北アルプス・針ノ木岳縦走

日程:2010年7月23日〜25日


 <行動記録>
 7月23日(金)
 24時に八王子駅に集合した。装備分けを行い、改札を出てコンビニで寝酒を買い、20分遅れのムーンライト信州81号に乗車する。車内で酒を飲み山談義に弾むなどして就寝する。
 7月24日(土) 天気快晴
 定刻通りに信濃大町駅に5時11分に到着する。予約しておいたタクシーにて扇沢に向かう。車窓から晴天の山並みが見られ今日は好天であることを確信する。
 扇沢に到着し、朝食を食べ身支度を整え6時05分に出発する。ターミナルの左手の登山口から山道にはいる。幾度か車道を横切り、トラバース気味の登山道を60分ほど歩くと水場と思われる沢を越え休憩する。そこから10分ほど歩いたら大沢小屋に着いた。トイレ休憩をとり、小屋番に雪渓の状況を聞くと、ここ数日の好天でだいぶ雪渓が消えたことを知る。 小屋から40分ほど沢をトラバースしながら歩き、沢の狭くなった所を過ぎて、雪渓の取り口に着き休憩。そこからしばらくはノーアイゼンで歩くが、20分ほどして傾斜が増してきたところでアイゼンを装着する。アイゼンを付け軽快に高度を稼いでいく。天気もよく青空に岩のグレー、木々の緑、雪渓の白とコントラストが実に美しい。夏山をエンジョイする。上部の二股を過ぎて左に回り込んだところで休憩。雪渓の先は見えないが地図では雪渓の終了地点までさほど遠くない様子。その先の雪渓を30分ほど詰め、雪渓の終了地点が見え始めた所で、登山道を整備していた人に、「そこに夏道が出ているよ」と言われ、雪渓を詰める手前で、左側の夏道に上がりアイゼンを外す。

  その後の登山道は傾斜が増した沢筋の登山道となり、日差しの強さもあり登るペースは落ちる。登山道が沢筋の右側に差し掛かった、稜線が見えるところで休憩。ざれ場をジグザグに30分ほど登り、針ノ木小屋に到着する。ここまで5時間半と順調に登ってきた。小屋の裏手に回ると槍穂高連峰、水晶岳が見える。天幕の受付をしたら場所を指定され、そこに天幕を3張り設営する。
小屋から急な登山道を蓮華岳へ向かい歩く。登っていると下山者が蓮華岳のピークはその先と聞き、途中で休憩して地図では1時間であるが1時間25分かかって蓮華岳のピークに着く。東の方向には高瀬川と水田が見え、南の方向には燕岳から槍穂高、野口五郎岳から水晶岳、その右手に雲に覆われた薬師岳、西には針ノ木岳の右に剣岳、北は鹿島槍の南峰とまずまずの展望を楽しむ。また、蓮華岳周辺はコマクサの群落が美しい。小屋に戻り、1000円の生ビールで喉を潤し、旨さに感激する。16時過ぎに天幕に戻り夕食の支度を天幕の外で行い、夕食のちらし寿司を食べ、昨日の夜行の睡眠不足のため18時過ぎに就寝した。
 

  7月25日(日) 天気晴れ
 3時半起床。天幕の外は星が出ている。幾分か霧のようなものが飛んでいる。しかし、今日も晴れだろう。
 天幕の中で朝食のラーメンを作り、食べ5時に天幕の撤収を終えて、出発をする。もはや周囲は明るい。朝日が槍穂高を赤く染めている。小屋の前から針ノ木岳からの今日歩く稜線が見え、長いなあと意気込む。東から朝日が注ぎ、針ノ木岳の斜面に一瞬の輝きを見せた。針ノ木岳の最初の朝一の登りはきついが、針ノ木岳からの展望を楽しみに頑張って登ること1時間で頂上に到着する。その展望は槍穂高から水晶岳、薬師岳、五色が原、生憎雲がかかる立山、剣岳、鹿島槍、白馬と北アルプスのほぼ全域の展望を楽しめた。ずうっとここに居たいのだが、今日の行程を考えると、長居は禁物とスバリ岳へ出発をする。
 針ノ木岳からの下りは急で3点確保で慎重に下る。鞍部からの登り返しでスバリ岳の頂上である。幾分か剣岳に近づき、真横に立山があるが、生憎立山の頂上は雲がかかる。ここから赤沢岳は結構遠い。だらだらの登りがこのあとの気をそぐ。頂上で10分休憩した後、気を持ち直しスバリ岳を後にする。直下は急であったが、あとは下りは楽であった。しかし、赤沢岳への登りは風が多少あるものの、暑さもありきつい登りに感じた。2494mのピークを過ぎたあたりで休憩。そこからだらだらの登りを行き、赤沢岳の頂上に9時03分に到着した。剣岳に一番近いと感激した。ここが今日の核心部であるという者もいたりした。ここまでくれば半分近くは来たか。やれやれと思う。
 赤沢岳から鳴沢岳までは1時間ほどで、そこから新越山荘までは下りであるが、35分かかり到着する。小屋で販売しているペットボトルの飲料が冷えていて550円ではあるが飲むことにより生き返る思いである。周辺にはまだ残雪が残っていた。高校生のパーティーが残雪を取り水筒に入れていたのが印象に残る。
 

