北海道・十勝岳〜富良野岳縦走

【日程】:2016年8月5日〜8日

<概要>
 3年前にトムラウシ山から十勝岳の縦走を計画した。このとき4日目が雨のため美瑛富士避難小屋より白金温泉に下山して、十勝岳〜富良野岳の縦走が行えなかったので、いつかはリベンジしたいと常々考えていた。OH氏と今年行きましょうと計画し、ZUKA氏が山行に興味を示したので3名の参加となった。
 KOG氏は神奈川?楽部員なので、会の山行とは別に現地で行動だけ一緒になる形で合流となった。KOG氏も我々同様に3年前のリベンジを望んでいた。

<アプローチ>
 8月5日金曜日、6時半過ぎに羽田空港に到着し、手荷物を預けて朝食を食べ中に入ると、OH氏とZUKA氏も早くも7時前に羽田空港に到着し、手荷物を預けていた。コーヒーなどを飲みながら、今回の山行は山中では好天が期待できそうであるが、帰りの日は台風が心配であることなどを話しながら、大雪山系の山々に思いを馳せていた。
 飛行機は7時50分に動き出し8時05分に離陸した。今回はクラスJのシートを予約して、窓から外を眺めていると、眼下に檜原湖が見え、遠くに視線を向けると飯豊連峰の山々が見えた。そして、暫くすると朝日連峰に続いて月山、鳥海山の山々の姿を望めた。青森の岩木山、八甲田山を過ぎて津軽海峡にさしかかると雲が多くなった。
 5日9時の時点の旭川の天気は曇り、気温22℃と機内放送があった。
 9時30分に旭川空港に到着して、手荷物を受け取り総合案内で予約して置いたEPIカートリッジを3ヶ(1650円)受け取り、予約したタクシーにて美瑛富士登山口へ向かった。途中のコンビニで昼食と飲料水を購入する。

<行動記録>  涸沢林道のゲートで鍵を開け、美瑛富士登山口に10時半に到着すると、KOG氏は首を長くして待っていた。話しを聞くと1時間前に来ていたらしい。そして、朝は小雨が降っていたことを聞く。
身支度を調えコンビニで調達した昼食を食べ、11時にZUKA、OH、KOG、KOSのオーダーで出発する。日中の気温が上がる中の登りは辛いが、時折ふく風が心地よく、北海道山は北の山であることを実感させる。樹林帯の緩やかな登りをZUKA先頭でゆっくり行動する。50分ほど歩き休憩する。3年前の雨の中での行動を思い出を語りながら、「このルートの下りは長かった」など記憶が蘇ってくる。2ピッチ目も緩やかな傾斜の樹林帯の登り、天候が回復しつつあり、太陽の日差しが出ると熱い。行く手の山にかかる雲がだんだんと上がっている。天気予報通りで、明日の好天に期待が膨らむ。大きな岩の天然庭園の少し手前で休憩。樹林帯で展望は良くない。

 休憩したところから少し歩くと今日のルートの中間地点の道標が現れる。そして15分ほどで天然庭園にさしかかる。大きな岩がゴロゴロしていて歩きづらい。ここの通過に12分ほどかかる。そのあとはハイマツとササが多くなり、傾斜も増してくる。前方に美瑛富士の頂が見える。避難小屋はこのやまの裾野を回り込んだところなので、まだまだかかりそうだと認識する。美瑛富士がハイマツの間に見えるところで休憩。周囲は背の高いハイマツのため展望は得られない。この頃より青空が広がる。

 登山道は美瑛富士を回り込むようについている。ハイマツの背丈も低くなり、完全に森林限界を過ぎ、展望が得られるようになると、オプタテシケ山から大雪の北部の山並みが見える。オプタテシケは山頂部が3つに分かれ、中央が頂上である。稜線上は意外と細く見える。晴天となり美瑛の街が見渡せる中、足元には高山植物が多くなった所でで休憩を入れ、高山植物の美しさに感動する。高山植物を楽しみながら歩いて行くと、稜線の鞍部が直ぐそこに見えるようになり、木道が現れたあと、避難小屋の屋根が見え、16時05分に美瑛富士避難小屋に着く。直ぐに、小屋の中の様子を伺うと、先客は3人のみなので、今夜は避難小屋泊と決める。小屋の先客に水場がどこにあるかを聞くと、縦走路の美瑛富士の裾野にあることを聞き、ZUAKとKOAで取りに行く。
15分ほど歩くと雪渓の融雪水が得られた。石狩岳の遠望を楽しみながら小屋へ戻る。
 小屋に戻り、まずは持ちが上げたビールで祝杯を挙げる。夕食はOH氏の準備した炊き込みご飯で腹を満たす。日没後はかなり冷え込んだ。夕食後は3年前の山行の思い出を語りつつ酒やお茶を飲みながら山談義に弾み、19時過ぎに就寝する。

