一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜から国境稜線

日程:2010年6月12日(夜行)〜13日


6月12日
  二俣川19:30発=自動=23:45一ノ倉沢出合駐車場
6月13日
  4:00起床→4:40発→5:45南稜テラス7:05→9:05終了点9:30→11:55国境稜線→12:50肩ノ小屋13:10→14:18巌剛新道分岐→15:33登山口→15:50駐車場

6月12日
当初、二人に加えSさんも参加予定だったが、都合で不参加となった。二人のため車中泊とし、一ノ倉沢出合まで入り駐車場で仮眠した。

6月13日
 駐車場でハーネスを着け、4時40分出発。テールリッジまでは雪渓歩きで楽にテールリッジに取り付けた。テールリッジの岩も乾いているので快適に中央稜の基部まで行く。南稜テラスには先行パーティがいた。我々は4番目のようだ。あとからも続々と続き、大盛況。1時間20分ほど待つ。

 二人なのでつるべで行くことにする。1ピッチ目の核心・チムニーで右壁に右足を置いて突っ張ったら滑った。この間、二子山中央稜、三ツ峠でも滑った。従来立てたところだと思う。当てが外れる感じだ。

2ピッチ目の細かいフットホールドでも多少不安を感じた。場合によってはクライミングシューズの経年変化でフリクションが効きづらくなっているのかもしれない。(後日、山の店に問い合わせたらその可能性大と言われ、新しいものに替えたらフリクションが全然違っていたことが分かった。ちなみにラバーの感じが、古いのは硬く、すべすべした感じになっていた。)

3ピッチ目はハングした岩に突き当たるまで笹の中の踏み跡をザイルを付けたまま歩く。

4ピッチ目、ガイドブックに左に行き過ぎると詰まる、とあったが、その「左に」とはわずか1m程度のことであった。左に行きやすそうな感じもあり、行く人も多いのかもしれない。詰まってA0で抜けられるようにスリングが下がっていた。先行パーティでそれを使っている人もいた。しかし行き過ぎない方が登りやすい。ハング岩の裾を回り込んだすぐのところのテラスでピッチを切った。もう少し先のテラスにもビレー点があり、先行パーティはそこでピッチを切っていたが、そこまで行くと場合によっては声が届きにくいようだ。

5ピッチ目は、上記先行パーティのビレー点の手前を横切ってリッジ左側を登ってリッジ上に出た。左のルンゼを行くパーティもあったが、早くリッジに出た方がスピーディに行動できるようだ。

6ピッチ目の奥壁側が切れているクラック状数メートルは、一旦右に回り込んだあと左の2m程度のフェースをほぼ直上してカンテに乗り少し進むと安定した大テラスだ。
7ピッチ目上部の核心部分は立っているが、ハンドホールドもフットホールドもある。ハーケンも5、6枚はあった。終了点に着いたのは9時過ぎ。

 順番待ちが長く先行パーティもいたので、当初、もっと遅くなり、時間切れを心配した。しかし順調に来たし、天気も問題なさそうなので、予定どおり国境稜線に向かうことにする。終了点でロープをまとめ行動食を食べたりして9時半に出発する。

ここから先は二人とも初めて。草付きの中の踏み跡を登っていく。少し登ると、左手が緩傾斜のスラブで右側に傾斜の緩い岩溝があった。これが、ガイドブックにあったルンゼのようだった。乾いているためか何の問題も感じず通過した。懸垂下降用の支点を2カ所ほど見た。

岩溝を抜けると稜線に出た。その後、潅木の中の踏み跡をたどると見晴らしの利く稜線上を行くようになり、しばらくで岩峰に突き当たった。これが5ルンゼの頭のようだ。

下の方は多少傾斜があるように見えたので、ロープを出した。脆いという話だったので、グズグズガラガラかと想像していたが、このときはそれほどでもなかった。そこそこハーケンがあったし、上部では灌木にスリングがついていて、それにもプロテクションが取れた。

終了点にはハーケンが2枚、リングボルトが1本あった。それをビレーアンカーとした。1mほどの段差を上がって頭に立ち、ザイルを解いた。少し歩いて5ルンゼのコルへ2mほど下りるが、段差になっていて問題なかった。あとで寄った肩の小屋の管理人で、元谷川岳警備隊隊長だった馬場さんの話では、3年前二人パーティがここで落雷に遭って跳ね飛ばされ5ルンゼ側とコップ状岩壁側の両サイドに一人ずつ落ちたが、アンザイレンしていたので、墜落することなく助かって自力で肩の小屋に来たとのことだった。5ルンゼの頭の登攀はアンザイレンした方がいいと、馬場さんも話していた。

頭からコルに下りて登り返す一歩は切れていて一見あれっと思ったが、右にトラバース気味に登ると、問題なし。あとは問題なところはなかった。潅木と笹原の中の踏み跡を辿ると一ノ倉岳近くの登山道に出た。出たところの近くにシラネアオイが咲いていた。

爽やかな登攀だった。ザイルパートナーのMさんが(一ノ倉沢から国境稜線に抜けるという)念願山行の一つが達成できてよかったと喜んでいた。私も同感だった。

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