北アルプス・白馬岳

日程:2015年8月9日〜12日

<行動記録>
8月9日(日)
夜22時に新宿英都庁前に集合した。バスの時間を30分間違えて集合した。蒸し暑い中23時発の夜行バスを待った。
バスは28人乗りの中型バスで、ほぼ満員であった。我々は一番後ろの座席を与えられシートを倒したら結構快適な姿勢がとれた。バスは談合坂SAなど数カ所を立ち寄り、猿倉に予定より早く5時過ぎに到着した。空気枕をしていたが首が多少痛くたくなった。

猿倉で登山届けを提出して、朝飯をゆっくりと取り、6時55分に歩き始めた。最初は小屋の横から急登を登り、一度林道へ出て、快晴の天候の中45分程歩き、登山道へ入る。白馬の主稜や蓮華尾根がくっきりと見え、さわやかな気分で歩けるのは嬉しい。
沢を渡り、20分程歩くと白馬尻小屋に到着する。ここから大雪渓の眺めが良い。小屋のトイレを済ませ、雪渓の取り付きまで20分歩き、アイゼンを付ける。最初の傾斜が結構ある。2つめの急登を登った所で休憩を入れる。青空に白い雪渓と岩の灰色のコントラストが 美しい。休憩した所から雪渓の終了点までは40分ほどで歩き、杓子岳の天狗菱の鋭い岩峰が美しい。雪渓の終了点で雪渓の上部を見ていると、黒い動く物体があり、確認するとそれは猿であった。その後、かなりの数の猿を見かける。槍ヶ岳では夏に食料を求め3000mの高さまで山を登ることを思い出した。
雪渓の終了点からトラバース気味に歩き、尾根状の豊富な高山植物を楽しみながら急な登山道を登る。今回は小屋泊まりの装備なので順調に高度を稼ぎ、岩室跡の葱平を越えて、小雪渓(今は夏道を行く)の上の大きな岩の上で休憩を入れる。ここまで来ると雪渓上にガスがかかり、暑さも少ししのげて助かる。
この休憩点から稜線までは約2時間弱で、傾斜もゆるく高山植物で有名なエリアだ。数年前に白馬岳から祖母谷温泉に来たときがある。そのときに今回より1週間時期が早かったので今回も楽しみにしてきた。歩き始め直ぐに小清水の左太股の筋肉が痙攣し始め、吊りそうになり、ペースダウンをする。脹ら脛の足を吊ることは今まで良くあったが、一気に太股とは、焼きが回ったのか、足慣らしの白山の疲れかと頭を過ぎるが、おそらく、雪渓の寒気で筋肉が冷えたのではないかと自分なりに判断する。また、脱水症状の前触れかもしれない。しばし、休憩をしてボルタレンを太股に塗って様子を見た。周囲の高山植物は例年より雪解けが遅れたせい、キンポウゲやハクサンイチゲ、シシウドなどの植物が多かった。

丸山避難小屋を越えゆっくり歩いて行くと、白馬岳頂上宿舎の建物が見えてきた。あと、30〜40分ほどで稜線と思われる所で休憩をいれる。レンジャーの方が居て、高山植物の説明をしてくていた。丁寧にウルプソウが白馬岳では有名であることの説明をしてくれた。頂上宿舎に着き、休憩をしていると、夏山診療所の学生が餅つきを始めていた。そして、出来たての餅を振る舞ってくれた、我々もご相伴になる。この頃には雲がでて、展望は得られないのが残念。稜線を白馬山荘を目指し歩き、重荷ではないのでそのまま白馬岳頂上へ向かい、頂上に時分に到着する。頂上で記念撮影をして、白馬山荘の生ビールに惹かれ早々に白馬山荘へ向かう。
小屋で受け付けをすると、モンベルの会員証を見せると500円引きになった。3号館の3階のスペースをに案内された。2人ずつの仕切りがあり、尚且つ90cm幅の一枚の布団に一人のゆったりしたスペースを与えられ、快適に過ごせた。
荷物を置き、直ぐに生ビールを飲みに行った。依然はモルツの生ビールが1000円であったが、今回は普通の生ビール850円が置いてあった。生ビールで喉を潤し、まったりした時間を過ごす。その後、夜行バスの疲れか、眠くなり部屋の布団で少し横になる。

