南アルプス 塩見岳

日程:2009年12月26日(土)〜12月29日(火)


【行 程】
12/26  08:33八王子発⇒12:55伊那大島着⇒13:55塩川小屋手前ゲート(タクシー)⇒14:27塩川冬季小屋(泊)
12/27  7:00塩川冬季小屋⇒12:05鳥倉登山道との分岐⇒12:45三伏峠小屋⇒13:30三伏山⇒15:00本谷山手前(幕営)
12/28  7:00本谷山手前(幕営地)⇒本谷山と権右衛門山のコル(トラバース道分岐)⇒11:10権右衛門沢⇒12:20塩見小屋手前の高台(約2750m地点) ⇒12:50権右衛門沢⇒13:35トラバース道分岐⇒16:20本谷山⇒17:00幕営地(幕営)
12/29  7:00本谷山手前(幕営地)⇒9:00三伏山⇒9:30三伏峠小屋⇒11:40塩川小屋⇒駐車場⇒望岳荘温泉(タクシー)⇒16:36松川インター(高速バス乗り場)⇒21:00横浜

12月26日(土)
8:15に八王子駅集合。8:33八王子発(あずさ5号)で岡谷へ、岡谷で飯田線鈍行に乗り換え12:55伊那大島駅着。駅にいたマルモタクシーに乗り込み約50分で塩川小屋手前のゲートへ。ゲート前の駐車場には4台ほど車が止まっていた。やれやれ、トレースはありそうじゃ。40分程歩いて塩川小屋に到着。誰もいない。このあたりまでは雪は薄く、約10cmの積雪。塩川小屋は営業しておらず、冬季小屋に宿泊。冬季小屋は一応ドアはあるものの、隙間だらけで風通しが良く、日没後はかなり寒い。中央の土間両側に4帖ほど畳が敷いてあり、そこに2天を張って泊まった。食当のNさんが玉ねぎ、馬鈴薯、人参などを持込み、本格カレーを作ってくれた。寒い中、カレーを食し、ウィスキーなどをぐびぐびし、8時頃就寝。

  (塩川小屋)  (塩川小屋冬季小屋)

12月27日(日)
5:10起床、7:00塩川冬季小屋出発。歩き始めてすぐ鉄橋があり塩川の右岸から左岸へ、それから2度橋や渡渉で川を渡り、最後に左岸へ渡って、尾根への急登が始まる。

 (塩見岳遠望)    (三伏峠小屋の冬季小屋)

12:05鳥倉登山道との分岐に到着。もうひと踏んばりして12:45に三伏峠小屋に着いた。冬季小屋には1パーティが荷物をデポ゚していた。小屋付近では誰にも会わず、そのまま三伏山へ向かう。途中、小屋から少し行ったところで2天を1張発見。
13:30に三伏山を超え、15:00本谷山手前の尾根上の高台に幕営地を決定。幕営の跡があった。

 (三伏山)  (本谷山手前の尾根上の高台)

16:00過ぎにテント脇を歩く音がし、覗くと男女2名パーティ。その日、三伏峠小屋から塩見岳往復をして来た、トレースを探しながらだったので、時間がかかってしまったとの事。我々は三伏峠から2時間分、前進して幕営しているので、明日の登頂はかなり確率は高いかと、その時は思っていた。
夕方から風が強くなる。夕食を取り、7:00過ぎに就寝。夜半、さわさわと降雪があった。
12月28日(月)
4:30起床。曇天、朝から小雪がチラついている。周りを見ると、積雪でトレースが消えかけている。7:00出発、トレースを探しながら進む。昨夜の積雪は10cm程度と思えるが、風により雪が動き、トレースが埋もれてしまっているところもある。降ってくる雪も次第に粉雪から粒が大きくなっていく。
本谷山の樹林帯を尾根に沿って登って行くが、本谷山を超えて本谷山と権右衛門山のコルへ至る尾根はなだらかで広く、消えたトレース跡を探しながら進む。

  (28日夜明け後、出発、小雪)   (本谷山と権右衛門山のコルの分岐地点) 

コルの木に「塩見岳⇒」の道標があり、トラバース道へ入る。そこからしばらくは樹木も密に生え風も通らないためトレースも残っていた。樹木が゙大きくなり少しまばらになると全くトレースが消え、赤テープを探しながら進む。トレースをはずすと腰まで沈む。
権右衛門沢に11:10着。この頃には雪がやんだ。12:20塩見小屋手前の高台(約2750m)まで登ったところで、帰りの時間を考慮し、撤退を決定。この頃、雲が飛散し晴天となり、見上げると堂々とした塩見岳の雄姿が輝いた。しかしながら、目算でも頂上までは2時間はかかりそうであった。塩見岳頂上への道を写真に収め、帰路についた。

