北岳山行記録

場所:北岳 池山吊尾根 
ルート:夜叉神駐車場〜鷲ノ住山〜あるき沢橋〜池山御池小屋〜北岳山頂〜池山御池小屋〜あるき沢橋〜鷲ノ住山〜夜叉神駐車場
日程:2016年12月23日〜25日 2泊3日
行程:
12/23(晴れのち雪)
5:30横浜・中央林間駅 出発 → 9:20夜叉神駐車場出発 → 10:50鷲ノ住山登山道入口発 → 12:15野呂川発電所吊橋発 → 13:30あるき沢橋発 → 17:45池山御池小屋

12/24(晴れ)
4:00起床 → 5:50池山御池小屋 → 7:25城峰発 → 9:00着 砂払い 9:30発 → 10:55ボーコン沢ノ頭 → 12:12八本歯ノ頭手前発 → 14:30着北岳山頂14:40発 → 20:00池山御池小屋着

N、NAKA、MA、NAKAG、YAMA5名は八本歯ノ頭手前で引き返す。
12:30八本歯ノ頭手前発→17:00池山御池小屋着

12:25(晴れ)
5:00起床 → 9:00 あるき沢橋 9:20着 → 野呂川発電所吊橋10:22発 → 12:15着鷲ノ住山登山道入口着 → 12:30 鷲住山展望台バス停(慰霊碑)発 → 13:40 夜叉駐車場着


12月23日
 当初12/22の22時に出発を予定したが、天候が大荒れとのことなので、12/23 5:30横浜と中央林間駅を出発することにした。
 夜には、竜巻注意報が発令され、大雨だったので、朝の出発にして正解だった。

 予定した時間に夜叉神峠に到着、身支度をして林道を歩き始める。最初のトンネルは長く暗いので、ヘッドランプが必要だ。そこを通過した後、鷲ノ住山登山口の入口は標識があるが、注意をしていないと通り過ぎてしまうので気を付けたい。林道から鷲ノ住山へは両側が切れた岩場があるので注意する。鷲ノ住山の登山道を下り、野呂川発電所横に架かる吊橋に降りるところは、急な下りで滑りやすいので慎重に下る。吊橋を一人ずつ渡って休憩をとる。そこから野呂川林道への登り返しが急登でお助けトラロープがある岩場もあり重いザックを担いでいると結構大変なので慎重に足を運ぶ。無事に林道にでるとホッとする。あるき沢橋まで舗装された林道を歩く。

 雪が無いか少なくて池山御池小屋で水が取れない心配があるので、あるき沢橋の手前の法面から出ている水を汲んで一人あたり約2.5Lの水を担いで登ることにする。

 あるき沢橋バス停横から登山道に入ると急登で、また途中から雪が降ってきて、足元に注意をしながら登る。途中で暗くなったが、池山御池小屋まで頑張っていくことにした。
 小屋に到着したのは17:45で先客が3名いた。小屋の板の間が空いていたので、テントを張らずに、そこで寝ることにした。雪が降っているので翌日の水の心配はしなくて済んだ。夕食をとり雪が降り過ぎない事を祈り、就寝した。

12月24日
 2日目は4時起床、不要な荷物は小屋にデポし、5:50にアタック装備で出発。先客のソロの男性が我々より2時間早く出発してくれたおかげでトレースがあり、迷うことなく歩けて助かった。砂払いまでの道は、多少積雪があったが、アイゼンを装着するほどではなく歩きやすかった。
 予定通り砂払いに到着。ここでアイゼンとハーネスを装着し、登り始める。ここから先は少し雪が多くなってきたので、先頭を入れ替えながら歩くことにした。
 ボーコン沢ノ頭に着くと北岳が大きく綺麗にみえたが、ここから先はかなり時間がかかると思った。10:55にボーコン沢ノ頭を出発して頑張って歩き始める。
 途中で体調不良者が発生したため八本歯ノ頭の手前で作戦会議をして、MH、KN、 MAYUの3名で北岳山頂を目指すことに決めた。他の5名はここで引き返すことになった。
 山頂に行く3名は先頭を交代して登った。八本歯ノ頭からコルまではKNさんにリードしてもらい安全に通過した。ここを過ぎてからはMAYUさんが先頭を行き、急登で途中ところどころラッセルもあったがスピードは全く落ちずに通過し、吊尾根分岐の標識からは松嶋が先頭をいく。雪壁を登ってすぐに山頂かと思ったが、山頂ではなくがっくりした。だがあと少しなので頑張って山頂に向かい無事に到着した。時間もないので写真撮影をして早々に引き上げる。


 帰りは、八本歯のコルの登りがやけにきつく感じた。ボーコン沢の頭の手前で、私は吐き気がしてスピードダウン。どうやら水分補給をしていなかったせいで、脱水状態になってしまった。途中でポカリスエットの粉をサーモスのお湯に溶かして飲んだりして、なんとか無事に池山御池小屋に戻った。行動時間は14時間だった。先に戻っていたメンバーにお茶をだしてもらい非常に助かった。帰ってすぐに雪から水作りをするのはすごく大変な作業のため助かりました。先に降りていたメンバーは夕食を待っていてくれていて、皆で夕飯を食べた。到着時間が遅かったので、就寝は22時と遅かった。 (撤退組の記録)
 八本歯ノ頭手前での作戦会議の後、足が止まっていたメンバーと合流し、12時30分に5名で池山御池小屋に向け撤退を開始した。途中、立ち休みをして景色を眺めたり、15〜20分程度の長めの休憩を何度も取りながらゆっくり下った。城峰からしばらく下ってへッ電を装着して、17時半に小屋に戻った。元気なメンバーで御池に積もった雪を取りに行き、せっせと水作りをしながら登頂組の帰還を待った。

