富士山

日程:2012年5月12日〜13日


  

5月12日(土)
7:00相鉄線上星川駅→9:40スバルライン五合目10:25→11:00佐藤小屋11:15→13:30七合目手前→15:30佐藤小屋(泊)

上星川駅にてNさんと私Oの計2名集合、私の車でスバルラインの五合目へ。天気は晴れ時々曇り。
一旦佐藤小屋に寄ってから七合目手前の小屋まで下見へ。七合目手前あたりから締まっていないざらめ状の積雪あり。雪上訓練の復習もNさんに行っていただいた。
15:30頃佐藤小屋へ戻り17:00過ぎに夕食をいただいて一杯やってから19:00就寝。

5月13日(日)
4:30起床→5:00朝食→5:55佐藤小屋出発→6:35六号目→7:30七合目手前→8:50八号目→10:30本八合目→11:45山頂12:18→13:10本八合目→14:35七合目→15:30佐藤小屋

今日は、天気は快晴、江ノ島・東京湾・千葉県も見えた。

昨日下見で行った七合目より先へ行くにしたがい、雪も締まって硬くなっていく。
八合目あたりで、下ってきた10人弱のパーティの2番目の方が転倒し、滑り出したが5m程下にいたパーティのリーダーらしき人物が振り向き、体で受けとめ止まった。転倒した方は足を怪我したのか両側から他のメンバーに支えられながら下山して行くのが見えた。
その後、滑り降りてくるスキーヤーの転倒も目撃。かなり激しく転倒していたが無事なようで、外れた板も体より10m程下で止まっており、なんとかなりそうな様子でよかった。
以上の出来事を目撃してしまったこともあり、一歩一歩慎重に、気を抜かぬよう歩みを進めた。

九合目からはざらめ雪5mm程の下は青く綺麗に光るアイスバーンのところもあり、とても緊張した。下を見ると、登って来た遥か下まで続く傾斜が恐ろしい。
また、九合目からは空気の薄さも感じ、度々深呼吸をした。
普段私は汗をかくほど暑かったり心拍数があがると、息もあがってくるが、そのどちらでもないのに息が上がり気味になった。幸い頭痛・吐き気という高山病の症状には見まわれなかった。
気温についてはおそらく終始氷点下一桁台、風は次第に強くなって上から体を引き剥がすような向きで吹いてきたが、それでも幸い、耐風姿勢をとるまでには至らずだった。
風の強さで冷え具合がだいぶ変わるので、途中で手袋を厚手にしたり、ネックウォーマーをしたり体温調節はこまめに行った。
6時間弱で無事登頂。お鉢めぐりは割愛し、火口を覗いたあとゆっくり30分程休憩した。
山頂からは北アルプスまで見えた。

下山では登りに感じた恐怖感は不思議と感じず、しかしながら今まで体験したことのない延々と続く下りで膝が大変疲れた。
15:30 ちょうど三時間で佐藤小屋へ到着。

下山時七合目へ着くころに一時ガスってはきたが、今回は天候に大変恵まれたと感じた。

帰りに富士急富士山駅(旧富士吉田駅)近くの「ふじや」にて吉田うどんを食べ、御殿場温泉会館でさっぱりして帰路へついた。
記録 O

【山行リーダーから】
二人ともはじめての雪がある富士山の登頂山行だった。私はそれまで富士山は40回くらい来ているが、いつも冬と春の雪上訓練で、登頂は秋にビバーク訓練を兼ねた1回だけだった。
一番心配したのは、風だった。富士山山頂の天気予報では、13日の午前中は強風、午後は暴風の予報だった。場合によっては、引き返すことも考えて出発した。実際には本八合目あたりから少し風が強くなってきたが、それほどの強さでもなく、怖いと言われる巻くような風でもなかった。
もう一つ気をつけたことは、物を落としても、拾わないということ。二人で確認した。というのも、20年近く前のことだが、会の先輩が、八合五勺付近で落としたトランシーバーを拾おうとしてバランスをくずし滑落するという事故があったからだ。富士山の雪壁で物を落としたら、あっという間に滑り落ちてしまい、止めようとするとバランスをくずし自分自身が滑落しかねない。
実際、今回も先行者が落としたプラスチックのお尻用のソリが我々の目の前をあっという間に滑り落ちた。私も、座って休憩中に、雨具のポケットからミックスナッツの袋を取り出しそこねて落としたら、ゆるい傾斜にもかかわらず、スーッと滑り落ちていった。二人で確認したとおり、黙って見送った。(なお、安全のためには、休憩する場所は、完全に平らか、谷側に建物の一部が出ていてストッパーになるような場所を選ぶべきだと思った。)
雪の状態は、八合目あたりまでは比較的柔らかく、その上は、硬くなりカリカリしていたが、おおむねアイゼンがサクサクと気持ちよく刺さる程度だった。天候が悪かったら、もっと硬かったかもしれない。
出発時間は、もう少し早くした方が余裕が持てたと思う。4時朝食5時出発くらいが適当かも。
初めての雪の富士登頂山行だったので、とんちんかんを覚悟で、基本登攀具以外に念のためスノーバー2本、スクリュー2本、イボイノシシハーケン2本、アイスバイル1本を持って上がったが、必要な場面はなかったので使用しなかった。本八合目までは、夏道の鉄杭や埋まったロープなどがアンカーとして使えそうだった。その上の雪壁では、雪が硬ければイボイノシシが使えるかもしれない。多少柔らかければ、アイスバイルを埋めてアンカーとすることも考えられると思った。なお、地形図から推計すると、最上部の最大傾斜線の斜度は、おおむね27〜28度くらいではないかと思う。
N

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