夕食は2回目の17時で、食堂へ行くと数人が並んでいた。登山者の回転は速く、比較的空いている席があった。おかずと食器を受け取り、ご飯と味噌汁、お茶は各テーブルにセットされている。窓側の席を確保して、酎ハイで乾杯をして食事をいただく。
食後は夕焼けに期待して、防寒着のフリースを着て外へ出る。旭岳の方角に太陽は沈みそうであるが、生憎の雲が出ており、綺麗な夕焼けは見れなかった。 フロントで明日の日の出は4時51分と情報を得たので、明日は4時起床、4時20分出発として白馬岳の朝日を拝む計画で、19時半に就寝した。
8月11日 天気:晴れ後曇り
朝、4時に起床する。防寒着としてフリースを着るなど身支度を調える。4時20分に歩き出す。周囲は明るくなり初め、ヘッドランプは無くても歩ける。朝なのでペースはあがらないものの、朝日を期待して白馬のピークを目指す。45分に白馬岳のピークに到着すると、東の空には雲があり、日の出は拝めそうにない。しかし、朝焼けを期待して日の出の時刻を待つ。4時51分になり、日の出は望めない。その後5時過ぎまで朝焼けを期待したが赤くならず。小屋へ戻ることにした。北アの南部の方を望むと、槍ヶ岳に朝日が当たっているのが見えた。おそらく、槍の頂上では良い光景なのだろうと想像した。また、剱岳の融資も綺麗であった。ゆっくり小屋へ戻る間に思いの外展望が楽しめたのは早起きの成果と思った。
小屋へもどり食堂へ行く、朝に少し歩いたので、食欲が出てきてしっかり朝食を食べる。朝食を食べ、荷物を整理して出発準備をする。今日のこれからの行動は、まっすぐに白馬鑓温泉へ行くと行動時間は6時間程度なので、旭岳に立ち寄って行く計画である。 6時に白馬山荘を出発し、少し稜線を下り、清水岳への分枝点から旭岳へ向かう。途中はハクサンコザクラ、ウサギキクなどの高山植物の多いところを通過し、雪渓を越えて行くと、旭岳への踏み跡ていどの道になる。最初はザレ場で歩きにくいが、ピークへ出る。ここは登山道ではないので頂上の道標はない。ここから見る北アルプスの南部の展望はなかなかなものである。左手に白馬三山から鹿島槍、そして右手には剱岳から薬師岳、そして遠くに雲の平から槍ヶ岳と遠望でき、北アルプスが箱庭のように感じられる。以前に清水岳から祖母谷温泉へ下ったときがあるが、清水岳周辺はとても湿原ありで良いことを思い出した。