12月25日
 3日目は5時起床、7時出発、アイゼンをつけてあるき沢橋まで歩く。そこでアイゼンを洗い来た道を戻る。最後の鷲ノ住山の登りはきつく感じたが、2ピッチなのでそれほど疲れることなく林道まで戻ることができた。
 夜叉神駐車場までの林道歩きは1時間強かかるが、今回の山行の反省をしながら歩き夜叉神駐車場に到着し、山行は終了した。


反省点:
 私の冬山経験が少ない事から、今回の計画は行程が3日となり、きつかったと思う。そして行動時間の見積もりが甘かった。GWに行けているから大丈夫だろう、私が見た冬山ルート集に行動時間が9時間40分と書いてあったので行けるだろう、と思ってしまった。山レコの記録をみると冬期に池山御池小屋と山頂の往復をしている記録はなかった。小屋から行く場合は山頂にいってから北岳山荘でビバークするのが良いらしい。ビバークはしたくないので砂払いをベースキャンプとすれば山頂には皆で行けたと思います。ただ行程を4日にして予備日を1日入れると合計5日間となるので、やはり年末年始の連休に行くのが良いと感じました。次は全員が無理なく行ける計画にしたいと思います。
(MH)

KNのコメント
 八本歯ノ頭手前の鞍部で小屋に戻る5人と別れたが既に時間は12時15分。3人で先頭を交代しながら進むことにして先を急ぐ。八本歯ノ頭からの下りでは上部で一ヶ所トラロープが掛けてある鉄の杭から120cmのスリング2本をつないだお助け紐をセットして帰りも使うので残置した。いわゆる核心部にはスタテイックロープがセッティングしてあったのでお借りしてプルージックをセットして慎重にクライムダウンした。雪は積もったばっかりで水分の多目のやわらかい状態で扱いにくかった。八本歯のコルで小屋を2時間早く出発したソロの人が時間切れと判断して引き返してきた。ここから先はトレースが無くなったが、MAYUさんが驚異的なパワーでラッセルして、柔雪と堅い雪が混じる急登をものともせずに高度を稼いで、北岳山荘との分岐まで到達した。ここからは最後の難関の硬い雪壁となり松嶋さんが先頭を行く。フロントポインティングでアイゼンを蹴り込みダガーポジションでバランスを取りながら雪壁を登る。春は左に抜けて夏道を通れたが、埋もれて行ける状態ではなく稜線通しに雪庇に注意して進んで山頂に到達した。山頂看板の氷を剥いで北岳の文字が見えるようにして写真撮影をし、早々に引き上げた。硬い雪壁の下りもフロントポインティングで慎重に下る。落ちたら岩に当りながら下まで行ってしまう斜面が続き、八本歯のコルまでも幾度かフロントポインティングの体制で慎重に下った。八本歯ノ頭への登り返しも自分はプルージックを掛けて登った。夕闇が迫る中、5人と別れた鞍部に到着。暗くなってしまう前に腹ごしらえをしてヘッドランプを装着した。ボーコン沢ノ頭で暗くなり星空の元での下山となったが、5人のトレースを追いかけて迷わず下る事が出来た。砂払い周辺で4張りほどテントが設営されていてここまでテントを上げれば水の心配も無く登頂も楽になると思った。そこから下はさらにトレースは明瞭でひたすら歩いて小屋に到着することが出来た。

Nのコメント
 今回は、山頂アタック日に隊を二つに分けることになった。残雪期や無雪期に登っていて、体力・技術が問題なく意欲がある等の条件を満たし、まだ冬の北岳に登っていない3人が登頂を目指すことにした。冬の北岳に複数回登っていて元気もあるメンバーが2人いたので、体調を崩したメンバーら3人と池山御池小屋に引き返すことにした。  3名は首尾よく登頂し、全員無事に山行を終了した。登頂に至らなかったメンバーも眺望に恵まれて白銀の白峰三山、迫力のバットレス、形の良い富士山、八ヶ岳、鳳凰三山などを楽しむことができた。個人的には前回登った間ノ岳弘法小屋尾根の雪稜を臨むことができた。  以上のように今回の選択はそれはそれでよかったが、もう一つの選択肢として、予備日を使って、「2/24池山御池小屋→砂払いまたはボーコン沢ノ頭周辺(テント泊)、2/25テント場(ベース)→北岳→テント(ベース)撤収→池山御池小屋またはあるき沢橋(小屋またはテント泊)、2/26泊り場所→鷲ノ住山→夜叉神峠登山口駐車場」という行程もあり得たかもしれない。  山頂アタック日にワカンを池山御池小屋にデポしたが、後から考えると持って行った方がよかったように思う。砂払いから先はそれなりに積雪があった。それほどラッセルはきつくなかったが、隊列の2〜4番目でも踏み抜いて体力を消耗したメンバーもいた。先行者のトレースがあったから助けられた面もあっただろう。池山御池小屋を出発するときは雪が少なく、判断が難しかったが、やはり不明の場合は持っていくようにした方がよかったと反省した。  あるき沢橋近くの法面から伝い流れ出てくる水を汲んだが、汲んでいるときにしぶきを浴びて結構腕や袖口が濡れた。気象条件がそれほど悪くなかったのでよかったが、特に冬期は濡れが大敵なので、やはりあるき沢橋のたもとから沢へ下りて汲んだ方がよいと思った。


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