8月6日 天気:晴れ一時曇り
 4時起床する。すでに周囲は明るくなっていた。ZUKA氏用意の皿うどんを食べ、身支度を調え、5時40分に小屋を出発する。朝の寒さが気持ち良い。美瑛富士を巻くようにして付けられた登山道を行く。昨日に水を得た雪渓を越え、美瑛富士と美瑛岳の鞍部に到着する。風が強いので、ハイマツの影で風を避けて休憩する。北西風の強い中、美瑛岳に向って登る。台風なみの強い風で時折風が止むと、かえってふらつきそうになりながら登る。分岐点に到着し荷物をデポして美瑛岳頂上に向かう。その道から西を望むと、これまでとはうって変わった十勝岳の山容が目に入る。木々が一本もなく、赤茶色した火山の山で「火星」を思わせる(見たことはないが)。15分ほどで美瑛岳の頂上に到着する。美瑛富士からオプタテシケ山、雲にかかるが旭岳の遠望を楽しむ。西には十勝岳の先に富良野岳が望める。頂上は思いの外、風は弱くのんびり景色を楽しむ。
分岐点に戻り、十勝岳へ向かう。最初は下りでだんだんと緑の少ない登山道となる。依然として風は強い。雨具で体温の低下を防いで歩き、鞍部で休憩をする。ここからは砂礫の登りとなり歩きづらいので、時間がかかりそうだと話しながら登る。

砂礫の中、足をフラットに置きながら、ゆっくり登る。稜線の東に付けられた登山道で、風は無く、さっきまでの風が欲しいと思うところ。鋸岳の近くと思われる所で休憩を入れ、緩やかなピーク(平岳か?)を越えると、平坦な道となり、十勝岳の裏の登山道の分岐点と合流する。あとは十勝岳(2077m)の直下の登り、日差しの強く暑い中、一踏ん張りをして十勝岳の頂上に12時05分に着く。西に上ホロ避難小屋が見え、あとは下りとなる。雲が多かったのだが頂上に着くと青空となる。しかし、風は依然と強く、風を避けて休憩をする。大雪の北部の展望を楽しみながらゆっくりする。
 十勝岳の下りは砂礫の登山道でゆっくり下る。北西の斜面は火山の噴火で荒涼としている。下に十勝岳温泉が見える。廃道になった三段山の尾根の分岐点を超えて、上ホロ避難小屋に14時15分に到着する。十勝岳と避難小屋をバックに写真をとる。到着後、小屋は2階に昨日の美瑛富士避難小屋に居た2人だけで、この日も避難小屋泊と決める。2階に上がり荷物を整理して、小屋裏の雪渓に融雪水を取りに行く。小屋裏の斜面は高山植物が広がっている。チングルマは終わってしまったが、エゾコザクラ、エゾリンドウなどが咲いていた。雪渓の状況からあと、1週間くらいは水が得られるだろうと思う。
小屋へ戻り、融雪水を煮沸しながら、コーヒーを入れるなどお茶タイムとなる。そして、直ぐに、持参したワインを飲むなど飲みタイムとなる。ZUKA氏は持参した焼酎900mlを飲み、上機嫌であった。来週の合宿の北アルプスの剱岳の山行の話しに弾み、人生最初の縦走が北海道、最初の北アルプスが剱岳と幸せな山行を味わう素晴らしい機会を得たことはとてもこの上ないことである。
 17時になり夕食の散らし寿司を食べ、北海道の台地に沈む夕日を楽しみ、日没後の20時は満天の星空を楽しみ20時半に就寝した。寒いので着込んで寝た。

