北ア 雲ノ平・三俣蓮華岳・双六岳 縦走

日程:2010年9月19日(日)〜9月21日(火)


9月19日(日)  曇時々晴
折立(8:20)⇒1,871m地点/三角点(9:50/10:00)⇒五光岩ベンチ(11:25)⇒太郎平小屋(12:13/12:49)⇒薬師沢小屋(15:30)    歩行時間:5時間29分 (CT 7時間15分)  休憩:1時間41分

9月20日(月)  雨時々曇
薬師沢小屋(6:45)⇒木道末端(8:25)⇒雲ノ平山荘(9:57/11:20)⇒黒部源流(13:57)⇒三俣山荘(14:40)
歩行時間:5時間37分(CT 6時間45分)  休憩:2時間18分

9月21日(火)   雨時々曇
三俣山荘(6:25)⇒三俣蓮華岳(7:17/7:20)⇒双六岳(8:36/8:41)⇒双六小屋(9:36/10:06)⇒鏡平山荘(11:44/12:11)⇒わさび平小屋(14:37/14:50)⇒新穂高温泉(15:50)
歩行時間:7時間47分(CT 8時間05分)  休憩:1時間38分

今回の山行は天候に恵まれず、当初予定していた水晶岳・鷲羽岳を断念し、雲ノ平縦走の最も一般的なルートを取ることになったが、2日目・3日目は、ほとんどガスがかかり眺望を楽しむことができなかった。次回に向けての下見と割り切り、早々に切り上げおりてきた。ただ、個人的には前回の会山行と今回の山行2回にわたって、1シーズンで室堂〜新穂高温泉を走破したことは感慨深いことだった。

1日目(9月19日)
仕事の関係で前泊した私を除き、メンバー3名は池袋からの夜行バスで富山駅に5時半過ぎに到着、6時に全員集合して予約していたタクシーに乗り込む。今回も8月の薬師岳〜室堂縦走の時と同じで、土砂崩れの影響で路線バスは4時間弱かかるため乗り合いタクシーでの折立入りである。天気はまずまずで、車窓から剱・立山・薬師岳がよく見えている。なんとかこの縦走が天候に恵まれることをみんな祈るような気持ちで空を眺めていたが、予報では天気は下り坂、あさって以降は前線が停滞しそうな状況にある。せめて今回の山行のメインである雲ノ平は晴れてほしい…そんな事を話しながら8時に折立に到着した。3連休なので、駐車場・路肩も車で満杯、多くの登山者が入山しているようだ。準備を整え、8時20分に出発、樹林帯に日がさし、木漏れ日を楽しみながらゆっくり高度を上げてゆく。全員体調は良いようだ。1時間ほどで最初の休憩を入れたが、それから三角点へはあっという間に到着。薬師岳が目の前に飛びこんできた。そこからは、眺望を楽しみながらの、非常に整備されている登山道を進む。下に先ほど車で通った有峰湖を望み、高度を上げてゆくと、富山市街や弥陀ヶ原を眺めることができる。多くの登山者に行き交いながら、のんびり登る。風がすがすがしく、絶好の登山日和である。途中で一息入れて、12時13分に太郎平小屋に到着。ここまで休憩を入れて4時間弱。昼食タイムにして、大休憩をとる。今回の計画ルートには、山小屋が点在しているので、水・食糧が簡単に手に入る。行動食を持ってきているので、山小屋で食事をする必要はないのだが、暖かいものへの誘惑に勝てず、ラーメンやうどんを頼んでしまう。小屋の前の広場は眺望抜群、多くの登山者が休憩を取っており、周りを見渡せば、薬師岳が目の前に横たわり、これから行こうとしている水晶岳、鷲羽岳、雲ノ平や黒部五郎岳を眺めることができる。腹を膨らませて、12時49分に出発、薬師平小屋まで下り、2時間強の行程である。あまり慌てていっても小屋についてから暇なので、適当に休憩をとり、眺望を楽しみ、カメラを撮りながらのんびり歩く。ナナカマドの赤い実がところどころで鮮やかに目に飛び込んでくる。葉が赤く色づくのはあと2週間後かなど予想しながら、色づき始めた草紅葉のなかの木道を進む。時々日が差すと、木々や草草が一斉に輝き、美しさに我々登山者の心を喜びに満たす。なだらかな草原のなかの木道を進むとやがて薬師沢の川音が聞こえてくる。沢の水はあまりにも透明で、川床がはっきり見える。ここはイワナの宝庫らしい。薬師沢沿いの登山道を下るとやがて薬師沢は奥の廊下と合流し、そこ小さな薬師沢小屋が建っている。小屋の到着15:30。小屋は古めかしく、傾いている。受付を済ませ、平衡感覚がおかしくなりながら、急な階段を上り、2階の個室に入る。予約しておいたので、ささやかながらも個室があてがわれたのだ。それほど混雑してはいないようで、7人部屋で4人。ベランダへ行き、今日の山行の話に盛り上がる。明日までは天気はもつので、明日は頑張って距離を稼ごうと話し合う。17時に夕食、19時ごろ就寝。

