春山合宿 白馬岳主稜の記録

日程 2015年5月4日(月)〜5月5日(火)

5月4日(月) 雨

6:10横浜⇒13:00猿倉荘13:20→14:30白馬尻

 4日の朝6:10にKN車は横浜に集合、S車は二俣川に6:30に集合し出発した。横浜町田から外環経由で中央道に入る。高尾山から八王子JCTの合流がかなり渋滞していたが、その後は大きな渋滞もなく13:00に猿倉の駐車場に到着した。駐車場の混雑を心配したが、4日から5日にかけて悪天候の天気予報だったからか空いていた。

 都合で単独移動してきた小蓮華尾根隊のYAMAさんと猿倉荘で無事合流して、白馬尻に既に到着している小蓮華尾根隊と電話で情報交換(尾根まで下見に行ったことや水が汲めること等)して、小屋の方に主稜の情報を教えていただき(雪が少なくかなり悪いとのこと)傘を差して13:20に出発した。小屋の裏から急斜面を登るが、林道に合流してからはなだらかになる。時折雨が強くなり、傘を持ってきてよかったと思う一方で明日が心配になる。

 大雪渓の広がりが感じられるようになると白馬尻だ。下山してきた2人組に会い情報をもらうと、雪が少なく主稜を途中で諦めたそうだ。左の斜面を登った台地に上がり、既に宴会中の小蓮華尾根隊のテントと合流し、神奈川山岳会総勢15人が白馬尻の台地に集結した。雨は小康状態。整地をして4天と6天を設営し水汲みと下見に分かれる。水汲みは小蓮華尾根隊のFさんが案内してくれ、大雪渓の末端で流水が出ている所まで行った。

 下見はNさんと私で大雪渓を横切って急斜面を登った上の雪面まで行った、雪崩の心配はなさそうだが、上部を見ると雪があちらこちらで割れていて上がるのは苦戦しそうだった。不安はあるが下部なので明日進んでみて最終判断をすることにした。暗い時間の移動になるため、間違えないように取付斜面の登路に赤旗を残しテントに戻った。

天気予報通りだんだんと風雨が強まり、22時頃には寒冷前線が通過したのだろう、かなり激しくなってテントが暴れて眠れないほどだった。

5月5日(火) 晴れ

2:00起床3:50→5:20 1900m(地図岩がけ記号の場所)→6:20八峰6:40→7:00 七峰2237m→7:40六峰2300m→8:30五峰 2492m→9:30 四峰2650m→10:05三峰→10:40二峰(雪壁基部)11:10→11:30最終ピッチ→12:20山頂12:35→12:50白馬山荘13:25→15:20白馬尻16:10→16:55猿倉荘⇒大町

 2時に起床。外は静かになっていた。3時半に出発予定だったが大幅に遅れてしまう。30分遅い出発予定の小蓮華尾根隊もテントを出てきてお互いの健闘を祈って先に出発した。

 ロープを使う場合も想定して、KN・Y・N、MH・Y・NAKA、S・MA・NAKAGの3人ずつ3パーティーの構成で登攀することにした。しばらくぶりのNAKAさんとNさんを除いたメンバーは、このルートは初めてなのでNさんに先頭をお願いする。

 5日も午前中は雨が残るような予報もあったが、星も見えており天候は回復したようだ。下見で付けたトレースを追って進むと昨晩の暴風雨を稜線上で過ごしたのだろうか、稜線上にヘッデンの明かりが見えた。大雪渓を横断してからの急登を登り、雪原につくころにはヘッデンはいらないほど明るくなってきた。下見で雪が割れていた地形図に岩がけ記号のある1900m地点は、右から2番目の藪の間を進んだが、雪が切れていて早くも藪漕ぎで越える羽目になった。一番右端から巻いた方が雪面のまま行けた様だ。天候は予報より早く回復していると感じられ、この先も雪は少なそうだが進む事にする。

 1本休憩を入れて急な雪面と一部露出したガレ場を登りきると八峰基部といった感じの少し平らな稜線に出る。前に立ちはだかる八峰は藪の塊にみえたが、登ってみると藪の中に踏み跡がついていて迷う事は無かった。六峰への稜線も雪が途中でなくなっていて、草付・ガレた斜面を落石に注意しながら登った。その先もシュルントを跨ぐのに少し勇気のいる場面や元気なハイマツと戦う場面とかを越えて行った。三峰も近づくと青空が広がり風もなく春の雪稜歩きモードが高まってきた。しかし、所々ヒドゥンクレバスのようなやばそうなブリッジもあって注意は必要だった。昨晩の寒冷前線通過で気温が下がったおかげなのか、最後の雪壁まで雪質は安定していた。

 最後の雪壁は明らかに雪が少なくガイド本やネットで見るイメージと違っていた。せっかく背負ってきたこともありロープを出すことになって、下部はデッドマンと埋めたバイルの2か所の支点からクローブヒッチの固定分散で自己確保を取って私がスタンディングアックスビレイでリードの西さんを確保した。西さんが登った結果、中間部の棚状の所まではロープは不要との判断でビレイヤー以外の7人はノーロープで登った。

 中間部の岩には岩に打たれた残置支点があるが、ルートを外れた左寄りにある状況だったので使用しなかった。ストレートライン近くの雪のある場所でスノーバー2本と1本をバックアップとして計3本で支点を構築しATCガイドを使ってボディービレイで上部を登るリードを確保した。リードの西さんは途中にスノーアンカーで2か所プロテクションを取った。山頂に抜けたら岩にスリングを掛けてロープをフィックスして、後続はアッセンダーを使って登り、最後の自分はATCガイドでビレイしてもらい登った。11時を過ぎてさすがに雪はゆるくなってきたのでロープを使ってよかったと思った。

 山頂に抜けてロープを片づけていると、小蓮華尾根を越えてきたという2人組から声をかけられ、小蓮華尾根隊6人も無事に前進していることを教えていただいた。山頂で写真を撮って、白馬山荘でゆっくり休憩して、小蓮華尾根隊がそろそろ来るかと思ったが、下山することにした。小雪渓で再度アイゼンを装着して大雪渓を下った。杓子岳から2度ほど大き目な落石があったが、シリセードを交えながら2時間程で白馬尻のBCへ帰還した。予備日は使わずに今日中に横浜に帰ることも可能ではあったが、今日はUターンのピークで大渋滞が予想されていたため、副会長の計らいで大町在住の会設立メンバーの大先輩であるMさん宅にお邪魔することになった。すっかりお酒をいただいてぐっすり睡眠をとらせていただいた。翌6日の朝6時に大町を出発して、渋滞なく横浜に着くことが出来た。(5日は0時を過ぎても渋滞していたらしい)

 3パーティー構成で行動したが、ロープ使用は最後の雪壁の1ピッチだけであったし、空いてもいたので終始一体となって行動出来た。残雪が少なく状態が悪いという情報と4日から5日にかけては天気が悪い予報だったため入山する人が少なかったようだ。最後の雪壁でロープを出している間も1人だけしか上がってこなかったので、ゆっくり対処することが出来た。素敵な雪稜歩きと言う場面もあったが、藪漕ぎとガレ場登攀の印象の方が強い山行となった。

(KN記)

2015年度山行報告へ