谷川岳西黒尾根鉄塔付近 雪洞訓練

日程:2017年3月4日(土)〜3月5日(日)


2017年3月4日(土)
6時15分にかながわ県民センター前で集合する。寝坊したメンバーの回収に1時間程要した。7時15分茅ヶ崎ICより高速に乗り、関越道高坂PAにて休憩をとる。上越方面は前日までに50センチほどの降雪があり、本日は快晴の為スキーに向かう客で賑わっている。

 水上ICにて高速を降り、11時に谷川岳ベースプラザに到着する。駐車場内で身支度をして11時40分に歩行を開始するも、快晴で想像以上の暖かさにより谷川岳登山指導センターにて服装の調整をして再出発する。12時45分に西黒尾根下部の鉄塔付近に到着し雪洞の場所の検討をしてから、雪洞訓練を開始する。

風下側の南側の斜面に場所を確保し、ゾンデ棒で3m以上の積雪がある事を確認する。場所が決まれば踏み抜き防止の為に雪洞の天井周囲に旗を立てる。  雪洞入口を作る雪面を切り出すと同時に作業がしやすいように掘り出した雪で斜めの足場を平らにならして作業場を作っていく。入口は天井30pほど厚さを確保して縦1.2m、横は大き目のスコップ3個分(約80p)の幅にした。居室の大きさは奥行きと横幅は各2.3mと決めた。最初はスコップで、雪が固くなるとスノーソーも使って雪をブロック状に掘り出していく。ある程度奥行きを掘り進めた後、もう一人が横方向にも掘って広げていった。

日の入り(17時47分)に背中を押されるように後半になるにしたがって、NIさんとYAさんが猛烈なスピードでブロックを掘り出していく。雪洞訓練初参加のTUさん、ABは半人前にも満たず掘り出した雪のブロックをひたすら外に出す作業となった。外に出した雪のブロックは雪洞出入口の防風の為、L字型に高さ150p程に積み上げて塀を作る。(なお、雪の塀は、雪洞入口対面側は雪を捨てる邪魔になるのでブロックは脇に置いておき最後に作った方がよかったと、あとで指摘された。)
かくして計画より広めの横幅2.8mの広々とした居室ができ、天井を滑らかにし、床をスコップで水平にならして、壁には5つの棚を作成した。入口部分には外側に縦40p×横50pほどの窪みを作成する事で、冷気の遮断と入室退室時の体の折り曲げの負担を軽減した。最後に入口にブロックを縦1列に積んで出入に必要ない余分な空間を埋め、上からツエルトを垂らしてドア代わりにした。また、3m程離れた場所に雪の和式トイレを作成した。西の空がやや赤みをさす頃、17時30分に渾身の雪洞が完成する。
雪洞内に銀マットを敷き、リュックと靴などを袋に入れて濡れから守る。ロウソクを棚2つにそれぞれ設置する。ロウソクは酸素濃度の確認の為一晩中つけた状態にする。夕食の準備をする為、雪袋に雪を入れて水作りを開始する。コッヘルに雪を入れてガスバーナーにかけ、融けた所で、YAさんが持参しただしパックで不純物を取り除いた後、プラティパスに入れて飲料水を確保する。餃子鍋の夕食を終え、明朝にすぐ使用するガスカートリッジやメガネ等の小物類は棚部分に収納した。外に出てみると風もなく木々の枝の間からチラチラと星が輝いており、明日も快晴である事を教えてくれる。雪洞内は0℃でシュラフに体を入れると十分に暖かい。ロウソクに照らされた雪の天井を眺めると、雪洞の中で眠りにつく事のドキドキ感と疲労困憊のクタクタの体が充実感を覚えつつ20時半に就寝した。

3月5日(日)
5時半に起床し、お茶漬けで朝食を摂る。7時半より雪洞近場でビーコンの操作練習をする。ビーコンを袋に入れて1つ雪に埋めて、自身のビーコンをサーチモードにして埋没しているビーコンを探していく。次に2つのビーコンをそれぞれ埋めて、探索する練習をする。
ビーコンの電波の発信間隔が約1秒の為、せわしなく動くのではなく、ゆっくりかつ慎重に電波をキャッチしていく。周囲の安全確認後、プライマリーサーチ、セカンダリーサーチと段階を追ってファイナルサーチでビーコンを上下左右に動かし埋没範囲を四角く割り出した後、ゾンデ棒によるスパイラルプロービングで対象物の正確な位置を確認していく。埋没位置が確認できたらゾンデ棒をさしたままスコップで慎重に掘り出していく。

実際の雪崩では生存率から15分以内の掘り出しが望まれるとの事だが、遭難者側も表層にとどまる努力やエアポケットを確保する等、決して諦めてはいけない事を今回の訓練と事前配布資料をもとに知る事が出来た。

 訓練終了後10時に撤収、10時45分に谷川岳ベースプラザに戻る。その後水上のふれあい交流館にて一風呂浴びる。帰り道にとんかつの店山彦に寄るも閉まっている為、そのまま沼田ICより高速に乗り上里SAにて遅い昼食を摂る。18時半に横浜駅に到着し解散した。次回は半人前程度には雪のブロックを掘り出す事と、山彦の分厚いとんかつを頂く事を目標にしてこの山行報告を結ぶ。

(記録AB)



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