幌尻岳

日程:2009年8月9日〜12日


 8月9日(日)羽田空港に8時に集合し、9時25分発のスターフライヤー707便に搭乗する。その日は千歳空港で航空自衛隊の航空感謝祭がり、着陸が40分ほど遅れる。空港で登山用燃料ボンベを購入し、予約して置いたレンタカーで幌尻岳登山口へ向かう。途中、昼食を取り、本日の寝酒と2日分の行動食をコンビニで購入する。また取水ダムでは水は得られないと判断し、平取町のキャンプ場で水を調達する。
 
8月9日(日)天気:晴
 平取町から林道に入り、けっこう穴ぼこが多い砂利道を1時間ほど行き、登山口の駐車場に4時前に到着する。準備を整え林道を歩き出す。取水ダムまで明るいうちに到着しようとハイパースで歩き、6時前に到着することができた。取水ダムでは先客が3名ほど天幕を張っていた。草原の快適なテントスペースがあり、思っていた以上に良いところ。天幕を張り、食事の支度をしながらビールで乾杯をする。明日の起床を3時とし、この日は21時に就寝する。

 8月10日(月)天気:快晴
 3時に起床し、朝食を済ませ、手際良く準備を整え、4時10分にOK・AR・IZ・KOSのオーダーで出発する。周囲はかなり明るくなっていた。最初は川の右岸を行き、10分ほどでへつりとなる。しかし、残置シュリンゲがあり、なんなく通過。さらに10分ほど歩くと、またへつりがある。ここは慎重に通過した。少し歩き徒渉点に出る。ここで沢靴に履き替え沢に入る。朝でもあり水温は冷たい。3回目の徒渉地点で、右岸に立派な滝にお目にかかる。その後も徒渉は頻繁にあり、25分間に11度の徒渉がある。事前の山行報告を読むと23度の徒渉があるとなっていた。23度目の徒渉で、幌尻山荘の小屋にでる。ここまで徒渉点から1時間で到着する。予想外に早く着いたので、その後の行動が楽になった。小屋の前で登山靴に履き替え、小屋の前から急登のジグザグの登山道に入る。 

 この登りが朝の涼しい時間帯であることに感謝し、一歩一歩高度を稼いでいく。50分登り休憩をとる。さらに急登を行き、地図でトラバース気味の登りを行くと尾根らしい登りに入る。そして、しばらく登り命の水の所で、2本目の休憩を取る。「せっかくきたのだから水場を見に行こう」と向かう。50mほど行くと水場があり、冷たい水で喉を潤す。 命の水からさらに30分ほどのハイ松のトンネルの急登を登るというきつい登りである。降りてくる登山者が、「上では高山植物の花畑がまていますよ、頑張ってください」という言葉に足取りが上がる。そして、尾根上のピークへ出ると、憧れの幌尻岳が目の前に広がり、その下には北カールが広がっていた。思わず、カールに熊が居ないか探す。尾根道では足下にハイ松の根に注意しながら登るが、景色の素晴らしさに登りの疲れが吹き飛ぶ思いである。また、足下には高山植物の花が咲き、景色と花の写真を撮りながら気持ちよく歩く。幌尻岳を横に仰ぎ見れて、脇にお花畑のある尾根で休憩する。振り返るとトッタベツ岳と幌尻岳を結ぶ稜線が美しい。そこから、北カールの縁を回り込むように登山道は延びており、岩とハイ松の登山道を1時間ほど登り幌尻岳の頂上に到着する。ここまで取水ダムから7時間で来ることができた。天候に恵まれ、景観の素晴らしさに頂上で1時間ほどゆっくりする。小屋からの登山者や日帰り登山者は頂上にいなくなり、とても静かな山頂を楽しんだ。周囲には山また山で、人里を感じさせない奥深い山を堪能した。

 頂上から七つ沼カールへ向け尾根を歩き、50分ほどで七つ沼を見渡せる肩の下降点に着き休憩する。七つ沼カールに天幕が2張りあった。このあたりから雲が湧きだしてきた。トッタベツ岳への登山道を下りはじめて10分ほどで雨が降り始め、合羽を着用する。七つ沼カールの下降点まで30分、そこから七つ沼まで雨のため滑りやすい急なガレ場をゆっくり慎重に下っていく。七つ沼では水場をさがし、残り少ない雪渓から水が流れている。その近くの天幕適地を探す。
 天幕場は高山植物の花に囲まれた、砂地でとても快適なところであった。雨の中天幕を張り、水を補給する。結局我々の他、9人パーティー、取水ダムであった3人組、夕刻到着した東京から来た沢組の2人の14人が七つ沼で天幕を張る。これだけ人いれば熊の心配はなさそうである。
 午後3時半になり雨が止み、周囲を散策すると、天幕の回りだけでなく一面のお花畑が広がっていて感激する。南に幌尻岳、北にトッタベツ岳、その2つのピークをを繋ぐ尾根、その東に広がる七つ沼カール、東には日高の山々が見渡せ、360度の景観の素晴らしさと、ナキウサギの鳴き声と高山植物にかっ込まれた素晴らしいところである。天幕の外で夕食を済ませ、夕日に赤く染まる幌尻岳を見て、その日は無事に終わる。天幕内で酒を飲み、19時過ぎに就寝する。