 小屋から岩小屋沢岳の登りは最初は尾根の東側で風が通らずきつかった。暫くして尾根の西側に出て、風が通りようになり幾分か助かる。日差しも薄雲が出て少しは助かる気がする。12時05分に岩小屋沢岳の頂上に到着。頂上で休憩するも、みな言葉が少なくなってきた。これも暑さとバテが来ているせいか。「もうこんなに晴れなくていい」と晴天をくやんだ。岩小屋沢岳から東側が崩れた稜線を慎重に歩く。そして、稜線から西側に登山道はのび、樹林帯へと入る。暫くして種池山荘が見える所に来た。あと少しと頑張って歩き新越山荘から2時間強で来た。このルートではみな頑張って歩いた。
 種池山荘で少し長めの休憩をとり、扇沢に向け下山に入る。柏原新道のトラバースを黙々と快調に歩く。途中2回休憩をして登山口に16時30分に到着。
 T氏が扇沢発の16時30分発のバスがあるというので、早急に道に出て路線バスを捕まえて乗車する。運転手からここはバス停ではありませんと注意されるが、乗車できて助かった。
 大町温泉の薬師の湯に入り汗を流し、タクシーを呼び信濃大町駅に向かった。18時12分発の普通列車に乗車する。松本駅に19時11分に着いて、駅弁と飲み物を買い込み、指定席を取ってあったあずさ34号に乗車した。すると、落雷のため甲府小淵沢間で列車が一台ずつの運行とのことで、富士見駅で待たされることになる。しかも、次のあずさ36号が運行停止となり、その客を待つことになり1時間半ほど待たされる。走り出したが小淵沢停車、韮崎停車と八王子駅に着いたのが23時48分であった。八王子発の横浜線の最終東神奈川行きが行ってしまったあとで、最終の町田駅行きに乗車するはめになる。
 ここからタクシーで横浜の自宅へ行くこととなった。M夫妻と一緒なので3人で割り勘で行き、一人3000となった。これは、帰りに青春18切符でかえって来たため、乗車保証がなされていないため代替え輸送が認めら無かったため。
 T氏は町田駅から代替え輸送とやらで乗り合いタクシーで帰ったらしい。O氏は奥さんが迎えにくるとのことである。
<行動記録>  
24日 扇沢6:05発ー6:55水場7:05ー7:20大沢小屋7:30ー8:10雪渓取り付き8:20
ー8:40アイゼン取り付け8:55ー9:30雪渓終了点9:40ー11:25針ノ木小屋12:00
ー13:35蓮華岳13:50ー15:15BC
   
 25日 3:30起床・針ノ木小屋発5:00ー6:02針ノ木岳6:12ー7:00スバリ岳7:10ー
    9:03赤沢岳9:13ー10:15鳴沢岳10:25ー11:00新越山荘11:15ー12:05
    岩小屋沢岳12:15ー13:30種池山荘13:50ー16:30登山口
<山行雑感>
 今回のルートは、幾度か剣・立山へ行くときに、黒部平や大観峰から見える山として行きたいと考えていた。天幕持参だと針ノ木小屋と種池山荘の2カ所しか張れないので、思い切って針ノ木小屋泊1泊2日の行程で山行を計画した。
 針ノ木岳からの展望は期待していた通り、素晴らしいものであった。薬師岳から五色が原、立山から剣、鹿島槍から白馬岳と展望が見られて、晴天に感謝したい。
 針ノ木雪渓は白馬の雪渓より上部の傾斜がきついので、初心者はピッケル、アイゼンとした。幸いに例年通りの雪の量で、上部は夏道が出ていたので良かった。また、2日目の行程が長いので初心者のM夫妻は良く歩いてくれたと思います。コースタイム10時間半を11時間半で歩いたのは立派です。このような経験も一度は必要だと思います。若手のU氏、Y氏にはまだまだ物足りないかもしれませんが、次はもっと厳しい山行を計画して実践してください。
 帰路の列車遅れは、うんざりしました。こんな経験は私もはじめてです。また、列車が遅れて終電を乗り過ごした場合に、振り替え輸送の措置があるこを知り、良い経験になりました。

KOS 記

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