 8月7日 天気:快晴
 4時に気象する。ZUKA氏準備の太麺で具がたっぷりのラーメンで腹を満たす。この小屋はトイレがついているので安心である。身支度を調え、風が強いと思われるので雨具の上を着用して5時に出発する。上ホロ岳をトラバースして尾根を越えるところから見る、上ホロ避難小屋と十勝岳の素晴らしいロケーションは素晴らしい。暫し休憩する。その先は上富良野岳のピークを望みながら。緩やかな登りをゆっくり登る。上富良野岳の頂上で十勝岳の展望を楽しむ。その先の旭岳の上にはレンズ雲がかかり天候の悪化が予想された。そこから富良野岳まではいくつかのピークを越えなくてはならない。ここから十勝岳温泉からのD尾根の登山道が見える。ラストは結構急な尾根でと思われ。
上富良野岳から下りとなる。南の日高産地に目をやると、雲一つ無い青空が広がり、幌尻岳と思われるピークが見えた。縦走路は、名も無きピークを越えて、もう一つ大きなピークを登ると、そこは三峰山であった。このあたりから、朝に十勝岳温泉を出発した登山者とかなり多くすれ違った。装備から日帰りの登山者と思われる。大きなザックの登山者はほとんどいない。
 三峰山から登山道は一度下り、小さなピークを越えて、長い下りの登山道を行くと、富良野岳の鞍部になる。ここまでとても長かった。鞍部に9時15分に到着し、旭岳に視線をやると雲が完全に取れ、大雪の屋根が見渡せた。ピーカンである。
ザックをデポして水と簡単な行動食を持ち、富良野岳へ行く。最初は歩幅の合わない木の階段で、ペースが上がらない。尾根を南側に回り込み、ピークが見えた。頂上に伸びる登山道には多くの登山者が居て、さすが花の百名山であると認識する。山一面が花畑で、とくにウサギキクの群落はピカイチである。また、チングルマが咲き乱れていたらさぞ素晴らしいだろうと思った。そのほかにはハクサンフウロ、チシマギキョウなどが咲いており、充分に花を楽しめたのは嬉しい。
頂上に10時05分に到着する。トムラウシ山は見えないが大雪山系が見渡せた。旭岳からトムラウシ、十勝岳、富良野岳と足かけ4年、3回に渡るチャレンジで結ぶことができた。一つの達成感が味わえた。しかも、ラストは最高の天気の元で。
 頂上で暫く展望を楽しみ、下山にかかる。高山植物の写真を撮りながらゆっくりと下り、鞍部に到着する。かなり気温が上がってきた。  11時15分にデポしたザックを担ぎ、下山にかかる。少し下ったあと、登山道はトラバースに入るが、暑さもあり、石と木の根があり結構時間がかかった。途中2回休憩を入れ、D尾根分岐を通過、コースタイム1時間のところ2時間を要した。さらに、登山道は沢を大きく迂回して、十勝岳温泉に14時25分に到着する。
 まずは風呂に入り汗を流し、生ビールで喉を潤すことの充実感は何とも言えない。露天風呂から今日歩いた登山道が見渡せたことも感無量と言える。
風呂上がりにゆっくりしてタクシーを呼び、旭川駅前のホテルに向かった。その後は、3年前に行った居酒屋に電話予約をしたところ満員なので、天金本店で反省会をして、眠りについた。
 8月8日 天気:晴れ
 6時に起床して荷物の整理をして、7時にホテルの朝食を取った。KOG氏は旭川からJRで青森駅に向かうことで、このホテルを分かれ冬の八甲田でまた再開することを誓った。
 残りの3名はレンタカーを借り、美瑛、富良野の観光をして旭川空港20時25分発の飛行機で羽田に向かった。到着後、羽田空港で各々解散した。

<山行雑感>
 概要のところでも述べたが、今回の十勝岳〜富良野岳の縦走は、旭岳から富良野岳への大雪山の縦走の締めくくりとして計画し、3回の山行で完結したことは感無量にたえない。晴天のもと富良野岳の頂で見た旭岳からの山なみの光景は、裏旭岳の天幕場での朝焼け、長かったひさご沼までの歩き、花畑の中のトムラウシ南沼の天幕場など、過去の山行の思い出が昨日のように思い起こされる。
 大雪は高山植物の豊富さで有名だが、とりわけ富良野岳の花の素晴らしさと言ったら、この上ないものである。山全体が花で満たされていて、さすが「花の百名山」と言える。今度は7月のチングルマの満開のときに来てみたいという思いになった。

 <行動時間>
5日 10:30美瑛富士登山口着・同11:05発−16:05美瑛富士避難小屋着-16:35水場45-17:00同着

6日 4:00起床5:45発-8:05美瑛岳分岐15-8:35美瑛岳頂上55-分岐9:10-12:05十勝岳12:15-13:15上ホロ避難小屋

7日 4:00起床5:50発-6:45上富良野岳55-7:45三峰山7:55-9:15富良野岳鞍部9:25-10:00富良野岳20-11:00鞍部11:15-14:25十勝岳温泉

(記録KOS)


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