8月会山行 北アルプス 栂海新道縦走山行報告

日程 2014年8月12日〜15日

<行動記録>
12日(横浜市内→蓮華温泉)
天候:12日曇一時雨

あずさ3号で八王子8:03発南小谷へ、普通に乗り換え平岩着12:09 路線バスで蓮華温泉13:30頃着。この日はそのまま温泉に浸かりビールとお酒で休養、夕食後19時就寝。深夜満月。
13日(蓮華温泉→朝日小屋)
天候:13日晴のち曇・霧、風無し

4時起床、本日の行程は標高差が1,400m以上有り、距離も長いので早達ちを心がけ4:45出発。天気はまずまずで草原の夜露が朝日を受けて輝き、清々しい。昨夜からの満月がまだ空に浮かんでいる。蓮華温泉は標高1,470mだが、まず瀬戸川出合迄標高差300mほど日陰の濡れた滑りやすい下りが続き、1,100mからの登り返しとなる。しばらく樹木帯を緩やかに登り、白高地沢出合を抜けたあたりから草原が広がり、木道をひたすら登って行く。花園ベンチ、五輪の森と1時間に1回程度の休みを繰り返しながらゆっくり登って行くが、栂海新道との分岐点、吹上のコルが遠い。1日目の難所はここ、吹上のコル手前1時間の登りだった。この頃になると、晴れ間が除々にガスに覆われてくる。
吹上のコルで休憩の後、朝日岳山頂迄の最後の登りをこなす。ガレ場を約40分で山頂、山頂は簡素で視界なし。朝日小屋迄の下りで雷鳥の親子に遭遇。13:50朝日小屋着。すぐに屋外のベンチで乾杯。外は寒いくらいの気温だった。今日の宿泊者は50〜60人程度か?朝日小屋は食事の良さで有名だそうだ。夕食には昆布締めの刺身やホタルイカの沖漬、蕎麦などが出た。19:30頃就寝。
14日(朝日小屋→栂海山荘)
天候:14日霧・曇、微風

4:30起床、薄曇りだが、小屋から日本海沿岸の街明かりが見える。朝食5時、5:30に出発。朝日岳から吹上のコル迄の2時間は昨日の行程をそのまま戻る。朝日岳山頂迄50分、今日は山頂から立山・剣岳方面をー瞬望むことが出来たが、それも束の間で再び厚い雲・霧に覆われる。 山頂は昨日と異なり人が多い。吹上のコル迄下って来るが、ガスって視界なし。ほとんどの人が蓮華温泉へ下山してゆく。天気予報は下り坂でこれから2日間雨の予報が出ていたので、このまま栂海新道を行くか蓮華温泉に下るか一瞬思案したが、現段階で降られていなかったのでそのまま予定通り栂海新道方面へ進む。しばらく樹林帯の道を進むと視界が開け、長栂山、さらに進むとところどころ雪渓の残るアヤメ平の高層湿原へ飛び出す。ここから高層湿原の中の長い木道が続き、黒岩平までの広大な湿原歩きとなる。ここはあたかも雲ノ平のような原生花園で、花の時期はやや過ぎてはいたものの高山植物が咲き乱れていた。7月初旬や紅葉の時期に来ればさぞかし素晴らしい光景を目撃できたであろう。天気も予報が外れ、晴はしないものの薄曇りの状態で、暑くなくむしろ快適だ。黒岩山の山頂まで行き見下ろすと、朝日岳から広大なアヤメ平・黒岩平の高層湿原を俯瞰することができ、素晴らしい眺望を目の当たりにできた。黒岩山で大休憩を取りサワガニ山方面へ、栂海山荘手前の水場から、犬ヶ岳山頂までの1時間強がこの日の難所、最後の厳しい登り返しが待っていた。犬ヶ岳山頂から5分ほどで栂海山荘に到着、13:45、この日山荘への3番目の到着だった。小屋へ到着する人は、17時頃まで続き、中には白馬から一気にここまで来る人もいた。この日の宿泊客は40人程度か?このコースを歩くみなさんの多くが、日本海まで歩き通すというメモリアル登山の思いが強く、小屋前のベンチでは別のパーティーと話が弾んだ。今日の長丁場でみんな疲れていたようで、19時過ぎには小屋は寝静まっていた。
15日(栂海山荘→親不知海岸)
天候:15日曇ー時晴のち雨 微風