 2日目(9月20日)
朝、沢の流れと違う、屋根に降る雨の音で目が覚める。嫌な予感がする。予報では今日までは天気がもつはずだったが、天候は悪いほうに変ってしまったようだ。今後の行程について、メンバーと話し合う。今日の本来の予定は、雲ノ平から水晶岳・水晶小屋への予定であったが、昨日の話し合いで、明日から天気が崩れる予報なので、日の出とともに出発し水晶岳から一気に鷲羽岳を越え、三俣山荘へたどる10時間強のコースを予定していた。それが1日早く崩れたので計画が狂った。この先の天気予報も思わしくない。この先に進むと、どこへ抜けるにしても大変になるので、引き返すならここからしかないのであるが、メンバーの雲ノ平への思いは強く、しばし様子見をしようということになった。6時過ぎになると、他の登山者が続々と出発してゆく。こんな天気でも赤木沢へ入ってゆく人たちが結構いて、ちょっとびっくり。太郎平に戻る人もいるが、雲ノ平へ進む人たちも結構いるので、雨が小ぶりになったこともあり、我々も前進し、とりあえず雲ノ平山荘を目指すことにした。薬師沢小屋から奥の廊下を渡る吊り橋がかかっている。結構揺れ、高度感もある。一人ずつわたり、すぐ奥の廊下の川筋のハシゴをいくつか通過し、高天原へ行く大東新道と別れ、急登の登山道を登る。この薬師沢から雲ノ平への急登は、ネットの山行記録を読むと、みんながきついと指摘しているところで、雲ノ平の入口までのコースタイム2時間強は、確かに今回の山行では厳しいポイントのひとつだったかもしれない。ただ危険個所があるわけでもなく、急だが登りやすく、ゆっくり登れば誰でも登れる程度のものでメンバー全員問題なく、1時間半ほどで雲ノ平の入口アラスカ庭園へ。一瞬、厚い雲の中から、日が差してきた。やった!天気はもち返すかも。みんなの思いがとどいたかと思われた。しばらくハイ松の中の木道を進むと、やがて視界が開ける。ここがあこがれの地、雲ノ平か!みんな感慨にふけりながら、ハイ松と草紅葉が始まった草原をカメラ片手にゆっくり進む。残念ながら日差しは一瞬であったが、ガスはそれほどでもなく、雨もやんだ。これなら山行に問題はなさそうだ。雲ノ平は結構広い。全体的にやや上りの木道が草原の中をひたすら続く。奥日本庭園と名付けられた箇所を過ぎ、1時間強で雲ノ平山荘が見えてきた。気温が低く、寒いので小屋で休憩をとることにした。10時前に雲ノ平山荘着。雲ノ平山荘は今年建て替えられたそうで、新築の木の香りがしていた。まだ完成していないようで、ところどころ未完成部分があったが、至極快適な山小屋であった。腹が減ったのでここで早い昼食をとる。天気が持ち直さないか、小屋で外の景色を眺めながら1時間ほど様子見をする。残念だが、好転する様子はなく、霧雨になってガスもかかってきた。予定の水晶岳を断念し、鷲羽岳へは、明日もし天気が良くなれば、三俣山荘から往復することにし、今日のところはまっすぐ三俣山荘へ向かうことにした。11時20分に小屋を出発したが、雨が結構激しくなり、ガスが深くなった。相変わらず草原の中の木道を進むが、全く眺望がきかずメンバー全員、ひたすらため息を漏らす。晴れていれば、どんな素晴らしい眺望が望めることだろう!ここですでに来年必ずまた来よう!とすでにあきらめモードで語り合いながら前進。スイス庭園で雷鳥に出会えたのが、せめてもの慰めか。祖父岳・水晶岳への分岐を分け、黒部源流へ一気に高度を下げる。小屋から2時間半ほどかかり黒部源流へ。思えば、よくこんな山奥へ来たものだ。私にとって、昔から黒部はあこがれの地だったが、源流に辿り着き感慨にふける。源流を渡り、三俣山荘へ登り返す。今日の最後の行程である。やや急な登りを40分ほど登りきると三俣山荘のテン場、すぐのところに小屋があり、14:40本日の行程終了。三俣山荘では天候のおかげで登山者は少なく、広々とした空間を使用することができた。19時過ぎに就寝。

