2015年5月会山行 北アルプス 小蓮華尾根から白馬岳

日程 2015年5月3日〜6日

5月5日
 すでに出発した白馬岳主稜アタックチームが、ヘッドランプを灯し整然と斜面を登って行くのが見える。われわれは少し遅れて4:20に出発した。白馬尻のテン場からやや下り、そこから急斜面を一気に登って、小蓮華尾根を目指す。昨日の雨と強風のせいか、雪は硬く登り易い。稜線に着く頃には朝日が上がり、見晴らしがきいてきた。稜線に出て(5:11)一本立て、周りの景色を楽しんだ。
右手には馬の背のように存在感のある妙高山、さらに火打山が見える。左手の白馬の斜面には主稜チームのメンバーがまだ点在して見える。尾根に出たとはいえ、ブッシュも多く、雪原を捜しながらゆっくり登った。雪の斜面にトラバースの後があり、そこを歩く。少し行くと今後は急斜面を登っていく。稜線に出るとまたブッシュが広がっていた。今度は避けられそうにない。最初の藪こぎだ。さほど困難なく過ぎると、また東側の雪の斜面を登る。やや急な斜面でもあり、何か所かクラックも見えるため、注意深く登る。文さんが調子が悪い様子で、やや遅れがちとなる。顔色も悪くしんどそうだ。一方、MACHIさんは頬をややピンクに染めながら坦々とついてくる。登山技術も経験も積みつつあるのだろう。何度か休憩を取った。
またしばらく登ると、目の前にブッシュが広がる。その上には小蓮華山へ続く、なだらかな雪の稜線が望めるが、先ずはこれを越えなけれはならず、まだ時間が掛かりそうだ。ブッシュはハイマツとクマザサだが、ハイマツが背丈以上の高さの上、幹が太くて踏み込めない。MAROさんは、「藪こぎは無理です!」と最初は言っていたが、ARAリーダーより「前の人にへばり付いて、同じ個所を踏め」と教えられてから、難なく進んでいる。自称藪こぎ専門家のFUJIさんは、藪の低い場所を見極めながらどんどん進む。どれくらい悪戦苦闘しただろうか。ようやく雪原に出た。しかし、少し遅れているBUNさんとARAさんは藪が揺れているのが確認できるだけだ。
二人が到着して見晴らしのコル(らしき)斜面で一服した。気がつくと、誰もいないと思っていた小蓮華尾根の下の方には2〜3パーティが見えた。
ここから見る上部には大きな雪の斜面が広がっている。小蓮華山への最後の登りだ。雪はやや解け、足場の確保に問題はない。ところどころにある岩稜は脆く崩れ易く「ラーク、ラーク」の声掛けの連続だ。バイルを使って登る文さんから、「注意して登れ!」の声が掛かる。両手にバイルを持ったせいか、体調もやや回復しつつあるようだ。登りきると小蓮華山のやや右手に出た(10:52)。いきなり日本海が飛び込んできた。小蓮華山(2,766m)の手前でアイゼンを外し、360度の展望を楽しんだ。立山連峰は圧巻だ。その中でひと際目だって聳え立つのは剣岳だ。
白馬岳までは稜線の散歩だ。快晴で風もなく本当に心地よい。三国境を越えた岩場で、雷鳥に遭遇した。少し行くと今度はつがいの雷鳥に出会った。左手の雪原では岩ヒバリが遊んでいる。二つほど急な雪の斜面を越えたが、トレースもあり、雪も緩く、ゆっくりと登った。白馬岳の山頂(2,932m)に到着(13:35)。人はほとんどいなかった。さらに降りて、白馬山荘でトイレを借りビールを買った(ビール、酒とも400円)。泊まり客はあまり人はいない様子だった。
さぁ、大雪渓を降りて行こうと思ったら、ガタガタ、ゴロゴロと連続して音がする。目の前の丸山の岩が断続的に崩れ、細かい石を落しているところだった。怖さを感じる。大雪渓にはスノーボードやスキー板を担いて登る人たちが目立った。われわれはグリセード(まがい)と尻セードで長い雪原を快適に降りて行った。
5月6日
 翌日も帰るのがもったいないくらいの快晴となった。テントを撤収し、雪原をゆっくり降りた。降りるたびに樹木に若葉が増えて、新緑が心地良かった。猿倉山荘に到着し、タクシーを待った。
<雑感>
 バスの棚にピッケルを忘れたり(KATA)、靴を替えたためアイゼン合わず、山行断念宣言が出たり(FUJIさん)、斜面でジュースを落したり(MATCHさん)、高山病?に罹ったり(BUNさん)と、スタートから暗雲の漂う山行でしたが、雪の急斜面、藪こぎ、岩稜、稜線歩き、大雪渓、と何と起伏に富んだコースを楽しむことができたことだろう。無事に遂行できたことと計画を立ててくれたARAリーダーに感謝、乾杯。

<行動時間>
5月3日(日)
 新宿発23:00アルピコバス
5月4日(月)
 アルピコ白馬駅着5:45−白馬駅発バス6:30−猿倉山荘7:00‐7:30(登山届)− 白馬尻(テン場)9:00
5月5日(火)
起床2:30−白馬尻4:20−小蓮華尾根稜線5:11−小蓮華山稜線10:52−小蓮華山山頂
(2,766m)11:43−白馬岳山頂(2,932m)13:35−白馬尻テン場16:30
5月6日(水)
 起床6:00−テン場発7:43−猿倉荘(1,250m)8:30−白馬駅発10:14

                                 (KATA記)

2015年度山行報告へ