朝、4時起床。曇っていたが、天気はそれ程悪く無い。朝日が出るところはすでに明るくなっている。気温は高いが風がある。昨日、朝日小屋の主人から栂海新道は2日目の方が辛いと聞いていたので、覚悟を決めできるだけ早く出発を心掛けた。朝食を済ませ、昨日仲良くなった別のパーティーの方々と挨拶を交わし、4:50に出発。小屋そばの登山道から一気に急な下りが始まる。ここから親不知まではほぼ稜線に忠実に登山道が作られているためにアップダウンが激しく上り下りが延々と続き、巻き道は全く無い。1時間弱で黄蓮山へ、途中でご来光を拝めることができた。昨日から標高が徐々に低くなってきているため、暑さが身に応える。黄連山から少し下り、水場で水を確保する。菊石山の登り下りはさしたることはなかったが、下駒ヶ岳への登りは厳しい急登、フィックスロープを頼りによじ登る。下駒ヶ岳山頂で休憩を取り、白鳥山に向けて一旦大きく下り、激しく登り返す。急登の連続と暑さでペースは落ち、こまめに休憩を取りながらゆっくり山頂を目指す。雲行きが怪しくなってきたが、風が出て来たので、かえって助かる。9時にやっと白鳥山(白鳥小屋)に到着したが、ここからついに雨が降りだし合羽を着る。ここまでの行程4時間、それでもまだ半分弱、下駒ケ岳、白鳥山への急登はこの日最初の難所だった。

白鳥山から約1時間、なだらかな樹林帯の道を下る。雨は大したことはなく、ARKさんはすぐに合羽を脱ぐ。水場を過ぎたくらいから坂田峠まで急斜面の下降が始まる。疲れている足は踏ん張りがきかず、ロープを頼りに慎重な下りを心掛ける。この間約1時間、今日、第2の難所だった。坂田峠には林道が通っており、タクシーを呼べば来てくれるのだが、ここで止めると日本海まで縦走したことにならない。林道を出てそのまままた山に入る。尻高山までのしばらくは樹林帯の落ち葉を踏む道で、先ほどまでの急下降に比べればよほど歩きやすくなる。こんな感じで日本海までぬけられるのかと思ったのだが、結果的には全く甘かった。標高はすでに700m位まで下ってきているのだが、相変らずのアップダウンが延々と続き、トータルではほとんど標高が変わらない。坂田峠から2時間30分ほど歩いたところで、やっと最後の大下りが始まった。今日最後の難所、慎重に下っている途中、熊がすぐそばでものすごい音を立てて逃げて行った。こちらもびっくりしたが、熊の方がもっとびっくりしたようだ。最後に雨が本格的に降りだし、最後の死力を絞り出しながら日本海への急下降を下って行った。14:50 親不知海岸に下山、3日間厳しい山行だったが、歩き切った達成感に酔った。
   【感想】
非常にきつい山行だった。下山後はもう二度とこのコースは来ないと強く思ったのだが、何日かたって山行を思い出してみると、楽しかったことが彷彿され、また季節を変えて訪れてみたいと思うようになるのだから不思議なものだ。今回、天候は晴れ間が少なく曇りが多かったが、栂海新道を歩く上では最高のコンディションだったのではないかと思う。もし晴れていたら暑さで相当厳しい山行を強いられていたはずだ。標高1,000m以下になると日本海側でも30℃の中の登降を覚悟しなければならない。
アヤメ平・黒岩平は、高層湿原として素晴らしいところだった。まさに雲ノ平や五色ヶ原に匹敵する場所だと思う。特に黒岩山から湿原を俯瞰した時の光景は、本当に感動的だった。もし次に訪れることがあるなら、ぜひ紅葉の時期の訪れてみたい。
本コースはメモリアルコースだ。コース中に出会った登山者達はみんなそうだったが、日本海まで歩き通すことを自分自身の記念碑として位置付けているようだった。北アルプスが日本海まで繋がっているということ自体が物語的で、私も良い思い出になった。
メンバーはARKさんと2人だけだったが、楽しく思い出深い山行となった。(TMR記)

1日目(13日)

蓮華温泉4:45
瀬戸川出合6:00/6:10
白高地沢出合7:20
花園三角点・ベンチ8:50/9:10
五輪の森9:50/10:00
吹上のコル11:50/12:20
朝日岳13:00/13:10
朝日小屋13:50
2日目(14日)

朝日小屋 5:30
朝日岳 6:20/6:30
吹上のコル7:20/7:30
アヤメ平8:10/8:20
休憩9:07/9:20
黒岩山10:00/10:15
サワガニ山手前11:10/11:20
サワガニ山11:35/11:50
水場12:25/12:40
休憩13:00/13:10 犬ヶ岳山頂13:30/13:40 栂海山荘13:45
3日目(15日)

栂海山荘4:50
黄蓮山5:44/5:55
水場6:15/6:25
菊石山6:45
下駒ケ岳7:25/7:35
休憩8:15/8:25
白鳥小屋9:00/9:10
休憩10:10/10:20
坂田峠11:21/11:35
尻高山12:21/12:31
二本松峠13:15/13:25
休憩14:05/14:15
親不知14:50


2014年度山行報告へ