3日目(9月21日)
朝目ざめると予報通りの雨、風も強い。ガスがかかり視界がきかない。今回の山行も8月の会山行に引き続き、天気の恵まれない山行となってしまった。天気予報によると今日・明日とも雨時々曇。メンバーと相談し、天気の回復が望めない以上、山にとどまっていてもしようがないと判断、予定より1日早く、今日中に新穂高温泉まで下山することに決定した。悪天の中、コースタイムで8時間以上の行程となるが、一気に進むことにした。朝食を済ませ、6:25に三俣山荘を出発、ガスがかかった雨の中を三俣蓮華岳に向かう。一時、巻き道で双六小屋へ目指そうとも思ったが、小屋に宿泊した人から、アップダウンがきつく結構厳しいコースだったという情報をもらい、中道ルートを選択することにした。三俣蓮華岳まで小屋から40分ということだったが、突風に悩まされ、急登を1時間弱かけて登った。山頂は雨風とガスで視界は全く効かず、じっとしていると体温が奪われ、休憩することも困難なため、すぐに双六岳方面に出発、稜線は相変わらずの突風が吹き荒れ、登山道が山の背面に回り込むと風がやみ、しばしホッとする。しかしながら雨は、強くなったり弱くなったりを繰りかしながらも降り続いている。休憩を取りたくても取れない状況の中を、双六稜線ルートと中道ルートの分岐に差し掛かる。ここまで突風の中を歩いてきたこともあり、体が慣れてきたので、そのまま稜線ルートを取り、双六岳山頂を目指すことにした。双六岳山頂に8:36着、休憩もそこそこにしてすぐに双六小屋目指して出発、山頂から双六小屋への区間は、三俣蓮華岳以上に風が強く、メンバーも吹き飛ばされそうになりながらなんとか双六小屋へ到着。この区間でも数羽の雷鳥に出会う。双六小屋で大休憩を取ることにした。体を温めるために小屋でコーヒーを頼み一息ついた。しかし小屋で休憩している間に雨は一段と激しくなり、我々の後から小屋に逃げ込んできた登山者たちはずぶぬれになりながら、一様にくたびれきって小屋に到着。我々と一緒でみんなコーヒーを頼んでいる。晴れていれば、ここから槍ヶ岳が目の前に見えるはずなのに、ガスが深く何も見えない。この空模様では外に出たくはなかったが、ここにいつまでも留まっているわけにもゆかず、覚悟を決め出発、鏡平小屋まで一気に進む。双六池のそばを進み、そこからしばらくシツコイ登りが続き、雨と突風にうんざりしながら、黙々と前進、笠ヶ岳への分岐の所まで来ると、雨も小雨になりホッとする。ガレ場を30分ほど下ると鏡平小屋へ到着、昼食タイムを取る。ここまで来ると山頂からだいぶ下ってきて、ガスはかかっているものの雨風はやみ、一安心だ。あと4時間弱の道のりをひたすら下ってゆく。なんとか16時までには新穂高温泉に下山したいと思っていたので、12時11分に鏡平小屋を出発、そこから滑りやすい岩場の道をひたすら下る。イタドリガ原で休憩後、秩父沢を通過、左俣谷に出ると登山道は林道となり、しばらくの後わさび平小屋に到着した。ここから新穂高温泉まで退屈な林道歩きが約1時間続いたが、予定通り16時前に新穂高ロープウェーの前に到着。今回の山行が終了した。その後、平湯温泉に宿泊、快適な温泉で汗を流したのち、3日ぶりのまともな食事にありつき、みんなで祝杯をあげた。(KT記)

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