグレードが上級になっていたので、初心者の僕としては一抹の不安を残しつつ当日を迎えることとなった。
 8/12夜、集合場所の東京・竹橋駅に着き、夜ご飯と翌日の朝食・行動食を買いにコンビニに寄ったが、考えることは皆同じのようで、パンは売り切れているし、おにぎりがいくつか残っているだけで閉店間際の店かよーってな状況でありましてね、竹橋駅周辺のコンビニで食料を入手しようと思ったのが甘かったさ。反省・・ (´-ω-`) ショボン  毎日アルペン号に乗り竹橋駅を22:30に出発して朝方、立山黒部アルペンルート走っていると道路にお猿さんが何頭かいて「行ってらっしゃーい」と手を振りお見送りしてくれた。もうすぐ室堂だ。

1日目:8月13日(土) 晴れ
7:05室堂7:55 → 8:43雷鳥平8:53 → 9:38雷鳥坂途中(標高2510m) 9:53 → 10:32別山乗越10:52 → 11:30剱沢キャンプ場12:56 → 13:30別山の岩場15:30 → 16:05剱沢キャンプ場 (記録:Nj)

 予定より5分早く室堂のターミナル駅へ到着。私は初めて室堂ターミナル駅を訪れたのだが、ゴミステーションや更衣室まであり、とても便利で大きな駅だと驚いた。各自準備を整え、7時40分に屋上へ集合。屋上では、八ツ峰を目指す松嶋パーティーと会えた。準備体操を終えた後、歩きはじめる。華奢なAbちゃんが70Lザックを背負うと、ザックがとても大きく見える。晴天に恵まれ、美しい景色の中歩くのは、とても気持ちが良い。標高が高いためか、天候に恵まれたお陰か、色彩が鮮やかに感じられる。風もなく、途中のミクリガ池が、真っ青な鏡のようで美しい。
50分程度歩き、雷鳥平へ到着、休憩をとる。同じ頃に室堂を出発した山下パーティーと松嶋パーティーが追い付き、一緒に記念撮影。山行中に別パーティーと会うのは初体験のため、とても楽しい気分になった。

 写真撮影が終わり、再び歩きはじめる。残念ながら、雷鳥に会うことはできなかったが、ウサギギクやイワツメクサの群生が可愛らしく迎えてくれた。
休憩を入れながら歩き、10時半頃、別山乗越へ到着した。そこで家族旅行中の依瑞実さん一家と出会う。山の中で、知っている人と偶然出会うのは、なんとも嬉しい驚きである。  今年は雪が少なく小さいという、蛤雪渓を眺めながら、剱沢キャンプ場へ向かう。11時半頃到着し、他パーティーと共に再度集合写真。テントを設営し荷物を選別した後、トレーニングのため別山の岩場へ向かった。
別山の岩場へ向かう急坂でガレ場ザレ場の歩行練習を行う。Nリーダーから丁寧な説明を受け、順番に練習する。Nリーダーの見本は軽々と簡単そうに見えるのだが、実際にやってみると難しく、へっぴり腰になり手を突いてしまう。Onくんは、足取りがしっかりしており、さすがの安定感である。とても感心しつつ、羨ましくも感じた。  13時半頃、別山の岩場に続く稜線に到着し、ちょっと長めの休憩をとる。風が心地よく、雲はあるものの適度に晴れており、景色も良く、人もおらず、とても快適。このまま昼寝をしたい気分であった。腰に生えた根を引き抜き、別山の岩場の基部へ向かう。
 別山の岩場では、岩登りの支点構築の練習をした。  2時間のトレーニングを終え、16時頃剱沢キャンプ場へ無事に帰って来た。Abちゃんが作ってくれた、具だくさんの美味しい野菜コンソメスープをいただいた。剱岳の壮大な風景を見ながら食べる夕ご飯は、格別だ。山ご飯、最高!!
(追加記録と感想:On)
 8/13、室堂ターミナルに7:05に到着した。いい天気である、日差しが眩しい、登山日和だぞーぃ (・ω・)ノ 室堂に着くとすでに多くの登山客で賑わっていた。  今日の予定は室堂〜雷鳥坂〜別山乗越〜剱沢キャンプ場まで行きテントを張り、近くの別山の岩場まで登り、そこで岩登りの支点構築の練習をするのと、またその岩場まで向かう急登のガレ場・ザレ場の道で翌日の剱岳登頂に向けた歩行訓練を行う予定である。  室堂から少し歩くと右手にミクリガ池、左手に地獄谷の景観を楽しみながら雷鳥平に到着した。雷鳥平から別山乗越までの雷鳥坂は標高差約500m、コースタイム2時間の登りであるが、今日はここさえ登り切ればあとは別山乗越から剱沢キャンプ場までの少しの下りと、テントに荷物を置いてからの近くの別山の岩場までの上り下りだけなので気が楽であった。
別山乗越からハマグリ雪渓(今年はアサリ雪渓程度であったが)の横を下って行き剱沢キャンプ場に着きテントを張った。
 その後、不要な荷物を置いて近くの別山の岩場に向かった。別山の岩場までの上り下りの歩行訓練では何度か石を落としそうになり、気を付けながら慎重に歩いたのだが、大きな石を落としそうになったときには、もし石を落としてしまい下に人がいたらと思うとゾッとした。下りでは踏ん張りが効かずに足が滑ってしまいハイマツを何度か握って止まろうとしたので、キャンプ場に戻る頃には松ヤニが手に付いて手がベトベトになってしまっていた。
 16時過ぎにテント場に戻り夕飯の準備をする。今日の夕飯担当はAbさんで具沢山の野菜コンソメスープを作ってくれた。美味しくいただいた後スープだけで終わってしまったので少し物足りなかったのだが、Nさんが炭水化物が足りないなぁと言ったので、Njさんが持って来ていたアルファ米のドライカレーを追加で頂いた。しかしそれは3日目のお弁当用に使う予定のはずなのだが食べてしまって良かったものだろうかという疑問を抱きながら1日目の夜は過ぎていくのであった。

