北アルプス 蝶ケ岳

日程 2014年12月27日夜発〜30日

<概要>
 12月27日夜発で北ア・蝶ヶ岳の登山を横尾BCで計画した。天候が不安視されたが、28日の午後から降り始めた新雪の中、トレースを探しながらのラッセルをして蝶ヶ岳の山頂のピークを踏んだ。

<山行記録>
 12月27日(土)
 入山はYASU車組と夜行バス組に分かれ、YASU車にはMARO、W、YMの4名が乗り込み沢渡で夜中に到着し、テントを張り仮眠をして、タクシーにて中の湯に向かった。
 一方、夜行バス組は竹橋駅の毎日新聞社の玄関に22時に、KOSとKATAの2名が集合し、受付を済ませ22時30分に出発した。このバスは八ヶ岳美濃戸口、燕岳冬期登山口、中の湯経由の西穂高温泉行きのバスであったが、乗客は少なく24人乗りバス一台であった。
 12月28日(日)
 7時の夜行バスが7時に中の湯の釜トンネル入り口に到着し、釜トンネルにザックを降ろし身支度を調えていると、YASU組がタクシーで到着した。装備分けなどを行い、7時35分にヘッドランプを点け歩き出す。釜トンネル内は結構な登りで、距離も1.3kmあり30分ほどかかる。トンネルを抜けると眩しいばかりの焼岳が銀色に輝き青空が広がり、一日遅かったことが悔やまれるほど。林道は少し下りになり、カーブを超えると大正池の先に西穂高が朝日に輝いている。林道には雪は少ないものの例年になく雪は多い。大正池と穂高の吊り尾根、雪の白と青空のコントラストが実に美しい。西穂高の稜線は雪煙が舞い、風は強そうだと判断できる。槍ヶ岳隊はどうしているかと話になり、西穂高に行っているとしたら今日は最高の登山日よりかと思うなど話ながら大正池に向かい歩いていく。大正池にさしかかり、湖面が一部凍り、完全凍結ではなく、湖面と樹林の霧氷、西穂高の頂が茜色に輝き、青空が映えるロケーションを楽しみながら歩いて行く。
大正池ホテルの売店にさしかかり、ここでトイレタイムをとる。冬季用のトイレは一つと交代で利用している間に、大正池の淵へ降りて、写真を撮る。青い空、白い穂高の稜線、白い樹木の樹氷、一部が凍り始めた大正池とコントラストが美しい。

大正池から林道をひたすら歩き、30分ほどで上高地のバスターミナルへさしかかる。ここから河童橋へ向かうときに、バスターミナル方向から歩いてきた5〜6名の集団に声をかけられ、横浜山岳協会のMSCと分かる。Wさんの旦那さんの会で挨拶を交わす。KATA氏のザックマークが効いたらしい。MSCのメンバーは横尾尾根から槍ヶ岳へさらに中ア尾根へ下るらしい。
 河童橋で記念撮影をしようとしたところ、カメラのバッテリーが上がり、交換をする始末で時間を食ってしまう。橋の脇のベンチで休憩した後、歩き出して小梨平にさしかかると雪が多くなり,足を取られるようになる。
河童橋を後にして40分は過ぎた頃に、樹林帯が切れたところにさしかかり、ふと後ろを振り向くと、明神岳が青い空に輝いていた。そこから10分かからず明神館に到着した。1時間を要した。やはり雪のためか余計に時間がかかった。トイレは雪のため使用不可能になっていた。10分ほど休憩して、徳沢へ向け歩き出す。
 明神館から白出沢を越え、徳本峠の分枝にさしかかる。徳本峠への登山道はトレースがなかった。登山道は梓川近くを通り、その後は樹林帯を行く。太陽の光が木洩れ日となり入ってくる。気温も少しは高くなってきたようだ。ようやく池の脇を超えて、やっと徳沢までの半分か、KOSのペースが落ちてきて、先頭を行くYASU氏に「休みますか!」と声をかけられるが、「行ってください」と答えた。川沿いのアップダウンを超えて、ようやく徳沢のトイレに到着する。冬期トイレは一つなので長めの休憩をとる。ここでヤマテンにアクセスして、最新の情報を得る。今日の午後から雪が降りだし、明日の午前中は天候が回復し、槍穂高の稜線は晴れ間も出るが午後は悪天になるという情報を得る。
 徳沢から平坦な樹林帯を20分ほど歩き、つり橋を通過し雪の多い林道を歩き梓川の縁へ出る。アップダウンが結構あり、KOSが遅れ他のメンバーに先に行ってもらうことにした。広い河原へ出て、ようやく屏風岩が近づき横尾が近いことを知る。さらに河原を歩き、横尾のつり橋に近づき、横尾に14時20分到着した。徳沢から1時間50分とKOSのペースが遅れ、時間がかかり他のメンバーに迷惑をかけた。
 横尾に到着すると他のメンバーが居ない。どこへ行ったのかと思うと、横尾の避難小屋からYASU氏が出てきて、避難小屋内に4天2張りが晴れそうだと言われる。2階に2張りを何とか張ることができた。これで、床は平らだし寒さも断然違うので快適に過ごせると安心する一方で、こんなことで冬山はいいのかと思案にくれた。
 テント内で荷物を整理して、お茶や酒を飲みながら明日の蝶ヶ岳登山に夢を膨らませた。夕食はYM氏準備のチゲ鍋を頂く。ラーメンを入れたり、餅を入れたりとお腹いっぱいになる。
 夕食後、明日の打ち合わせを兼ねて、1つのテントに集まり、酒盛りをする。明日の出発を早め、4時起床、5時半出発と決めた。

