北アルプス・剱岳早月尾根


2013年5月2日〜5日


◆ 5月2日(木) (上市最高気温9.2℃)
14:00横浜駅(県民サポートセンター)集合→21:00馬場島
当初は2日の夜出発の計画だったが、みんな仕事が休めたため14時出発にする。環八は渋滞したが19時半に有磯海SAに到着できて夕飯をすませる。滑川ICを降りすぐにコンビニがあり買い出しを済ませる。早月川沿いではなく上市側の県道44号を経由し21時頃馬場島に到着。ICから馬場島までは雪はなく舗装された順調な道路。(早月川沿いの道は帰路で使用したが一部ダート区間がある)
馬場島の駐車場は満車ではなかったが既にそこそこ車が止まっていた。駐車場脇の建物の1階部分が夜露もしのげるベストポジション。既に一張りテントがあったが隣に設営させてもらう。
22時近くになってしまったが馬場島派出所に明かりが点いていたので入山報告とルートの状況確認に行った。派出所では警備隊の方が起きていて申請内容と照合を受けた、4月27日にまとまった積雪があって獅子頭はトラバースではなく稜線越しで行く状態とのことだった。最終的には自己責任ではあるがこの山域を知っている警備隊員の方の話を聞くのは重要だし、会話をしておくことはなにかの際にも役に立つと思う。

※5月15日までは富山県登山届出条例により剱岳への入山には事前申請が必要だ。メンバーリストは添付する必要があるがインターネットで申請が可能だ。承認が得られると富山県知事の承認印が押されて封書で返送されてくる。
その後Kuの財布を入れたポーチが行方不明になり明日からの出鼻をくじかれた感じを抱きつつ寝酒を飲んで就寝した。

◆ 5月3日(金) (上市最高気温12.5℃)
4:30起床:番場島6:00→7:15松尾平→9:40 1600m標識→11:35 1920.7m付近→13:05早月小屋BC
4:30起床だったが、赤谷や小窓尾根へ向かうパーティーだろうか周辺は3時頃から騒がしかった
6時の出発準備もほぼ整い、行方不明のポーチの相談に派出所に行ったところ届いていた。だれかが夜中に派出所の机の上に届けたらしく取得者不明とのことだった。拾ってくれた方ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
馬場島のキャンプ場を通り過ぎると仰剱岳の石碑があり遠くに剱岳が見えた。道路からすぐに早月尾根の取付きがある。松尾平まで小一時間急登が続き苦しい。先は長いのでゆっくりと高度を稼ぐ。松尾平は平な林で一面雪に覆われていた。松尾平を過ぎると長い登りが再開する。雪面と夏道が交互にあらわれるようになり序徐に雪の面が増えてくる。しばらく進み1200m付近でアイゼンを装着する。立山杉の大木を過ぎて9:50に1600mの道標に到着。そこから10分も登ると1700m付近で開けた場所に出る。雲は多目で霧がかかったり青空が出たりと不安定な状況だが1900mを越えると時より見える大日岳方面の眺めも美しくなる。13時過ぎに早月小屋に到着。小屋はほとんど雪に埋もれていた。
小屋には多くの手伝いの方々が居て雪かきをしていた。元気よく挨拶をしてテン場を確認すると小屋の側に6天用のスペースを空けて頂けた。トイレは靴を脱いで小屋の中を使わせていただける。トイレ使用料として500円/人/日を支払いテントを張らせていただく。各々ビールやコーラを購入して乾杯。16時に天気図を書きハンバーグを食べて早めに就寝する。明日は天気図的には晴れそうだが寒気の残り方次第と思われた。

◆ 5月4日(土) (上市最高気温16.0℃)
3:30起床5:15BC出発→6:00 2450m→6:55 2614m→8:00ロープ登攀(待ち)8:40→9:45獅子頭?→10:00ルンゼ登攀→10:25剱岳山頂10:40→11:00ルンゼ下降→12:40懸垂下降13:20→15:00早月小屋BC