 8月11日(月)天気快晴
 3時半に起床する。天幕の外を見ると月明かりで星は少ないものの、雲一つないことが分かる。朝食を済ませ5時に出発。もはや周囲は明るく、カールの鞍部への登りにかかる。先行パーティーの9人組が登り始めたので、露払いをしてもらうよう、我々は少し遅らせ歩き始める。登り始めその急な斜面にさしかかると、黄色のウサギギクの群落、コバイケイソウなど様々な花が咲き、思わず写真のシャッターを押しながら登り、斜面の登りのつらさを忘れる。
 30分ほどでカールの鞍部に着き、そのままトッタベツ岳の登りにかかる。天幕場から1時間ほどでトッタベツ岳の頂上に到着する。七つ沼と幌尻岳の景観に感激し、シャッターを切る。9人組の先行パーティは幌尻岳へ向かった。朝の幌尻岳を歩くのも、下山の時間に余裕があれば良いかもしれないと思う。我々は、この後のこともあり、あまりながいはできないとトッタベツ岳を後にルートを北にとる。幌尻山荘分岐の下降点までゆっくり歩いて25分で着いた。そこから急な下りに入る。50分で400mを一気に下る。シラカバの林を過ぎたところで休憩。その後も急な登山道を下り、六の沢にでる。

こで沢靴に履き替え、右岸を下り、本流に直ぐに出て更に右岸を行き2〜3回の徒渉で小屋に到着。小屋から昨日来た沢を徒渉を繰り返しながら下り。1時間ほど下るが昨日沢靴を履き替えた徒渉点を過ぎたところで沢靴を登山道に履き替える。昨日のへつりに苦労したところの下に出た。ここが本来の最初の徒渉点と思われる。そこから数分し残置シュリンゲのあるへつりを越え、取水ダムに横着。周囲を見ると滝が点在し、来たときには薄暗く気づかなかった。ここでは休まず林道の下りにはいる。幌振橋の所の日陰で休憩する。そこから暑い中林道をあるき、13時45分に駐車場に到着する。
 暑いので、取り合えず荷物を車に放り込み、車で林道を下る。1時間半ほどで平取町の二風谷ファミリーランドの温泉に到着し、汗を流した後、夕食を食べる。 ここのキャンプ場で水を補給して、夕張岳登山口へ向かう。

<山行雑感>
 ・幌尻岳は日高山脈の最高峰で唯一2000mを越える山である。原始性あふれる山の魅力は北アルプスでは体験できない山と言える。
 ・幌尻岳は以前から良い山であることを聞いていて、是非行きたいと思っていた。心配していたのは、七つ沼カールの熊と自分の体力。登山口から七つ沼まで10時間を超える行程に対して、初日に取水ダムまで行く行程を考えた。
 ・幌尻岳を望む北カールの登りでは、稜線までの2ピッチ後に幌尻岳の勇姿とカールの美しさと足下の高山植物の素晴らしさはこの山の魅力と言える。
 ・幌尻岳の頂上からの展望は山また山の展望で、人里を感じさせない山はここだけと言って良い奥深い山が魅力の一つと言える。
・幌尻山荘宿泊者は、我々が北カールの登山中に下山にかかり、頂上では我々が到着した頃には、登山口からの日帰り登山者が数人いただけの静かなものであった。日帰り登山者は直ぐに下山にかかり、我々のみが頂上を独占した。登山者の少なさがこの山の厳しさを物語っている。アプローチに沢登りがあり、幌尻山荘は完全予約制で登山者の数を制限している。山荘前は天幕禁止、天幕が可能なのは七つ沼カールで、熊の出没などが原因で登山者が少ないのが、この山の魅力がいつまでも失われない原因であおう。
 ・七つ沼カールの天幕場は高山植物に囲まれ、幌尻岳とトッタベツ岳の2つのピークを繋ぐ稜線、雪渓、東の開けた日高の山々とナキウサギが何といっても良い。熊が心配であるが・・・。
<行動時間>
8/9
 羽田空港9:25発-11:35着 12:55レンタカー乗車-16:25林道ゲート着・16:45発 -18:27取水ダム着
8/10
 3:00起床4:05発-4:51徒渉点5:10-6:10幌尻山荘6:45-8:30命の水8:55- 11:00幌尻岳12:00-12:45七つ沼展望点12:55-13:55七つ沼カール
8/11
 3:30起床5:00ー5:35カール鞍部-6:08トッタベツ岳6:20-6:45尾根下降点7:00-8:30徒渉点8:50-9:20幌尻山荘9:45-10:45徒渉点11:15-11:30取水ダムー13:45林道ゲート

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