夏山合宿 剱岳〜欅平の記録

日程:2012年8月10日(金)〜15日(水)


  

8月10日(金)
22:00竹橋集合→22:30(毎日アルペン号)→翌日7:00室堂バスターミナル

22時に竹橋の毎日新聞本社で集合する。お盆前の金曜日でかなり混雑している。
バスは席が狭くて体が伸ばせず熟睡はできなかった。

8月11日(土):(4時間)曇り→夕方雨
8:00室堂出発→9:00雷鳥沢→10:45別山乗越し→12:00剱沢CS

室堂も多くの人でにぎわっていた。立山三山の山頂は見えないが、そこそこの眺めは得られる天気。雷鳥沢で休憩し、登りは3回の休憩で別山乗越しに到着。
テントを張ってゆっくりしていると雨が降り出す。明日が心配になるが長次郎谷隊は5時出発、別山尾根隊は6時出発として就寝する。

8月12日(日):(10時間半)晴/曇
3:30起床5:00出発→5:40剱沢雪渓→6:10長次郎谷出会→8:30熊の岩8:50→9:50長次郎のコル10:15→10:50剱岳本峰11:15→14:50剱沢小屋15:00→15:30剱沢CS

昨日の不安をよそに青空が望める。剱沢雪渓に降りるころにはまぶしい朝日が差し込んで来た。日焼け止めを塗り長次郎谷の出会いまで雪渓を下る。
源次郎尾根の取り付きにも多くの人が見える。最初の枯滝から早くもロープを要求する女性とそれを拒否する男性の声が雪渓に響く。あの様子では今日の源次郎尾根は相当時間がかかりそうだ。長次郎谷も八ッ峰の岩場を目指す多くのパーティーでにぎわっている。源次郎尾根から新しい落石の後があり、右寄りにコースを選んで進む。

X・Yのコルの辺りまでは日陰で進みやすい。八ッ峰の岩峰と青空のコントラストが美しい。A、C、Dの各フェースにも既に多くのパーティーが取り付いている。今年は上部の雪は多いようでX・Yのコルもかなり上の方まで雪が残っていた。熊の岩は夏の日差しの真っただ中。右俣側から台地に上がり大休止しながらクライマーを見学する。熊の岩は幕営禁止ではあるが多数のテントが設営されていた。熊の岩を横断し左俣へ入る。日が当たる左俣は雪も緩んでおり傾斜も急になるためキツサが倍増する。源次郎尾根の懸垂を振り返り眺めながら胸突きの傾斜を詰める。剱沢警備派出所で教えてもらった通り、上部に大きなシュルンドがあり繋がっている部分は少なくなっていた。そこを越えるともうひと踏ん張りで長次郎のコルに到着する。コルから剱岳本峰まではちょっとした岩稜帯を30分程登ると到着する。途中雷鳥を目撃することが出来た。

山頂で大休止の後、約4時間かけて剱沢CSに到着することが出来た。
CSで一杯やっている別山尾根隊と合流しおっかけで飲み始めるとKOGさんの靴底がはがれたので明日以降の行動が不可能となってしまったと言う。途方に暮れていると明日下山予定のYASさんがおろしたてのNEWシューズを交換で貸してくれると言う献身的な提案が頂けた。なんとサイズもぴったりで感謝感激してお言葉に甘えさせていただいた。この場を借りて改めてありがとうございました。今日は天気が良く、テントの外で夕食を食べた。

8月13日(月):(7時間)雨/曇→19時から雷雨
4:00起床6:00出発→8:15剱沢雪渓→7:40長次郎谷出会→8:00真砂沢ヒュッテ→9:45二股(近藤岩)10:00→12:25仙人峠分岐→13:00池の平小屋CS→池の平小屋21:00就寝