 12月29日 天気:雪のち曇り
 4時に起床。朝食をとり、テルモスにお茶を入れ、出発の準備をする。トイレが一つのためか出発に時間を食い、結局5時55分出発となった。雪の降る中、ヘッドランプを点けての出発。YASU、W、MARO、KATA、YM、KOSのオーダーで出発。
 小屋の先の登山道に入り、昨日のトレースを頼りに歩く。しかし、15cmほどの積雪がありラッセルしながらの行動となる。出だしでトレースが二手に分かれているところもあり迷ったが、少し重く感じる雪をラッセルを交代しながら高度を稼いでいく。45分ほど歩き一本休憩を入れる。おそらく、槍見台の手前と思われる。
 2本目も樹林帯の急登をトレースを拾いながら行き、交代でラッセルをする。メンバーが6人で助かったとこのときは思った。しかし、後ろから登山者が上がってくる雰囲気が感じられないので、もしかすると我々だけか、横尾の避難小屋に居た登山者はどこへ行ったのかと話ながら登る。
 3本目は何かと元気なMAROが先頭を行く。後ろのKATA氏が声を掛けてもひたすらラッセルをして先へ行こうとするハイペース。昨日同様にKOSが遅れ気味となり、元気なメンバーでこの後はラッセルをしてもらうことになる。3本目も樹林帯の急登を行く。ちょっとしたテラス(なんちゃって槍見台)を過ぎたあたりからトレースと赤マークが不明瞭となり迷う。以前来たときは右の斜面を行った記憶があるところだ。トレースは尾根上にあるようだが、赤マークが無く迷った。YASU氏が少し先行して様子をうかがったが、赤マークは無かった。尾根を外さなければ良いだろうと、トレースを拾いながら登る。
 トレースは樹林帯の広い尾根の右へと伸びている。結構登った感じがあるが、樹林帯の中で高度がはっきりしない。この頃より雪が小降りとなり、日差しも差し込め始めた。この後の天気の回復が期待できそうだと少し安堵する。樹林帯で休憩をする。
 4本目も樹林帯の登りで、雪が深くなった。昨日の雪が40cm積もってトレースをかなり隠していた。先行のMARO、KATA氏がラッセルをしてくれて、助かっている。感謝しながら足を運ぶ。広い斜面をジグザグに登っていく。雪は止み、樹林帯の隙間から蝶ヶ岳の稜線の一部と思われる景色が見えだした。稜線は近くなったと感じたが、まだまだ樹林帯を抜けず、2520mの樹林帯で休憩をとる。
 あと一ピッチで稜線まで行けそうな雰囲気だが、ここまで4時間半を要した。12時には稜線まで出たいと思いつつ、ラッセルのためペースは上がらない。トレースは少しずつ左により、ようやく11時20分に樹林帯の切れる稜線直下に到着する。蝶槍のピークと本当の蝶ヶ岳の両方のピークを踏むのは時間的に難しくなった。W氏に左の近いピークへ行くかと声をかけたが、大丈夫とのことで本当のピークへ行くこととした。
 樹林帯が切れた直下は風の影響で積雪は少なく、岩混じりの歩きにくい登り。稜線に出たのが12時ジャスト。右にルートをとり、蝶ヶ岳のピークを目指して行動する。槍穂高の稜線は残念ながら景色は堪能出来なかったが、雰囲気は感じられた。風も思ったほど強くなく、雪がかぶったハイマツ帯を歩く。途中W氏のペースが遅くなり、YASU氏から「無理をしないで、戻ったほうが良い。私が付くので先ほど休憩してポイントへ戻りましょう。」という指摘があり、W氏をYASU氏にお任せして、残り4人で蝶ヶ岳のピークへ向かった。12時50分に蝶ヶ岳の頂上に到着する。晴れ間ものぞき眩しい状態。記念撮影をして、直ぐに下山にかかる。
登ってきた道を引き返し歩く。途中で腹が減ったと小休止を入れ、幾つかの小さなピークを越して道標のある分枝点へ。直ぐしたの樹林帯が切れたところでYASU氏とW氏が首を長くして待っていた。思いの外時間がかかったので、YASU氏は心配したとのこと。 今日登ってきた登山者の気配はない。蝶槍からのトレースがあったので、縦走者のものかと思われる。昨日、小屋に泊まっている登山者はどこへ行ったのかと不思議に思った。
ここからは、下りの雪道で斜度があるのでシリセードでと思うが、新雪のためあまり滑らないが、どんどんと高度を下げていく。途中2本休憩を入れ、快適に下り、登りの苦しみは何だったんだろうと話しながら下る。天候も下り坂だが、思った以上によくもってくれた。そして、4時過ぎに小屋へ到着した。その後、雪が降り始めた。 それぞれ、天幕内で酒盛りをしながら夕食の支度をする。今日の功労者は何て言ってもMARO氏の頑張りが大きい。それが無ければ時間切れで途中敗退も考えたほど。最終タイムリミットは稜線直下に13時と想定していたなど、話しをしながらまどろむ。何て言っても小屋の中に天幕を張れたので、暖かいし床が平らで生活がし易い。
 夕食後に一つのテントに集まり、酒盛りをしつつ明日の行動予定を相談した。明日の天気予報では、雪で遅くなるほど下り坂とあった。KOSとKATA氏はバス利用のため13時15分発のバスに乗るために、明日の出発を6時と決め、4時起床とした。  20時過ぎに就寝する。