頂上の展望を楽しみ、来た道を下るがザレ場でストックを使いながら慎重に下る。ザックを置いた地点までは下りだとあっという間である。そこから雪渓を越えて、稜線あでは少しの登りが待ち受けている。稜線で一本休憩を入れ、白馬三山の稜線歩きを楽しむ。最初は丸山という小さなピークを越えるのであるが、この周辺は高山植物が多く写真を撮りながらゆっくり歩く。途中、大雪渓が見渡せるところを越える。そして、50分ほどで杓子岳の手前に到着する。あと、10〜15分くらいの登りと思われるので、杓子岳まで頑張ることにする。そして、頂上に着く。景色は頂上より少し白馬岳よりに50mほど行くと白馬岳の融資が素晴らしい。昨日、高山植物を楽しみながら登ってきた道が見える。
杓子岳から稜線上の道を歩き、縦走路に合流する。そこから白馬鑓ヶ岳の登りがきつく見える。だが、今日最後の登りということで頑張って登る。小槍のピークを越えてみると白馬鑓の頂上はあと一頑張りと言ったところ。ジグザグの登山道を登り、2903mの頂上に到着する。すると、天狗山荘が間近に見え、その先に唐松岳が見える。天候は曇りになったが、高く盛りで槍ヶ岳が見える。昨年に五竜岳から鹿島槍ヶ岳の縦走を山下氏と行った山行が思い出される。ここまで天気が持ってくれたのは嬉しい。振り返ると白馬岳から杓子岳の稜線が見渡せる。30年位前の山を始めた頃に来たルートだが、もはや記憶に無いので新鮮な感じで嬉しい。すると数分の後には槍ヶ岳が雲の中に隠れてしまった。北ア南部は雨が降っているようだ。
意外にも天候が持ってくれたので白馬鑓ヶ岳の展望をゆっくり楽しみ槍温泉へ下ることにした。下ること20分で稜線の分枝に到着し、一息入れて下って行く。稜線から地図ではガレ場となっているところを一気に下って行くが、さほど歩きにくいとは感じない。下ること1時間強で大出原に投薬する。周囲を見渡すとチングルマの花が散ったものが広がっている。おそらく、1〜2週間前にはチングルマの大群落で素晴らしかったと思われる。その頃に来てみたいと一瞬思った。
大出原で休憩をした後は、ハイマツやナナカマドなどの低い木が現れ、ハクサンフウロ、キンポウゲ、クルマユリなどの高山植物が見られ、楽しみながら下った。登山道はカール状から尾根状へと変わり、揺れた岩番状の登山道にクサリが現れた。さほど厳しいとは思わないが、10日前にはここで事故が起きていることを他の登山者から聞いた。2ヶ書ほどのクサリ場を下り、そろそろ良い休憩場所がないかと歩いていると、ふと雪渓が眼下に現れ、携帯のGPSで検索するともう僅かで白馬鑓温背であることが確認できた。登山道が鋭角に折れ曲がると温泉の小屋が見えた。あと少しなので頑張ることにした。

13時20分に小屋に到着した。小屋で受け付けを済ませ、部屋へ行くと小屋の2階の15人ほどのスペースに案内された。結局15人のスペースに8人と警笛なスペースを頂いた。荷物を早々に置いて、風呂へ入りに行った。露天風呂は小屋の直ぐ下で混浴であった。夜8時から女性専用時間とあった。N氏は女性専用の風呂へ行った。今回の山行の目的の白馬鑓温泉に入り、贅沢な一時を味わった。風呂の後は当然、ビールである。生ビールは無いので缶ビールで喉を潤す。N氏も風呂上がりのビールを堪能した。
しかし、ここだと酒を飲む以外にやることなし。食堂のテーブルの一角を占拠して2年越しの槍温泉に感激し、山談義に弾んだ。暫くしてテント場の横の足湯へ行き、テント泊の若いカップルの登山者と話しになり、山へ行くために富山に引っ越したなどど話しが弾んだ。小清水はもう一度風呂を堪能して、夕食まで時間があるので布団に入り休んだ。

夕食は2回目の5時40分で、煮魚がついて結構美味しかった。この日は100名位の宿泊者らしい。夕食後は外で妙高にある登山学校の生徒で今は唐松山荘で山岳ボランティアをやっている若者と山の話しを楽しんだ。その若者は今日は休みで帰らずのキレットを越えて来たと言っていた。ゆくゆくは山岳ガイドに成りたいと言っていた。寝る前にも風呂を楽しみ、19時半に就寝した。

