甲斐駒ケ岳
日程:2007年9月14日(金)夜発から9月17(月)


22:00JR高尾駅集合ー0:12韮崎駅ー0:40尾白渓谷駐車場
   
 韮崎駅から頼んでおいたタクシーに乗り込み、30分弱で尾白渓谷駐車場に到着。
トイレ、自販機あり。すぐに寝る。雨がパラつきだしたのが気になる。

9/15(土) 
 5:30起床ー6:30出発ー6:50遊歩道との分岐ー8:50横手との分岐ー  10:20前屏風ノ頭ー
10:25刃渡りー10:55刃利天狗11:10ー12:00五合目小屋12:25ー13:25七丈小屋

  随分車が増えていた。我々が最後に出発。暗く、じめじめした道で湿気が高く、ゆっくり歩いているのに、すぐに全身から汗が吹き出す。ほどなく、歩きやすいフカフカした平らな道となる。粥餅石への分岐は、崩壊がひどく、通れなかった。横手との分岐を合わせ、笹の多いダラダラ登りの道を行く。八丁坂の途中で休憩。登りはじめの十二曲がりといい、急登を覚悟していた割にやや拍子抜け。道がジグザグにきってあるので、それ程苦しい登りではなかった。この頃には湿気も少なくなり、さっぱりしてきた。 尾根上にでると辺りが明るくなった。一息いれている人も多い。前屏風の頭である。完全に名前負けの刃渡りを楽々通過し、刃利天狗で休憩後出発。 次は五合目小屋まで1時間ちょっと。と思って歩き出す。すると道の脇の切り株に、小屋まで15分。と刻まれている。まさか、まだ30分位しか歩いていないし、まちがいじゃない?とO氏と話しつつ進むと、はたしてちょうどそれ位で広けた所に出た。小屋はもうなくて、名残の柱と残骸がころがっている。もう、着いてしまった。空の水筒を片手に、奥のほうの水場へむかっている人達もいた。もう少し下ると、又もう一つ広場があり、正面の大きな岩の下に祠のようなものがある。雰囲気のよい所で、尾根を登ってきてここに小屋があったらホッとするだろうな。と想像する。ちょうど青空も見えてきてまったり気分。のんびりくつろいで、長めの休憩をとった。 O氏も私も何となくここまで来れば着いたも同然。といった気分になっていたのだが、実はここからが黒戸尾根の真骨頂であった。祠の横のはしごを皮切りに、いくつもはしごが連続。しかも垂直の岩壁にはしごがピッタリくっついていて、きわどい登りをしなければならなかったり、はしごの横木の間隔が広く、登ると急激に心拍数が上がり、その苦しいこと。七丈小屋に着いた時は、小屋の前の水場で、一気に水を飲み干した。水は出しっぱなしになっている位、豊富だった。天場はこの第一小屋から第二小屋を経て、さらにはしごを登ったそのまた先。やっと着いた。と思ってからが、かなり遠い。整地の必要のない真っ平らな天場で地面は砂じゃり。ペグを使ってテントを固定した。黒戸尾根は、いたるところに赤テープの目印があって道もよく整備されており、急登も思った程ではないし、後半のはしごでやや苦労したものの、ここまでの行程は、全体としては、登りやすい尾根という印象だった。

 
9/16(日)
  3:30起床ー5:15出発ー5:50八合目ー7:25甲斐駒ケ岳:50ー8:55駒津峰 9:05ー9:50仙水峠
10:05ー11:35栗沢山:55ー13:00アサヨ峰:20ー15:27早川尾根ノ頭ー15:30早川尾根小屋

 寝ている間は雨がかなりテントをたたいていて、天気が心配だった。起きてみると、空には満天の星が広がっていた。やや寒い。ハイ松、シャクナゲなど高山らしい植物の間を行く道は、湿気がなく、快適である。事前の予報とは違う、思いがけない好天にうきうきする。富士山をバックに、地蔵岳のオベリスクがちょこんととがって、黒いシルエットとなって重なっている。すばらしい展望を満喫しながら行くと、広く平らで白い石を敷き詰めた場所に着いた。白い柱が一本。本で見た鳥居ではないし、八合目までの歩程は1時間とあり、まだ30分程しか歩いていないので、通過。やはりここが八合目御来場だったことが後でわかった。山頂直下は傾斜がゆるくなり、7:25山頂着。
 
 北沢峠からの人達が到着するにはまだ早く、人はまばらだ。風がかなり強く、寒い。 360度の展望を堪能し、砂礫の道を下りはじめる。斜面があまりに急になり、踏み跡も急にうすくなった。摩利支天側に下りすぎてしまったようだ。登りかえして軌道修正。正しい下山道に行くには、下り始めて程なく、右側へ直角に曲がらなければならなかったのだ。視界が悪かったら・・と思うと冷や汗ものだ。この後、北沢峠から上がってくるたくさんの人達(団体さんが多い!)とのすれ違いでスピードが鈍る。8:55駒津峰。振り返ると甲斐駒がかっこいい。ここから仙水峠まで下り、栗沢山まで登る。登りも下りも標高差で450m程。急な下りの連続にあきあきして足がもつれるようになってきた頃、ようやく仙水峠着。まだ先は長い。活を入れて登りはじめる。今までと違い、いかにも踏まれていない道の様子が、思えばその後の道のりを暗示していたのかもしれない。白い木の幹、白い岩、その上に青い空。好みの風景に励まされる。栗沢山頂は晴れていて、気分爽快。岩の上に寝転ぶと、今まで見た中で一番大きくて、石灰岩の白い岸壁も堂々とそびえる甲斐駒が、真正面だ。ここは甲斐駒を眺める特等席。来てよかった。とうれしくなる。