12月30日 天気:雪・風強し
4時に起床して、トイレに行くと、しんしんと雪が降っていた。昨日の天気予報通りである。朝食を食べ身支度を調え、6時にヘッドランプを点け出発する。
 昨日からの雪は20cmほど積もり、トレースは埋まっている状態。YASU氏の先導で行動する。徳沢に7時25分到着。トイレ前で休憩をしていると、後ろから若い登山者の集団が下山してきた。おそらく、横尾尾根のパーティーかと思われる。
 明神に9時に到着する。ここで若い登山者の集団に抜かれ、先行を許すが、トレースを着けてもらえると心の中で喜ぶ。雪は本降りで風も出てきた。
 明神を後にして、トレースは雪と風で直ぐに埋まってしまうほどの天候。樹林帯の中では所々、雪が積もりつぼ足で歩くほど。小梨平にくると雪と風で吹雪きの様相の中歩き、上高地のバスターミナルの建物の陰で、風をよけながら休憩をする。ここまで時間が結構かかり4時間半を要した。13時15分のバスに間に合うかどうか微妙なところとなった。
 13時のバスに間に合わないときには、坂巻温泉まで歩きましょうなどど話しをする。  上高地からバス道は緩やかな登りとなる。大正池の売店前で休憩を入れ、最後の釜トンネル入り口までの登りにさしかかる。ここで、林道を半分埋める雪があった。どうやら小さな雪崩らしい。そして、釜トンネルの入り口に12時40分着。バスに間に合いそうだと、KOSとKATAの両名は車組と別れ、トンネル内を走って下って行く。そして、中の湯のバス停に13時10分に到着する。案の定、バスは10分以上遅れて到着する。
 坂巻温泉に立ち寄り、汗を流し無事山行が終了したことに感謝して缶ビールで喉を潤す。次の松本行きのバスに乗車して、松本駅で駅弁と缶ビールを購入して、特急あずさで八王子駅経由で横浜に帰る。
<山行雑感>
 冬の蝶ヶ岳登山は3度目で、一番の雪の量であった。天候が一日ずれたて28日蝶ヶ岳アタックなら最高な山行であったと悔やまれるが、29日のラッセル、30日のブリザードと盛りだくさんの内容であったと思う。雪山のラッセルはやはり時間がかかりますね。夏山では4時間弱の稜線までの所要時間が、今回は6時間を要しました。また、スマホでヤマテンの情報が手に入ったことは、天気図を書く以上に有用であった。
 私自身が初日からペースダウンしてご迷惑をおかけしました。先頭を歩いてくれたYASU氏には、登頂をあきらめ、渡邊氏の下山に一緒についてもらったことに感謝いたします。また、ラッセルを積極的に行ってくれた、MARO氏、KATA氏にも感謝しています。

<行動時間>
28日
釜トンネル7:35-8:30大正池9:00-9:40河童橋-11:00明神-12:20徳沢-14:30横尾着
29日
横尾6:00-6:48@-8:00A-9:00B-10:25C2520m地点-11:35D樹林帯最高地点-12:00 稜線-12:50蝶ヶ岳頂上12:55-13:35稜線-14:20-15:10-15:45横尾着
30日
横尾6:00-7:35徳沢-9:00明神-10:35上高地バスターミナル-11:50大正池-13:10中の湯

<参考資料>
竹橋駅―釜トンネル入り口 夜行バス代7500円
中の湯―坂巻温泉 路線バス代300円
坂巻温泉 風呂代500円
坂巻温泉―松本 路線バス代2100円
JR松本駅―横浜駅 特急指定利用 6230円

(KOS記)

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