2日目:8月14日 (日)晴れ
4:20起床→剱沢キャンプ場発6:17 → 6:49剣山荘6:55 →7:26一服剱→7:30武蔵のコル7:40 → 8:29前剱8:40→9:36カニのたてばい下9:46→10:30剱岳頂上11:10→12:15前剱12:20→13:33武蔵のコル13:50→14:25剣山荘14:35→14:45途中の雪渓14:55→15:00剱沢小屋15:25 → 15:35剱沢キャンプ場
(記録:On)
8/13、今日はいよいよ剱岳に登る。昨日に引き続き今日もいい天気である。雲一つない晴天の空と剱岳を眺めながら今日はあの頂上まで行くのかと気持ちが高まる。
4:20に起床し、朝食と準備を済ませ6:17に剱沢キャンプ場を出発した。 剱沢小屋と剣山荘の間は、例年は雪渓を横切って行くようなのだが、雪渓はなく今年の雪の少なさを感じた。30分程歩き剣山荘に到着したところで衣服の調整を行った。 7:30に武蔵のコルに着き休憩をとった。
「むさしのコル」だと思っていたら、Nさんに「たけぞうのコル」だよと指摘された。ちなみにAbさんはその後の平蔵を「ひらぞう」だと思っていたらしく、Nさんに「へいぞう」だよと言われショックを受けていた。ん〜、日本語って難しいアルね〜 (;´・ω・)
その後3番目の鎖場・巨大な前剱大岩の横の鎖場を登り8:29に前剱頂上に着き休憩。次にスリル感のある5番目の鎖場・約20mの岩峰をトラバースした後、9:23に7番目の鎖場・平蔵の頭(ズコ)に着いたところで、後ろにいた登山客に「早くしてくれないかな〜」っと、声を掛けられ振り返るとIzさんだった。
後から来ていたIzさんに追いつかれここからは5人で行動した。
9:36にカニのたてばいの手前に着きそこで休憩した。間近で見ると約50mの岩場はさすがに迫力があった。休憩を終え覚悟を決めていざ出発。前剱頂上で見たときには十数名の列が連なっていたが、今は先に3人登っているだけであり渋滞にはまらずに進めた。各々不安な鎖場では簡易ハーネスを使用していたが、僕もこのカニのたてばいと、下りのカニのよこばいの2カ所は滑落や落石などの不安があったので簡易ハーネスを使用した。
 そして出発してから4時間13分、途中休憩を3回はさみ10:30に剱岳の頂上に着いた。辺りの山に雲がかかっているところもあるが、上空には青空が広がり、頂上からの大パノラマの展望は良好であった。Nさんと単眼鏡で八ツ峰を覗きながら懸垂下降している米粒みたいな隊を見つけ「松嶋さん達はあれかなー」なんて話をした。そんな話をしていたら頂上で30分休憩の予定が40分経ってしまっていた。
11:30に下り専用のルート、カニのよこばいに着いた。最初の一歩の足元が見えづらいとネットの記録には書いてあったが、丁寧に初めの数歩に赤いペンキで丸く印されていたのでよくわかった(以前はなかったみたいだが)。カニのよこばいをトラバースして降りている途中でNjさんが「怖いよー」と言い足が止まると、すかさずNさんが「怖くない!」「怖いけど怖くない!」と言った、落ちるよりNさんを怒らせた方が怖いとばかりにNjさんの足も自然と進んでいった。(笑)
直後に約15mの垂直のハシゴを降りて、しばらく進んで13番目の鎖場・前剱の門の手前を歩いていると東大谷から吹き上がってくるミストが凄かった。
まるで巨大な天然加湿器の前を通り過ぎているようであった。マイナスイオンをたっぷり浴びながら通り過ぎる。最後の13番目の鎖場・前剱の門の約20mの鎖場を登り終えて、この先はもう鎖場はないので一安心である。その後、行きと同じく武蔵のコルで少し長めの17分休憩して出発。そこから剣山荘までの間はNさんが歩きながら何曲か山の歌を歌ってくれて、後ろで歌を聴いていたNjさんがクスクスと笑っている。どうやら歌詞が面白いようである。僕はNjさんの後ろだったので歌がはっきりと聞こえず少し残念であった。
 剣山荘から剱澤小屋に向かう途中で先頭を歩くNさんの前を何か小さな影が通り過ぎた。何かいるのかと注意深く見ていると、ピョコリとオコジョが姿を見せてくれた。岩から岩へピョンピョン跳ね移る姿はとても可愛らしかった。「お疲れ様だワン、また立山に遊びに来てね」と言っていた。
 登っている途中からNjさんが膝を痛がっていたので(前日から少し痛かったみたいだが)、冷やしたほうがいいということになり、剱沢小屋の手前でNさんと2人で近くの雪渓に雪を取りに向かった。剱沢小屋に寄り今夜のビールを買って15:35剱沢キャンプ場に着いた。テントの外で夕飯の準備をしていると少し雨が降ってきたのでテントに入った。後からIzさんも来て5人で飲みながら雑談を楽しんだ。就寝前にラジオの天気予報を聴いていると、明日明後日の天気予報は雨であった。そこでNさんは、明日の天候とメンバーの状態などを考慮して、翌日予定していた立山連峰縦走を中止して下山することにした。