  さて、次のアサヨ峰までは楽しい尾根歩き。(と、ガイド本には書いてあったのだ)少しゆるんだ気分で出発。しかしこれがとんでもない油断であった。ここからの1時間は、これは本当に一般道?又もルート、間違えたかも。と何度も不安になり、厳しい岩尾根の道に苦労した。しかも途中雨がパラつき、この岩を濡れた状態で登れるのだろうか?と弱気になった。幸い雨はすぐにやみ、アサヨ峰に着いた時はほっとした。“あなどれじアサヨ峰”今回の山行に、我々がつけたキャッチフレーズである。 ここから三つのピークを超えれば今日の天場だ。第二のピークの下りはじめは路上の石に白ペンキで矢印が書いてあり、そこでがくっと方向を変えて下りだした。暗く湿った急下降の道である。視界が悪く展望はない。地図ではこんなに急な下りは読み取れなかった。と、O氏も不安に思ったのか、地図を確認しようと提案があった。現在地から目的地へは、ほぼ真東に進むはず。でも今は道の方向が違っている。検討の結果、このまま下ってよいだろう。と結論がでかけた時、ガスが切れて真東方向に黒々としたピークが見えた。第三のピークだ。よし、あそこを目指して再スタート。 あとはさして困難もなく、15:30小屋に到着。ここも又、平らな天場で、水場もトイレも近くて快適。テントを張り終えた頃、ザーッと雨が降り出した。今回の山行は結構雨が降るが、あまり影響のないタイミングで降ってくれるのでありがたかった。


9/17(月)
  3:30起床ー5:00出発ー5:30広河原峠:40ー6:25赤なぎ沢ノ頭:40ー 6:55白鳳峠7:00ー8:55
白鳳峠入口9:25ー9:40広河原

 歩き出すと、森の木々の黒いシルエットの間から、朝焼けの濃いオレンジ色がにじんでいる。今日もいい天気。広河原峠にはすぐに到着。赤なぎ沢ノ頭は露岩帯。岩と岩の間に立って、北岳を眺めた。風が冷たい。南アルプスらしい、何となく薄暗くて雑然とした感じの森の中を通り、出発2時間弱で白鳳峠に到着。あっけないくらいである。 ここからは、ひたすら下り。峠を出ると、いきなり広けた斜面に飛び出した。足もとは、石がゴロゴロした河原のような道。樹林帯にはいると、木の根が露出していてすべりやすく、気の抜けない道。どちらもひやひやしながら、でも苦手の下りで失速して、後ろのO氏がつっかえては悪いなと思い、急いでくだった。 しっかりして下りやすいはしごをいくつか超えた後、難所が二つ。道がえぐれたように崩壊していてO氏が先行してくれた所と、沢を横切るのに、細ーい丸太が渡してあり、少し上方にロープが張ってあった所。ロープをたよりに、この丸太を綱渡りよろしく渡るのか?あまりに難易度高し。結局斜面と丸太に片足ずつかけてじわじわと少しずつ前進して通過。O氏は丸太に腰掛けるようにしてロープにつかまり、楽チン楽チンと横移動していた。 あとは順調に下り、コースタイムより30分程早く、白鳳峠入口に到着。下りはじめにあんなにとばさなくてもよかったのでは?と指摘を受けた。 広河原に向かう途中、道路わきに驚く程大量の石ころ、土砂が積んであった。この連休中、ドル箱のバス路線が不通ではあがったり。ということで、台風9号の影響でふさがった道を、24時間体制の工事で復旧させたのだろうね。と話した。この日難所と思えた山中の道は、応急処置程度しか手がまわらなかったのかもしれない。

 一度は登りたいと思っていた黒戸尾根を含むコースを計画した。はじめは甲斐駒と仙丈に登ろうと計画したが、台風の影響で北沢峠へのバス便が不通。という情報があり、直前にルート変更して、早川尾根をコースに組み入れた。尾根は途中、全然予想していなかった険しい道があり、緊張した。しかし終わってみるとなかなか登りごたえのあるいいコースだったね。と意見が一致。喉元過ぎればなんとやら。である。そっちがだめならこっちがあるさ。とあわてて決めたコース変更が吉と出て、ほんとによかった。 リーダーをやってみよう。と計画を出してみたものの、ルートははずすし、肝心なところの判断はO氏頼みで、実力通りの名ばかりのリーダーとなってしまった。後続に不安を与えずに、自信を持って先頭を歩ける山の人に、いつかはなりたいものだと思う。

  2007年度山行報告へ