奥秩父周回山行の記録

日程:2015年10月23日(金)〜25日(日)

◆はじめに
西沢渓谷入口をスタートにして周回するには大弛峠を中間点にすれば、テン場と水の確保が可能となる。しかし標準的なコースタイムでは左右どちら回りでも約11時間かかる。日の短いこの季節では暗い中での行動になるのは避けられそうにない。途中でビバークして大弛峠に寄らないでも2日間行動出来るように、水3Lとペットボトル500ml×2本の計4Lの水分を背負って行くことにした。左回りなら甲武信小屋で水を補給出来れば稜線に上がるまでは楽が出来るが、より静かな山行を狙って右回りを選択した。

◆10月23日(金)
22:00横浜⇒16号⇒高尾山IC⇒勝沼IC⇒24:30道の駅みとみ

仕事もあって出発が22時になってしまったが、渋滞はほとんどなく24:30に道の駅みとみに到着した。隅に停車して寝酒を飲んで車中で仮眠。

◆10月24日(土)
5:00起床⇒西沢渓谷入口駐車場5:50→6:09ねとりインフォメーション→6:17近丸新道登山口→6:18徳ちゃん新道登山口6:21→6:28二俣吊橋6:30→6:36三重ノ滝6:38→7:23七つ釜五段の滝→7:37西沢渓谷終点7:44→10:14牛首10:15→10:22牛首ノタル10:23→11:06黒金山11:16→11:19大ダオ分岐→12:04大ダオ→12:30トサカ→13:37ゴトメキ(御止木)13:38→14:04白檜平(窪平)14:09→15:25奥千丈岳(ビバーク)

5時はまだ暗かったが起床してトイレを済ませて西沢渓谷入口の駐車場に移動した。既に多くの車が止まっていて、登山の準備をしている人も何組か居た。トイレのある「ねとりインフォメーション」で登山届をポストに入れて、下山路の徳ちゃん新道登山口を通り過ぎ西沢渓谷に進んだ。登山者の多くは甲武信ヶ岳を目指したようで、渓谷はまだ薄暗い時間帯のこともあり数組が歩いている程度だった。紅葉は綺麗と言える程ではなかった。
七つ釜五段の滝を過ぎてトロッコ軌道跡のある西沢渓谷終点のトイレ脇のテラスで小休止した。ここから紅葉台まではきつい上りが続く。そこから少しは楽になるが牛首のコルを過ぎて黒金山までは登り基調のアップダウンになる。4Lがジャブのように効いてペースが上がらず、想定内ではあるが早々と大弛峠に着くのは困難な見通しとなった。
黒金山山頂でこれから進む稜線を眺めて、往復で西沢渓谷に戻るという登山者と山頂で少し会話して先に進んだ。その後は翌日の北奥千丈岳まで誰にも会わなかった。
黒金山の山頂直下が分岐かと思っていたが、乾徳山方向へ急坂を下ったところが大ダオ方面の分岐だった。分岐は沢山の標識があって分かりやすい。大ダオまでは道標や番号札が木々に沢山付いていて、踏み跡は薄いところもあるが迷うことはない。
遠望の利かない木々の間を小一時間進むと、一面に笹の広がる開けたコルで眼前の富士山が美しい大ダオに到着する。笹を渡る風の音が心地よい空間は、いつまでも居たい場所だった。
トサカまで30分ほど登り返す。ゴトメキまでは特に倒木が多く、根元から倒れた大木を回避して道を失いそうになる場所もあったが、基本的にはピンクテープが多くつけられていて安心できる。ゴトメギから20分ほどで舗装道路の林道が通る、開けた明るいコルの白檜平に到着する。北奥千丈岳方面の入り口は迷いやすいという情報もあったが古い情報だったようで標識があって迷うことはなかった。池塘の様な水たまりがいくつかあったが明確な水源は確認できなかった。季節によっては水量があるのかもしれないが、今は流れがほとんどなく飲むにはかなり勇気がいる状態だった。
白檜平で14時を過ぎてしまった。平らな場所が確実にある北奥千丈ヶ岳の山頂に明るい内に到達したかったが、標準タイムで2時間半かかるので16時半を過ぎそうだ。明日に距離を残さない為に少しでも先に進みたいのだが、足は重くペースは上がらず、ビバーク出来そうな場所で心折れそうになりながらも15時半頃に奥千丈ヶ岳に到着した。地図ではこの先にもビバークが出来そうな地形が見受けられるが、標高が上がるにつれて風が強くなっており、明日は寒気の影響でさらに強くなりそうだったので、ここでビバークすることに決めた。
山頂と言うほど広い場所ではなかったが、地面は岩も出ていなくそのまま横になれそうだ。岩は無いのでペグで4隅を固定して木を使って設営した。4oの細引きで一方はクローブヒッチで反対側はスリングで木と固定して、細引きにインラインエイトノットを作ってカラビナで折り返して自在結び(トートラインヒッチ)でしっかりとテンションをかけて固定した。また側面が風で凹まないようにスリングとカラビナで風上側だけペグに固定した。30分程設営にかかり、くつろげた時には薄暗くなったので行動を止めたのはちょうど良かった。夕食はアルファー米にマーボ茄子のレトルトと吸い物で済ませた。FMラジオを聞いてゆっくりしてから、少し頭痛がしたので酒は飲まずに寝た。
◆10月25日(日)
5:00(起床)奥千丈岳6:00→6:46北奥千丈岳6:50→6:57三繋平→7:06国師ヶ岳→8:18国師ノタル→8:56東梓8:58→9:41両門ノ頭→10:10富士見10:15→10:47水師10:48→11:26甲武信ヶ岳11:28→11:41甲武信小屋11:42→12:04木賊山12:06→12:08木賊山まき道分岐12:09→13:14徳ちゃん新道分岐13:15→14:24徳ちゃん新道登山口→14:28近丸新道登山口→14:32ねとりインフォメーション14:33→14:46西沢渓谷駐車場

5時に起床してラーメンを食べて薄暗い中でツエルトを撤収した。歩き始める頃にはヘッデンはいらない程だった。水も食料も消費したので荷物が格段に軽くなり、しっかり眠れたので快調ではあるが、コースタイム的には昨日より多い10時間以上は歩かなければならない。 昨日の借金分の北奥千丈岳までは50分程で登れた。途中で目出帽をかぶった。山頂は冷たい北風がかなり強く、木々に氷が付くほど寒かった。山頂にはツエルトを張れそうな岩陰の平らな場所が何ケ所かあり星空も楽しめそうだったが、この強風では止めておいてよかった。写真だけ撮って三繋平の分岐まで下りてベンチで休憩した。
奥秩父最高峰の北奥千丈岳から先の登山道は昨日とは全く異なって広く歩きやすくなり、ペースを上げることが出来た。国師ヶ岳から先では下りは小走りしたりして時間を稼いだ。基本的には樹林帯の単調な稜線歩きであまり眺望はない。なだらかなアップダウンを繰り返し、少しキツイ長めの斜面を登ると水師に到着する。毛木平の分岐から甲武信ヶ岳までは30分かからない。山頂には沢山の登山者が居て騒がしかったので、写真だけ撮って甲武信小屋にも寄らずに、木賊山まで移動して休憩した。戸渡尾根も快調に下り徳ちゃん新道を経て、15時前に駐車場に到着することができた。西沢渓谷入口までは紅葉のピークとうことで観光の親子連れなどが沢山いた。帰りの中央道は大月から渋滞していたが、19時過ぎに帰宅することが出来た。


(KN記)

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