  (塩見岳、風強し)    (雲が切れ、晴天に)

トラバース道分岐(13:45)を超えてからは曇天、風が強くなり地吹雪状態となった。往路で作ったトレースも再び消え、又トレースを探しながらの歩行となる。本谷山を越え、日没近い17:00頃、幕営地へ帰還した。

(帰りもラッセルしながら)    (日没近くに帰還)

テントでの夕食後、天気予報などを聞き、明日の登頂再挑戦について相談するが、明日もこの幕営地からでは我々が先頭に立つので、本日と同様、消えたトレースをラッセルしながらの登高となる、それならば山頂まではちょっと無理かなと云う事で、予備日は使わずに明日は下山する事に決まった。
<12月29日>
 4:30起床、晴れ。天気予報では明日以降は冬型が強くなり降雪、寒波との事。7:00に幕営地を出発、風で消えたトレースを探しながら三伏山まで登り返した。途中、塩見岳がきれいに見える。9:00三伏山三頂で西さんと写真を取りっこし、なごりを惜しみながら下山。
三伏峠小屋に着くまでにワカンおじさん4人組パーティとすれ違う。9時過ぎで未だ三伏山を過ぎたあたりなので、山頂までは無理と思われた。本人達も行けるトコまで行って帰ってきますよと言っていた。この達観はやはり年の功か。

 (三伏山からの塩見岳山頂)   (晴天、三伏山付近)

9:30に三伏峠小屋に到着し、携帯電話で塩川小屋下のゲート前にタクシーを予約。安全を見て、下山4時間半として予約は14:00とした。
三伏峠小屋からはきちんとしたトレースがあり、サクサクと高速下山をして、塩川小屋へ11:40に到着。
なんと約2時間で下山してしまった。まだタクシーが来るまで2時間以上ある。下山途中で入山者6-7パーティ、約20数名とすれ違った。やはり年末休暇での入山計画が多い。塩川小屋付近の日当たりの良いところで、Nさんと世間話をしながら、装備の整備、日干しなどをする。塩川小屋前を12:50頃に出て、約30分ほど下手のゲート前へぶらぶらと下山する。13:20頃、ゲート前に着くと、まもなくタクシーが来てくれ、タクシーで中川温泉の望岳荘へ。入浴と食事をしに行ったが、食事は5時からとの事。とても気持ちいい温泉を西さんと2人占めした後、ロビーでビールとカップ゚山菜そばを食し、良い気分となる。
初めは伊那大島へ向かい16:30頃の飯田線に乗るつもりだったが、タクシーの運転手さんが横浜直行高速バスを教えてくれたので、早速それに決め、運転手さんが予約までしてくれた。途中、コンビニにより飲み物、食料(弁当2づつ)を購入し、16:15頃、松川インターバス乗り場へ。16:36発の横浜直行高速バスで、飲み食い、うたた寝しながら横浜へ帰着。バス内も高速道路も空いており、21:00にYCATへ到着。

【雑感】
今回は塩見岳の山頂まで行けなくて少し残念だったが、降雪と今回のトレースの状態では登頂は困難だった。予備日も用意していたが、降雪、ラッセルなどがあっても登頂を考えるなら、山中でもう一泊し塩見小屋付近まで行って幕営しないと難しいかなと感じた。今回も降雪前の12/27までの登頂計画なら、1日での三伏峠小屋から塩見岳の往復は可能だったが、一旦降雪があった後は難しかった。
しかしながら、おやじ2人での雪山登山は、まったりとして、又時にサクサクと手馴れており、中々良いものであった。Nリーダーに感謝。                            以上  OK(記)

ガイドブックで、トレースがないとラッセルに苦労すると書かれていた五右衛門山南面のところで時間を取られた。今回のようなラッセルを強いられる条件の時には、(1日目昼入山の場合)@塩川小屋までA三伏山〜本谷山あたりまでB塩見岳登頂後塩見小屋あたりでテントビバークC本谷山〜三伏峠あたりまでD下山くらいの日程で考えたほうが無難だろう。
それはそれとして、今回の山行はこれぞ雪山だ、という感じで、こんな山行もまたよしと思った。いい経験にもなった。
なお、塩見岳アタックの日、塩見岳登頂を決行しテントまで帰着を目指さず途中で半雪洞ツエルトビバークすることも考えた。しかし、積雪期でのツエルトビバークの経験はなかったので止めた。冬のツエルトビバークをちょっとだけでも経験しようと、帰ってからベランダビバークをやってみた。 (N)

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