北アルプス 奥穂高岳南稜の記録

日程:2013年9月28日〜29日

9月28日(土) (松本最低気温10.3℃最高気温23.9℃)
5:00三ツ境合流⇒9:00沢渡(岩見沢)駐車場⇒上高地バスセンター→10:00河童橋→12:30岳沢山荘(テント設営)13:20下見→14:30雪渓末端→取り付き調査15:20→岳沢山荘テン場→20:00就寝

朝の4時過ぎに家を出発しYasuさんをピックアップして沢渡に9時に到着。朝一番のピークは過ぎたのかすぐバスに乗ることができた。河童橋から明日のルートを見つけると、なかなか手ごわそう。岳沢小屋のテン場は沢を渡った場所にした。テントを設営して早々に下見に出かける。
雪渓の状態はこのところの台風など悪いらし、小屋主からも下見をするようにアドバイスを受けた。テン場から小屋へ渡る場所(登山道と同じ)から沢に入りゴーロを進む、テン場の最上部の大岩脇から沢に降りる方が近道であることを確認して進む。雪渓は小さくなっていたがズタズタになることもなく、見た目はしっかりしていた。さすがに雪渓から直接取り付きにはいけず、80m程手前から雪渓を降りると、バンドになっておりトラバースすれば取り付きに移動できる。今回は上手い具合に雪渓が後退していたので、雪渓と岩の間を普通に歩くことができた。
取り付きからガレた斜面を少し登って下の滝の行き方も確認したので戻ることにする。帰りに雪渓を3mほどアイスクライミング風に登った。バイル振りの感覚を確認するのに良かった。小屋に戻りビールをいただいて20時に就寝。
9月29日(日) (松本最低気温11.0℃最高気温25.3℃)
3:30起床4:50→5:15雪渓末端(装備準備)5:30→5:50雪渓降りる→6:10下の滝を越えてルンゼ→6:30三又の分岐→7:45上部岩壁を巻き草原→8:20トリコニーT峰基部→9:20トリコニーT峰(ロープ使用)→9:45トリコニーU峰→9:50トリコニーV峰との分岐10:00→11:00懸垂下降→11:30南稜の頭12:00→15:10岳沢(テント撤収)16:00→18:00上高地バスセンター→18:30沢渡→24:00横浜

3:30に起床。4:30に出発の予定だったが20分程遅れてしまった。下見のルートをたどって薄暗い内に雪渓末端に到着。アイゼン、ハーネス等の準備が終わる頃には薄明るくなってきた。下見の通り取り付きまで進み、下の滝を目指す、下見では右側から登る想定だったが、滝沢側にさらに大きく巻くと草付き登りで一段上に上がることが出来る。
スタート早々に登攀要素のある急登とずるずるの草付きで少々緊張する、バイルで手がかりを確保しながら進んだ。そこを超えるとルンゼの中に入り歩きやすくなる。
ルンゼに入るとすぐに3又の分岐に出る。中央を進むとスラブに苦戦するらしく、右に進んだ情報が多い。しかし、右も進むとロープを出すことになるらしく、少ない情報だがロープを出さなくて済みそうな左を進む。左を詰めていくと最初の突き当たりにぶつかる。3mほどの登攀になる。そこを越えると再び草付きでバイルが役に立つ。右下に三又の中央を進むとぶつかるというスラブ帯が見下ろせる。確かに行き詰まり感はある。そういうこちらも手詰まりを感じ、更に左に進み這松帯へ行くしかないのか迷う状況になる。誘惑に負けずに薄い踏み跡を拾いながら壁沿いを進み、きわどいトラバースをして上部の岩壁の左末端へ到達する。
ここを越えれば前半のルートファインディングをクリアーしトリコニーT峰も間近になるはずなだ。 この乗り越しも3m程だが、先に登ったYasuさんからかなりヤバイとのコール。更に左にルートを探しに進むと、一枚スラブの壁があり這い松を掴むと登れそうなので挑戦したが、これは大失敗、落ちるところだった。登ってもねずみ返しの様に下に向かって枝を伸ばす這松がすごく、Yasuさんと合流するのも大変だった。
やっと合流して進むと這松のトンネルを潜る様になりそこを抜けると草原に出る。トリコニーT峰の手前にある黒い岩峰が良く見える。 トリコニーT峰の登りは高度感も増し、景色も一転し、青空に向かって登っていく。 有名な割れ目に入りらせん状に登るとT峰ピークも少し。ここでロープを出した。スリングが下がっていてピークまで直登する様に見えるが、スリングから左に跨いでいくのが正解だった。その先も高度感のトラバースになるのでロープのまま安全地帯まで進んだ。 U峰は素直に直登し越えるとV峰が前方に見える。V峰はルートから外れるので寄り道はやめて、休憩した。気持ち的にはもう終わりなのだが、ここからも以外と長かった。 上部岩峰はなるべく巻くようにして時間短縮を図る。最後の懸垂も巻くつもりだったが上手くいかずに懸垂をすることになる。巻くためには相当手前から下のほうを進まないとダメなように感じた。 最後の一踏ん張りで縦走路とぶつかる南稜の頭に到着。11:30だった。 稜線の向こうに槍ヶ岳、眼下には涸沢が見えて、上りきったことを実感させてくれる。
30分の大休止。12時に下山開始。遠く富士山も見える。 ひたすら下り、岳沢でテントを撤収して荷物が更に重くなって、明日は仕事だと思うと気持ちまで重くなって、上高地に着いたのは18時だった。目の前に最終バスが居たが、ご褒美にタクシーに乗って沢渡に戻った。

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