谷川岳マチガ沢本谷〜東南稜

日程:2012年10月19日夜発〜10月20日


  

【行動概要】
 10月19日(金)
  横浜20:00発=自動車=24:00谷川岳ロープウエー駐車場
 10月20日(土)
  3:30起床→4:20駐車場発→4:50マチガ沢出合→5:35第一見晴台→マチガ沢(休憩)→6:10大滝上→6:20四段ナメ滝→7:00三ノ沢出合→7:05ゴルジュ始まり→ゴルジュ最後の滝終了8:50→9:10四ノ沢出合→10:30東南稜取付下→10:50登攀開始→1ピッチ目終了11:20→2ピッチ目終了11:55→3ピッチ目終了12:25→13:00稜線上終了点13:20→13:30登山道13:45→13:55トマノ耳14:10→17:10西黒尾根登山口→17:20駐車場

【行動記録】
10月19日
ロープウエー駅の駐車場に車を止め、仮眠。
10月20日
◆マチガ沢本谷◆
● ゴルジュ手前まで
ハーネスを着けてロープウエイ駐車場を出発し、マチガ沢出合までヘッ電を点けて歩く。出合から巌剛新道に入り、入渓点の第一見晴台に着く頃に薄明るくなる。踏み跡を辿ってマチガ沢に降りる。遡行の靴はアプローチシューズとした。
休憩後、大滝を左から階段状のスラブをルートに登る。岩も乾いているので快適だ。落ち口から先は左の草薮を巻く。すぐに上流部が開け、緩やかな四段ノナメ滝の左岸を適当に登る。しばらく行くと小さな釜に出合う。釜の左をフリクションとエッジングでへつり気味に越えた。

● ゴルジュ部分
すぐに三ノ沢が左から出合う。大きな岩がゴロゴロしている。9月1日に来た時にはこの先は雪渓で、安全パイを振って撤退した。今回はもちろん雪渓は全く消えていた。
 本谷はここからゴルジュとなる。両側は岩が立ちはだかり門のように見える。最初の10m滝は、三ノ沢側の低くなったところから岩へ上がり、すぐのルンゼに入る。ガラガラのもろいルンゼを少し登った後、左の岩へ上がりリッジ沿いに登る。その後、平らなところを選んで草付きをトラバースして15m滝の上へ下りた。(なお、ここは右壁も登れるようだ。)
 その上にも25m滝が門のようになっている。左の二段になったスラブ状ルンゼから登って草付きをトラバースして川原に下りた。川原に下りる手前は足場が外傾気味で少し緊張した。
 さらにゴルジュが続く。5m滝で流心左にリッジがある。最初そのリッジに取り付いたが、下部が少しかぶり気味なので一旦下りて、流心沿いに取り付いて、途中からリッジに上がった。ここはすぐに流れが左右に分かれる。右を行く。
 次は、7、8mの滝で、下部は問題なく、上部はチョックストンがはまっている。古いスリングがぶら下がっている。直登している記録もあった。直登すると濡れる。また、左の濡れた巨岩にルートをとっても登れるようだ。我々は、右壁にピンがあったのでロープを出して、2、3mほど登りスラブ状をトラバースした。

● 東南稜取付まで
 この滝を抜けると、ゴルジュは終わり、草原状に東南稜まで開けている。ここまでは取り立てて難しいところはなかったが、初めてなのでルートファインディングに気を使った。
 ゴロゴロ転がった大岩を縫って進むと、二俣になる。正面の左側の沢が大きく見える。しかし、本谷は右の方だ。東南稜は右の沢の奥に見えるので右だと分かる。しかしガスっていたりすると分かりにくいかも知れない。間違って四ノ沢に入ってしまうパーティもあるようだ。本谷を進むといくつか滝をかけているが、それほど問題はなかった。
やがて右から涸れた六ノ沢が出合う。六ノ沢沿いを進み、途中から左の緩い草付き岩稜に上がり、東南稜取付下のテラスに向かって登る。目印は、東南稜の壁の前にデンとおさまった巨大な岩だ。なお、その岩と東南稜の壁の間には人が通れる隙間がある。本谷を詰めすぎたパーティがこの隙間を通って本来の取付に出たという記録がいくつかあった。
その巨大な岩の右側に小広いテラスがある。そこでしばし休む。辿ってきたマチガ沢本谷、そして西黒尾根がよく見える。

◆東南稜◆
取付はテラスから数m上がったところ。右壁にピンがあった。Nが奇数ピッチ、Yが偶数ピッチ担当のつるべで登攀開始。
● 1ピッチ目 20m
 取付すぐのところは、左の傾斜路にピンがあって、最初そちらから登ってみたが、外傾してあまり良くないので、右壁のスラブ寄りに登って左に上がった。
 登るほどに左壁がおおいかぶさる。奥に古いスリングがぶら下がっていた。右壁は垂直のスラブ。1、2歩ステミングで登ったあと、背中を左壁に押し付けてずり上がる。このへんの壁は濡れている。古い濡れたスリングの助けを借りてさらにずり上がると右壁にフットホールドがあった。このホールドも濡れている。しかし他にホールドがないので、そこに足を置いて右壁に移り這い上がる。
 上がったスラブは傾斜が緩く多少の凸凹もあった。周りを見回すと右側の壁にピンが3本見えた。そこはテラスになっている。そこをビレー点とする。

   

● 2ピッチ目 20m
 1ピッチ目終了点の上は、スラブが傾斜を増している。そのスラブと右壁との間がクラックになって、右上している。Yさんはそのクラックを登っていった。なお、スラブ左側の凹角もルートになっているようだが、濡れていて苦労している記録が多かった。
 クラックを抜けると草付きの緩斜面で、Yさんは小岩にアンカーがあるテラスでビレーしていた。

  

● 3ピッチ目 20m
 アンカーがある小岩を乗っ越し左方向のリッジへ向かおうと思うが、張り出したリッぺの向こう側が見えない。見える向こう側の下方は、垂直に見える。しかし、そのリッぺを越してみると傾斜の緩い凹状の草付きとなっていた。そこを直上すると正面の岩にビレー点があった。そこでピッチを切る。2ピッチ目から続けてここまで1ピッチでも来れるだろう。

● 4ピッチ目 45m
 ビレー点左側の壁を3mほど登り、多少かぶり気味のバンドを3、4m左へ進むとリッジに出る。リッジは両側が切れているが、ホールドは豊富で易しい。ピーク手前のテラスで終了とした。休憩がてらクライミングシューズをアプローチシューズに履き替えた。トマノ耳や国境稜線、西黒尾根には、紅葉の時期とあって大勢の登山者がいて、こちらを見ている。登攀しているのがよく見えたのだろう。
● 国境稜線から下山へ
 ピーク左裾から沢源頭をトマノ耳方向にトラバースし、稜線へ続く草付きの中の踏み跡を辿った。上がった登山道で装備を解いてトマノ耳へ向かい、登ってきたルートをしばらく眺めながら休んだ。あとは途中、マチガ沢本谷や東南稜を俯瞰しながら西黒尾根を下山した。

(記録:N)

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