8月12日 天気:曇り
今日は猿倉発10時のバスに乗るために、コースタイムを考えて6時には出発したい。朝食が2回目の5時半なので、朝食前にパッキングを済ませた。朝食を済ませ身支度を調え、テント場の横の道を下っていく。すると、20名のガイドパーティーが雪渓を先行して歩いて行くと渋滞となる。一応、あとについて歩いた。その後、登山道を先行させてもらい、ペースを上げる。登山道は隣の尾根までトラバース気味に付いており、雪渓を横切るので、このルートは早い時期だと大変だと思った。
今日の行程の約半分の地点である、展望の良い所で2本目の休憩を取る。白馬三山が見えると地図にあった。曇り空ながら白馬三山を眺めることができた。
休憩後に猿倉までコースタイムでは1時間50分とある。2時間強あれば間に合うだろう。先を急ぐことにした。歩き出して5分とかからないだろうか。樹林帯の登山道で突然荒木氏の姿を発見する。津村氏、IZA氏と続いて来た。言葉を交わして、近くに広いところもなく、我々もバスの時間があるので、お別れをした。あと少し合うのがずれていれば、話す場所があったのにと残念がった。30分ほど下ると登山道は樹林帯の平坦な道となり、樹林帯で休憩をしてGPSで位置検索をすると猿倉まで、近いことに気づく。そこから20分もしないうちに林道へ出て、15ほどで猿倉に到着する。生ビールの看板を見つけ、バスの時間まで30分もあるので、飲んだところすこぶる美味しかった。「こんな朝から飲んでいいのか」とN氏が言った言葉が印象に残る。実に美味しい一杯である。
10時10分のバスに乗車すると、昨日の足湯の若者に会い、挨拶を交わす。彼らは車で来たらしく駐車場で八方手前のバス停で降りた。我々はその先の八方でバスを降り、第一郷の湯を観光案内所で聞いたところ、八方の湯と名前が変わったことを知る。そこは、バス停から50mほどの所にあった。

長野駅行きのバスまで1時間強あるので、汗を流しやはり生ビールで乾杯をする。八方発11時50分発の長野駅行きに乗車して、定刻の13時に長野駅に到着して、昼飯を食べて長野発15時59分発の長野新幹線で東京駅経由で横浜に帰った。 <行動時間>
8月9日
新宿都庁駐車場23:00発ー5:00猿倉着

8月10日
猿倉5:50発ー6:50白馬尻7:10ー7:30雪渓取り付き7:40−9:15雪渓終了9:30−12:05 頂上小屋12:30ー13:05白馬岳頂上13:10ー13:30白馬山荘

8月11日
4:00起床4:25ー4:40白馬岳頂上5:05ー5:20朝食・白馬山荘6:40発ー7:05旭岳鞍部  7:10ー7:25旭岳頂上7:30ー7:50鞍部7:55ー8:15稜線ー9:30杓子岳9:50ー10:55白馬 槍ヶ岳11:20ー11:40稜線分枝ー12:05大出原12:15ー13:20白馬鑓温泉

8月12日
4:30起床ー5:30朝食・6:00出発ー7:05休憩7:10ー7:45峠7:55ー8:45休憩8:55ー9:30 猿倉着

<山行雑感>
 私自身は5度目の白馬岳の山行であるが、白馬鑓温泉は来たことが無いので、大きな目的であった。また、小屋泊まりの装備で望んだ今回の山行は楽勝かと思いきや、初日に雪渓を越えた跡に太股を吊るという失態を起こしてしまったのは、年のせいか、雪渓の寒さのせいかと悩んだ。N氏から「一週間前に白山に行ったんでしょ!」と言われたのには返答ができなかった。
5年前に白馬岳から祖母谷温泉に下ったことがあるが、その時も高山植物は素晴らしかったが、今回の日程が10日遅れたにもかかわらず、良かった。
山小屋はIZA氏からお盆の時期はさほど混まないと言われたいたが、その通りで2泊とも布団一枚に人一人と快適に過ごせた。白馬山荘は2人ずつ仕切りで仕切られ、隣の登山者に気を遣うことが無いので良かったし、白馬鑓温泉は15人ほどのスペースに8人と快適に過ごせた。
そして、今回の山行の目的でもある、白馬鑓温泉は実に快適で、山行の合間に風呂には入れるとは極楽極楽と言える。到着時刻が早かったせいか、風呂に4回も入り、風呂上がりのビールの味を堪能出来た。

(KOS記)

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