3:30に起床。朝食は餅入りうどん。天気は晴れ。気温も思った程寒くない。各自アイゼン、ハーネス、ヘルメットを装着しロープ(8mm50m1本)、スノーバー2本、スコップ、コンロ、ツエルト等の装備を分担し5:15に出発する。
6時に2450m付近で三の窓方面に朝日が顔を出した。ぽかぽか浮いた積雲が気になるが天気は良く日焼けが進む。このまま天気が良いことを祈る。6:50に2614m到着。山頂方面に続く稜線が美しい。7:15に2650mからの急登基部に到着。前方のパーティーはロープを出しており待つことになる。待っていると後ろのパーティーが次々と抜いてロープは使わず雪壁に取り付いて行った。空の雲も増えガスに覆われ寒さも感じてきたので確かに気持ちは焦る、やはり寒気の影響で天気は崩れるようだ。30分程待ってロープをつけて登り始める。10m程登ったの途中の這松で切るようだが這松の根の周辺が渋滞していたので上まで一気にロープを伸ばす。50m一杯に伸びたところで稜線に出た。スノーバーで支点を作り後続はタイブロックを使い登った。

ロープを片づけて8:40すっかり景色は失われてしまった。9:10頃2800m付近のコーナーで下山のために赤旗を設置した。9:40獅子頭と思われるピークを越える。雪に覆われていたため稜線越しに歩いて一段しゃがみ込みで岩を降りただけで越えてしまった。10分程で最後のルンゼになる。凍っているルンゼをノーザイルで登り岩の間をすり抜けるとガスの合間に道標が見えた。道標から250歩10:25、祠は雪に埋没しており山頂を確認出来ないが一番高い所に到着。他のパーティーも風を避けながら休憩していた。
20分程休憩し下山開始。ルンゼはノーザイルで下り11:30に2800mの赤旗回収。11:50頃登りでロープを出した雪壁上部に到着。すぐ下に這松の枯れた根が見えたのでそれを懸垂下降の支点にしようとしたがNさんにチェックしていただくと根がゆるく危険な状態だった。先行パーティーがセットしているやや下方にあるしっかりした這松を順番を待って使うことにする。その這松まで降りるのも少し怖くてスタンディングアックスビレイで確保して降りた。
12:45懸垂下降を開始。下の方で雷鳥が居るとの声が聞こえる。降りて行くと冬毛の残る雷鳥が足元にいた。時よりみぞれが降る中ひたすら下り15時に早月小屋に到着。
16時に天気図を書きカレーを食べて就寝。夜中は全く風がなかった。

◆ 5月5日(日) (上市最高気温17.7℃)
4:00起床7:00早月小屋出発→8:35 1600m標識→9:55松尾平→10:45馬場島⇒みのわファミリーハウス⇒祭ばやし回転すし⇒24:00横浜

4時起床。周辺は3時頃からラジオをつけてにぎやかだった。天気は快晴!剱の山頂までよく見える。小屋の方の話しだと今年は3月下旬くらいの雪の状態だそうだ。雪が多かった分難しかったのか、その分獅子頭などは雪に埋もれていて簡単だったのか、いずれにしろ違う姿があると言うことで再び訪れてみたいと思った。ゆっくりしていたら周りはテント2張りだけになってしまい7時に出発。天気は素晴らしく、振り向いては写真を撮り、休憩しては写真を撮り、後ろ髪を引かれる思いで下り1600mに8:35到着。馬場島に10:45に到着し長い早月尾根の山行は終了した。

駐在所に下山報告を行い、箕輪にある「みのわファミリーハウス」を偶然見つけ風呂に入った(510円)テニスコートの併設された立派な施設だった。滑川の回転すし屋さんに寄って地物のネタを堪能し北陸道→上信越道から中央道を経由して横浜に着いたのは24時になった。(K 記)

2013年度山行報告へ