テントを撤収して今日下山するYASさんとBUNさんと別れて剱沢の雪渓まで下る。
アイゼンを装着し雪渓に降りて長次郎谷の出会い付近まで来たところで大粒の雨に降られる。昨日が恵まれただけで予報通りの荒れた天気を予感させる。さすがに源次郎尾根に入る人影は見えない。真砂沢ヒュッテまで雪渓通しでは行けず巻き道に入る。ヒュッテで休憩したかったが雨が強く降ってきたため早々に前進を始める。近藤岩のある二股のつり橋を渡るといよいよ仙人峠までの登りになる。雨は止んだり降ったり時々強く降ったりで且つ蒸し暑いと言う面倒な状態が続く。氷河に認定された三の窓雪渓を眺め、先っぽは見えないが裏剱の岩肌を間近に眺めてひたすら登り2時間半程で仙人峠に到着する。池の平小屋のCSに13時に到着しこれからの雨を想定して砂盛りしてある場所にテントを設営する。
雨が降っているのでそれぞれのテントで夕食を済ませ、天気予報を聞いていると富山県に大雨洪水突風警報が発令されたと言っている。と、その直後雷鳴がとどろき豪雨が降ってきた。あっという間にテントの中に水が浸入してきた。雷雨激しくなる一方で水の中で寝る羽目になりそうなので早々にテント放棄の判断を下し、小屋にお世話になる事にした。19時を過ぎていたのでチンネの湯に入ることは出来なかったが、小屋番の菊地さんの楽しい話とお酒を頂き、外の雷雨もわすれてすっかりくつろがせていただいた。

◆ 8月14日(水):(8時間40分)曇/雨/晴
6:00起床7:20出発→8:10仙人池ヒュッテ8:20→10:25仙人温泉小屋10:45→14:20仙人ダム→16:00)→16:00阿曽原温泉CS
天気は完全復活こそしないが、視界の効く曇り空に時々小雨が降る程度の天候になる。お世話になった小屋の方々と記念写真を撮り7:20出発。仙人池で写真を撮りひたすら下る。途中薄くなった雪渓を渡ったりして2時間程で仙人温泉小屋に着く。温泉に入りたかったがこの先が辛くなりそうなので諦める。源泉の前を通り30分程登り返す。そこから温泉小屋を振り返ると入ればよかったと後悔する秘境の温泉小屋の眺めがあった。
それからはとにかく下る、とにかく歩く、ひたすら歩き、梯子を下り仙人ダムに到着する。コンクリートと鉄筋のビルに出合い、湖畔に停まる車を見て本日は終了のモードになってしまう。しかし、ここからが長い。下界と勘違いさせるのは一般人は乗れないトロッコ電車がここまで通じているからでここはまだ山奥なのだ。ダム施設を後にして再び登り直して水平歩道になって一気に下る行程を1時間40分。やっと阿曽原温泉に到着する。濡れたテントを背負ってくれたメンバーに感謝。久しぶりのお湯につかり疲れを取る。でもまた同じ服を着る(残念)

8月15日(水):(5時間40分)曇/雨/晴
4:00起床6:30出発→8:15折尾の大滝→9:20大太鼓展望台→12:10欅平駅12:49→(トロッコ)→14:07宇奈月温泉→15:28(富山地方鉄道)→16:08魚津駅→(宴会)→19:15⇒23:09横浜着
今日は水平歩道を歩くだけと思ったがいきなり登りから始まる。水平歩道に出ると遥か眼下に黒部川を見ながらの歩行になる。こんな道を良く作ったものだと思うと同時に昨日の仙人池ダムのさらに先までトンネルでトロッコが通じていると思うと人間の凄さを感じる。
歩いても歩いても尚急峻な黒部の渓谷を5時間歩いて急坂を下りると人ごみで賑わう欅平に到着した。汗臭い体が不似合いな雰囲気に追われるようにトロッコの切符を購入し車中の人になった。黒部渓谷が黒部川の姿になるとまもなく宇奈月駅だった。近くの公衆浴場に入り大切に背負ってきた綺麗な服に着替えて魚津駅へ移動し大宴会?をした後長い夏山合宿を終了した。 
 K 記

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