3日目:8月15日(月)ガスと雨
4:07起床→6:00剱沢キャンプ場発→6:55別山乗越→8:05雷鳥平→9:15室堂バスターミナル着
(記録:Ab)
 昨晩より天気の崩れが見られた為、立山二山のルートは断念している。今朝は風と霧のため、朝食はテント内でOnさん作の皿うどんをごちそうになる。テント撤収時より雨が降り始めレインウェアに着替えてから出発する。
 昨日までの天気とは一転して雨と寒さの中でもくもくと別山乗越まで登りきる。そこから雷鳥平までひたすら下り、今度は室堂まで階段をひたすら登り返す。  昨日は、岩と岩を飛び跳ねてはこちらを振り返る愛らしいオコジョを見ることができたので、室堂までの間、雷鳥対面に期待したが残念ながら今回は見ることは出来なかった。  室堂からは立山トンネルトロリーバス、立山ロープウェイ、黒部ケーブルカー、関電トンネルトロリーバスを経由して扇沢へ到着。  そこからIz車にて、途中大町温泉郷で汗を流し、安曇野で遅い昼食を取って南林間に19時過ぎに着いた。
 今回新人3名にとって初めての夏合宿かつ初めての剱岳であり、事前の鷹取山、広沢寺での岩登り訓練を経て参加した。
 最後に怪我なく無事安全に夏合宿を終えることが出来た事をリーダーのNさんへのお礼をもって以上の山行報告と致します。

(追加記録と感想:On)
8/14、朝起きてテントの外に出るとガスっていて小雨がぱらついていた。Izさんも今日下山しマイカーで帰るという事だったので、便乗させていただき一緒に帰ることとなった。剱沢キャンプ場から室堂まで行く間、今日は雨だしガスっているので雷鳥さんを見れるかな〜なんて少し期待していたのだが、残念ながら今回は振られてしまった。室堂に着き、Izさんが車を停めているのが扇沢なので、室堂からトロリーバス10分→ロープウェイ7分→ケーブルカー5分→トロリーバス16分を乗り継ぎ扇沢まで向かった。それで5860円は庶民にとっては少し高いよねーっと思ったさ (。-`ω-)
 扇沢に着き、Nさんがブーツのソールが剥がれていることに気付き「何か変な音がすると思ったんだよなー」とガッカリしていた。(後で聞いたら、メーカーで無償修理ができたとのこと。)帰りに薬師の湯で汗を流し、お食事処 しもさとでカツ定食を食べ、19:10に南林間に着いた。そこでAbさんは帰ったが、残りの4人で反省会をして解散した。 剱岳 別山尾根はガレ場・ザレ場・岩場・鎖場のオンパレードであったが不安よりワクワクした気持ちのほうが強かった。今年に入り岩トレに7回参加していることもあり、剱岳別山尾根の岩場と鎖場は思ったほど恐怖感を感じることもなく難なく上り下りすることができた。また体力的にも余力を残せていたので楽しみながら登ることができ良かった。 来年の夏合宿はどこに行くことになるのやら、今から楽しみである ?( ‘’ω’’ )?


2016年度山行報告へ